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COMIC快楽天ビースト 2025年2月号(表紙:momi)

ワニマガジン社『COMIC快楽天BEAST』
(毎月17日)

momiの描く湯けむり巨乳美女が目印♪
表紙連動! 妹ギャルの誘惑&黒ギャルの授乳手コキ……、名作2本をフルカラー化!
ち○ぽヌクヌク! アツいシチュエーション満載です♪

「こーゆーコト ねーちゃんにしてもらってないだろ?」

彼女の妹に寝取られる!? 表紙&巻頭はmomi『雨上がりの虹色【フルカラー版】』
彼女の妹のミチルは、初めて会った時から何かと俺に突っかかってくる。
そんなミチルがなぜか俺の誕生日に俺の家に来ている。ひとまず彼女に報告するため電話をすると、急に慌て始めるミチル。
その理由は、電話口から聞こえる男の声……。彼女は浮気していた……。
落ち込む俺に、ミチルは覆いかぶさりキスをしてきて……。
《彼女の妹》とヤる背徳感をコミカルかつ大胆に描いた本編と、その後のふたりのショートストーリーをまとめてお届け!!

「よかったらエロ漫画のシチュエーションを体験してみないか?」

気持ちいいから抜け出せない! 待望の新作、きづかかずき『エロ漫研へようこそ』
体格が良いというだけで今までスポーツばかりやらされてきた新入生の新田(あらた)。チャラく見える先輩・真夢(まむ)さんの話を聞くと、自分の求める《漫研》とのこと。
誘われるがままに部室までついていくと、待っていたのは漫画は漫画でも、《エロ漫画》研究会とのことで!?
戸惑いながらも女性部長・柊(ひいらぎ)先輩の猛プッシュで参加することに。
なんだかんだで居心地の良いエロ漫画研究会に溶け込み始めた頃、部長の柊からエロ漫画のシチュエーション体験なるものに誘われて……。
電車でのチカンプレイ、学内トイレでのイラマプレイなど、場所を変え相手を変え、夢のような体験が新田を待ち受けていた!!

その他、フルカラーでお届け♪ 黒ギャルすけべ、無口な女のコのサレたい願望……ヒロインたちが淫らに乱れる姿をお見逃しなく!!

魅惑のハンドマッサージに絶頂。最後は特別な《ツボ押し棒》を使って……駄菓子『リラクゼーションマッサージRIFRE 女性歓迎』
私たちは相思相愛だったのでSEXができます!!……ぱてくらー『性徒会ご開帳』
地味系メガネ処女がテニサーで初えっち!?……みな藻『ヤリモクと地味子』
優しい女神の裏の顔!? 巻き込まれ系アブノーマル3P……緒湯乃みずわり『花に嵐の例えもあるが…?!』

<表紙作家>
momi

<収録作品>
雨上がりの虹色【フルカラー版】/momi
Flappy Cat【フルカラー版】/momi
エロ漫研へようこそ/きづかかずき
吸えない彼女の喫煙所/にこびぃ
リラクゼーションマッサージRIFRE 女性歓迎/駄菓子
性徒会ご開帳/ぱてくらー
「もー言わなきゃわかんないよ~」/もず
ヤリモクと地味子/みな藻
とらぶるトレジャー/平賀だいだい
ラブリー・シェイプ/アカノムラサキ
花に嵐の例えもあるが…?!/緒湯乃みずわり

執筆陣momi / きづかかずき / にこびぃ / 駄菓子 / ぱてくらー / もず / みな藻 / 平賀だいだい / アカノムラサキ / 緒湯乃みずわり
表紙イラストmomi
価格1,210円(税込)
発行日2025/01/17

【210話】王妃ラヴァンドラの要求

 プールサイドに二つのソファベッドが並ぶ。背を預ける愛妾と王妃は、たった一人の少年を誘惑するために、肉感溢れる水着で生肌を露出させている。だが、お楽しみの時間はまだ先だ。

 側女達は少し離れた場所で、主人達の対談を見守る。話し続けること、およそ十分。セラフィーナの説明が締め括られた。静かに聞いていたラヴァンドラは即答する。

「分かりました。冒険者組合との話し合いがまとまったら、皇女ギーゼラを使わせてあげましょう」

 回答が早すぎる。最初からラヴァンドラの答えは決まっていたのだ。

(ラヴァンドラ妃殿下は迷う振りすらしない。無駄な時間が省けるのはこちらもありがたいですわ。品定めされているようで、あまり心地好くはないけれど)

 ラヴァンドラが重要視するのは一点。セラフィーナが盤上の駒として役目を果たせるか。著しく能力に欠ける愚者は、予想外の行動で計画を破綻させかねない。

「ただし、皇女ギーゼラの後見人であるラヴァンドラ伯爵家は、一つの条件を設けるわ」

 女仙が産んだ御子の親権は生母に与えられる。セラフィーナのように譲渡した場合、その親権は失われ、後見人が権利を握る。皇女ギーゼラはラヴァンドラ伯爵家預かりの身だった。

(要求。取引⋯⋯。私が提示できるのはお金ですわ。けれど、大財閥を運営するラヴァンドラ妃殿下が金銭を要求してくるはずがありません)

 セラフィーナと冒険者組合の目論見は、ラヴァンドラ伯爵家の許可が大前提となっている。どのような要求が飛んでくるにしろ、受け入れざるを得ない。

「どのような条件でしょうか?」

「人が欲しい」

 ラヴァンドラは口角を吊り上げる。さながら、人買いの奴隷商人だ。

「ひと⋯⋯? 人間をご所望ですか?」

「ええ。アルテナ王国の人間を三万人以上。多ければ多いほどいいわ」

「アルテナ王国の民を何に使うつもりですか? 目的をお聞かせください」

「旧帝都ヴィシュテルの復興に不可欠な要素は植民。自治区というご褒美で冒険者を掻き集めたところで、その数は一万人にも満たないでしょう。それでは経済が回らないわ」

「ラヴァンドラ妃殿下は奴隷をお望みで?」

「セラフィーナさん。貴方は大きな勘違いをしているわ。高度に発展した経済大国において奴隷など非生産的⋯⋯! 私が欲しいのは人民。すなわちです」

「なぜそんなを? しかも、アルテナ王国の人間で構わないと言うのですか?」

 敗戦後、分割状態に陥ったアルテナ王国では反帝国の気運がくすぶっている。帝国貴族のラヴァンドラ伯爵家に対する忠誠心はまず期待できない。

「新興貴族であるラヴァンドラ伯爵家は領地を持っておりません。我が商会の悲願は領地獲得ですわ。アルテナ王国やバルカサロ王国との戦争は、割譲で新領土を得るチャンスでした。はぁ⋯⋯。講和条約の内容は、本当に残念だったわ」

「恐れながら、ラヴァンドラ妃殿下。講和条約で領土割譲はしないと取り決めておりますわ」

「ええ。セラフィーナさんがご指摘の通り、領土割譲どころか賠償金すら得られなかった。上手くやったものですわね。宰相派は煮え湯を飲まされた気分でしたわ。領土拡張を期待して、我が商会も戦時国債を買っていたのですから」

 ラヴァンドラは冗談めかして愚痴をこぼした。

 現在、皇帝ベルゼフリートはアルテナ王国の王を兼ねている。アルテナ王国の領土と資産はメガラニカ皇帝の庇護下にあった。

 もはや叶わぬ望みだ。敗戦国の財産を食い散らかす、そんな蛮行は許されない。

「ラヴァンドラ妃殿下は旧帝都ヴィシュテルをご自分の所領にされたいのですか?」

「全域を欲しているわけではありません。約十万人を養えるだけの土地を下賜かしいただく予定ですわ。財閥がたっぷりと国債を購入する対価として⋯⋯。三皇后の内諾は得ています。しかし、土地以外にも必要なものがあります」

「それで、アルテナ王国の民が欲しいのですね?」

「ええ。領民が住まない無人の土地に価値はなし。最低三万人の民、第一次の植民計画に必要な頭数ですわ。無論、廃棄されて久しい荒廃地を復興させるわけですから、不便や危険はあるでしょう。しかし、辛苦に見合う対価は提供いたしますわ」

「一つお聞かせ願います。ラヴァンドラ伯爵家は領土がなくとも、既に十分な財力があるはず。なぜそこまでして領地を欲しがるのです? 既に帝都随一の財閥をお持ちではありませんか」

 領土を持たずとも商会の利潤だけでラヴァンドラ伯爵家は富んでいる。帝都アヴァタールで多種多様な事業を成功させている大財閥の長が、所領を欲する理由が分からなかった。

わらってくださって結構。虚栄みえ矜持プライドです。現在のラヴァンドラ伯爵家は貧民出身の大商人が零落した伯爵家の令嬢を引き取ったのが始まり。爵位継承を認めさせるために、ラヴァンドラ商会の創始者は英雄アレキサンダーと共に戦い、半世紀前の旧帝都解放戦で死にました」

「聞き及んでおりますわ。救国の英雄アレキサンダーが率いた七人、そのうち五人は戦死された。その中の一人にラヴァンドラ大商会の創始者がいたと」

 メガラニカ帝国の爵位は、血統による世襲で継承される。大貴族が分家を抱えているのは、本家の血筋が絶えたとき、養子を迎えて一門を存続させるためだ。

 ラヴァンドラ伯爵家は死恐帝の災禍で没落し、財産と領土を失った。

 かろうじて残されていた爵位も失われかけており、帝都アヴァタールで成り上がった金貸しの豪商に身売りした。生き残るための醜い足掻きは冷笑を買った。しかし、その決断がラヴァンドラ伯爵家の運命を大きく変えた。

「ラヴァンドラ伯爵家は旧帝都ヴィシュテルに領土を持つ権利がありますわ。我らの創始者は命を捧げて戦ったのですから」

 災禍の終息に多大な貢献をした。その見返りに、ラヴァンドラ伯爵家は帝国貴族で唯一、例外的な爵位継承を議会に認めさせていた。

 ラヴァンドラ伯爵家の当主は、血筋による世襲ではなく、財閥内の推薦で選ばれている。

 帝国憲法は血統以外の爵位継承を禁じた。しかし、抜け道は用意されていた。断絶した直後、爵位を授与する。断絶と授与を繰り返せば、事実上の継承となる。

 ラヴァンドラ伯爵家が新興貴族とされる所以ゆえんだ。一代貴族を積み重ねて、ラヴァンドラ伯爵家は現在まで至っている。

「土地を得る目途めどは立ちました。そして、私の胎に皇胤が宿っているわ」

 ラヴァンドラ伯爵家の血統は断絶し、ラヴァンドラ商会の創始者は実子を残さずに死んでいる。だからこそ、現当主の王妃ラヴァンドラは皇帝の御子を産まねばならなかった。

「ラヴァンドラ伯爵家を再興する高貴な血筋の御子。私より後の者達は血統で爵位を継承することになるでしょう」

 五百年の大空位時代を経て君臨した皇帝ベルゼフリートの御子。今後は推薦による当主選定を取り止め、血統で爵位を継承させていく。皇胤の子に文句を付けられる者はいない。

「土地と血筋⋯⋯! 残るは領民だけですわ」

 ナイトレイ公爵家に匹敵する家格まで、ラヴァンドラ伯爵家を押し上げる。王妃の瞳には野心の炎が灯っていた。

(なるほど。虚栄みえ矜持プライドですわね)

