2024年 4月19日 金曜日

【美少女文庫】アネハメ 姉の最強魔眼に魅入られて(フランス書院)

懺悔(著/文)へいろー(イラスト)発行:フランス書院文庫判 縦150mm 横105mm 272ページ定価 760円+税姉弟でイこう! 弟の赤ちゃんなら産んでやるぞ!怪異を祓う魔術師の...

【美少女文庫】殺し屋さんと始めるイチャラブ新婚セイ活(フランス書院)

嫁としてHしてほしい♡――殺し屋さんの恩返し!?同級生の殺し屋さん・ソフィアと始める新婚セイ活。普通の女の子に戻る初体験。男殺しのアワアワ奉仕&ガニ股騎乗位。ライダースーツの彼女を拘束H。学...

【REVIEW&雑記】『薬屋のひとりごと』 ガンガン版とサンデー版、コミカライズを全巻買ってみた感想

 サンデーGX版(小学館)とビックガンガン版(スクエニ)を両方買ってみました。本当は原作を読むべきですが、さすがに仕事の合間は時間がなさ過ぎで無理。コミックもかなりの速度で流し読みや読み飛ばしとなり...

【123話】ウィルヘルミナとローデリカの討議

NOVEL亡国の女王セラフィーナ【123話】ウィルヘルミナとローデリカの討議

 

 深夜の白月王城は厳戒態勢の警備が敷かれていた。

 もっとも厳重なのはベルゼフリートの周囲だ。長刀を持った警務女官が巡回している。時折、犬猿の仲である警務女官と帝国軍兵士は、お互いの縄張りを主張し、目線で威嚇し合う光景が見られた。

 帝国軍を統括する帝国元帥レオンハルトは、城内に滞在する要人の警護と王都ムーンホワイトの秩序に注力し、不測の事態に備えて神経を尖らせていた。反抗勢力のテロ行為を未然に防ぐため、最高戦力である自分自身が現場に赴いている。

 一方、神官長カティアは天空城アースガルズに早々と帰還した。地上に残った女仙は皇帝直属の警務女官と軍務省の武官、そして宰相府の政務官であった。

 深夜遅く、ウィルヘルミナの居室を訪問する王妃がいた。

「思い切った手段を講じられましたね。正直なところを申し上げれば驚きです。宰相閣下」

 アルテナ王国の戦後統治を委ねられ、高等弁務官に就いた宰相派所属の王妃ローデリカ・グッセンハイムであった。

 例に漏れず、見目麗しい容貌を誇る金髪の美女だが、筆舌に尽くし難い完璧な美貌を持つサキュバスの前では、魅力が霞んで見えた。

「わざわざ皮肉を言うために来たわけではないでしょう? ローデリカ王妃」

 ローデリカの真価は政務能力の高さにある。レオンハルトの後任として、アルテナ王国の戦後統治を軍政から民政に転換させた能吏は、帝国宰相に堂々と苦言を申し述べた。

「東アルテナ王国を国家と認めれば、将来の禍根となるやもしれません。ヴィクトリカ王女は拘留しつづけるか、何らかの方法で始末すべきでした。反帝国の勢力を糾合する象徴となる危険人物です」

 ローデリカの指摘は正しい。ウィルヘルミナ自身もある程度は理解している。しかし、正しさだけで国家の運営は罷り通らない。

 お気に入りの紅茶に角砂糖二つ、ブランデーを注ぎ、保存していたベルゼフリートの精液をミルク代わりに混ぜ込む。

 訝しむローデリカは質問せずにはいられなかった。

「⋯⋯何ですか? それは⋯⋯もしや?」

「匂いで分かりませんか? 陛下の精液。この味を知ったら、馬の精液なんて喉を通らなくなりますよ。新鮮なうちに瓶に詰めたので新鮮です。紅茶の熱に負けず子胤が元気よく泳いでいます。生きている精子に勝る味はありません⋯⋯♥︎」

