2024年 4月19日 金曜日

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【13話】可能性の世界

NOVEL勇者母の魔物堕ち【13話】可能性の世界

 目が覚めるとルミターニャは、生まれ故郷の農場にいた。

「え⋯⋯? ここって⋯⋯?」

 たった1人でルミターニャは牧場の草原に立っている。

 振り返ると見慣れた山々の風景が広がっていた。牧場を囲う木柵の内側で飼っている馬達が駆けていく。

 素朴な暮らしを送っていたかつての日常。見間違えるはずがない。故郷の風景が広がっていた。

「どうして⋯⋯? 私、帰ってきてしまったの?」

 困惑を隠せない。

「さっきまでオロバス様と城下街にいたはず⋯⋯? この服は⋯⋯?」

 ルミターニャの身に起きた説明ができない異変。まず普通の服を着ている。恥部を露出させた淫らな格好ではなかった。

 肉体にも違和感がある。拉致される前の身体に戻っていたのだ。

「訳が分かりません⋯⋯。私は魔王城の城下街にいたはずなのに⋯⋯。何が起こったというのでしょうか⋯⋯?」

 状況が飲み込めず、混乱するルミターニャはオロバスを探す。しかし、どこにもいなかった。

「オロバス様⋯⋯? 私の赤ちゃん? どこですか⋯⋯?」

 抱えていた乳飲み子の姿も見当たらない。

「私の胸とお尻⋯⋯。改造される前のサイズに戻ってますね。足も⋯⋯。ちゃんとした革靴を履いている。指先がある⋯⋯」

 全てが元通りだった。蹄はなくなり、普通の人体だ。

 下腹部に手を当ててみる。子宮の脈動を確認するが、やはり様子がおかしい。

(母乳が滲み出てこない。私の身体は元に戻ってしまったのでしょうか⋯⋯)

 ルミターニャの体感では4年ぶりの帰郷だった。何もかもが懐かしい。

 魔界に攫われた当初、どれだけ帰りたいと願っただろうか。

 誰かが助けに現れることを神様に祈った。淫母に開花する前、捕虜となったばかりのルミターニャには、そういう時期もあった。しかし、今は違う。

 ルミターニャは性奉仕婦の自分を受け入れようとしていた。

「お〜い! ルミターニャ!」

 自分の牧場を歩いていると背後から呼び止められた。それは二度と聞くはずのない死者の声だった。

「あなた⋯⋯? なんで⋯⋯!?」

 馬頭鬼の大君主アスバシール率いる魔王軍の襲撃で死んだ夫が目の前にいた。

 ルミターニャを助けようとして、アスバシールに踏み殺された最愛の男。挽肉となってこの世を去ったはずの人物は、ルミターニャにほほ笑みを向ける。

「どうしたんだい? はっははは。まるで幽霊でも見たような顔だ。お義父さんの幽霊をみたのかな? 厳しい人だったからな。『牧場の手入れがなっとらん!』って物陰から出てきそうだ」

 ルミターニャの夫は干し草を集める四叉のピッチフォークを肩に担いでいる。

(⋯⋯まさか白昼夢だったのかしら? でも⋯⋯それならどうして⋯⋯? 私は夫の名前を思い出せないの⋯⋯?)

 魔王軍の捕虜となり、馬頭鬼族の性奉仕婦となった4年間は夢だった。と、片付けられない。

 ルミターニャは夫の顔を見ても、名前が思い出せなかったのだ。

 ——この世で最も愛する人間の名前を忘れる呪い。

 ルミターニャの呪いは解けていない。呪いの効果が現れているのならば、これまでの出来事は現実なのだ。しかし、一方で死んだはずの人間がいる非現実を認識してしまっている。