 ラヴァンドラの悲願は帝国宰相の地位に立ち、皇帝ベルゼフリートの正妻となること。帝国宰相の地位を正々堂々と簒奪するには、として、周囲に認めてもらう必要があった。

「承知いたしましたわ。三万人の人民、必ずご用意いたしましょう」

「⋯⋯良い返事をありがとう。けれど、口で言うだけなら容易たやすいわ。皇帝陛下の愛妾にして、アルテナ王国の女王セラフィーナ、貴方は具体的にどうやって用意するおつもりなのかしら?」

 考えなしの承諾はまったく意味を成さない。昔のセラフィーナであれば、世間知らずな女王として、実現性皆無の空約束を結んでいたかもしれない。しかし、今の彼女は違う。宮中での生き方を学び、成長している。

「メガラニカ帝国との戦争時、ガイゼフが率いた王国軍は約八万人。そのうち、約半数は敗戦を受け入れず、東側に逃げてしまいましたわ。しかし、残る半数、およそ四万人は西側に留まっております」

 アルテナ王国で持て余している人間。それは、メガラニカ帝国との戦争で戦った職業軍人達だった。

「王国軍の敗残兵を売ってくれるの?」

「全員は無理ですわ。納得しない者もいるでしょう。しかし、アルテナ王国は敗戦後の軍縮で、兵士の多くを解雇いたしました。屈強で精悍な王国軍の兵士。失業者はおよそ一万人と見積もられています。元兵士の家族を含めれば、三万人程度には膨れ上がりますわ」

「元兵士とその家族⋯⋯。人選は悪くないわ。いいのかしら? 売国女王の名が轟きそうですわね?」

「ラヴァンドラ妃殿下ともあろう御方が何を仰りますの? アルテナ王国の王はベルゼフリート陛下ですわ。アルテナ王国とメガラニカ帝国は兄弟国も同然。他国に棄民するわけではありません。むしろ未来を考えれば、植民の第一陣になるのは名誉なことですわ」

 セラフィーナには予感があった。

(戦いに備えなければ⋯⋯。平時にこそ布石は打っておくべきですわ)

 中央諸国の支援を受けた西アルテナ王国との戦争。いずれは実娘のヴィクトリカと戦う運命にある。

(私にはヴィクトリカと戦う覚悟がありますわ。けれど、アルテナ王国の民衆は私の側に付いてくれない。特に終戦の間際までガイゼフに従った兵士⋯⋯。彼らは私の

 メガラニカ帝国の支配を認めなかった兵士は、東側に逃げ込んでヴィクトリカを女王と仰いでいる。

 それならば西側に残った兵士はどういう心理状態か。セラフィーナは彼らの心情がよく分かった。

(気持ちはよく分かりますわ。戦争に嫌気が差した者達。メガラニカ帝国の軍事力を思い知り、恭順するしかないと割り切った敗北者。心は折れている。メガラニカ帝国に歯向かう気概はない。けれど、東アルテナ王国にも剣を向けたくない)

 とどのつまりは後ろ向きな非戦主義者。帝国に敵対するつもりはない。だが、東部を統べるヴィクトリカ女王にも敵対しない。

(どっち付かずの不穏分子は、メガラニカ帝国内に隔離してしまったほうがいいわ)

 戦いから逃げ続ける敗残兵の鬱憤は、いずれ売国女王セラフィーナに向けられる可能性がある。

(旧帝都ヴィシュテルへの移民はきっかけになりえますわ。そう、心変わりのきっかけになるかもしれない。反感から恭順へ⋯⋯♥︎ 私がそうであったように⋯⋯♥︎)

 セラフィーナも縄張りを欲している。帝都の冒険者組合が欲する自由の楽園。自治区の設立に深く関わることで、冒険者組合に対する影響力を堅持する。

 ◆ ◆ ◆

「お待たせ~。色々あって遅れちゃったよ。ごめんね」

 プールサイドを駆けてくるベルゼフリート。その背後に水着姿のユリアナがいた。

「⋯⋯⋯⋯」

 澄ました顔をしているが、性奉仕を終えた直後なのは一目で分かる。黒い水着には特徴的な白濁色の汚れが付着していた。

 ベルゼフリートの股間は臨戦態勢に盛り上がっている。細身短身に不釣り合いな太々しい男根。後宮の女仙は誰しもが、幼帝の寵愛を強く欲する。

 セラフィーナとラヴァンドラは視線を交わす。協議は終わった。今回の会談は所属派閥が異なる二人のために、ベルゼフリートが伽役を指定する形で協力した。皇帝に呼ばれて、帝城ペンタグラムに赴くとなれば、誰からも後ろ指は指されない。

「セラフィーナは良い感じに仕上がってるね。綺麗な小麦色に焼けた肌。とっても似合ってるよ。僕の色に染まった気がして嬉しい」

「ありがとうございます。ベルゼフリート陛下♥︎」

 セラフィーナはベルゼフリートの御前にひざまずいた。

「ラヴァンドラの水着もいいね。ねえ、来年は海で遊ぼうよ。こんな素敵な身体をしてるんだから、水着を見せないともったいないよ? 伽役に指名するから、お仕事をちょっとお休みしてバケーションを楽しもうよ」

「承知いたしました。しかし、陛下の御指名をいただいたら、他の妃から嫉妬を向けられそうで恐いですわ♥︎」

 続いてラヴァンドラもベルゼフリートに恭しく膝を屈する。

「宰相派の上級王妃が恐れるのは三皇后くらいでしょ? まあ、正妻が恐いのは僕も同じ。でもさ、お仕事ばっかりで僕の相手をしてくれないんだもん。他の女仙に相手をしてもらうのは仕方ないよね」

 セラフィーナとラヴァンドラは、勃起状態の男根ににじり寄った。ベルゼフリートの水着をズリ下げ、愛しの巨根と対面する。花蜜に魅了された蝶のように、亀頭へ舌先を伸ばす。

「宮中末席の愛妾として御奉仕いたしますわ♥︎ 愛しきご主人様♥︎ ベルゼフリート陛下は、私の全てを変えてくださった♥︎ 今、私は女の幸せを享受しております♥︎ あぁ♥︎ 私の皇帝陛下⋯⋯♥︎ 永久にお尽くしいたします♥︎」

 セラフィーナは忠愛の言葉を捧げて接吻した。これ見よがしの愛情表現で、ラヴァンドラの対抗心に火がついた。たっぷりの愛情を込めて、負けじと奏上する。

「偉大なる皇帝陛下にお仕えする王妃として御奉仕いたします。ベルゼフリート陛下の御子を授かり、ラヴァンドラ伯爵家はさらに繁栄することでしょう。存分に、余すところなく、我が身をご堪能ください♥︎ ベルゼフリート陛下のご寵愛を授かるために、私はこの世に存在しておりますわ♥︎」

 水着の美女二人は互いの爆乳を押し付け合いながら、唾液が絡まるのも厭わず、太々しいオチンポを舐め回す。

「喧嘩しないで仲良くしてね? くすくす♪」

 幼き皇帝は満足げに笑う。セラフィーナとラヴァンドラの頭を優しく撫でた。こうして惚れ込ませた美しい孕女を侍らせていると、ベルゼフリートの心は安らいでいくのだった。

【雑記】ATOKを辞めて1週間くらい経った感想

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 2018年くらいから愛用していた「ATOK」を辞めました。解約の理由としてはサブスクの整理です。買い切りがほしい。

 月600円程度とはいえ、1年で7200円となれば⋯⋯もう切るしかないのですよ。

 そりゃあ、Google入力やMicrosoftにいっちゃうわけですよ。こうやって外資に負けていくのかな。正直なところ、基本無料で提供しまくって、辞書の販売などで稼いだほうがよくない? というのが素直な感想。広辞苑などの辞書が使えるのですが、サブスクモデルだとネット環境必須で、表示までの読み込み時間がかかる。

 タイプミスの指摘などもしてくれますが「これわかったところで、改善のしようがないよね?」となりました。5年経っても誤字脱字は消えないのですからね。努力でどうこうできるものじゃないです。

 さて。ATOKからの移行は順調にいったのですが、変換精度は落ちています。

 常用で使う固有名詞を入れましたが、作業効率はやや悪化。しかし、そこまでストレスが貯まるレベルではないです。

 動作についてはATOKが重たいので、むしろ軽くなっている気がします。

 GoogleとMicrosoftを比較して、どちらを使うか迷っている最中です。ネットではGoogle押しが多いですが、個人的にはMicrosoftのほうが優秀ではないかと思ったりします。

 Googleの変換候補が「絶対に人生でその変換は使わない」という単語を上位に持ってくるんですもん。妙に半角カタカナを推したりと謎が多い。

【209話】宮中工作

 屋内プールに隣接する更衣室は複数ある。その中でも皇帝専用室は、大勢の女官が出入りできる広々とした空間だった。

 ――豪華絢爛ごうかけんらん

 ――雄大豪壮ゆうだいごうそう

 華美を極めた着替え所は、厳粛な雰囲気が漂う神殿様式の装飾がちりばめられている。

 ベルゼフリートは両手を腰に当てて、仁王立ちする。眺めているのはエロチックな巨大壁画。誰がどう考えても場違い。娼館に飾られているような作風である。しかし、ベルゼフリートの意向で飾られているわけではない。建造当初から更衣室にあった芸術品だ。

「いやはや、絶景だね。栄大帝時代の天才絵師が描いた傑作! お固い名相ガルネットは『品位が疑われるから捨てなさい』って言ったらしいけど、これを燃やすなんてもったいない。大変エッチで素晴らしい!」

 サキュバス族の画伯が献上した美術品。水着姿の淫魔達が水辺で戯れる。自慰に耽り、互いを愛撫する淫女の饗宴、驕奢淫逸きょうしゃいんいつな名画である。

「でさぁ、今の宮中ってどんな感じ?」

 幼帝は問う。更衣室には女官が一人しかいない。警務女官長ハスキーすら席を外させた。

「⋯⋯⋯⋯」

 幼帝に付き従う女官は、秘密の番人ユリアナのみ。二人っきりの状況。外には警務女官や庶務女官が待機しているが、扉に耳を当てて盗み聞きするようなことはしない。

「⋯⋯⋯⋯」

「誰もいないよ? 僕とユリアナ。二人だけ。まさか緊張でドキドキしちゃってる?」

 ここでの会話は秘密が担保されている。ユリアナは口を開き、主君に返答する。

「恐れながら陛下⋯⋯。女官総長のヴァネッサ様や警務女官長のハスキー様に聞かれたほうがよろしいかと思います」

 ユリアナは口調に「社交性皆無の自分が宮中事情に精通しているように思えますか?」と感情を込めた。

「またまた謙遜しちゃって」

「⋯⋯。着替えをお手伝いいたします。両腕を上げていただけますか?」

「大丈夫。服くらい自分で脱げるよ。ほらね?」

「陛下のお世話ができなくなったら、我ら女官は失業です」

「単なる着替えだよ?」

「たとえ着替えであっても、陛下がお一人でなさったと知られたら、私が他の女官に叱られてしまいます」

「いつも思うけど、過保護だ」

「お召し物をこちらに」

 他に女官がいないのでベルゼフリートの着替えを手伝う。普段なら庶務女官の役割だがユリアナが代役となるしかない。

「次は僕が手伝ってあげようか? メイド服を脱がせるのは得意だよ。あ! それと、ちゃんと水着も持ってきた? 忘れてないよね?」

「⋯⋯⋯⋯。はい。持参しております。今朝のやりとりは、こうして私と二人きりになるためだったのですか?」

「押し倒してもいいよ? 僕じゃユリアナには勝てないし、今なら好き放題だ」

「いたしません。わざわざ水着を用意させるように仕向ける必要がありましたか? 私と話したいのであれば、そのようにご命令ください」

 伽役のラヴァンドラとセラフィーナは別室に案内されていた。警務女官長ハスキーであれば、お構いなくベルゼフリートに性奉仕を敢行するに違いない。しかし、ユリアナは立場を弁えている。