 サキュバスの種族特性は精飲。精液を嗜むのはごく普通の習慣である。

「失礼しました。ごほんっ⋯⋯! 今はヴィクトリカ王女の件です」

「決定事項です。軍務省とも折り合いはつけねばなりません」

「軍閥派に配慮しすぎでは? 私達の派閥は評議会の最大勢力です。国民議会も宰相府の統制下にあるも同然」

「語弊を招く言い方ですね。私は国民議会の議長を兼任していますが、統制などはしておりません。意見は尊重しております」

「⋯⋯ともかくです。いくら軍閥派の頂点にアレキサンダー公爵家がいるからといって、今回の件では譲歩をしすぎています」

「英雄アレキサンダーの書状は無視できません」

「⋯⋯救国の英雄ではあります。しかし、正式な外交官ではありません」

「書状を無かったことにすれば、我が国は教皇の御物だった〈闇祓いの玉石〉を強奪した。そういう事実のみが残ります。元々はメガラニカ帝国の宝物であったとしてもです」

「譲歩したグウィストン川の東側が、将来の禍根とならないことを祈ります」

「政治は妥協の産物です。我が国の軍人とて感情を持つ人間。命令通りに動く鉄塊のゴーレムとは違います。士気の低下した軍隊がどれほど脆いか⋯⋯。知らない貴方ではないでしょう?」

 紅茶の湯気と共に立ち昇る性臭の香りを愉しむ。それからカップに唇を付け、上品に味わった。口内に広がる甘みと酒精、舌にねっとりと絡みつく精液の淫味が心地好い。

「赤児の件はどういたします? ヴィクトリカは懐妊しています。陛下の子です」

「警務女官の手落ちです。なぜそうなったのかと頭を抱えました。しかし、好都合かもしれません。教会は堕胎を禁じている。ヴィクトリカは必ず産まねばなりません。産まれてきた赤児は東側の爆弾となります」

「恐れながら宰相閣下。私達の爆弾にもなりえます。赤児は可能性の塊です」

 ローデリカは机上に置かれた小瓶を見詰める。サキュバス族が愛用する精液瓶。精液の新鮮さを保つため、強力な保全術式が施されている。

「皇帝陛下の子胤で孕んだ女は、優秀な子供を産みます。皇統への賛辞などではなく、歴代の皇帝が証明してきた遺伝法則です」

「ローデリカ王妃の第一子は男子でしたね」

「私の子も優秀です。メガラニカ帝国の支えてくれる人材になると期待しております。それに対して、ヴィクトリカ王女の産み落とした子供はどうなります? 十数年後にメガラニカ帝国を脅かす敵となったら? 産まれた子供は引き取るべきです」

「要請はします。しかし、あちら側が応じるかは分かりかねます。ヴィクトリカは陛下を嫌っているようですが、母性で子供には愛を注ぐかもしれません。ともかく、その際の外交交渉は、貴方に任せます。ローデリカ王妃」

「もしやセラフィーナ女王が産んだ子供と相争わせる計略をお考えでですか」

「⋯⋯さてどうでしょう」

「共倒れを狙われて? 宰相閣下、私は賛成いたしかねます。アルテナ王家を嫌っているのは承知しておりますが、母親が誰であれ、皇帝陛下の子供です」

「相争うとは限らないでしょう。同じ父親から産まれた兄弟姉妹が手を取り合う。そんな未来も起こりえる」

「宰相閣下の口ぶり。本気で言っているように聞こえません」

「平和主義者の私は見守るつもりです。しかしながら、裏切り者の血筋に期待できないかもしれませんね」

 ウィルヘルミナは不敵に笑った。

 淫蕩気質のサキュバス族だが、ナイトレイ公爵家の血筋に連なる娘だ。

 揺るがぬ忠誠心と献身、そして規律を重んじる家風。分家からの養子で、淫魔の女ではあったが、魂に刻まれた一族の気質は薄れず、しっかりと受け継がれていた。忠義深きナイトレイ公爵家は、裏切りを嫌悪する。

「ヴィクトリカとセラフィーナの件はこれで終わりです。⋯⋯それよりも上級女官リンジーの行方は掴めましたか?」

「⋯⋯自殺を偽装し、白月王城から姿を消してからの同行は不明です。軍事境界線のグウィストン川での検問を強化させています」

「捕まえられます?」

「まず捕まらないかと⋯⋯。地の利はあちらにあります」

「そうでしょうね。ルテオン聖教国と通謀しているのは明らか。我が国の女官と取引をしていたようですが、ご破算になったと女官総長ヴァネッサから報告を受けています」

「軍事境界線を封鎖するわけにはいきませんが、反帝国の不穏分子に対する監視を強化するべきです」

「セラフィーナから離反する貴族は放置で構いません。叩くのなら集まった後にです」

「⋯⋯宰相閣下には策があるのですか?」

「掃除と同じです。散らばっているゴミ屑を一つずつ拾うのは非効率的。どうせ彼らの逃げ先は東側しかないのですから、集めておくのです。そして、然るべき時期に始末すればよろしい」