「おーい。ルミターニャ?」

「ごめんなさい。ちょっと寝ぼけてるみたいです。あははっはは⋯⋯」

「寝ぼけるって、もう昼過ぎだよ。まったく。ルミターニャはおっとりしてるな」

 夫は朗らかに笑う。忘れかけていた夫婦の幸せを思い出す。

 魔王城でオロバスの性奉仕婦となっていたとき、ルミターニャは女の幸せを享受していた。しかし、それでも夫を愛し続けていた。

 〈メスの幸福〉と〈オンナの幸福〉は別だ。

 不純な言い訳となってしまうが、ルミターニャは家族を愛しながら、怨敵たるオロバスとの性行為セックスを楽しんでいた。

「ぼ〜としてる暇はないぞ。村に手紙が届くそうなんだ。さっき騎士団の人から聞いた。商人達が都から物資を運んでくる。手紙も一緒に持ってきてくれたんだ」

「手紙? もしかしてエニスクからの!?」

「そうだ。我らが息子にして人類の守り手! 勇者エニスク様からのお手紙だ! ただな⋯⋯。手紙を運んでる荷馬車の馬が、沼地で潰れちまったそうなんだ」

「あら⋯⋯それは⋯⋯」

「悪いことばかりじゃないさ。到着は遅れるが牧場の馬を一頭、買ってくれるそうだ。帰りにも馬車を引く馬が必要だからな」

「王都から遠路遥々、運んできてくれたのだから、安く馬を譲ってあげたらどうです?」

「そうもいかないね。エニスクが独り立ちしたとはいえ、こっちも生活があるんだ。魔族との戦争で経済は苦しくなってる。稼ぐときに稼がなきゃ。⋯⋯ここだけの話、戦費を賄うために来年も税があがるって噂だ」

 ルミターニャは話を適当に合わせる。会話の内容に違和感は覚えない。

 死んだはずの夫は、生前と同じようにルミターニャと言葉を交わす。

「ルミターニャ。悪いけど今晩は留守番を頼む。これから馬を連れて村に行くから、帰りは明日になりそうだ」

「村に泊まるの? 夜はどうする気なのです?」

「カインの家にでも泊めてもらうよ。おいおい。そんな顔をしないでくれよ。大丈夫さ。国王様が俺達専用の護衛を付けてくれたんだ。ロタール将軍の指揮する騎士様が牧場を巡回してる。この前は家畜泥棒を捕まえてくれたしな」

「そう⋯⋯そうでした⋯⋯。ロタール将軍がいるから大丈夫ですね⋯⋯」

 ルミターニャは困惑を悟られないように振る舞い、表情を取り繕った。

 この世界では死者が生き返っている。アスバシールによる牧場襲撃が起こる以前の世界に、ルミターニャは迷い込んでいた。

「お! 噂をすればロタール将軍だ。さすが騎士様。片腕でああも見事に馬を乗りこなす人は滅多にいない」

 牧場の外周を巡回する隻腕の騎士。王国最高の騎士と名高いロタール将軍。屈強な軍馬を片手で巧みに操っている。

 夫が手を振ると、ロタール将軍は馬上で会釈した。

 ルミターニャは紅潮した頬を夫に見られまいと顔を下に向けた。

 ——ルミターニャはロタールと1年以上も不倫関係にあった。

 

