シャーロットが帝都の魔法学院に旅立って二ヵ月。伯爵令嬢のいないジェルジオ伯爵城は少し寂しくなった。その一方で人々は新しい住人のレヴィアを受け入れ始めた。
エルフの魔法使いは卓越していた。医療分野はお抱え魔法医のルフォンに任せているが、それは彼女の職責を尊重してのことだった。ルフォンは回復魔法の探究にこれまでの人生を費やした。しかし、〈真なる魔法使い〉の高みに立つレヴィアは、さも当然の如くルフォンの努力を凌駕する。
ルフォンの器量が狭ければ、レヴィアの能力に良からぬ妬心を抱いたであろう。しかし、人格者として名高いルフォンは他者に厳しく、自分にはそれ以上に厳しい。
シャーロットが帝都に引っ越したのも良いタイミングであった。ルフォンは詰まらぬプライドを持ち合わせていない。より優れた回復魔法の使い手となるため、レヴィアに頭を下げて、教えを請うようになった。レヴィアは申し出を快諾し、第五魔法の神髄をルフォンに授けた。
ジェルジオ伯爵城に滞在するエルフの美女が優れた魔法使いだと、城外まで知れわたるのにさほど時間はかからなかった。
得体の知れなさで警戒する者はいる。ルフォンもレヴィアが出自を明かさないのは疑っていたしかし、誰にでも礼儀正しいレヴィアを嫌う者はまずいない。
ジェルジオ伯爵やリンロッタ夫人もレヴィアに好きなだけ滞在してくれて構わないと厚遇した。だが、シオンだけは知っている。
レヴィアは伯爵令嬢シャーロットに贈られるはずだったプレゼントを嬉々として簒奪する不貞不貞しい厚かましさも併せ持っていた。さらにもう一つ、レヴィアは博識な賢女であったが、男の性については驚くほど無知だった。
清く正しく、真面目な人柄。教会が崇め讃える聖女のような人格者だった。そのせいか、シオンの乱れた性関係を知ったとき、レヴィアは言葉を失うほど動揺した。
「シオン⋯⋯? また、酒場に⋯⋯。アイリスさんのところに行くのですか?」
浮気相手の女に会おうとする夫を止める妻。そんな雰囲気になっていた。罪悪感で心苦しくなる。
「んー。まぁ、呼ばれたんだ」
「⋯⋯シオン」
シオンが複数の女性と肉体関係を持っている。その現実が受け入れられず、突きつけられる度、顔面蒼白のショック状態に陥った。
「⋯⋯その⋯⋯シオンはまだ子供で⋯⋯そういうのは⋯⋯よろしくないと私は思っています。アイリスさんは⋯⋯受け入れているとしても、社会の通俗的に⋯⋯。どうなのでしょう? 早すぎませんか? それに、他にも手を出している女性がいるなんて⋯⋯。結婚するつもりもないのに⋯⋯」
周囲からは同棲状態のレヴィアもその一人に数えられているのだが、シオンとレヴィアは清い関係だった。共寝をしつつも、一線は越えていない。そもそもシオンは相手から誘われなければ応じないタイプの男だった。
「その説教はごもっとも。だけど、もうじき終わる関係だ。シャーロットお嬢様に言いつけられた」
〈囀る古鳥亭〉で働くアイリスは、シャーロットから手切れ金を受け取っている。シャーロットがシオンを帝都に呼び寄せた後、肉体関係を綺麗さっぱり清算するようにと念書を執筆した。
他にも念書を書かされた女性はいる。シャーロットの情報収集能力はシオンの予想をはるかに上回っていた。
(さすがにあの人との関係までは知らなかったみたいだ。当然といえば当然か⋯⋯。セックスしたのは、あの夜だけ。一夜限りの過ちだったわけだし。知ってるのは伯爵様と奥方様だけ。あとはアイリスか。秘密は誰にも漏れていない)
シオンが思い浮かべる女性は関係清算の念書に署名していない。シャーロットが帝都に旅立つまで、実は知られているのではないかと怯えてはいたようだが、ジェルジオ伯爵とリンロッタ夫人が守り抜いた。
その件についてはシオンも胸を撫で下ろした。
「それと、今回はお仕事も込みだ」
「お仕事? 私も付いていきたいのですが? ダメですか? 邪魔ですか?」
「今日のは⋯⋯やめておいたほうがいい。魔法具を密売してる魔女は用心深い。アルバァンダート先生が取り逃がしちゃうくらいだ。エルフの魔法使いは目立ち過ぎるだろ?」