「お固い話は抜きにしてさ。ユリアナの水着姿を見たいのは本当だよ?」

「⋯⋯⋯⋯」

「当てようか? 色は真っ黒。フリルデザイン」

 ユリアナはかごから水着を取り出す。ベルゼフリートが言った通りの水着だった。

「なぜ分かったのです?」

「同僚の警務女官から借りたでしょ?」

「⋯⋯はい。その通りでございます」

「ユリアナと同じスリーサイズで、仲間が困ってたら手を差し伸べる親切な子に心当たりがある。警務女官の気遣い上手といえばカレンだ」

「もし水着を持っていないなら使ってほしいと渡されました」

「カレンは庶務女官の登用試験にも受かってるからね。そういう察しは抜群にいい。乱交パーティーでも順番や体位を調整してくれたりするんだ。気立ての良さが光るよね」

「とても面倒見がよい性格です。仲間からの信頼が厚く、ハスキー様も重用されています」

 全ての女官が一致団結しているわけではない。しかし、ベルゼフリートの近くに控える警務女官は結束力が強かった。

 皇帝直轄の親衛隊は、軍隊的な同胞愛がある。仲間の足を引っ張るような野心家は上級女官から弾かれ、施設警備などに回される。

「難点があるとすれば、酔うと耳たぶを舐めてくる性癖かな。あとはなところ、とか?」

「⋯⋯⋯⋯」

 警務女官の絆は、あくまでも仲間内での話だ。外部に対しては効果がひるがえり、強い敵愾心となる。

 気立ての良く、仲間思いの警務女官カレン。彼女に対する評価は、内と外で正反対なものに豹変する。

「ルートリッシュ王妃の側女が譴責けんせきされた件を言われているのですか。恐れながら陛下、服飾規則に違反していたのです。宮廷秩序を維持するための行動。カレンに私心はないかと思います」

「ふーん。やっぱユリアナは情報通じゃん。だったんだ。あー。恐い、恐い。明日は我が身だ。弱味を見せないようにしなきゃ」

「⋯⋯⋯⋯」

「僕ね、そこまでは知らなかった。やっぱ、ユリアナは事情通だ。色々なことを知ってる」

 先走ったばかりに失言したとユリアナは後悔する。

 雄弁は銀、沈黙は金。

 古来から伝わることわざは、まさしくその通りだった。

「⋯⋯⋯⋯。夕食の席で小耳に挟んだだけです」

 ユリアナは意図せず他者の秘密を知ってしまう。口の固さゆえに、一方的に相談をされることもあった。

 秘密の番人は、皇帝以外と言葉を交わさない。ユリアナは秘密を絶対に守る。話した秘密が広まったのなら、それはベルゼフリートを介して暴露されている。

 逆に言えばユリアナに話した相談内容は、ベルゼフリートの耳に入る可能性が高い。

 皇帝に伝えたいメッセージはユリアナに話せばいい。ユリアナはベルゼフリートとしか言葉を交わせないのだから。

「――で、話は戻るわけだけど、宮中ってどんな感じかな?」

「⋯⋯⋯⋯。緊急事態宣言時は挙国一致体制でした。魔物の襲撃があった直後は、陛下の御容態も芳しくなく、まさしく国難。そんな時期に派閥争いをしている余裕はございません」

「あの騒動では皆には心配をかけちゃった。悪かったね」

「魔物の企みで陛下が昏睡状態に陥ったのは、臣下の落ち度でございます。陛下のせいではございません」

「そういうのは好きじゃないかな。誰かの責任ってわけじゃない。大昔からの仕掛けだったそうじゃん。セラフィーナだって都合よく利用されただけだったしさ」

「危難は去りました。これからは日常に戻るでしょう」

「日常か⋯⋯。じゃあ、僕が元気になったから派閥争いが再開?」

「⋯⋯⋯⋯そうなると思われます」

「うへぇー。こわー。それは喜べないな」

「帝国の政治が動き始めればそうなります。そういうものでございますゆえ、致し方ありません」

「はぁ。困るよね。宮廷政治の闇深さ。隣国との戦争が終わったり、悪巧みしてた魔物が倒された途端、これだよ。内輪揉めって非生産的じゃない? 皆で仲良くすればいいのにさ」

「陛下の御言葉を借りるなら、懐妊された妃や愛妾を伽役に指名するのもでは?」

「えー? それ、言っちゃう?」

「⋯⋯⋯⋯」

「はい、はい。そんなジト目で睨まないで。よ~く、分かってる。争いの火種が誰かってことくらい。妊娠した女仙ばかり可愛がるなって、他の妃から苦情がきてるんでしょ?」

「それともう一つ。まだ正式決定ではありませんが、来年は妃の入内があると噂されています。その件で宮中がざわめき始めました」

 皇后三人、王妃九人、公妃二十九人。

 皇帝ベルゼフリートの妃は四十一人。愛人枠の愛妾二人を加えればハーレムは四十三人となる。これに側女や女官を加えれば数は膨れ上がる。

(即位時の選定であぶれた貴族は多い。長命種であれば純潔を維持すれば機会はある。十年や二十年程度なら待つ。けれど、短命種の場合は違う。妃になる機会を一度でも逃せば、次は子孫に託すしかなくなってしまう)

 ユリアナは幸運だった。もし皇帝の生誕が早ければ一族は別の者を選出していたはずだ。

 もしかすると、それはユリアナの母親だったかもしれない。逆に皇帝の生誕が遅ければ、自分の娘が警務女官になっていた可能性もある。

 時期に恵まれなかった最たる例は、アレキサンダー公爵家の前当主ヴァルキュリヤだった。七人の娘を産んで全員を入内させたが、本音を言えば帝国元帥レオンハルトの地位に自分が付きたかったはずだ。

 ヘルガ・ケーデンバウアー侯爵や大神殿の大巫女カティアは長命ゆえに時間を気にしない。

 しかし、アマゾネス族の女盛りは長くても十数年。

 ヴァルキュリヤが薄汚い取引に応じてでも皇胤を欲しがったのは、叶わなかった妄執が理由だ。

「妃の入内はラヴァンドラからも聞いた。議会で継続審議中らしいね。評議会は反対が優勢、国民議会は賛成が優勢。賛成と反対が二つの議会でねじれちゃってるから、どうなることやら」

 メガラニカ帝国の評議会は、皇帝に嫁いだ三皇后、王妃、公妃で構成される。正妻の三皇后を頂点に、王妃と公妃が表決権を持つ。妃が増えれば議員も増える。

 つまり、一票の重みは失われていく。

 妃である者達が、新参者を歓迎する理由はない。特に強く反対しているのが長老派の妃達だった。大神殿は妃の質も気にしていた。先帝の死因を考えれば当然だ。神官は国家の忠誠心よりも、皇帝個人に対する忠愛を重視する。

「軍閥派は賛成に傾いているのですよね」

「さあ? そうなのかな? レオンハルトとは小難しい話をしないから。その辺は分かんない」

「軍務省はセラフィーナさんやロレンシアさんに妃位を与えて、西アルテナ王国の支配を盤石にする思惑があるとか、ないとか⋯⋯」

「セラフィーナやロレンシアは難しそう。反対者が多いでしょ。特にセラフィーナなんか王妃になる件が流れて、すったもんだの末に愛妾じゃん。王妃待遇の勅命は出てるけど、執行停止状態なわけで⋯⋯。無理筋だね。それなりの功績や貢献がないとさ」

「先の戦争で武功を立てたユイファン少将を王妃に推す声もあります」

「信賞必罰。ユイファンはありえるね。戦争で大活躍した功労者だもん。愛妾からで王妃かな?」

「軍人では縁起が悪いかと⋯⋯。ユイファン少将はちまたで智謀の貴婦人と呼ばれているそうです」

「はっはははは。なにそれ? 笑っちゃう。貴婦人ってキャラじゃないでしょ? 腹黒でグータラな感じ。幻想を抱いてる人達にユイファンのだらしない寝起きを見せてやりたいよ。幻滅しちゃうだろうさ」

「そうはおっしゃりますが、ユイファン少将の働きぶりは誰もが認めております。先般の騒動において、身重の御体でアルテナ王国とメガラニカ帝国を往復していたのですから」

「まあね。⋯⋯だから、今回はゆっくり休ませてあげよう。政治と経済は専門外だろうしさ。やろうと思えば、やれちゃうんだろうけど。優秀過ぎるのも困ったもんだ」

「ユイファン少将は帝国軍の上級将校です。距離を置くと思いますよ。センシティブな問題に発展します」

「うん。当人が自覚しているはずだ」

「⋯⋯それともユイファン少将が首を突っ込むのなら、という意味ですか?」

「おやおや? ユリアナが動く気? 物騒な言い方だ。汚れ仕事はしない。君は僕の専属護衛。そうだったよね。それとも人手不足なら家業の手伝いもするわけ?」

「私が手を汚すのは陛下の御身に危険が差し迫ったときです。政争とは無縁であります」

「そう。身綺麗なほうがいいと思うよ。むしろ僕らは何かをしちゃダメだ。ユイファンにはネルティを付けてるし、何かあればすぐ分かる。頭の良いウィルヘルミナが対処してくれるよ。手段を選ばずなら、レオンハルトが必ず解決する」

「⋯⋯⋯⋯」

 ユリアナは皇帝の秘密を守る番人。誰にも会話の内容を明かさない。だからこそ、ベルゼフリートは本心を打ち明ける。帝国軍は国家の敵をぎ払う戦力でなければならない。

 ベルゼフリートはユイファンを好いている。しかし、それは個人的な感情であって、主君が家臣に向ける心証とは違う。

 ユイファン・ドラクロワは要注意人物の一人だった。

 軍略の天才でありながら、統治の才能にも秀でている。強大な武力と結びつけば、宰相派閥を弾圧し、軍事独裁が成し遂げられる。軍閥派にはアレキサンダー公爵家という大陸最強の軍事力があった。

「時間があればユイファンのお見舞いにでも行こうかな。お腹が重たくて大変らしいし、ネルティにも会いたい」

 ――だからこそ、警戒に値する。ゆえに愛情で縛り、信頼できる監視を置いた。

(側女のネルティ。私はあの娘が好きになれない。おそらく同族嫌悪。私とは出身が違う。⋯⋯けれど、近しい匂いがする)

 皇帝お気に入りの側女。それだけではないとユリアナは確信していた。

(まず、辿たどった経歴がおかしい。出身氏族はケーデンバウアー侯爵家の臣下、それなのにナイトレイ公爵家で陛下付きのお世話係となっていた。今は軍閥派に出戻ってユイファン少将の側女になっている⋯⋯)