「承知しました。それと不穏な動きといえばもう一件、奇妙な失踪者が相次いでおります」

「奇妙とは?」

「近衛騎士団所属の騎士レンソン。ロレンシア・フォレスターの元夫だった青年貴族です。今年の三月に起きた近衛騎士団の騒乱を覚えておられますか」

「ええ、ハスキーの悪癖で玉無しになった哀れな男がいたと記憶しています。警務女官と元帥閣下で鎮圧し、ほとんどは殺したとか。物騒な話です」

「生き残りの五名が牢から姿を消しました」

「⋯⋯その件は到着前に貴方が送ってきた書状で報告を読みました。そこまで重要視していなかったのですが、気になっているのですか?」

「はい。宰相閣下」

「バルカサロ王国の策謀に乗せられた愚か者の生き残り。処刑すべきところを慈悲で助命してあげました。ですが、私に感謝はしていないでしょう。反帝国の彼らが東側へ逃れるのは必然では?」

「無期の禁固刑を言い渡された罪人です。ある程度の自由が与えられていたリンジーとは違います。囚人の管理を任せた獄卒は帝国軍の憲兵団です」

「⋯⋯脱獄できる状態にはなかったと?」

「恩赦で釈放する予定だったとはいえ罪人です。逃さぬように万全の体制を敷いていました。手を抜いてはおりません」

「まさか帝国軍に脱獄を手引きした者がいるとでも言いたいのですか?」

「⋯⋯⋯⋯」

「ありえないことです。白月王城は昔年の古城。我々が知らない秘密の通路があります。城内にはリンジーのように、第三国と通謀する者が入り込んでいた。まずはその可能性を追うべきです」

「皇帝陛下がお過ごしになっている寝殿や貴賓館、総督府の本営などは徹底的に調査しています。そしてもそうでした。抜け道は調べ尽くしていたのです。他の場所ならともかく、脱獄は絶対にありえないことです」

「しかし、現実には起こっているのでしょう?」

「帝国軍に内通者がいるとは考えていません。バルカサロ王国やルテオン聖教国が密偵を潜り込ませているとしても、近衛騎士の五名を脱獄させる理由がありません。恩赦で釈放が決まっていた者達です」

 皇帝ベルゼフリートと女王セラフィーナの正式な結婚に伴い、政治犯の恩赦が実施された。その中に解散が命じられた元近衛騎士団の団員五名も含まれていた。

「なるほど、その通りですね。帝国軍はレオンハルト元帥やケーデンバウアー王妃が目を光らせている。しかも、あのユイファン・ドラクロワを欺いてまで潜入させた密偵がいたとして、こんな形で露見させるのは理屈に合いません⋯⋯」

 報告書は小さな出来事だと気に留めていなかったが、改めて指摘されると不自然さが際立った。三月に騒乱を起こした騎士達は捨て駒だ。脱獄させる労力に見合わない。

(確かに奇妙です。重要人物でないからこそ、何かしらの価値を見いだす勢力がいたのでしょうか⋯⋯? しかし、彼らに使い道など⋯⋯それならばなぜ?)

 頭脳明晰なウィルヘルミナでさえ、影で暗躍する勢力の狙いが分からなかった。

「⋯⋯宰相閣下はアルテナ王国の戦後統治を私に委ねられた。そう考えてよろしいでしょうか?」

「それは何の確認ですか?」

「言葉の通りの確認です」

「今さらそんなことを聞く理由を聞かせてもらいましょう」

「私に内密で女仙を王都ムーンホワイトに派遣されたことはない。そう信じてよろしいですね」

 女仙は天空城アースガルズを離れない。出入の管理は厳格に行っている。そもそも瘴気を身に宿す女仙は、理由なく地上を歩き回るべきではない。

「ローデリカ王妃⋯⋯。私の知る限り、王都ムーンホワイトに派遣した妃は貴方だけです。このほかの女仙は貴方に仕える側女だけ。軍閥派の妃や側女は、レオンハルト元帥の帰国時に全員が引き上げあげています」

「宰相閣下が秘密裏に送り込んでいないのなら、宰相府の管理下にない女仙が白月王城で活動していたことになります」

「⋯⋯それは確かですか?」

「私の配下が近づかない場所で、真新しい瘴気の残滓が発見されました。我々に先んじて、失踪者達の行方を調べていた女仙がいます」

「軍務省の動きとは考えにくいです。参謀本部の腹黒女が裏で糸を引いているとしても、わざわざ女仙を派遣したりはしないはず⋯⋯。ウィリバルト将軍や配下の兵士を使えば事足りる。そうなると思い当たるのは組織は一つだけです」