「隠蔽の魔法で姿を消せばどうです?」
レヴィアはしつこく食い下がる。シオンは首を横に振った。
「計画通りなら荒事にはならない」
魔法具を売りさばく流離いの魔女。一週間ほど前、アルバァンダートとジェルジオ伯爵家の騎士達が捕まえようとした。しかし、老師アルバァンダートの顔は領地に知れわたっていた。そのせいで逃げられてしまったのだ。
「魔導具を売りさばいている竜紋の魔女は⋯⋯危険だと思います」
「うん。だから、捕まえる。〈囀る古鳥亭〉に竜紋の魔女が現われるかもしれない。アイリスが呼び寄せてくれたんだ。珍しい魔導具を欲しがってるクソガキがいるって吹き込んでさ。囮捜査ってヤツ。上手くいけば危険な魔法具を没収できる。スリル満点のいい作戦だろ」
「本当に大丈夫なのですか? 相手は本物の魔法使いだと思います」
「レヴィアみたいな真なる魔法使いじゃない。半端な魔術師なら俺で十分対処できる」
「相手が一人で現われるとは限らないでしょう?」
「こっちだって備えはしてる。私服の騎士を〈囀る古鳥亭〉に潜ませた。もちろん変装させてね。大丈夫。俺って、こういうのは得意なんだ。アルヴァンダート先生よりは演技の才能あるしね。そんな顔、やめてくれよ。大聖女様の加護を受けた聖職者なんだぜ? 魔女の魔法なんか恐くない」
「まだ読師見習いだと聞いていますよ?」
「まいったな⋯⋯。レヴィアにまでそれを言われるようになっちゃったか。今回の件が上手くいけば昇格できると思う」
◆ ◆ ◆
シオンは心配性のレヴィアをなんとか押し留めて、〈囀る古鳥亭〉に向った。
聖職者だとは思われない遊び人風のチャラい服装にしている。武装の類いは使えないので最初から持っていない。しかし、相手は魔女。攻撃魔法を使ってくるかもしれない。シャーロットからもらった漆黒黄金のタリスマンは、ポケットに忍ばせておいた。
(アイリスの手引き通りに現われるなら、日付が変わるくらいの時間に魔女はやってくる。疑われないように振る舞ってなきゃいけないわけだ)
早めにジェルジオ伯爵城から出た理由は、アイリスの誘いがあったからだ。魔女の逮捕に協力する見返りでもある。
(どーすっかなぁ。アイリスは本気だ。シャーロットお嬢様との約束は守るつもりなんだろうけど⋯⋯)
手切れ金でシオンとの肉体関係は終わる。しかし、まだ猶予期間が残されていた。シャーロットが魔法学院に入学したのは二ヵ月前、残り四ヵ月ほどでシオンは帝都に召喚される。それまでは自由にしていいと認めてもらった。
未亡人アイリスは孕む決心を固めた。そのせいでここ最近のシオンは膣内射精を強要されている。
無計画な妊活というわけでもないのが、アイリスの計算高さだった。
シャーロットから受け取った手切れ金とこれまでの蓄えで、子供の養育費は十分に賄える。
そのうえ、一人暮らしには大きすぎる持ち家がアイリスにはあった。大工だった亡き夫が新婚時に建てた一軒家だ。
(アイリスだったら他にも相手はいただろうに⋯⋯。俺なんかを⋯⋯。物好きな女だよ)
若い頃ほどでないにしろ、口説いてくる男は大勢いた。裕福な商人に言い寄られてるところを見たこともある。しかし、アイリスが選んだのは幼い少年のシオンだった。
アイリスは若く見える外見だが、二十歳の息子がいる母親の年齢であった。女体の全盛期は終わりかけている。妊娠できる最後の機会だ。
最初はアイリスも遊びだと思っていたかもしれない。息子を独り立ちさせた後のご褒美。女に興味津々なエロガキと戯れて肉欲を発散する。しかし、シャーロットの念書で思い至ってしまった。
二十年ぶりの妊娠を遂げるため、避妊なしの本番セックス。もしかすると、あっけなく成就しているかもしれない。もう既に妊娠している可能性すらあった。
シャーロットが帝都に旅立ってから、アイリスとシオンの逢瀬は回数が増している。子宮に胎児が宿っていてもおかしくなかった。
(どうなるかは大聖女様の御心次第だ。よしっ! 行こう!!)