 ネルティの事情に深入りはしない。他の者達がユリアナの領分を尊重するのと同じだ。

 お互いの目的は一致している。破壊者ルティヤの転生体であるベルゼフリートを守ることだ。そして、メガラニカ帝国の平穏。波風を起こす必要はない。

「ユリアナにすごく似合ってるじゃん。海水浴でも水着を着てれば良かったのに。控え目を装ってるけど、それなりに大きいよね」

 水着姿のユリアナにベルゼフリートが抱き付く。下乳に両手を差し込んで揉みあげてくる。

「陛下、私にかまけている時間はありません」

「でも、下のお口は素直だよ? まだプールに入ってないのに、股がずぶ濡れ。おかしいね?」

 ベルゼフリートの手が水着の隙間にするりと侵入する。ユリアナの女陰を指先がまさぐり始めた。

「女性器を強く刺激されれば膣液は⋯⋯っ♥︎ これは生理反応でぇ⋯⋯っ⋯⋯んぁ⋯⋯♥︎」

「どうしようかな? ユリアナが大好きだから、キスしちゃおうかな?」

「⋯⋯っ! ラヴァンドラ妃殿下とセラフィーナさんがプールで首を長くしてお待ちになっておられます」

「ちょっとくらい時間はあるよ。ていうかさ、セラフィーナに頼まれたんだ」

「⋯⋯まさか⋯⋯仕込みですか?」

「うん。まさかの仕込み。僕は遅刻しなきゃいけないの。だから、暇なのー。ユリアナが僕の相手をしてよ」

「アルテナ王国の女王はすっかり強かになりましたね。宮廷の色に染まっております」

「まあ、ハーレムでの暮らしが一年も経てばねぇ? いい傾向というべきかな。じゃあ、そういうわけで挿れていい?」

「そういうお話であればご随意になさいませ⋯⋯。んぁっ⋯⋯ぁっ⋯⋯♥︎」

 ◆ ◆ ◆

 円柱が等間隔に並び、ドーム型のガラス天井を支えている。正五角形のプールに太陽光が差し込む。

 人肌ほどに暖められた水は湯気こそ立っていないが、プールサイドの湿度を高める。若干の蒸し暑さを覚える。露出過多の水着を着こなす美女達には丁度いい環境だった。

 黄葉離宮から呼び出されたセラフィーナは、幼帝が直々に下賜したマイクロビキニを着用している。爆乳と巨尻は相変わらずの淫美であるが、以前と大きく異なるのは肌色だ。

(新たな境地ですわ。黒ずんだ光沢も悪くありません)

 真っ白な透きとおる雪肌は、深い小麦色に変じている。

 炎天下の白浜で日焼けしたセラフィーナの表皮は黒く焦げていた。

 高貴な女王が肌焼けで黒くなるなど、絶対に起こりえぬことだった。アルテナ王国の貴族は日焼けを嫌う。白肌は肉体労働と無縁の貴族らしさだった。太陽光に焼かれた黒肌は農民階級の証だ。

(ベルゼフリート陛下よりは薄めかしら?)

 手の甲を見詰めるセラフィーナはほくそ笑む。皮膚にサンオイルを塗り込み、全身を太陽で黒く染め上げた。

 愛しの主君に愛されるためであれば、祖国の美的慣習など取るに足らない些事だった。

(お腹はまだまだ膨らみませんわね。まだ妊娠二ヶ月目。はやる気持ちを抑えないと⋯⋯。前回は三つ子だったらお腹がすぐ大きくなった。今回の赤ちゃんは一人なのかしら? ふふっ♥︎)

 髪飾りを外したセラフィーナは、プールサイドをゆっくりと歩く。豊満な乳房と臀部がたゆんでいる。

 宮中最高級の美峰。周辺諸国に美貌の女王と噂され、大陸の果てまで名を轟かせたのは、誇張なしの真実だ。

「セラフィーナ様。まだベルゼフリート陛下はいらっしゃっていないようです」

「そのようですわね」

「本当に良かったです。申し訳ございません。私の着替えが遅いばかりに⋯⋯」

 赤毛の従僕は恥じ入って謝罪する。しかし、女王は叱るつもりがない。

「気にする必要はありませんわ」

 そもそもセラフィーナはベルゼフリートに遅刻するように願い出ていた。もうしばらくは女官と遊んでいるはずだ。

「あら。ロレンシアったら⋯⋯。母乳が滲んでるわ。ピアスで母乳に栓をしても漏れてしまうのね」

「朝方にしっかり搾ってはいるのですけれど⋯⋯」

 本当なら自立するのがやっとのボテ腹体型で、ロレンシアは自分の両足でしっかりと歩いていた。肉体改造で超乳化した胸部は宮中で並ぶ者なしのバストサイズに成長し、溢れる母乳をピアスで止めている。

 特注サイズの水着は、超重量の乳房に耐えられる特別製の布地だ。

 ロレンシアの淫体でもっとも大きいのは突き出たボテ腹。十人のショゴス族から寄生卵子を植え付けられたせいで、通常の苗床胎よりも子宮が肥大化している。

 鍛え上げた身体の女騎士でなければ、肥えた媚肉の超重に耐えきれず、寝たきりになっていただろう。ロレンシアはこんな身体になりながらも、側女としてセラフィーナに仕えている。

(ラヴァンドラ妃殿下だって来ていないわ。いいえ、私より先に来るつもりはなかった。⋯⋯やっぱり急ぐ必要なんかありませんでしたわね)

 黄葉離宮の側女で、同行を許されたのはロレンシアだけだった。

 引き連れる従者の数は主人の格を示す。

 セラフィーナの到着を見計らったようにラヴァンドラが現れた。後ろには五人の側女を付き従えている。

「ご無沙汰しておりますわ。ラヴァンドラ妃殿下」

「しばらく見ない間に様変わりしたわね」

 ラヴァンドラはセラフィーナの褐色肌に言及する。

「皇帝陛下のご希望です。とっても綺麗に焼けていると思いませんか? ラヴァンドラ商会のサンオイルを使わせていただきましたわ。おかげで肌の傷みもなく、素晴らしい品でした」

「当然です。我が商会は一流の良品しか取り扱っていません」

「ええ。そう思いますわ。ラヴァンドラ妃殿下には、いつもお世話になりっぱなしです。私と皇帝陛下の愛娘、ギーゼラの面倒まで見ていただいているのですから⋯⋯」

 セラフィーナはラヴァンドラの腹部を凝視する。時間にして、ほんの三秒ほどであったが、視線に気付かぬラヴァンドラではない。

「皇女ギーゼラは大切な皇帝陛下の御子ですわ。ラヴァンドラ伯爵家が後見人となれたのはとても名誉なこと。礼には及ばないわ。私に仕える側女が産んだ御子と仲良く暮らしていますわ。そして、もうじき⋯⋯。くっふふふふ。帝都の御屋敷が賑やかになりますわ。乳母を増やすべきでしょうね」

 ラヴァンドラは自分の胎を撫でながら、意味深な笑みを浮かべた。

(懐妊を公表していない。ラヴァンドラ王妃は時期を見計らっているようですわね)

 両肩を派手に露出させたオフショルダーのワンピース水着。バストの膨らみだけで上部を留めているオリジナルデザインである。首下から上乳までを晒すエロチックな衣装だった。しかし、腹部の露出はまったくない。腹回りをフリルの膨らみで覆っている。

「足下にお気を付けください。ラヴァンドラ妃殿下。床が滑りやすくなっておりますわ。お互いに転ばないように注意しましょう」

「ええ、そうですわね。お気遣いありがとう。セラフィーナさん」

「ベルゼフリート陛下はまだいらっしゃらないご様子⋯⋯。例の件、どういたします?」

 セラフィーナはとぼけた顔で訊ねた。王妃であるラヴァンドラは愛妾より高い地位にいる。しかし、皇后のような特権はない。もし正妻の皇后ならば、ベルゼフリートがいる更衣室に踏み込み、引っ張ってくることも許される。

「女官と戯れているのかもしれません。困ったものです。陛下は女官に優しすぎる」

 すでに警務女官長ハスキーは現着し、部下達を配置させていた。ラヴァンドラとセラフィーナが揃っても、ベルゼフリートを呼びに行こうとしない。状況だけで意図的に遅刻するつもりなのだと察せられる。

「ラヴァンドラ妃殿下が望むのなら、協議は後回しでも構いませんわ。陛下がいらっしゃれば性奉仕で、話し合いどころではなくなりますもの」

「いいえ。陛下が来る前に、協議を済ませておくべきだわ。私との取引条件を整えましょうか。皇女ギーゼラの使い道⋯⋯。売国女王と呼ばれている貴方の企み、ぜひ聞きたいわ」

ANGEL倶楽部 2025年2月号(表紙:松沢夢丹)

エンジェル出版『ANGEL 倶楽部』
(毎月15日)

圧倒的巨乳コミック誌、『ANGEL倶楽部』。
≪松沢夢丹≫によるど派手な汁辱巫女イラストが目印!!
掲載漫画も豪華におとどけ!!!
巻頭カラー≪松本痙≫をはじめ、
注目の作家≪星野竜一≫≪跳馬遊鹿≫≪砂川多良≫など。
巻中カラー作品は≪さいだ一明≫が担当!!
注目のピンナップは≪柚十扇≫が初登場!!
全17作品掲載★

執筆陣松本痙/松沢夢丹/跳馬遊鹿/星野竜一/デイノジ/砂川多良/イマジン孝二/大林森/ドモン/さいだ一明/カルデ拓/奈塚Q弥/すりりんぐ/朝倉満/佐塚カプリ/p-box/金棒てかてか
表紙イラスト松沢夢丹
価格1,100円(税込)
発行日2025/01/15 

コミックMate L Vol.61(表紙:松百まひる)

一水社『コミックMate L』
(奇数月15日)

口にすれば極上甘露!
これぞめでたきワレメ酒、イッキ飲み♪

美麗美少女表紙イラストは本誌表紙初担当の松百まひる。

残酷な「世界」で、膨らみかけの小さな胸に大きな夢つめて…♪
国内最凶と謳われる、美少女コミック「コミックMate L Vol.60」電子版、配信開始!

お馴染みのコース、大好評『低身長、無毛・微乳』祭りを開催中!

◆おとぎりふあ【千夏の世話係 後編】巻頭カラー!
妹と身体で結ばれた兄、この兄妹の行く末は…!?
◆海鮮畑の遊【物語より刺激的な…】
この村の唯一の書店、そこの看板娘がカワイイ…だが!?
◆逆又練物【ヒプノステイ 第1話】
自称少年の誰が見てもおっさん。その正体は…!

★掲載作品★
【千夏の世話係 後編】おとぎりふあ
【物語より刺激的な…】海鮮畑の遊
【ヒプノステイ 第2話】逆又練物
【家族人形 第七話】オイスター
【草花火】かにまる
【探究 exploration 後編】心島咲
【無垢で無口な僕の彼女。】白色灯
【鈍色に沈む 千影と母編 第5話】でんぱゆっくり
【ブルマをはかされて…】くまじろ
【魔女センパイは何度転生してもリョナられる エピソード11】明治乳子
【キレイに育って☆ココロとカラダ】あさだリョウ
【灯台下暗し】うつきくろこ
【Abduction Vol.1 〜拉致〜】いトう
【裏山の噂 前編】サケマス
■表紙イラスト:松百まひる

無毛でかわいい微乳&美乳少女、巨乳&爆乳女子たち、魅惑の14作品収録です!