 ◇ ◇ ◇

 ルミターニャは夫との夕食を早めの時間に済ませた。

「悪い噂は聞かないから、きっと大丈夫だとは思うけれど⋯⋯」

「大丈夫さ。しっかり者の双子姉妹がお目付役だ。調子にのって悪さをする暇なんてないさ。ところでルミターニャ。最近、食欲がないのか?」

「えっと、ダイエットしてます。ちょっとだけ、ね」

 ルミターニャは食事を食べきれなかった理由を誤魔化した。

「なんだ。体重を気にしてるのか? まあ、そういえば⋯⋯」

 夫はルミターニャの身体をジロジロと見る。特に腹回りを。

「な⋯⋯なんです⋯⋯?」

「太りやすい体質だもんな。昔から」

「失礼です!」

「失敬、失敬! 大きな雷が落ちる前に避難するとしよう!」

「もうっ!」

「村に行ってくる! 帰りは明日の昼かな? 何かあったら警護してる騎士の人に頼んでくれ。ああ、それと! 日暮れになったら家畜を小屋に戻すんだぞ!」

「分かっています。気をつけてくださいね」

 夫は売り出し用の馬を数頭連れて村に出かけていった。

 ルミターニャは放牧中の家畜達を小屋に戻す。普段なら日没の直前まで自由にさせている。それを知っている牛馬達は、不満と不審を込めた視線で飼い主を見る。

「今日は早めにお家で休んでください。私にも事情があるんです」

 言葉は通じない。だが、飼い主の命令に従うのが家畜だ。不満げな目をしつつも、小屋に入っていく。

「⋯⋯ごめんなさい」

 謝罪は純朴な家畜に対するものでない。

 意気揚々と村に向かった夫、そして戦場で魔王軍と戦う息子エニスクに対する罪悪感の吐露だった。

 家畜を飼育小屋に戻し終えたルミターニャは、干し草置き場の納屋に向かった。

 この世界は何かがおかしい。強い違和感を覚えつつも、自分が何をすべきか分かっていた。

 もし時が遡っているのなら、ルミターニャは人類のために使命を果たさなければならない。

「ロタールさん。いらっしゃいますか? ルミターニャです⋯⋯」

 納屋の扉を叩く。鍵の外れる音が聞こえた。

 王都から派遣された騎士達は、牧場内の野営地で寝泊まりしている。

 ロタール将軍は王家の血を引く高級将校だ。王国は雨風をしのげる建物を提供してほしいと求めた。

 夫婦の空間を侵害するつもりもないので、道具小屋や倉庫で問題ないと丁寧に説明までしてくれた。

 夫妻が提供したのは、干し草置き場に使ってるこの納屋だった。納屋は使用人の借家として使っていた時期もあり、掃除をすれば人が住めるようになっていた。

 ロタールが暮らし始めた牧場外れの納屋。そこでルミターニャは浮気をしている。

 