 既にウィルヘルミナとローデリカは同じ答えに辿り着いていた。

「――殿

 大神殿最高裁判所の特務機関。皇帝直属の警務女官と並び、軍務省の統制下から外されている特殊な軍事力である。与えられた強大な司法権で、不正に手を染めた貴族や大商人を処断する。

「話がややこしくなってきますね。通常の調査をしているのなら、神官長か公安総局機関長のいずれかが宰相府に協力要請してくるはずです。しかし、帝国宰相の私に話を通さず、内偵しているのなら⋯⋯」

「帝国内の不穏分子が手引きしていれば、秘密捜査の対象となりえます」

 ほんの数時間前、ウィルヘルミナは調印式の会場でカティアと言葉を交わしていた。

 公安総局が白月王城で内偵調査をしているのなら、神官長のカティアは絶対に知っている。だが、おくびにも出さず、「アレキサンダーは厄介な遺産を残したものじゃ。まさかその尻拭いをさせられる羽目になるとはのう⋯⋯。来年の墓参りでは文句を言ってやらねばな」と愚痴をこぼしていた。

 調印式が終わった後は、すぐさま昇降籠に乗り込み、天空城アースガルズに帰還してしまった。

(⋯⋯行きと帰りで、側女の人数が違っていました。カティア神官長が白月王城に降り立ったとき、部下の側女は十二人。ですが、帰り際に見たときは十五人に増えていた。増えた三人は公安総局の者で、以前から調査を行っていたのかもしれません)

 ずば抜けた記憶力で、ウィルヘルミナは大神殿が秘密裏に捜査をしていると確信した。

「陛下の過去やアレキサンダーの書状、今回の件といい、まったく⋯⋯。長老派は秘密主義者が多すぎます。歳を取ると性格が悪くなるのでしょうね」

 三皇后と女官総長の全員が天空城アースガルズを出払っている状況は好ましくないと言っていた。しかし、今から考えると怪しい言い訳に思えてならなかった。

 しかし、大神殿の動きに共感できる部分もあった。

 約五〇〇年前、死恐帝を暗殺した大罪人は帝国宰相と帝国元帥であった。大神殿は未だに宰相府と軍務省への不信感がある。カティアやアストレティアのように長命種が多いため、当時の愚行を未だに覚えており、怨めしく思っているようだった。

 大神殿はメガラニカ帝国の建国以前から、破壊者ルティヤの転生体を保護してきた歴史がある。

(彼女達の気持ちは分からなくもありません。もしベルゼフリート陛下が死恐帝の立場になっていたら⋯⋯)

 事実、ベルゼフリートが皇帝に即位する以前、ナイトレイ公爵家で保護していた時期に大神殿は身柄の引き渡しを求めてきた。強引なやり口であったため、ウィルヘルミナは要求を突っぱねていた。

「ローデリカ王妃。貴方はどう考えますか?」

「長命種の陰険さ加減について?」

「もちろん、違います」

「脱獄の意図は不明です。しかし、メガラニカ帝国内の不穏分子が動き出している可能性はあります。無知蒙昧な共和主義者はいつの時代でも一定数は存在してきました」

「過激な共和主義者⋯⋯。まったく⋯⋯蛆のように湧いてくる」

「アルテナ王国との戦争で国内の監視が緩んでいたのは否めません。皇帝陛下に仇なす愚か者でなくとも、女仙による統治を望まぬ勢力はおります。不祥事で評議会を失墜させ、国民議会に再び政治の主導権を取り戻す。そんな夢想家がいないとは限りません」

「この件は軍務省とも協議が必要です。レオンハルト元帥を呼んできてもらいましょうか」

「カティア猊下の意向はよろしいのですか?」

「公安総局が動いているのなら、呼んだところではぐらかされるのがオチです。来たければ勝手に来るでしょう。カティア神官長は耳が長い」

「たしかに。必要なら呼ばずとも現われるのが神官長でした」

「いくつか保険をかけます。セラフィーナが出産するまで、天空城アースガルズは動かせません。念のために帝都アヴァタールの守りを厚くします」

「それではレオンハルト元帥を帝都アヴァタールに派遣するのですか?」

「そうはいかないでしょう。皇后を一人だけ送り返すのは体裁が悪い。あくまでも予防措置です。軍務省の信頼できる実力者に帝都を見張らせます」

「信頼できる者⋯⋯。ウィリバルト将軍を? 適任ではありますが、まだ王都ムーンホワイトから動かしたくありません」

「分かっています。送るのは女仙が望ましい。人格面でやや心配はありますが、ケーデンバウアー王妃なら事足りるはず」

「戦力的にはそうですが、ケーデンバウアー侯爵家は共和主義者に甘い側面があります。実際、二年前のドルドレイ騒乱では争いを避けようとするあまり、後手に回った経緯があります。話し合いが通じない相手もいるというのに」