執筆陣松百まひる / おとぎりふあ / 海鮮畑の遊 / 逆又練物 / いトう / 白色灯 / くまじろ / 明治乳子 / うつきくろこ / でんぱゆっくり / あさだリョウ / かにまる / サケマス / オイスター / 心島咲 / 一水社編集部
表紙イラスト松百まひる
価格850円(税込)
発行日2025/01/15

月刊メガストア2025年2月号(表紙:武藤此史)

コアマガジン『月刊メガストア』
(毎月15日、紙30日)

美少女ゲーム情報誌
月刊メガストア2025年2月号

巻頭特集
覇王戦姫 来夢(LiLiM)
淫獄の放課後(BISHOP)
巨乳ファンタジー5 王子リーン(Waffle)
ジュエリー・ナイツ・アルカディア -The end of the world-(きゃべつそふと)
おっぱいでかいナースとイチャコラエロ×2 入院生活!?(アトリエかぐやBARE & BUNNY)

メーカー応援ページ
冥王さまのお仕事記録簿(あいりすミスティリア!R/オーガスト×FANZA GAMES)
Kiss and Kiss(カスタムオーダメイド3D2&2.5シリーズ/Kiss)
あさぷろ情報局(恋愛、はじめまして/ASa Project)

巻中特集記事
配信NTR 〜あの動画は流さないって約束したじゃないですか!?〜(ルネTeamBitters)
New Breeder 〜エッチな獣娘を狩って自分好みに調教!〜(CHAOS-R)
異世界縁交After(だーくニャー!)ほか

執筆陣
表紙イラスト武藤此史
価格電子550円、紙版2000円
発行日2025/01/15

【双葉文庫】レトロ喫茶の淑女たち

69歳になる阿川恭一郎は、妻は先立ち、子供も自立し、海に面した故郷に帰って父の遺した喫茶店を継いだ。その店にある日、初体験の相手だった葉山万智そっくりの21歳の沙耶香が客としてやってきた。優しく接してくれる沙耶香に思い出を語るうち、妙な雰囲気に。「いや、もう勃たないんだ」「抱き合っているだけでいいですよ」。すると股間が反応。『心の旅』『わたしの彼は左きき』など懐メロが流れるなか目くるめく時を過ごして……。他に『時の流れに身をまかせ』『DESIRE』など昭和の名曲をかけて令和の美女たちと回春三昧!

著者霧原一輝
イラスト
価格869円(税込)
発行日2025/01/15

【208話】寡黙メイドの受難

 銀髪のメイドは報告書を読み終えた。

「⋯⋯⋯⋯」

 羊皮紙を一つのたばにまとめ上げ、バラバラに引き千切ちぎる。一族秘伝の特殊な羊皮紙は脆い。繊維に亀裂が奔った瞬間、紙面に染み込んだインクが消えた。

 高位の術式で復元されたとしても、暗号文を読み解くのは困難だ。用心深いメイドは千切った紙束をゴミ箱に入れず、灰皿で念入りに燃やし尽くした。

「⋯⋯⋯⋯」

 終始無言、そして無表情。

 沈黙の誓いを立てた警務女官ユリアナは、今日も口を固く閉じている。

「⋯⋯⋯⋯」

 皇帝ベルゼフリート以外の人間とは言葉を交わさない寡黙なメイド。しかし、無愛想で感情が表出しにくいのは、生まれつきの性格だった。ユリアナがもっとも饒舌だったのは産声を上げた新生児の頃だろうか。

「⋯⋯⋯⋯」

 私室にいるのはユリアナ一人だけだ。上級女官のユリアナには広めの個室が与えられている。女官長ほどではないが、他の女官よりも厚遇だ。

「⋯⋯⋯⋯」

 燃えかすの後始末を終える。報告書の内容は警務女官長ハスキーや女官総長ヴァネッサにも明かせない。

 秘密の番人は黙秘する。それはユリアナだけに与えられた特権であり、課せられた義務だ。必要に迫られれば皇帝ベルゼフリートと秘密を共有する。しかし、血生臭い政治劇の裏側をあえて教える必要はない。

 薄汚い真実は忠実な下僕だけが知っていればよい。醜悪な政争に巻き込まれ、憤死を遂げた烈帝の故事は有名だ。ベルゼフリートは清濁を許容する性格であるが、負担は少ないほうがいい。

(魔狩人との関係を考慮して暗殺中止ですか⋯⋯。生温い判断。私にはそう思える。殺してしまえば良かったのに)

 ユリアナの実家は暗殺業に従事している。

 メガラニカ皇帝の敵を葬ってきた影の血族。神殿や聖堂教会と出自は異なるが、皇帝崇拝の宗教結社的な側面もあり、暗殺教団と呼ばれることもある。

 一族内でユリアナの地位は族長や長老よりも高い。皇帝ベルゼフリートの即位時、一族内でもっとも美しく、秘密を守るのに相応しい人物として選ばれた。

 ユリアナに命運を託した一族の判断は正しかった。好色家の幼帝は無口な女官に興味を抱いた。そのおかげで、お手つきの寵姫となった。ベルゼフリートの個人的信頼を勝ち得たのは誇らしかった。

(父母には感謝している。容姿端麗な見た目、影を操る才能。努力を惜しんだことはないけれど、私が今の地位にあるのは血統の才。そして、一族が私に大役を委ねてくれたおかげ⋯⋯。自惚れるつもりはない。一族の使命と陛下への忠義。私はそれだけを考えればいい)

 実行された暗殺は逐次報告を受けている。しかし、ユリアナが命令を下したことは一度もない。

 あくまでも皇帝ベルゼフリートを護衛し、仕えるのがユリアナに与えられた使命だ。暗殺の報告書だけが一方的に送り付けられ、意思決定には関与しない。

(魔物との戦争で死者多数⋯⋯。敵には影を使う上位種の魔物がいた。魔物の仕業に見せかけて、秘匿死刑を実行できる絶好のタイミングだった。災い転じて福と成す、とでも言うべき?)

 ユリアナの影がうごめく。影を操る異能スキルは一族の血統に宿った力だ。

 警務女官での採用が決まっていたユリアナは、対暗殺者用のカウンター技能に特化させている。しかし、暗殺特化型の使い方もある。

(影の魔物はアレキサンダー公爵家の姉妹に滅ぼされてしまったと聞いています。濡れ衣を被ってくれた魔物には感謝ですね)

 ユリアナが燃やした報告書には、戦死に見せかけて謀殺した貴族達の名があった。

 廃都ヴィシュテルでの戦いに呼びつけて戦死させた者。

 残党の魔物が領地に侵入し、不幸にも命を落としてしまった者。

 単なる事故死や病死。平時に連続して起これば不審に思われる不幸な死。

 緊急時であればこそ、人々の意識は逸れる。

 そこに何者かの人為が介在している。陰謀を見破るほどの知恵者は口をつぐむ。粛清の裏側にいるのは国家権力そのもの。私利私欲で暗殺は行われていない。

 秘匿死刑。メガラニカ帝国という巨大なシステムを存続させるための犠牲だ。

(アレキサンダー公爵家の手引きがなければ、私の一族でもこれほど綺麗に掃除はできなかった。宰相閣下が発案者と聞いていますが、武家の頂点に君臨するアレキサンダー公爵家を引き込んだ手腕はお見事です)

 大妖女レヴェチェリナの陰謀を止められず、皇帝ベルゼフリートが崩御した場合を想定し、三皇后はメガラニカ帝国内の反乱分子を秘密裏に粛清した。

 汚れ仕事の一役を担ったのはアレキサンダー公爵家であった。暗殺はユリアナの一族が実行したが、誘導や隠蔽にアレキサンダー公爵家が大きく関与している。

(宰相閣下はアレキサンダー公爵家の大御所ヴァルキュリヤ様と取引を交わしている。ベルゼフリート陛下からの⋯⋯。きっとアレが取引の対価だった)

 ユリアナはアレキサンダー公爵家のお家騒動を思い出す。七姉妹が母親に激怒していた。隠居していたはずの母親のせいで、今後は八姉妹と呼ばれるようになるかもしれない。

(暗殺リストには軍部の将校や退役軍人もいた。軍務省の上層部が許容していなければ一掃は難しかった。妃達による評議会が国を主導する現体制を快く思わない古参の将校はそれなりにいる)

 記憶に新しいのは帝国軍の一部が反乱を起こしたドルドレイ騒乱だ。旧体制の勢力は、反皇帝というわけではない。むしろ新帝ベルゼフリートの保護を大義名分に掲げていた。

 彼らが否定したのは評議会、すなわち三皇后による新体制だ。実権は選挙で選ばれた国民議会が握るべきだと旧体制派は訴え続けた。ドルドレイ騒乱は旧体制の敗北で決着し、帝国宰相ウィルヘルミナの政治権力は確固たるものとなった。

 反逆ではなく、と呼ぶのは勝者の温情であり、軍閥重鎮のアレキサンダー公爵家やケーデンバウアー侯爵家が働きかけた結果だ。両家の言い分をウィルヘルミナが聞き入れて、勢力争いは手打ちとなった。

 勝者たるウィルヘルミナも薄氷の勝利だったという自覚はあった。ユイファン・ドラクロワという戦争の天才がいても、アレキサンダー公爵家の圧倒的軍事力はどうしようもない。

 大軍に兵法なし。それほどにアレキサンダー公爵家の軍事力は突出している。

(賊軍扱いで殺されるよりは、魔物との戦いで死んだほうがずっといい。名誉ある戦死。悪くない死に方でしょう)

 三皇后の決断が薄汚いとは思わない。皇帝ベルゼフリートを害する危険がある存在は秘密裏に排除すべき。それが大陸の安寧に直結する。

(――だからこそ、私には分からない。なぜを殺さない? 今後を考えれば、魔狩人に保護されていようとも始末をつけておくべき)

 魔狩人に保護された。本当に人間と呼べるかは怪しい。魔狩人は保護対象と認めたが、メガラニカ帝国の対応は真っ二つに分かれた。

(難しい仕事ではある。けれど、私の叔父上や父上なら、魔狩人の狩猟本館だろうと忍び込める。自然死に見せかけることだって可能⋯⋯。あの女がだと言い張るのなら毒殺すればいい)

 ユリアナは強い不満を抱く。暗殺は十分に可能だった。身柄は帝国内にあり、レヴェチェリナが起こした事件の混乱が残っている今こそ、暗殺できるタイミングだ。

 暗殺決行の準備はしていた。報告書にはそう書いてあった。

 三皇后のうち、帝国元帥レオンハルトは標的の暗殺を主張した。しかし、神官長カティアは魔狩人と敵対関係に陥るとして反対意見を表明。帝国宰相ウィルヘルミナは立場を留保した。

 三皇后の会議はまとまらなかった。

(ヴァネッサ様はどう思われているのだろう)

 女官総長ヴァネッサの賛否は報告書に記載されていない。三頭会議は結論を出せず、「しばらく様子を見る」で決着した。

(魔物が人間に生まれ変わる⋯⋯。とても信じられない。いや、信じるべきではない。むしろ完璧な擬態能力を身に付けた可能性を憂慮し、速やかに殺処分するのが最善。胎の子供だって得体が知れない)

 ユリアナが口を出す案件ではない。それは分かっている。

 三皇后は手を引くと決めた。魔狩人の監視下に置き、身柄はメガラニカ帝国に留める。その条件が守られている限り、メガラニカ帝国は危害を加えない。そのように取り決めた。

(この件もベルゼフリート陛下には伝えられない。魔帝に魂魄を奪われ、昏睡していた期間の記憶が残っていないのなら⋯⋯)

 ユリアナは懐中時計を一瞥いちべつする。

(そろそろ時間だ。お寝坊な陛下はきっと目覚めていない)

 鏡の前でメイド服に乱れがないか確認し、ベルゼフリートの寝所に向った。帝城ペンタグラムは修善が完了し、戦闘で吹き飛んだ廊下も完璧に直されていた。

(修善工事はほぼ終わったみたい)

 帝城ペンタグラムは天空城アースガルズの中枢部である。もっとも警備が手厚い帝城最奥に、魔物の侵入を許したのは大きな不祥事だった。

 基幹部の調査は現在も行われている。レヴェチェリナは討滅されたが、他にも仕掛けがあるかもしれない。

(工務女官が廊下で何かしている⋯⋯。禁裏で見かけることはまずなかった。でも、あの事件以降はよくいる。大改装の話はどうなったのだろう?)