シオンは〈囀る古鳥亭〉の木扉を開ける。
沢山のビールジョッキを両手で運ぶアイリスは、酒場の客達に愛想を振りまいていた。酔っ払いの視線は、テーブルに置かれたビールジョッキではなく、アイリスの垂れ気味の爆乳に釘付けだった。しかし、鼻の下を長くした男達を非難するのは筋違いだ。
アイリスは上乳を曝け出し、見せつけている。豊満なノーブラの乳房を強調する破廉恥な格好だった。よくよく観察すればスカートの丈も短い。艶やかな太腿どころか、隠すべき巨尻まで見えそうになっている。
「マスター。ごめんなさい! 今日はもうあがっちゃうわ。お迎えがきちゃったから」
「おー。あー。そうか。ほれ⋯⋯。部屋の鍵だ。窓は閉めとけよ。うちは逢引宿じゃねえんだ。他の客に迷惑をかけんな」
「ありがと! でも、そこまで激しくはしないわ。そうよねぇ? くすくすっ。シオンはいつも優しく愛してくれるものね」
駆け寄ってきたアイリスはシオンの手を握る。若すぎる愛人の登場に遠方の商人達は口を開けている。ビールを吹きこぼしている者までいた。
「よぉ。ませガキ。エルフの嬢ちゃんに飽きて、今夜の相手はうちの美人女将か?」
「品がないぜ。マスター。レヴィアとはそういう関係じゃないっての」
「シャーロットお嬢様が帝都に行ってから女遊びが酷くなったんじゃないか? 噂は聞くぞ」
「噂と真実は必ずしも一致しねえよ。下種の勘ぐりはやめてくれ」
「だったら素行を改めろ。エロ坊主。周りの視線を見ろ」
マスターの言い分は正しい。どこからどう見ても母親とその息子。そんな組み合わせの二人組が乳繰り合い始めたのだ。
「おいおい。アイリス。なんだよ。その格好は? いつもと仕事服が違うじゃないか。ちょっと無理してね?」
そのまま言葉の勢いで「歳を考えろ」と失言しかけたが、シオンは苦笑いで誤魔化した。
「まったくもう。口が悪い子だわ。ちょっと前まではこういう格好をしていたのよ。どうかしら? 旦那を落とした勝負服♥︎ 似合ってるでしょ?」
「ちょっと前? 旦那さんが生きてた頃って⋯⋯。俺が生まれるより前だろ。それ」
「そうね。あの子を産む前だから⋯⋯そうかも」
(じゃあ、二十年以上前じゃねえか! やっぱ自分の歳を考えろよ。ババアの若作りにも限度ってのがあるぞ⋯⋯。不老のエルフ族ならいざ知らず。⋯⋯ん? 待てよ。レヴィアはあの見た目でアイリスより年上なんだよな? 不思議なもんだ。歳って何なんだろうな)
レヴィアは年齢不詳だ。不老のエルフ族は千年以上も生きると言われている。気になるものの、女性の年齢を訊くのは非礼にあたる。
「マスターにお願いして、角部屋を確保しておいたわ。さあ、最上階に上がっちゃいましょう。部屋なら外じゃできないこともできちゃうわね」
急かし立てるアイリスはシオンの手を引っ張る。
「りょーかい。で、あっちの件はどう?」
「ちゃんと呼んであるわ。きっと来てくれると思うわよ。今日は取り締まる騎士のお客様もいない」
シオンは酒場のホールを見渡す。魔女らしき人影はない。行商人や旅人でごった返している。その中で含み笑いを噛み締めながら、酒を飲んでる用心棒風の男達がいた。
(レイナードめ。バレバレじゃねえか。こっちをジロジロ見んな! 顔見知りだって露見したら、計画が台無しだぞ!)