「入ってくれ。湯の準備はしておいた」

 甲冑を脱ぎ捨て、薄着のインナー姿のロタールがルミターニャを迎えいれる。

「早く中に。日没前だ。巡回中の部下が通りかかるかもしれない」

「はい」

 誰にも見られていないか周囲を見渡してから扉を閉めた。

 ルミターニャとロタールの姦通は国家機密だ。

 騎士団で知っているのは、ロタールを除けば副団長と信頼できる数人の部下だけだった。

 末端の騎士は何も知らない。勇者の母親と逢い引きしている現場を目撃されては、不名誉な噂が立つ。

「夫は今夜、家に帰ってこないそうです。村に泊まると言っていました」

「王都から連絡は受けている。エニスクの手紙を運んでくる行商人の馬に問題が起こる。そういう予定らしい」

 ロタールはルミターニャに湯涌を渡す。

 ハーブの葉を浸した湯、騎士団の手拭い。王国の騎士達が身体を清潔に保つために使っている支給品だった。

「そうだったのですね。エニスクの手紙が届くのは仕込みだったのですか?」

 ルミターニャは服を脱ぎ、折りたたむ。ブラジャーとショーツも、ほんの少し躊躇する仕草をしてから脱いだ。

「タイミングは仕込みだが、内容に手は加えていない。そこまではしないさ」

 夫以外の男の前で裸体を晒すルミターニャ。肌の汚れを手拭いで落とす。乳間や腋、股間を念入りに拭う。

 ハーブで汗の匂いを清める。牧場で働いていると気にならないが、家畜の匂いは身体に付きやすい。

「エニスクは⋯⋯」

「奴なら問題ない。俺が剣を教えた中で、エニスクはもっとも強い弟子だ。勇者ってのはすごいぞ。一騎打ちなら魔王だって倒せるさ」

 ロタールの全身には痛々しい戦傷がある。特に酷いのが噛み千切られた左腕だ。

 双剣使いだったロタールが前線から退く原因となった深手。かつての王国最強の剣士でも魔王軍の幹部には敗北した。

「初めて指導試合をしたとき、荒削りのくせに身体能力で圧倒されて、俺は不様に負けた。まさしく反則級の力だ。すさまじいもんだよ。ヴァリエンテの血筋は」

「そうですか⋯⋯。ですけど、まだ子どもです。危険な目には遭ってほしくありません」

「⋯⋯親としての気持ちは分かる。だが、戦況は勇者エニスクの活躍でやっと一進一退の膠着状態。どちらに転ぶかは分からない」

 ——だから、勇者がもう1人必要なのだ。

 勇者エニスクの活躍で、人類は戦況を引っくり返した。ならば、英雄級の戦力が増えれば、魔王軍を追い返せる。

「ルミターニャ。そろそろ始めよう⋯⋯」

 ロタールは男根を露出させ、ルミターニャの肩を抱き寄せた。

 2人の肉体関係が始まって1年が経つ。新たな勇者を産ませるため、ロタールはルミターニャを抱いている。

「挿れるぞ。ルミターニャ」

「はい。んぅ♡ あぁ♡」

 ロタールは弟子を裏切り、ルミターニャは家族を裏切った。しかし、これは国王の命令。魔王軍との戦争に勝利するには必要な行為だった。

「あっ♡ んぁ♡ あん⋯⋯♡」

 浮気相手との妊活セックスが始まった。

 夫より巨躯のロタールは、股間に生やす男根のサイズも大きかった。長さや太さも夫とは違う。亀頭は肉厚で、色合いは浅黒い。

(人類が⋯⋯勝利にするため⋯⋯。仕方のない裏切り⋯⋯)

 王命で不貞を強いられている。そんな建前の元、ルミターニャはロタールと肉体関係を結んだ。

 お互いに拒否できなかった。人類の存亡がかかっている。

(夫との間にもっと子どもが産まれていたら⋯⋯)

 ヴァリエンテ家は特別な退魔の一族。勇者を生む家系であるため、ルミターニャの子宮は強く優秀な強者の子胤でしか孕まない。

 夫の子胤でエニスクを孕んだのは、ヴァリエンテの子宮が妥協した結果だった。

 断絶するよりかは、不出来だろうと子を産んだ方がよいと判断したのだ。

「出すっ! 膣内なかに注ぐぞッ! ルミターニャ⋯⋯ッ!!」

「あぁ♡ んぁっ⋯⋯♡」

 泥々の精液が子壺に流れ込む。片腕を戦いで失ったロタールは、残った一本の手でルミターニャの爆乳を揉みしだく。

(すごく乱暴な手付き⋯⋯。男の人は本当に好きですね⋯⋯)

 膣内射精たねづけの最中、必ずロタールはルミターニャの乳房を鷲掴みにして揉む。

 思い返せば最初に会ったときから、ロタールは自分の胸部に視線を向けていた。

 息子のエニスクに剣技を仕込んだ栄えある王国騎士団長ロタール。しかし、一皮剥けば爆乳の人妻に色欲を向ける。男として産まれたロタールは、生物的な本能に抗えない。

(あぁ⋯⋯。私、思い出しました。これは記憶⋯⋯。過去の⋯⋯)