 工務女官長は天空城アースガルズの大改装を三皇后に奏上していた。

 安全性の検査は時間がかかるし、必ず危険性を見抜けるとも限らない。ならば、新品に取り替えてしまえというわけだ。

 動力炉など、換えがきかない重要な箇所は別として、新造できるものは換装してしまう。コスト面を考えなければ最良の案である。

(予算的に実現性は乏しい)

 ウィルヘルミナは内政に秀でた名宰相だが、政治的手腕がいかに優れていようと無から有は生み出せない。無い物は無いのだ。

 栄大帝の放漫財政は、大陸統一を為しえたメガラニカ帝国の黄金期だからこそ可能だった。当時でさえ、天文学的な建造費用に宰相府は頭を悩ませたという記録がある。

 現在のメガラニカ帝国で天空城アースガルズと同規模の浮遊都市を作ろうとしたら、財政難どころの騒ぎではなくなる。

 まず間違いなく帝国の財政が破綻する。工務女官長が提案した大改装ですら、国家予算の数割が溶けてしまうコストだ。

(ほぼ間違いなく無理⋯⋯。私はそう聞いている。工務女官がしているのはいつもの点検作業みたい。設計図と照らし合わせて、不審な箇所がないかを調べている。もう私がやったのに⋯⋯。でも、ダブルチェックは必要⋯⋯)

 作業中の工務女官達は、とある王妃の離宮で起きたちょっとした不祥事の噂話に花を咲かせている。

「ねえ、聞きました? ルートリッシュ王妃の側女が戒告処分を受けたそうよ」

「ええ、それはもちろん。だってね? 嗤っちゃうわ。庶務女官のメイド制服を真似たエプロンをしていたんでしょう。なんで怒られないと思ったのかしら?」

 口を動かすが、手もしっかり動いている。 点検ハンマーで壁を叩いて、空洞の有無や厚みを確かめる。

 工務女官達の背は低く、ずんぐりとしたムッチリ体型。好みが分かれるプロポーションだが容貌は整っている。技官であろうと才色兼備でなければならない。

 細身のドワーフもいるにはいるが、太いほうが種族的には美人の扱いだ。ベルゼフリートは胸の大きな美女を好む傾向があるので、豊満な肉体は有利に働く。

(そういえば昨日、ハスキー様が食堂で同じような話をしてた。ルートリッシュ王妃のところは規則違反の常習犯⋯⋯。以前にも側女の衣装ファッションで揉めてた気がする)

 天空城アースガルズでは服装規定がある。淫らな格好で出歩くなという至極真っ当な前文から始まり、軍服やメイド服と見間違える服装を固く禁じる。女仙に宮中の秩序と品位を守らせる法律だ。

 妃達に仕える側女、皇帝に仕える女官。どちらも使用人ではある。そのため作業着が似通ってしまうことがある。

 問題になったのは、宰相派のルートリッシュ王妃に仕える側女が作ったエプロンだった。当人達は否定したが、デザインが庶務女官のエプロンと酷似していた。

 偶然の一致か、故意的なものか。

 審議担当の司法神官は明確な判断を下さず、最も軽い譴責けんせきで事を収めた。――と、噂好きの警務女官長がどこぞで情報を仕入れてきた。

(女官が陰口で盛り上がる程度には平穏を取り戻した。陛下が姿を隠されたときは不穏な噂が流れて、それどころではなかった。宮中の軋轢あつれきこころよくは感じないけれど、良い傾向だとも思ってしまう)

 ユリアナにも苦手な側女はいる。ベルゼフリートの古馴染みでタメ口が許されている兎族の獣人娘。いくら特別扱い枠とはいえ、皇帝に対する馴れ馴れしい態度は好きになれなかった。

 軍閥派に属していながら、帝国宰相ウィルヘルミナとも親しい。派閥で引かれた秩序の線を反復横跳びしている奇妙奇天烈な女仙。ベルゼフリートには親しくする相手を選んで欲しいと思う。

(黄葉離宮の売国女王あいじんをお気に入りにしてる時点で、陛下の趣味がいいとは思えませんね。三皇后の意向があるとはいえ⋯⋯はぁ⋯⋯)

 ◆ ◆ ◆

 ユリアナはベルゼフリートの寝所に到着した。顔馴染みの警務女官が立哨りっしょうしている。

「おはようございます。ユリアナさん」

 敬礼に対して目線で応える。返礼はしない。たとえ上官の女官総長や警務女官長であっても、ユリアナは特別免除される。

 ユリアナは許可を得ずとも皇帝の寝所に出入りできるが、律儀に許しを請う。

「⋯⋯⋯⋯」

 無論、視線で訴えかけるだけだ。

「どうぞ、お入りください。陛下はすでにお目覚めです」

 扉の左右に立った警務女官は、ユリアナのために扉を開けた。

(陛下が起きている? 珍しい。起床の時刻まで一時間以上ある。昨晩の夜伽役はラヴァンドラ妃殿下だったはず。まさか徹夜? 不健康ですね⋯⋯)

 宰相派王妃のラヴァンドラは、帝国宰相の座を虎視眈々こしたんたんと狙っている。

 領地を持たぬ新興の伯爵家だが、帝都最大の財閥ラヴァンドラ商会を運営する。様々な事業を展開し、その財力は大貴族に匹敵する。

「お仕事が忙しかったんだったね。海水浴に来てなかったんでしょ? 僕はラヴァンドラの水着が見たかったな」

 ベッドで子猫のように抱かれた幼帝は、王妃の胸元で甘い言葉を囁いている。富豪の女主人に飼われている年少の男妾。そう見られても仕方ない一幕だ。

「皇帝陛下がお望みであれば、いくらでもお見せいたします。大きさでは宰相閣下や黄葉離宮の愛妾に及びませんが、揉み心地には自信がありますわ。陛下もお分かりになるでしょう?」

 ラヴァンドラはベルゼフリートの手を取り、乳房に誘導する。もみもみと五本の指を動かす。弾力ある媚肉の感触を味わう。

「たしかに! 触り心地がいい! ふにふにで~、ふかふかだ~♪」

「さすがは陛下♥︎ 良品の質を見極める素晴らしき手を持っておりますわ」

「それはもちろん! 僕だってこの手には自信があるよ。いっぱい揉んできたからね。帝国の乳揉み師とは僕のことさ! サイズも分かっちゃうよ。ラヴァンドラのオッパイはちょっとだけ大きくなってる。育ってる証拠だ。嬉しいな。だからさ、仕事で無理しちゃ駄目だよ?」

「あぁ♥︎ いけません。駄目ですわ。陛下。そのことはまだ秘密に⋯⋯♥︎ 帝都新聞の特ダネになる予定なのですから♥︎」

 ラヴァンドラは指先を唇に当てて口止めを図る。

「あ、そうだったね。ごめん」

「体調管理は怠っていませんわ」

「お昼は温水プールの予定だったけど変更する?」

「軽い運動なら平気です。よい気晴らしになります。なによりも、陛下に水着姿を御覧いただきたいですわ」

 帝城ペンタグラムにはプールがある。屋外の巨大プールと屋内の小プール。動力炉の廃熱を熱源として活用し、大量の温水が供給されている。屋外の巨大プールは公共施設でもあるため、ベルゼフリートが使用しない時間帯は、全ての女仙に開放されている。

 ベルゼフリートとラヴァンドラが使う屋内のプールは、皇帝専用のプライベート施設だ。三皇后や寵姫の妃達をもてなすために使われる。しかし、使用頻度はそこまで高くないため、ベルゼフリートと女官総長の許しを得たうえで、上級女官達が利用している日もあった。

「お仕事といえばさ、アルテナ王国の資源開発ってどんな感じ? ほら、僕ってアルテナ王国の王様でもあるわけじゃん。その辺も知っておくべきでしょ?」

 アルテナ王国に進出したラヴァンドラ商会は、王家の直轄地で地下資源の調査を始めた。鉱脈に乏しいアルテナ王国では開発価値のある鉱山がない。肥沃な穀物地帯を有する農業大国であるため、水質汚染の原因となる鉱山開発に否定的な国柄だった。

「鉱山開発に関していえば、有望な土地柄ではありませんね。硫黄や石灰、リン鉱床など農業肥料に使われる鉱泉は古くから利用されていました。しかし、高価なマナ鉱石が採掘できる鉱脈はなさそうです」

「セラフィーナも言ってたけど、やっぱアルテナ王国は農業なんだ。畑を耕し続けるしかないねー」

「大規模農業での生産性は目を見張るものがあります。しかも、ベルゼフリート陛下の所有地となったことで、西アルテナ王国の収穫高が跳ね上がりました」

「そうなんだ。豊作?」

「はい。東側はどうだったかは知りませんが、終戦の影響もあるでしょうが、大豊作でした」

「豊穣祭の効果がアルテナ王国に波及したのかな? 気合い入れて祭祀をした甲斐があった」

 ベルゼフリートの昏睡時、アルテナ王国内でも災禍の予兆が発生した。レヴェチェリナが討滅され、ベルゼフリートの快復した後は、天変地異は起きていない。

 西アルテナ王国が破壊者ルティヤの影響下にある事実は確認できた。土地の肥え具合は例年にないほどであり、今年の収穫高も期待できると報告が上がっていた。

「今はメガラニカ帝国内の需要を満たす形で消費されていますが、中央諸国に輸出できない状況が続くのなら、生産量の調整が必要になるでしょう」

 宰相府の悩みは貿易赤字だった。人口増と消費が急増するメガラニカ帝国に対し、西アルテナ王国は農作物を大量に売り込んでいる。

(メガラニカ帝国の富がアルテナ王国に流れている。徴税や防衛費の負担、ラヴァンドラ商会の輸出品で取り戻している分はありますが、貿易赤字はかなりの額に膨れ上がっています)

 貿易赤字を悪とは言わない。そもそも貿易の収支を均衡させるなど不可能は話だ。貿易赤字を「国の損失」と結びつける者は多いが、貿易収支のみで経済的な影響は評価できない。

(厄介なのは西アルテナ王国の立場ポジションです⋯⋯)

 国王ベルゼフリートと女王セラフィーナの共同統治。西アルテナ王国は他国でありながら、片足をメガラニカ帝国に置いている状況だ。敗戦後の再軍備を認めていないため、国境の防衛戦力はメガラニカ帝国の持ち出しとなっている。

(領土割譲が無理なら鉱脈資源の開発権を取る。そういう腹積もりで調査をしましたが、取らぬ狸の皮算用で終わった。⋯⋯やはり当初の案。旧帝都ヴィシュテルの復興計画に引き込む策しかない)

 膨れ上がるアルテナ王家の財産を旧帝都ヴィシュテルの復興に投じる。双方の民衆を納得させるためのストーリー作りも重要だ。

 メガラニカ帝国の民には、敗戦国から資金を巻き上げたと思わせる。アルテナ王国の民には、戦勝国の土地を買い占めたと誤認させる。

「陛下、今日はセラフィーナさんもお呼びするのでしょう?」

「うん。冒険者組合が謁見を申し込んできた。アルテナ王国の国王夫妻にね。日程調整中だけど、今週中じゃないかな。打ち合わせも兼ねて呼んだ。ラヴァンドラに頼み事がある」

