大斧を振るう黒毛の馬頭鬼がいた。
父は馬頭鬼の族長オロバス。母は性奉仕婦ルミターニャ。魔族と人間の混血。異種交配で産み落とされた屈強な獣魔戦士。
彼は3年前、ルミターニャが産んだ息子である。3歳にもかかわらず、肉体は馬頭鬼の成体と変わらない。
ルミターニャの産んだ子どもは、既存のどの種族にも当てはまらない早熟の獣魔だ。
強大な魔族君主の精子、退魔の血族ヴァリエンテの卵子。偉大な遺伝子を掛け合わせた結果、新たな種族が誕生したといえる。
「すごい! すごいっ! すごいーっ!! あはははは! こっちまで風圧がきてる!」
黒毛の馬頭鬼は大斧の動きを止めた。
愛らしい淫魔族の子が近付いてきたからだ。
「危ないです。ミュルキル様。ここは戦士の修練場。遊び場ではありませんよ」
ひたすら強くなるため修練を積む黒毛の馬頭鬼は、大斧を自在に操る。しかし、事故が起こってからでは遅い。
貴き血の魔族の身を守るのが獣魔の存在意義だ。
「そうかな。面白いよ? ここも私の遊び場だもん!」
淫魔族のミュルキルは可愛い笑顔を作る。
「事故が起こります。危険という意味です」
72の魔族君主は、魔王城内の私邸で暮らしている。
各々の魔族は主君の私邸で寝食を共にする。拠点となる私邸は領地であり、他の魔族が軽々しく足を踏み入れるべきではない。
——しかし、ミュルキルは例外だった。
淫魔族のミュルキルは、馬頭鬼族の大屋敷で例外的に自由を許されている。日頃から勝手気ままに屋敷を歩き回っていた。
それが許されるのは、ミュルキルの生まれだ。
まず母親は淫魔族の族長キスキルである。魔族君主かつ古株の大幹部だ。
魔王から絶大な信頼を寄せられる偉大な大魔法使いの実子。3年前にキスキルが産んだ愛し子であった。
——そして、父親はオロバスだ。
ルミターニャに肉体改造を施す対価として、オロバスはキスキルと子作りをした。そのとき産まれた子どもがミュルキルだった。
「ねえねえ! お兄ちゃんはさ、お祭りに行かないの? 城下はすごい賑わいだよ?」
ミュルキルは黒毛の馬頭鬼を「お兄ちゃん」と呼ぶ。しかし、年齢差はほとんど無い。
あるのは成長速度の差だ。同時期に生まれたが、一方は精悍な戦士、一方は幼児の姿であった。
父はどちらもオロバス。産みの母だけが違う。
ミュルキルは馬頭鬼の兄弟を慕っていた。
魔族君主の両親を持つ貴い血筋であるが、異母兄弟との絆を大切にしている。
「毎日の修練を欠かしたくないのです。腕が鈍ります」
特にお気に入りなのが、どんなときでも鍛錬を欠かさない堅物の兄だった。大斧を振るう無双の戦士ストーム。
その勇姿は祖父のアスバシールを彷彿とさせる。馬頭鬼の長老達も先代の面影があると噂するほどに優れた戦士だ。
「顔を出してあげればいいのに。お兄ちゃんは戦争の英雄なんだよ?」
「英雄⋯⋯。過大評価です。そのような者ではありません。名誉ある戦士でありたいとは思いますが⋯⋯。大それたことです」
「ふ〜ん。勇者エニスクを撃退した黒斧の獣魔戦士ストーム。戦場帰りで知らない者はいないよ。もっとさー。お兄ちゃんは堂々とすべきだよ!」
胸部に残る痛々しい傷。勇者エニスクとの死闘で負った傷跡であった。
退魔の血統ヴァリエンテは、魔族殺しの能力を持つ。魔王でさえも打ち負かしかねない強大な力。多くの力ある魔族が勇者エニスクに殺された。
魔界で並ぶ者がいないと讃えられた馬頭鬼の大戦士アスバシールさえ、勇者の力には敵わなかった。だが、黒斧の獣魔戦士ストームは唯一、勇者に重傷を負わせた。
「仕留めきれなかった。あのとき、自分が勇者の首を両断していれば⋯⋯。戦争に勝利できた⋯⋯」
あと一歩、踏み込んでいれば殺せた。
心臓を貫かれ、自分も絶命していたであろうが、確実に勇者を仕留める機会だった。ひょっとしたら唯一無二の好機だったかもしれない。
「しくじりました。自分が弱かったからです」
ストームは責任を痛感していた。勇者の打倒は祖父の仇討ちであり、父親オロバスの悲願だ。
「偉大なる祖父アスバシール様の仇を逃してしまった⋯⋯。悔やんでも悔やみきれません」