変装したジェルジオ伯爵家の騎士達だった。馬鹿笑いしているレイナードは同僚の背中を叩いている。
「ねぇ。早く行きましょうよ? 早熟のダーリン♥︎」
アイリスがシオンの頭に乳房を乗せて遊び始めたせいだ。
(こりゃ、また城内で噂になりそうだ。帝都の魔法学院にいるシャーロットお嬢様の耳には入らないだろうけど、最近はレヴィアがなぁ。怒るんじゃなくて泣きそうな顔になるから辛い⋯⋯。あとルフォン先生がゴミカスを見るような目で睨んでくる。あれはあれで⋯⋯恐い。めっちゃ恐い。アルバァンダート先生も守ってくれないしさ)
シオンとアイリスは互いの手を絡ませて、恋人繋ぎで握り合った。階段を一段上がる度、乳房がたぷんっと卑猥に揺れた。
(アイリス⋯⋯。ブラジャーしてないで働いてたのかよ⋯⋯)
シオンは股間の逸物が膨らんでいくのが分かった。間違いなくアイリスも女陰を濡らしている。発情している淫女の香りが匂った。
「俺の子を妊娠する気だって、帝都の息子さんには伝えた?」
「言ったところで、あの子も嫌でしょ」
「俺が息子さんの立場だったらめっちゃ嫌だな」
「故郷に残した母親が誰かの子供を産んでいたなんて、わざわざ教えなくていいわ。知らぬ間に産んで、帰ってきたらビックリさせてやるつもり」
「なあ。アイリス⋯⋯。子供が欲しいのは寂しいから?」
「そうかも。私って大家族で育ったの。私以外は早死にしちゃったけれどね。静かな家は苦手。賑やかなほうがいい。旦那が早死にしなければ、もっと子供を産むつもりだったわ。子沢山の母親になりたかった。酷い男よ。私が嫌というまで赤ちゃんを産ませるってプロポーズしたくせに、呆気なく死んじゃうんだもの」
「再婚する気はなかったのか。相手を探せばいただろ?」
「二年前までは母親だったもの。愛した男に託された大切な息子が独り立ちするまでは子育てに専念しなきゃ⋯⋯。でも、二年前でお役御免。そろそろご褒美をもらいたいわ。シオンは迷惑?」
「男冥利に尽きる。光栄の極みだよ」
「嬉しいわ。
最上階の角部屋、廊下の突き当たりにある扉まで歩く。地上階の騒ぎはここまでは聞こえてこない。それは逆も然りだ。分厚い石造りの壁で区切られた部屋は音を閉じ込める。窓を全開にしなければ、外に声は聞こえない。
(最上階の角部屋か。脱出困難な密室だ。魔女にとっても⋯⋯俺にとっても⋯⋯)
アイリスは部屋の鍵を開けている。鍵穴に差し込み、ガチャリと回す。
「子供ができたら、息子さんに説明したほうがいい。血の繋がった家族なんだ。恨まれ役が必要ならやるからさ。一発くらいは殴られる覚悟あるぜ」
寡婦の自由恋愛。本気になってしまった火遊び。言い訳はいくらでも並べられる。しかし、たった一人の血縁に通すべき道義はあるだろうとシオンは指摘する。
「無茶を言ってるのは私。責任を取れとは言わないわよ? それに私の息子は子供を殴りつけたりはしないわ。礼儀正しく、優しい、自慢の息子よ」
「故郷に残した大切な母親を孕ませたクソガキでも?」
「たぶんね。恐いなら黙ってればいいじゃない」
「だからって、生まれた弟妹の父親が誰かは言えませんってのはないだろ。そこの責任を取るよ。アイリスには色々と教えてもらった。主にエロいことばっかり」
「嬉しいことを言ってくれるわね。ふっふふふ。そういえばシャーロットお嬢様もセックスの技を仕込んだのは褒めてくださったわ」
「てかさ、アイリスはシャーロットお嬢様といつ会ってたんだよ。手回しが早くて恐ろしいぜ」
「あら? 話し合いに同席したかった? お城に連れ込んだエルフの女性について愚痴を聞かされたわよ」
魔女の訪問は深夜。まだ時間がある。相手はアルバァンダートからも逃げた勘の良さがある。誘いだと気付かれれば魔女は姿を現わさない。
(俺とアイリスが仲良くセックスする。魔女は俺達が囮役だなんて思いもしない。完璧な作戦⋯⋯だと思いたいね)