「我が伯爵家でお預かりしている皇女ギーセラを使いたいのですね」

「セラフィーナが産んだ三つ子の姉妹。三女のギーゼラはラヴァンドラが養育権を持ってる。そりゃあ、一声かけなきゃね。それとロレンシアが産んだ男の子も動員したいかな」

「ジゼルですわね。陛下と同じ小麦肌の皇子。ロレンシアが羨ましいですわ」

「どうせ冒険者組合との謁見で帝都に降りるんだし、父親として我が子に会っておくのもいいかな。いいよね?」

「私は構いません。しかし、魔物の襲撃がありましたから、警備上の許可が下りるかですわね」

「僕が天空城アースガルズを離れるときはアレキサンダー公爵家が同伴するってさ。ブライアローズ以外の誰かが複数人。たぶん年長三人衆かな。シャーゼロット、ルアシュタイン、レギンフォード。いつもならそうなる」

「アレキサンダー公爵家の七姉妹が、今年中に八姉妹となる。そんな噂をお聞きしましたわ。当主の座をレオンハルト元帥に譲って、母君のヴァルキュリヤ様は隠居の身だったはず。どんな殿方の子胤が大御所の子宮を十周年ぶりに射止めたのやら。くっくくくく♥︎」

「もーう。いじわるー。それ、内実を知ってて言ってるでしょ? アレは宰相府案件だったし」

「そうだったかもしれませんわね」

 素っ恍けた態度で宰相派の王妃ラヴァンドラは笑う。

「笑い事じゃないってば。レオンハルト達がブチ切れで御家騒動だったんだよ?」

 女仙ではない者が皇帝の子を孕む。それだけでも慣例から逸脱する。正妻である帝国元帥レオンハルトの実母ヴァルキュリヤは、ベルゼフリートからすれば義理の母親だ。

「義母を孕ませたご感想はいかがでしたか?」

「ん~。人妻を寝取るのとはまた違った興奮。背徳感は強め。年始の限られた期間だけで、秘密裏に妊娠させなきゃいけなかったし、いろいろと大変だった。愉しくはあったよ。⋯⋯行為が露見した後は肝が冷えた」

「宰相閣下も大盤振る舞いされたものですわ。功臣の一族といえども、ヴァルキュリヤ様は非処女の経産婦。セラフィーナさんの前例がなければ、けして認めなかったはずですわ」

「だろうね。僕がセラフィーナ絡みで慣例破りまくってるから⋯⋯。非女仙のヴィクトリカも孕ませちゃってるし。アルテナ王家の母娘がいいなら、アレキサンダー公爵家の大御所は許される。そういう理屈じゃない? それと、なんかよく分からない取引があったらしい。僕はその辺りの事情を何にも聞かされてないの。どんな薄汚い政治事情があったんだか」

 ベルゼフリートは気付いていなかったが、ラヴァンドラは寝室の片隅にいる女仙の鋭い眼光に気付いた。

「⋯⋯⋯⋯」

 ユリアナの険しい表情は「それ以上の余計な情報を皇帝陛下に吹き込むな」と物語っていた。ヴァルキュリヤの劇的な懐妊は、秘密裏に実行された粛清と関連している。帝国宰相ウィルヘルミナがアレキサンダー公爵家の協力を得るための政治工作だ。

(分かっていますとも。そんな恐い顔をしないでほしいわ。それとも脅しつけているつもりかしら? 王妃に向って失礼な警務女官だわ。陛下のお耳にいれるわけがないでしょ)

 ラヴァンドラの乳房を優しく揉みほぐしているベルゼフリートは、やっとユリアナの視線を感じ取った。

「ん? どったの? ユリアナ? お腹が痛そうな顔をしてる」

「陛下、ユリアナはそういう日なのですわ。陛下のご寵愛をいただいた今の私には無縁の痛みですけれど。ふふふふ。可哀想に。重たいのでしょうね」

「あ⋯⋯。そっか。無理しないで休んでもいいんだからね? ⋯⋯え、違う? そうじゃない?」

 意思表示をせずとも、ユリアナの強い否定の念がベルゼフリートに伝わった。

「⋯⋯⋯⋯」

「なるほど! ごめん! 僕も鈍かった。そっか。そうだったんだ。ユリアナもプールで遊びたかったんだね。海水浴のときもずっと仕事だった」

(いえ、まったく違います)

 そうではなかったが、面倒臭くなったユリアナは無表情を決め込んだ。

「よし! そういうことならば決めた! 今日の伽役にユリアナも加える!」

(なぜ⋯⋯? 私を伽役? 陛下? どうしてそうなるのです?)

「言われてみれば、僕ってユリアナのメイド服しか見てない気がする」

(陛下をお守する警務女官ですから⋯⋯)

「水着に着替えてきてよ!」

(へ? 水着? 私、そんなの持ってないです⋯⋯)

「見たい! ユリアナの水着もすごく見たくなってきた!!」

 唐突な展開に困惑する。ユリアナは寝間着とメイド服、作業着くらいしか持っていない。水着は一着も持っていなかった。

(ラヴァンドラ妃殿下のせいで、変なことに巻き込まれた⋯⋯。困った。ハスキー様が助け船を出してくれたりは⋯⋯。ああ、駄目だ。面白がって笑ってる。助けてくれそうにない⋯⋯。どうしよう。潜水服ならあるけれど、陛下にお見せするような水着なんて持っていません)

 警務女官の同僚達はそのことをよく知っている。

(⋯⋯陛下の御用命であれば用意するしかなさそうですね)

 ユリアナは含み笑いを隠す気がないハスキーが恨めしく思えた。

(控え目な水着にしよう⋯⋯。ラヴァンドラ妃殿下に喧嘩を売るつもりはありません)

 ラヴァンドラは表情を取り繕っているが、伽役に余計なお邪魔虫が一匹増えたのを不快に感じている。ハスキーはそれが面白くて堪らないのだ。「気合いを入れて陛下の関心を掻っ攫え!」と背中を叩かれた。

(⋯⋯私は身の程を弁えた臣下です。陛下の悪戯心で舞い上がったりはしません)

 皇后の寝室でベルゼフリートと行為に及び、謹慎処分を言い渡された素行不良メイド長の激励。それを真に受けるほど、ユリアナは愚かではなかった。

【207話】大帝国の空白地帯

 ――熟れた淫女は喘ぐ。少年の陰茎に縋る貪欲な姿はあさましく、いやしく、けがらわしい。

 セラフィーナは自身の不埒ふらちで俗悪な所業をよく理解している。辱めを受ける以前の清らかな国母であったのなら、淫らに堕落した今の自分を罵倒していたであろう。しかし、過去に立ち返ることはできない。

 ベルゼフリートとセラフィーナの背徳的な結びつきは、より強固なものとなっていた。

 敗国の女王は強請ねだるように腰をくねらせ、恥も外聞もかなぐり捨てて、大帝国の幼帝に抱かれる悦びを享受する。

 前夫ガイゼフとの二十年に及ぶ凡庸で幸福な夫婦生活に不満はなかった。しかし、もう知ってしまった。味わえなかった究極至高の性的快楽。強者に支配され、従属する安心感。後宮女仙ハーレムの一員に加わったセラフィーナは淫叫をうたう。

「あぁっ♥︎ んぁあ゛ぁっ~~♥︎」

 舌先を出して大口を開ける。唾液が口元から流れ出た。

(流れ込むっ♥︎ くるっ♥︎ くふふふっ♥︎ んっ♥︎ はぁ~♥︎ オマンコの奥にきていますわ♥︎ 放たれるっ♥︎ 皇帝陛下のぉっ♥︎ ご主人様のっ♥︎ 濃厚な精子っ♥︎ くるっ♥︎ くるっ♥︎ きちゃいますわぁっ♥︎)

 膣道に挿入された巨根が蠕動ぜんどうしている。セラフィーナの豊満な身体に抱き付いたベルゼフリートは精根を振り絞り、熟れきったオマンコにオチンポを突き立てる。

「セラフィーナ⋯⋯で⋯⋯。はぁはぁ。最後ね⋯⋯。もう僕⋯⋯! 限界! 無理! んっ⋯⋯くっ⋯⋯!」

 息を荒くしたベルゼフリートは、ぜいぜいと呼吸が乱れていた。疲労困憊の小さな身体を必死に動かす。腰使いのキレは鈍く、ぎこちない動きだ。黄葉離宮の女仙八人を相手取ってのハーレムセックスは、終わりが近付いていた。

「陛下♥︎ 最後の一滴まで私の膣内なかにお注ぎくださいっ♥︎」

「はぁはぁ。ふう。んっ! くぅっ!! これで今夜は終わり⋯⋯ッ! もう一滴も⋯⋯。出ないから⋯⋯!」

 今日のベルゼフリートは朝から晩までセックス漬けだった。

「はぅ~。疲れちゃった。やっぱ多人数相手だと不利だね」

 空っぽになった陰嚢ふぐりでは、大きな二つの睾丸こうがんが鈍痛の波を発する。足腰の疲れが一気に表れた。挿入した男根を抜く体力すらなく、ベルゼフリートはセラフィーナの爆乳に頭を乗せた。

「大満足。ヤりすぎてオチンポが痛いくらい」

 皇帝の夜伽役を完遂した黄葉離宮の女仙達は、やわらかに笑い合った。性奉仕が終われば離宮の主であるセラフィーナ以外の女仙は、女官の誘導で退席しなければならない。しかし、今回は特別な計らいがあった。

 黄葉離宮の側女も含めた全員がベルゼフリートの寝床で一夜を過ごす。少年と八人の妊婦が円形の巨大なベッドで共寝する。

「皇帝陛下、お加減はいかかでしょう?」

 ベルゼフリートの身体を包むように、セラフィーナが抱いている。萎えきって柔化してなお、巨根極太の陰茎は膣道を拡げている。

「ぬるぬるって感じかな。セラフィーナこそ大丈夫? オイルを皮膚に塗り込んだけど、そろそろ日焼けが痛み始めると思うよ」

「ほんの少し、ヒリつく程度ですわ」

「帝都アヴァタールに帰る頃には黒肌に染まってるだろうね。色んな人に見せびらかしたいな。あっ、冒険者組合の件はちょうどいいかも。きっと僕らが戻ったら謁見を申し込んでくる。冒険者の溜まり場がどんなところか、この目で見てみたいな」

「陛下も同伴されるのは⋯⋯。お許しが出るでしょうか? 難しそうですわ」

「えー。悪さをしてた魔物達は一掃したんでしょ。いいじゃん。アルテナ王国の王様を抜きに話を進めたら、いじけちゃうよ? 夫婦仲睦まじくの共同統治だよね、女王様?」

 ベルゼフリートはセラフィーナの乳首を吸い始める。元凶を討伐したとはいえ、帝都襲撃があったばかりだ。三皇后の許可は当然、女官総長も許しはしないだろう。

(警備を固めたグラシエル大宮殿であれば、陛下の同伴も可能かしら? 難しそうですわ。戦勝式典でヴィクトリカが忍び込んでいたし、レヴェチェリナの妖術が発動してしまった場所でもあるわ)