勇者を殺すために、オロバスはルミターニャと子作りをした。そして3年前、激しい嵐の夜。ルミターニャはストームを出産した。
産まれた子どもはたった1匹。多胎でなかったのは珍しい。
オロバスは1匹しか孕ませられなかったので不機嫌だったという。
嵐の夜に生まれた黒毛の子はストームと名付けられた。それからしばらくしてキスキルも出産し、ミュルキルが産まれた。
「お兄ちゃんは背負い込みすぎ! もっとさぁ、楽しく生きよう! パパの期待に応えたいのは分かるけどさー」
「ミュルキル様は族長のところへ行かれないのですか? きっとお喜びになるかと思いますが?」
「パパは城下街だよ。お兄ちゃんのママとデート中。また弟妹が増えちゃいそうだね」
「赤毛の弟が先日、産まれたと聞いています。たとえ自分が殺されようとも族長と母上がいれば安心なのですが⋯⋯」
馬頭鬼の頂点に君臨する族長オロバスは、もっとも強い繁殖能力を持つ。正妻を持たない魔族君主が性奉仕者を必要とする理由は強すぎる性欲だ。
「ねえねえ。お兄ちゃん。その斧、かしてー! 私もやってみたい」
「いけません。怪我をしたらどうします? 刃物は危険です。ご命令であろうと貸せません」
ミュルキルは魔族の中でも高貴な生まれだ。
なにせ淫魔族と馬頭鬼族のトップ同士が交わり、産まれてきたサラブレッド。
意図的でないにしろ、怪我をさせれば責任でストームの首が物理的に飛ぶ。だが、ストームがもっとも気にしているのは保身ではない。
自分の命程度で償える罪ではないからだ。
鍛錬場にはミュルキルの興味を引きそうな武具が沢山ある。つまりは危険な玩具がわんさかあった。場所を移すのが最適だと考えたストームは鍛錬を切り上げる。
ミュルキルにせがまれて、いつものように肩車してあげた。
「お兄ちゃん号! しゅっぱつしんこうー!」
背中から生えた蝙蝠の羽をパタパタと動かす。
絶大な力と年輪を重ねたキスキルに比べ、オロバスは魔族として未熟だ。産まれてきたミュルキルは淫魔の血が濃い。
髪色もキスキルと同じ桃色だった。
外見上に現れている馬頭鬼の特徴は、尻から生えている馬尾くらいだった。
「——ねえ。お兄ちゃん! あっち、あっち! あの木陰! マリナお姉ちゃんが知らない人とセックスしてる! 見に行こう!!」
「駄目です。気付かなかったことにして行きましょう」
ストームは全ての兄妹を把握していない。同じ戦士隊にいる兄や弟はよく知っているが、屋敷で女中となっている姉や妹は関わりがないからだ。
「えぇ? 邪魔するわけじゃないよ。社会見学だってばー」
「⋯⋯覗き見は趣味が悪いです。名誉ある戦士はしないことです」
マリナが姉なのか妹なのか、ストームには分からない。だが、戦場から帰ってきた魔族の戦士に姉妹が奉仕する光景はよく見かける。
馬頭鬼の戦士は性別を問わない。雌の馬頭鬼に奉仕を行っている兄弟もいた。
「お兄ちゃん。展望台に行こう。夜の花火を見るの! ごーごー! 全速前進で突っ走ってー!!」
「危ないので安全運転です。ミュルキル様」
魔王誕生祭の最終日、盛大な花火が打ち上げられる予定だ。戦時下だった4年間、ずっと規模を縮小していた。
戦中に産まれたストームとミュルキルは、初めて本物の大花火を見られそうだった。
ずっと鍛錬に明け暮れるつもりだったが、ミュルキルにせがまれては断れない。心優しい兄は付き合ってあげることにした。
「お兄ちゃんってさ、童貞?」
「何ですか? いきなり?」
「勇者に深手を負わせたから、ご褒美もらったのかなって?」
「褒美に勇者の首を刎ねる大斧をいただきました」
「ふ〜ん。だったらさ、私がご褒美あげようか? お兄ちゃんの童貞もらってあげる」
「ミュルキル様。いくらなんでも弟と子作りはしません」
呆れ果てた顔でストームは言う。ミュルキルは美少女の顔立ちだ。衣装も女物を着ている。人間の価値基準からしても極上の美形だ。
——だが、生物学上の性別は男だ。
「男の子同士でもセックスできるよ?」
淫魔族は相手の性別を問わない。だが、馬頭鬼は違う。セックスは子作りだ。同性での性行為は放蕩行為と呆れられている。
