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【247話】黄葉離宮の一室にて(♡)

 黄葉離宮の側女は新参者で構成されている。  女王セラフィーナの従者として入内したロレンシア、元一級冒険者のララノア達、彼女らは正規の手順を踏まずに女仙化した者達だ。  秩序を絶対とする宮中でこうした例外的措置が取られたのは、ひとえに三皇后と皇帝の意向が働いたからである。  唯一、リアだけが真っ当な手続きを経て側女になっている。本来の主人ヘルガはケーデンバウアー侯爵家当主の王妃...

【246話】売国女王の誘い

「落ち着いてください。怯えなくても大丈夫ですよ。逃げようとしなければ、他は自由にして構わないようです。勝手にお喋りをしても周りは止める気がなさそうですし⋯⋯。貴方も帝国出身ではありませんよね? 教会の神術式を身体に宿してらっしゃる。どこの国から?」 「私はイシュチェルと申します。⋯⋯信じられないかもしれませんが、バルカサロ王国の王妃ですわ」 「⋯⋯おや? 驚きです。バルカサロ王国の王...

【245話】王妃と聖女の入内

 長旅の末、帝都アヴァタールに到着したマリエールはすぐさま血酒を飲まされた。  皇帝の血液を特殊な方法で発酵熟成することで、生成される貴重な仙薬は、不適合者には惨たらしい死を与える。一説によれば皇帝に仕える価値があるかを血酒は見極めているという。 (さて、不老不病の身体を手に入れたわけですが⋯⋯。これといった実感がありませんね)  マリエールは死のリスクがあると説明されたが、一...

【244話】メガラニカ皇帝のお仕事

 ベルゼフリートは山積みになった信任状の処理に追われていた。『論功行賞』『官吏任命』に関する認証はメガラニカ皇帝の重要な仕事だ。  行為の意味は知っているが、内容についてはよく分かっていない。書状に御名御璽を記すだけの形式的な公務。何度も繰り返していると腕が痛くなってくる。  実権のない幼帝は執務女官が仰々しく運んできた書状を指示通りに認証する。 「⋯⋯⋯⋯」  執務女官...

【243話】バルカサロ王家の秘密

 アストレティアはイシュチェルの胎を指差す。  教会が子宮に施した強力な奇跡は、聖婚の大神でさえ解除できなかった。しかし、効果の重ね掛けはできる。 「なっ、なに⋯⋯? この感覚? 私の身体に何かしたの!?」  眠っている間に何かをされた。胎の違和感に強い恐怖を覚える。 「女仙化の直後、儀式触媒〈朱燕の乙女貝〉を使いました。効果は純潔の復活。このアーティファクトを使ってイシ...

【242話】婢女に堕ちる

 ――お逃げください! イシュチェル様! 川に飛び込んで! 船はもう駄目です! 子・供・達・は私が! 泳いで対岸に!  乳母の絶叫、男達の怒声。  船上で逃げ惑っていたイシュチェルは、落下防止の手すりを乗り越える。  恐ろしい風切り音が聞こえた。放たれた弓矢が後頭部を掠める。振り返ると石弓クロスボウを構えた襲撃者が狙いを定めていた。沈みかけた船舶の揺れがなければ、イシュチェルの...

【241話】三皇后が与えた新しい玩具

 同刻、メガラニカ皇帝の居城たる帝城ペンタグラムでは三皇后が集結し、最終決定を皇帝に奏上する御前会議が催された。  連日連夜続いた三頭会議で出た結論を口頭報告するものである。三皇后から皇帝に対する事実上の命令だ。奏上という形式を取っているが、実権が皆無かつ幼年のベルゼフリートは三皇后の意向に逆らえない。 「へえ。新しい女仙を二人も受け入れるの?」  皇帝の第一声は戸惑いであった...

【240話】乙女マリエールの瞳に映る帝国情景

 大陸歴はメガラニカ皇帝の在位に基づく紀年法である。栄大帝の統治時代においては大陸全土で用いられていたが、連邦制の瓦解後は教皇庁が定める世界歴に取って代わられた。  現在、大陸歴を使用する国家はメガラニカ帝国のみだ。  大陸歴八紀の九年、この年は歴史の転換点であったと後世で評されることになる。  八代目皇帝ベルゼフリート・メガラニカの在位九年目は、様々な大事件が立て続けに起きた...

【239話】王妃イシュチェル・バルカサロの受難

 バルカサロ王国で勃発した動乱の切っ掛けは一言で説明できる。  メガラニカ帝国との戦争に負けたせいだ。  大敗北の戦渦を同盟国のアルテナ王国に引っ被せたものの、強靭無敵を高らかに誇ってきたバルカサロ王国軍の矜持は失われた。  王家直属の軍師団が想定していた以上に、メガラニカ帝国の軍事力は強大だった。凝り固まった自信の喪失は民衆の恐怖心を呼び起こし、過度の帝国脅威論が吹聴され、一...

【238話】秘匿の女仙 婢女(♡)

「ベルゼフリート陛下。お聞きしたいことがございますわ」 「ん? なに、なーに?」 「この一ヶ月、ベルゼフリート陛下の御子を身籠る妃が増えているとお聞きしましたわ。子種をお授けになっているのは、三皇后のご命令ですか?」  セラフィーナはロレンシアに母乳を与えながら、休憩中のベルゼフリートと雑談を始める。 「さぁ~。どうだろ? どうなんだろうねぇ? 気になる? 知りたい?」 ...

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