 納屋の窓から夕日の真っ赤な光が降り注ぐ。

 バックで交わるルミターニャとロタール。肉棒の生えた股間を押し付けられ、ルミターニャの尻肉は圧迫されて形を歪めている。

 ——射精は終わった。

 ロタールはルミターニャの身体を離さない。人妻の膣を堪能し続けている。

 始めの頃は行為を終えれば、お互いに身体を離した。けれど今は違う。

 長期にわたる不倫セックス。それが許されざる感情だとしても、ロタールは人妻のルミターニャに愛着を抱いていた。

 そしてルミターニャも己の想いを決めなければならない。そういう状況に追い込まれてしまった。

「——私、生理がきてません」

 ルミターニャは告白する。

 爆乳を揉んでいたロタールの手が止まった。放精を終えて、萎れようとしていた男根が固くなる。

「最近は食欲がなくて⋯⋯。たぶん⋯⋯、悪阻つわりです。妊娠してると思います」

 最近のルミターニャは食事を完食できていない。夫にはダイエットだと誤魔化していたが、本当は食欲不振が原因だった。

 無理に食べると嘔吐してしまう。それで単なる体調不良でないと確信した。

 変調の原因は子宮にある。

「誰の子だ?」

 オッパイを弄くり回していたロタールの手が下腹部に移動した。

 もう答えは分かりきっていた。しかし、ロタールはあえて質問して、ルミターニャに答えさせようとしているのだ。

「分かっているはずです。私のお腹に赤ちゃんがいるなら、間違いなくロタールさんの子ども。だって、⋯⋯最近、夫とはしてません」

「俺とルミターニャの子がお腹にいるんだな。新たな勇者が⋯⋯」

 後ろから抱き付くロタールは、我が子を孕んだルミターニャを強く抱きしめる。

 勃起した男根が子宮を愛でる。

 ルミターニャの膣に挿入されたロタールのオチンポは猛っていた。人妻を孕ませる禁忌タブー。背徳の騎士は優越感に浸っていた。

 (お腹が疼く⋯⋯。こんなに強く求められたら私⋯⋯)

 火照った肉体。高鳴る鼓動。ルミターニャは絶頂に至る。下唇を噛み、肢体をロタールに委ねた。

「——俺の妻にならないか?」

「えっ⋯⋯」

「こんな関係をいつまでも隠し通せるはずがない。俺とルミターニャの間に子どもが産まれたら、次の子を産めと命じられる。それなら正式な夫婦になったほうがいい」

(やっぱりロタールさんは私を⋯⋯)

「俺は責任をとるつもりだ。ルミターニャが望むなら⋯⋯!」

 ルミターニャは迷う。人生で初めてだった。夫への愛が一瞬だけ揺らいだ。

(——私は拒絶した)

 過去のルミターニャはロタールの求婚を断った。夫を捨てるような女にはなれなかった。たとえ、どれだけ求められても。

 ——しかし、ルミターニャは好奇心に誘われる。

 もしここでロタールの申し出を受けていたら、未来は変わる。お腹に宿った不義の子。魔王軍の襲撃がなければ、この子どもは無事に産まれたはず。

(ロタールさんと駆け落ちして、私が故郷を離れれば⋯⋯)

 夫も殺されずに済む。村の人々も犠牲にならない。

「分かりました。私⋯⋯ロタールさんの妻になります」

「面倒なことは俺が片付ける。俺の城で住もう。そこでルミターニャを守ろう。魔王軍がお腹の子を狙って襲撃をしかけてくるかもしれない。安全な場所で、王国を救う勇者を産むんだ」

 その夜、ロタールはルミターニャを攫った。

 王家の血筋を引く猛将ロタールは貴き血の貴族だ。小さな城を与えられ、領地も持っていた。牧場の女主人だったルミターニャは貴族夫人となった。

 勇者の母ルミターニャと猛将ロタールの不義密通。さらには駆け落ち。その年の冬、ルミターニャは男児を産んだ。

 それから——現実感のない断片的な記憶を見せられた。

 ロタールの居城に引き籠もり、世間の喧騒から逃れた。

 王は表向きにはロタールを罰した。騎士団からの脱退と領地での謹慎を命じた。真の目的は子作りだ。

 2人目、3人目を孕むために新しい夫と夜の営みを続けている。

(退屈⋯⋯)

 ルミターニャはそう思い始めていた。何かもが偽物のようだった。それこそ夢の中にいるようだった。

 最初は新鮮味があった。しかし今は窮屈だ。

「あら⋯⋯? どうして角?」

 ルミターニャは我が子に授乳している最中、ある異変に気付いた。

 ロタールとの間に産まれた赤子の額に角が生えている。しかも、両脚が獣毛に覆われ、足先は蹄だ。

「——お客様、そろそろお時間です」

 部屋に現れた魔物は告げる。どこかで見たことがある。魔王城の廊下で見かけたことがあるかもしれない。

「貴方はどなたですか?」

「私はドリームイーター。夢喰い獏。悪夢を喰らい、希望の夢を提供するエンターテイナー。貴女にお会いできて光栄です。馬頭鬼族の性奉仕婦ルミターニャ殿。それとも勇者エニスクの母君と呼ばれたいですか?」