「ミュルキル様が同性を愛しているのなら、もっと素敵な魔族を見つけるべきかと。私は獣魔に過ぎません」
「そこだよねー。そこそこ。お兄ちゃんは遠慮しすぎだよ。童貞を捨てれば、もっと強くなれるかもよ?」
「その手には乗りません」
「私じゃ駄目なのかぁ。だったら、もっと素敵な女の子ならいいんだよね? くすくす♡ 魔王誕生祭はお祝いなんだから、ハメを外さないと♡」
「⋯⋯⋯⋯?」
展望台に到着したストームは首を傾げる。先客が1人だけいた。
それはおかしかった。
展望台は花火を一望できる。もっと賑やかであるべきだ。ところが誰もいない。
不自然に設置されたベッド。その上で寛ぐのは妖艶なサキュバス。
「ママ。お兄ちゃんを御屋敷から連れ出してきたよー」
「ご苦労様。ミュルキル♡」
淫魔族の長、魔王の懐刀。魔族君主の中でも飛び抜けた実力と影響力を持つ大魔女。ミュルキルがママと呼ぶサキュバスはこの世に1人だけ。
「キスキル様⋯⋯!」
ストームの背中は冷や汗でびっしょりだ。勇者一行と接敵したときよりも鼓動が高鳴っている。
最大級の危険信号。だが、逃げられない。
相手は魔族の最上位、魔族君主。対するストームは一介の獣魔に過ぎない。
「ミュルキルに妹をプレゼントしたいのよ。オロバスちゃんに協力してほしいけど、今はルミターニャの相手で私には見向きもしてくれないわ」
「は、はぁ⋯⋯。左様ですか」
「そこで考えたの。名案。ストームちゃん。子作りしましょ?」
「い、いや、じぶんは⋯⋯!」
「命令♡ 分かる? 私の命令よ♡」
キスキルは有無を言わせない。用意された野外のベッドに誘われる。
肩車しているミュルキルは助けを請う兄を見放す。
異母兄弟のなかでストームはお気に入りだ。もし妹の父親がストームならこの上なく嬉しい。
「じゃあね、お兄ちゃん。私のママとの子作りセックス。楽しんでね♡ 妹、愉しみにしてるから!」
ミュルキルはストームを置き去りにして、どこかへ去ってしまう。
「良い子でしょ? ミュルキルを立派なお兄ちゃんにしてあげたいの。協力しなさい」
「ですが、キスキル様は⋯⋯たしか⋯⋯母上の複製体を孕むために⋯⋯」
「ああ、それ知ってたの? 大丈夫♡ もう産んで培養槽で生育中。だから、子宮は空っぽよ。ほら、ヤりましょう♡」
キスキルはストームを引っ張り込む。鍛錬を積んだ戦士だろうと、雄としては未熟な若者。本来なら手を出すのも憚られる年齢の幼子だ。
「あぁ⋯⋯♡ やっぱり父親譲りのデカオチンポ♡ いただきまぁーす♡」
押し倒したストームに跨がったキスキルは、オマンコで男根を捕食する。魅了の魔法で抵抗力を奪い、快楽を増幅させる。
童貞を食い散らかし、膣圧を高める。
「うぅ⋯⋯!」
挿入してから1秒と経たず、ストームは射精した。勇者エニスクと激闘を演じた才気溢れる戦士だが、今回ばかりは相手が悪かった。
百戦錬磨の淫魔は搾精のプロ。巧みな腰使いでオチンポを扱く。射精の最中だろうが御構い無しだ。
「勇者ヴァリエンテの子胤♡ 獣魔だろうと関係ないわ♡ ストームぅ♡ 貴方は馬頭鬼の族長オロバスとルミターニャ・ヴァリエンテの息子♡ たっぷり味わっちゃう♡」
分厚い筋肉で覆われた胸板を撫で回す。勇者エニスクに一撃を入れられた深手。瀕死の重傷を負ったがストームは死ななかった。
退魔の力を宿す勇者の天敵。ルミターニャの産んだ馬頭鬼は勇者を殺しうる対抗手段。その子胤を得ようとするのは、淫魔として至極当然だった。
「キスキル様⋯⋯おやめ⋯⋯うぅう⋯⋯」
「我慢しないの♡ 膣内に出して♡」
「んぐ⋯⋯!! ぐっぅう⋯⋯!!」
「——魔法付与・狂戦士♡」
キスキルはストームに狂化魔法をかける。理性を狂わせる代わりに、肉体能力を極限まで高める魔法だ。
かつてオロバスにかけたときは抵抗されて失敗した。
幼少で未熟とはいえ、馬頭鬼の族長は個体として優れている。そう簡単に魔法に引っかからない。
——だが、獣魔は違う。
魔族に従う獣魔は抗えない。キスキルの魔法は発動した。
「ウォオオォォォオォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