 セラフィーナは己の考えが正しいと思いながらも、口に出すことはなかった。母乳を美味しそうに飲んでいるベルゼフリートが愛しかった。慈母の面持ちで撫で回す。

 与えられた役割に酔い痴れる。女仙、愛妾、情婦、愛人、伴侶、性奴。セラフィーナが担う役は様々ある。その中で他の者達には与えられない唯一無二の役割、特別な感情が一つだけあった。

 ――母親ママ

 母性愛に飢えた幼帝は甘える相手を欲している。日焼けするように命じてきた理由もそこにある気がした。

 セラフィーナを徹底的に奪い取っている。ガイセフの妻でなく、リュートやヴィクトリカの母親でもなく、自分だけの家族に仕立て上げる。ベルゼフリートの歪んだ家族愛を淫母に堕ちたセラフィーナは受け入れる。

「さっきもさ、ロレンシアやララノアと小難しい顔で話し合ってたね。どう? 急かし立てるわけじゃないけど結論は出た?」

 ベルゼフリートの思惑は透けていた。三皇后の意向は示されている。セラフィーナを頷かせるために、ベルゼフリートは動かざるを得ない。

「もう答えは決まっております。しかし、条件は事細かに定めねばなりませんわ。大切な血税なのですから」

 アルテナ王国には議会が存在しない。政治に無関心だった女王を補佐するため、官僚による閣議は行われていた。閣僚の意見は単なる助言である。その気になればセラフィーナは君主の大権を振るえた。

(懸念すべきは国内貴族の反発。メガラニカ帝国の軍事力を使えば何とでもなるでしょうけど、反乱を起こされるのはよろしくないわ)

 セラフィーナは思考を巡らせる。宮廷内の勢力図を思い浮かべた。

(軍閥派の愛妾である私はどう立ち回るべきでしょうね)

 宮廷を牛耳る三皇后はアルテナ王国の安定を望んでいる。失政で貴族勢力の反乱を誘発したとなれば、ただでさえ不安定なセラフィーナの立場が危うくなる。

(――かといって、旧帝都復興への財政支援を断る選択肢はありませんわ。帝国内に足掛かりを築く絶好のチャンスですもの。冒険者組合が自治区を手に入れようとするのなら、必ず祭り上げるが必要となりますわ)

 セラフィーナは己の知力だけで、特級冒険者ネクロフェッサーの筋書きに辿り着いた。冒険者組合と利害は一致している。しかし、それは旧帝都ヴィシュテルの復興が大前提だ。復興が失敗に終われば、負債だけが残る。

(五百年前に棄てられた古代の都。あらゆる意味で空白地帯だわ)

 純朴で無知だった女王は、メガラニカ帝国の後宮で驚異的な成長を遂げた。

 壮絶な経験は人間を育てる。敗亡の瀬戸際に追い詰められ、仇敵たる皇帝ベルゼフリートの御子を産み、己の淫欲と本心を自認したとき、皮肉にも君主が持つべき才覚に目覚めた。

(帝都アヴァタールに帰ったら忙しくなりますわね。中央諸国の動きも気になる。でも、今は⋯⋯♥︎ くふふふっ♥︎ 可愛い子♥︎ 私に甘えていますわ♥︎)

 セラフィーナは優しさに満ちた慈母の顔でベルゼフリートを撫でる。血の繋がった我が子達には、ついぞ一滴も与えなかった母乳を好きなだけ吸わせた。桃色の乳首を繰り返し甘噛みしてくる。

「――あぁんっ♥︎」

 セラフィーナが膣圧を高めても、ベルゼフリートの男根は反攻してこない。精液を搾り尽くされた男根は、柔らかくしぼんでいる。

(ふふっ。本当に大きいオチンポ。えているのに、この太さ♥︎ 挿入していると、下腹部が苦しくなるわ。陛下の遺伝子を受け継いだ男子は、この立派な逸物も受け継がれるのかしら? はぁ♥︎ はやくお腹の御子を産みたいわ⋯⋯♥︎)

 ◆ ◆ ◆

 天空城アースガルズは五月二十一日、帝都アヴァタールの上空に帰還した。

 緊急事態の終息後、メガラニカ帝国はゆるやかに日常を取り戻していった。評議会と国民議会が再開され、宮中の政治的喧騒が始まりを告げる。

 メガラニカ帝国で起きた凶事は、周辺諸国にも伝わっていた。人類共通の敵である魔物が起こした大事件。魔狩人は人類結束を呼びかけ、反帝国勢力の中央諸国を牽制した。特級冒険者ノエル・ウェイジャーも冒険者組合を通じて、軍事衝突の回避に努めた。

 ――同日、ある重要な会議が開かれていた。

 中央諸国の北方にある大国、バルカサロ王国の軍師団は統合参謀本部の本庁舎に集結し、今後の施策を議論する。

「ややこしい事態になりましたな」

 目下の問題は増長するメガラニカ帝国の脅威についてである。円卓を囲む軍師達はそれぞれの見解を述べる。

「ヴィクトリカ王女が秘密裏に産んだ男児は、皇帝ベルゼフリートの子で間違いない。メガラニカ帝国の悪辣あくらつな贈り物というわけだ」

「今はヴィクトリカだぞ。東アルテナ王国は中央諸国の防衛線。持ち堪えてくれなければ困る。我が国が戦場となれば、被害は前回と比べるまでもなくなる」

「中央諸国は全員そうであろうよ。国境を接する我がバルカサロ王国とアルテナ王国。二つの国が倒れれば、増長したメガラニカ帝国の大軍勢は中央諸国になだれ込む」

「既にアルテナ王国は半壊状態だがな」

「だからこそ、残された東アルテナ王国は軍事的要衝となる。手綱を握っておきたい」

「それは難しいな。ヴィクトリカ女王はバルカサロ王国を遠ざけている。ガイゼフ様に付けていた我が軍の顧問団を送り返してきた。評判の通り、意固地な小娘だ」

「父親の諫言にも耳を貸さぬ有様と聞く。信頼する側近の老女を相談役としているそうだ」

「上級女官のリンジーだろう。元々はセラフィーナの教育係だった。有名な女だ」

「リンジーの名は知っている。死んだと聞いたぞ」

「自死を偽装して白月王城から逃げ出した。元気な御老人だ。頭の切れる女だが、こちらの思うとおりには動かん。ヴィクトリカ女王が重用するわけだ」

「無理もあるまい。我らはヴィクトリカ女王を一度は見捨てて、謀殺を許容した。実父の祖国とはいえ、自分を殺そうとした相手を信頼するほど、馬鹿な娘ではなかろう。不信感はそう拭えぬさ」

「メガラニカ帝国に捕まって送り返される程度には愚かだ。母親の本性があの売女ではな。バルカサロ王家の血は薄かろうよ」

「やはり一年前、戦争のどさくさで始末しておくべきでしたな。厄種となる前に⋯⋯。いや、今からでも遅くはない。ヴィクトリカ女王を抹殺し、東アルテナ王国を我が国に取り込む。どうだろうか?」

「メガラニカ帝国で動乱が起きたと聞く。魔狩人が動いた。魔物絡みゆえに動けなかったが、東アルテナ王国の併合は考えられたな」

「どうかな。私は反対するぞ。緩衝地帯は維持すべきだ」

「右に同じだ。メガラニカ帝国は国境線の軍備を緩めず、増兵までしていた。暴れ回った魔物はそこまで強くなかったのかもしれん」

「東アルテナ王国の併合は短絡的だ。メガラニカ帝国と触れる国境は小さいほうがいい。緩衝地帯の維持に務めるべきだろう。昨年末の条約を破る結果となる。奴らに大義名分を与えてしまうぞ」

「利益が見込めないな。我らが欲していた肥沃な穀物地帯は西側にある。東は出涸らしだ。土地に旨味がない」

「同感だ。土地だけでなく民心も掌握できまい。アルテナ王国の民衆がバルカサロ王国に付くかは微妙だぞ。奴らは負け戦に巻き込まれたと被害者面をしている。ガイゼフ様やバルカサロ王国を逆恨みする者達までいる」

「見捨てたのは事実だ。メガラニカ帝国の軍事力を我らは侮っていた。実際、私は安堵しているよ。アルテナ王国の犠牲がなければ、我がバルカサロ王国の被害がもっと大きかった」

「なんにせよ、ヴィクトリカ女王に死なれるのは困る。残ったアルテナ王家の血筋は全てメガラニカ帝国側だぞ。西アルテナ王国をまとめあげる王族がいない」

「血筋ならヴィクトリカ女王の私生児がいるぞ」

「非嫡出子を後継にはできない。父親がメガラニカ帝国の愚帝であれば、なおさらだ」

「父親が誰かは表沙汰になっていないはずだ。誤魔化せないか?」

「その気になればメガラニカ帝国が喧伝する。隠したり、偽装するのは無意味だ。放置しておくべきだろう」

「利用方法はありそうなものだがな。売国妃セラフィーナが産んだ三つ子の娘達よりはいいだろう」

「まだまだ子供はさらに増えるぞ。セラフィーナが懐妊したという情報を掴んだ」

「なんと! 呆れ果てたものだ! あの売国妃! また孕んだのか!?」

「次は男児を産むかもしれない。仮に女児だったとしても、二度あることは三度ある。四度目や、五度目も試せる。セラフィーナが帝国の後宮にいるのなら時間の問題だ」

「メガラニカ帝国の後宮は、穢れた妖術で女を不老にすると聞く。男児が産まれるまで、セラフィーナは皇帝の子を妊娠し続けるかもしれないな」

「リュート王子が亡くなられたのは惜しまれますな。バルカサロ王家の血を引く男子だったのに⋯⋯。生き残っていたのがヴィクトリカ女王でなく、リュート王子であれば⋯⋯」

「だからこそ、帝国軍は王都陥落の直後にリュート王子を処刑した。たった一人の王子だ」

「こうなるのであれば、ガイゼフ様にはもっと頑張っていただきたかったな。セラフィーナと二十年も夫婦めおとでありながら子供が二人だけ。世継ぎをもっと産ませるべきだった」

「まったくだ。戦争が終わってまだ一年だぞ。なのに、皇帝はセラフィーナに子供を三人産ませた。セラフィーナの畜生胎は次に何匹産むのやら」

「下品な言い方はやめろ。それに、過去のことを口にしても意味がない。協議すべきは今後をどうするかだ」

「今後? 決まっている。アルテナ王家の正当な王統はヴィクトリカ女王の胎で維持せねばなるまい」

「東アルテナ王国の正統性を強める。やはり血筋だ」

「バルカサロ王国の有力貴族を婿に取らせるか? ヴィクトリカ女王に世継ぎの子供を産ませる」

「それがいい。ルテオン聖教国への根回しも必要だ。教会と結びつきの強い大貴族が好ましい。アルテナ王国は教会の勢力圏だと示すのだ。教会も軍事支援がやりやすかろう」

「さっそく候補を探そう。バルカサロ王国の大貴族で、教会の有力者と縁戚関係のある健康な男。王家再建のため、ヴィクトリカ女王には嫡子を産んでもらう。愚帝の血を引く私生児を担ぎたくはないからな」

「中央諸国の力を結集し、アルテナ王国の西側を取り戻す。何としてでもメガラニカ帝国を大陸北西に押しとどめねば⋯⋯」

「軍の再建も急務だ。先の戦いでは手痛い損害を被った」

 軍師団の意見は、メガラニカ帝国が強大な脅威という点で一致していた。本軍を出動させなかったとはいえ、アルテナ王国と連合を組んでいたにも関わらず惨敗した。その衝撃は本国でも重く受け止められていた。