「最後はこちら側についてくれました。アレキサンダー公爵家もそうです」

「⋯⋯やけに動きが鈍かったのは否めません」

「ともかく人選は軍務省と調整します」

 三皇后はメガラニカ帝国の政治を完全掌握している。だが、ベルゼフリートが現われるまで女仙は存在せず、妃達による評議会も設置されていなかった。

 五百年続いた死恐帝の時代、メガラニカ帝国の国家運営は国民議会と帝国軍大本営で行われていた。

(ドルドレイ騒乱の鎮圧時に反乱者は一掃し、抵抗する余力を奪ったつもりでした。ですが、未だに二年前の余波が残っているのかもしれません。権力欲に取り憑かれた馬鹿貴族と耄碌もうろく軍人は本当に度し難い⋯⋯)

 グウィストン川の東側を譲歩してしまったが、アルテナ王国の七割は支配下に収めた。不満を述べる者はごく少数だとウィルヘルミナは分析していた。

「ローデリカ王妃。明日以降の予定を空けておいてください」

「⋯⋯公安総局との接触ですか? 機関長のアストレティア王妃とはほとんど面識がありません。探りをいれるのなら私よりもラヴァンドラ王妃が適材適所かと思います」

「いいえ、そちらの案件ではありません。陛下のご希望です」

「陛下の? 伽役ですか? 久しぶりなので嬉しいですが、今の時期はお忙しいでしょうに。宰相閣下の配慮によるご指示なら⋯⋯」

「違います。私は何もしていません。陛下が望んでいます。普通の遊び相手として、貴方を」

「遊び? 相手⋯⋯?」

「白月王城の宝物庫を探検したいとせがんでいます。貴方をご指名です」

「分かりました。それはそれで楽しそうです」

「危険はないと思いますが、十分に用心してください。陛下あってこそのメガラニカ帝国なのですから」

 ウィルヘルミナは残り少なくなったカップの紅茶に精液を継ぎ足した。小瓶を真っ逆さまに傾け、粘り気の強い濃密な精子を垂らした。

「⋯⋯⋯⋯」

「物欲しそうに見詰めても貴方にはあげません。陛下から賜った精液です。これは私だけの精子です」

「欲しいとは一言も申していません⋯⋯」

 ベルゼフリートの精液は子胤かもしれないが、一度の射精で浴びせかけるほどの量を放精する。顔面を精液塗れにしてもらっているローデリカはよく知っていた。

 おそらく一夜の伽役を務めれば大瓶を満杯にできる。はたしてといえるだろうかとローデリカは苦笑いした。

「誤魔化さずとも結構。私は陛下から聞いています。ローデリカ王妃は舌使いがお上手で、いつも口で搾り取っていくとか⋯⋯。夜伽のときは、陛下の男根を咥えるのでしょう?」

「精液の味が好きなわけではありません」

「⋯⋯なぜいつもフェラチオを?」

「私は顔面や胸元にぶっかけてもらうのが趣味なのです。フェラは外出しが一番。精液の匂いは大好きです」

「精液入りの入浴剤を使っていると聞いて、てっきり貴方には私と同じサキュバスの血が入っているものだとばかり⋯⋯。単なる性癖だったのですね」

 ウィルヘルミナは認めたくないだろうが、サキュバスの遺伝子が血に流れているのはアルテナ王家の女達だ。女王セラフィーナの妖艶な肉体は淫魔の因子を証明している。先祖にサキュバスがいなければ、あれほど見事な美貌に加え、爆乳と巨尻へと育つはずがないのだ。

「誤解が解けたようなので、レオンハルト元帥をお呼びしてきます」

「ええ⋯⋯。お願いします」

 美味しそうに精飲するウィルヘルミナを残し、ローデリカはレオンハルトを呼びに軍務省の駐屯地へ向かった。


<<前へ  次へ>>

【カテゴリー】

タグ:

【人気記事】