狂化魔法でストームは野獣化する。
戦場で上げていたような雄叫びでキスキルを襲う。だが、これで終わらない。
「——魔法付与・凶暴化♡」
重ねて魔法を発動する。
膨大な魔力をもつキスキルはストームの精神を凶暴化させ、理性を吹き飛ばした。
「これで仕上げ——魔法付与・強姦魔化♡」
キスキルは押し倒す側から、陵辱を受ける側になる。獣魔の種族本能で、絶対に襲えないはずの魔族を強姦させる。
「いぃ♡ いいわぁ♡ 勇者を追い詰めた戦士のオチンポ♡ 犯しなさい♡ 乱暴にっ♡ 激しくっ♡ 孕ませて♡ 下等な獣魔の子胤で、魔族君主の私に子を仕込みなさいっ♡」
キスキスの施した魔法は、発動者本人が気絶しても解除されない。
展望台の付近には結界を構築したので、ミュルキルが出て行けば、もう誰も入って来られない。
(ヤバいっ♡ これ♡ ひさしぶりにヤバいかもぉ♡)
狂化状態のストームは、オマンコに男根をぶち込み続ける。暴走した肉欲は止まらない。精液で満ちた子宮にさらなる子胤を送り込む。
「ウォォォオオー! ウォオオォゥゥウウ!! ウウゥゥゥォォオォォオオオオオオオオオオオオオオオーーッ!!」
キスキルの女陰に男根を更に押し込む。その勢いは凄まじく、突っ込まれた亀頭で下腹が盛り上がる。
馬頭鬼や淫魔のような頑丈な子宮がなければ、内臓が破裂していただろう。
(あは♡ いいわぁ♡ レイプされるの最高♡ 勇者エニスクを追い詰めた馬頭鬼の赤ちゃん♡ 絶対に産んでやるんだからぁ♡)
オロバスとルミターニャの面影が宿る獣魔戦士の子胤を搾る。ちょうど花火が打ち上げられた。
射精するストームは雄叫びを上げている。狂化魔法はキスキルの膨大な魔力が尽きるまで続く。
脈動する陰茎は大淫魔の子宮へ大量の精子を注ぎ込む。排卵されたばかりの卵子に群がる。
——ぢゃぷぅんッ♡
馬頭鬼と勇者、そして淫魔の血が混じった怪物。キスキルは受胎を確信した。
◇ ◇ ◇
——同時刻、城下街の河川敷で盛る少年と熟女がいた。
「あんんぅ♡ おっ♡ あんっ♡ ほぉぁ⋯⋯♡」
膣内に濃厚な精子が広がる。避妊はしていない。
「オマンコの中⋯⋯出しちゃいましたね⋯⋯♡」
オロバスとの立ちバック。乳児を抱きかかえるルミターニャは腰の高さを低くする。
「ふふっ⋯⋯♡ 街の子が私とオロバスの営みを覗いてます♡ なんだか可愛いですね⋯⋯♡」
「下々に魔族君主の威厳を見せてやる。孕んだら、すぐに産めよ。ルミターニャを向こうに帰すとき、妊娠してると不味いからな」
「あんっ♡ はゆぅん♡」
尻を引っ叩かれたルミターニャは喘いだ。物陰に隠れている異形の少年少女。人の姿はしていないが幼年者だと分かる。
(子ども達に見られてる⋯⋯♡ あぁ♡ 私とオロバス様の子作りセックスぅ♡)
太々とした馬オチンポがルミターニャの巨尻を突き上げる。覗き見をしている少年少女に、恍惚の蕩け顔を見せつけた。
「あぁ♡ んぁ♡ 最高のオチンポぉ♡ しゅごいぃぉぉおっ⋯⋯♡」
魔王誕生祭の終わり告げる大花火が夜空で輝いた。
「赤子を落っことすなよ」
「はいっ⋯⋯♡ しっかり抱えています♡ 私とオロバス様の可愛い息子ですもの♡」
ルミターニャは勇者の母として人間の世界に帰還する。魔王の決定は覆らない。
性奉仕婦ルミターニャにとって最後の懐妊。オロバスも特別な想いを込めて子胤を注入する。
(あぁ⋯⋯こんなに強く愛されたら⋯⋯私は⋯⋯もう⋯⋯)
腰を力強く掴み、男根を突き上げる。ムチムチの豊尻が弾む。丸々と肥えた尻の媚肉が破裂しそうなくらい強引に引き寄せる。
「オロバス様⋯⋯♡」
「ルミターニャ⋯⋯ッ!!」
後ろから抱きつくオロバスは鼻息を荒くして、ルミターニャの名を呼んだ。
性奉仕婦としてではあるが、オロバスもルミターニャに確かな愛情を抱いていた。
——ぢゃぷぅんッ♡
ルミターニャの胎内で卵子と精子が融合する。これが最後の懐妊となるはずだった。
ノクターンノベルズ連載
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