頬を紅潮させ、鼻息を荒くしたアイリスは撓わな双乳を開放する。魅せ乳の給仕服を脱ぎ捨て、熟れきった淫体が露わになった。左右の乳首と臍に卑猥なピアスが付いている。
「お客様が来る前に終わらせなきゃいけない。とっても残念だわ」
熟れた淫母は我が子よりも年下の愛人を抱きしめる。ひとしきり愛で終わると、欲望のままに衣服を脱がせにかかった。真っ裸の少年は痩せている。浮かび上がった肋骨を指先でなぞる。
「アイリス! 変なとこ触るな。くすぐったいってば⋯⋯!」
「もうちょっと食べた方がいいわよ」
「小食でね」
「食で清貧を装っても大聖女様は騙せないわ。それとも栄養がこっちに吸われちゃってるのかしらね」
アイリスは睾丸が収まった玉袋を食む。無毛の陰嚢を口に咥え込んで愛撫し始めた。まるで少年の生気を啜る美魔女だ。しかし、老いはかならず追いつく。アイリスの身体もいつかは女の機能を失う。
「んれろっ♥︎ れろぉっ♥︎ シオン♥︎ 貴方の赤ちゃん♥︎ 欲しいのっ♥︎ お願いっ♥︎ 授けてちょーだいっ♥︎」
男根の生えた股間に顔を埋めたアイリスは、潤んだ瞳を怪しく輝かせている。乳首で煌めく淫靡なニップルピアスから母乳の雫が滴り落ちる。
「分かったよ。セックスの師匠に恩返しだ。もう一度、アイリスを母親にしてやる。妊娠した後で恥ずかしがったりすんなよ?」
シオンはアイリスをベッドに押し倒した。爆乳の先端を摘まみながら、荒々しく揉みしだく。敏感な乳腺の性感帯に刺激を与える。女陰の割れ目から湧いた愛液が恥毛を濡らす。
「あんっ♥︎ んふぁあぁっ⋯⋯♥︎」
アイリスのオマンコは侵入したオチンポを歓迎する。脈動する男根に膣襞がまとわりついた。
「アイリス。窓のほうを見ないでくれよ。覗いてる奴がいる」
「あぁっ♥︎ ほんとに? んっ♥︎ くぅっ♥︎ ここ四階なのよ? 窓から覗くなんてできるわけっ♥︎ んぁっ♥︎ あんっ♥︎」
「使役魔の鳥だ。魔女の探りだろうさ。これくらいの用心深さは想定内。まあ、だからこそ、ここで見せつけてやればいい。アイリスは普段通りでいいよ」
シオンとアイリスの性行為を視姦する鳥は、窓の手すりに止まっている。魔法の知識がない一般人なら見過ごすだろう。しかし、聖職者であれば魔法の気配に勘付く。ルフォンやシャーロットに比べると、技量の拙さが目立った。
(アルバァンダート先生の言うとおりだ。半端な魔術師。でも、逃げ足と警戒心はある。アイリスの見立てもほぼ当たってるな。帝国貴族みたいに魔法学院で体系的に魔法を修めたヤツじゃない)
シオンはアイリスの膣内に子種を送り出す。射精の悦びで矮躯が震えた。下半身は獣欲に満ちている。しかし、頭の中は冷静に状況を分析する。
(魔女は俺とアイリスのセックスを見ているな。視線を感じる。使役魔との視界共有⋯⋯。第三魔法の領域には辿り着いてるってわけだ。なんで、魔導具の密売なんかやってる? 第三魔法まで使えるなら、働き口はあるだろ?)
下半身を押し出し、仰け反ったアイリスの乳房を鷲掴む。爪が食い込む痛みすら、アイリスは快楽に変換していた。
「はぁっ♥︎ んっあぁぁっ♥︎ んきゅうぅぅうっ~~♥︎ あ゛ぁっ⋯⋯♥︎ あっ♥︎ 孕むっ♥︎ これっ♥︎ しゅごぃっ♥︎ 絶対に妊娠しぢゃうっ♥︎」
「もうデキてたりしてな。ここ最近はずっと避妊してねえんだしさ。んっ、くっ! すごい締まりだ。子供を産んだ経産婦のオマンコとは思えねえぜ」
「もうっ♥︎ 傷付くわね。御姐さんって呼びなさい♥︎」
「そんな歳じゃねえだろ」
子宮の深奥部にシオンの遺伝子が植え付けられる。精子が胎内を泳ぎ回っている。お目当ての卵子まで辿り着けるかは運命に委ねられた。
「――でも、蔑まれるのも悪くないわ。今夜はそういうセックスにしてみる? 命じて♥︎ 卑しい私に⋯⋯♥︎ 孕めと命令してぇ♥︎」
アイリスは感悦で心身を震わせる。誰かが覗き見ていようと関係ない。むしろ自分の痴態を見せつけたいくらいだった。