「あぁ、やっぱり。これは夢なのですね。夢の世界」

「ええ。夢は可能性の世界です。夢の中で貴女は猛将ロタールの奥方となった。素晴らしいでしょう。途中で時間を加速させましたが、体感時間は2年ほどでしょうか」

 ルミターニャの太腿に獣毛が生えてくる。馬毛で覆われた両脚。素肌が見えなくなった。履いていた靴が消え失せ、蹄の足先が現れた。

「現実の世界へお帰りください。もうじきフィナーレの大花火があがります。今年は盛大ですよ。戦争が終わり、商いが正常化する。悪夢を食べる依頼が減ってしまいますが、そのほうが良いでしょう」

「悪夢を食べる⋯⋯?」

「ええ。肉親を失った現実は辛い。しかし、夢に逃げ込んでも再び辛い現実を見せつけられる。そういう不幸な夢を処理するのが私の仕事です。貴女の場合は孕んだ子を流産した悪夢でした」

「⋯⋯流産⋯⋯ええ。確かに⋯⋯ロタールさんの赤ちゃんは死んでしまいました」

「たくさんいますよ。戦争で肉親を失われた方は⋯⋯」

 ドリームイーターは両手を合わせる。

「——例えば父親を亡くした少年とか」

「⋯⋯⋯⋯」

「夢見の館、ご利用ありがとうございました。本日は閉店となります。退店の際はお忘れ物がないようにご注意を」

 ルミターニャの視界が暗転し、現実へと引き戻される。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「それで、オロバス様はどんな夢を見ていたのですか?」

 〈夢見の館〉を出たルミターニャはオロバスに訊ねてみる。

「別に⋯⋯。普通の夢だよ。本当に普通」

 オロバスは顔を背ける。さしずめ父親が生きて帰ってきた夢だったのだろう。

 起こす時、オロバスは寝言で父親であるアスバシールの名を呼んでた。

 ルミターニャは乳房を甘噛みする赤子を抱え直す。

 赤毛の馬頭鬼。腹を痛めて産んだ愛しの我が子。子ども達は母親を慕っている。だが、もう一人の息子である勇者エニスクとは殺し合う敵同士。

(⋯⋯でも戦争は終わります。私の子ども達が殺し合わずに済む。家族を失う不幸は起こらない)

 祭りのフィナーレが近付いていた。もうすぐ魔王誕生祭が終わる。

「御屋敷に帰りますか?」

「いや⋯⋯城下で花火を見てから帰る」

「はい。かしこまりました」

 ルミターニャはメスの顔で微笑む。

 ドリームイーターが見せてくれた夢の世界。ロタールに愛された世界は退だった。

 小さすぎる男根。優しすぎる性交。薄すぎる子胤。何もかもが幼年のオロバス以下のオスだった。

 ルミターニャはロタールの誘いを断った。過去の決断は間違っていなかった。

 ロタールの求婚を拒絶し、故郷に残り続けた世界にだけ、オロバスと出会う未来があった。

 強く優秀な魔族君主オス性奴隷つがい。ルミターニャに本物のセックスを教えた魔族の少年オロバス。

「⋯⋯⋯⋯♡」

 ルミターニャは尻から生やした馬尾を寄せる。

 馬頭鬼族が尻尾を絡ませるのは究極の愛情表現。発情したメスの馬頭鬼は、求愛対象のオスに馬尾を擦り寄せる。

「今宵も相手いたします⋯⋯♡」

 オロバスは求愛に応じる。2匹は互いの尾を絡ませ、関係を見せつけながら、城下街の大通りを進む。

「ふん。少しは性奉仕婦の所作が身についてきたな」

 オロバスはルミターニャの尻肉を乱暴に掴む。

 媚肉を蓄えた柔らかな巨尻。巨根で穿たれ、開発済みの膣口と肛門。オスの情欲を発散させるための淫靡な肉体。

 ——そして額から一本の鬼角が生えている。

「ところで、いつ鬼角が生えたんだ?」

「夢を見ている間に生えてきたようです。きっと⋯⋯私の人間性はほとんど失われてしまったのでしょう。そのせいか、下腹部の疼きが止まりません」

 ルミターニャはオロバスとの激しい性交を熱望していた。


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