2024年 4月19日 金曜日

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【121話】医務女官長アデライドのぼやき

NOVEL亡国の女王セラフィーナ【121話】医務女官長アデライドのぼやき
 

 エメラルドグリーンの蛇腹が大理石の床を軽やかに滑走する。

 上半身は人間の美女、下半身は大蛇。髪と鱗は色鮮やかな新緑の翠色。

 多種多様な種族が暮らすメガラニカ帝国でもごく少数しかいない半蛇娘ヒュギエイア族の女仙は、長い背中に医療バッグをいくつも引っかけて、白月王城の廊下を蛇行していく。

 医務女官を示す白衣のメイド服のスカートは、上半身と通常なら両脚がある部分までを覆っている。鼠径と尻から先、股分かれすべき箇所がぴっちりと繋がり、緑鱗で覆われた大蛇の腹になっていた。

「今度という今度こそ、三皇后に文句を言わせていただきます。せっかく栄大帝と大宰相ガルネット様が天空城アースガルズを遺してくださったのに!」

 ぶつぶつと不満をぼやき、苛立つ緑蛇の美女は進む速度をさらに上げた。廊下の曲がり角でばったり出会した巡回中の警務女官は、慌てて道を譲った。

 何も知らぬ他国の衛兵なら怪物と見間違えて武器を構えてしまったかもしれないが、メガラニカ帝国の女官で彼女の容貌を知らぬ者はいない。

 数多くいる獣人種の中でも半蛇娘ヒュギエイア族は一際目立つ。なにせ下半身が大蛇そのものだ。魔物のラミアと混同され、街中での暮らしには苦労が多いという。

「なぜ危険な下界に陛下を招く必要があるのでしょう? 帝都アヴァタールのグラシエル大宮殿ならまだしも異郷のお城にまで出向いて!」

 天空城アースガルズから引き連れてきた医務女官の一団は、その半数がショゴス族で、ロレンシアに寄生卵子を仕込んだ者の姿もあった。

 不定形の姿を持つショゴス族でも歩行は二本の足で進む。部下の医務女官は、置いて行かれまいと駆足だった。長い廊下を走るうちに、息切れを起こしていた。

「陛下は安全な場所でお過ごしいただきたいのに! 困ったものです。楽しそうに出かけるのだから。まったくもう⋯⋯男の子はいつだってそうですわ」

 ご立腹の蛇娘は目元を隠している。医務女官長を示す紋章が刻まれた頭冠で額ごと覆っていた。

 通常の視界は完全に封じられているが、別の形で周囲が見えている様子だ。廊下の隅に置かれた植木鉢をするりと避けて、白月王城の最奥部にある国王夫婦の寝殿へと急行する。

「こんばんは。アデライド。もう少し休んでいても構わなかったのに、随分と急ぎ足で来たようですね。貴方の場合、と言うべきなのかは分かりませんけれど⋯⋯」

 女官総長ヴァネッサが出迎えた。医務女官長を親しげにアデライトと名前を呼んだ。女官総長と医務女官の二人は気心知れた旧友同士、同じ師から医術を学んだ姉妹弟子であった。

「ヴァネッサ様、私は――」

「アデライド。貴方の言いたいことは分かっているつもりです」

「ええ、そうでしょう。ですが、言わせていただきます。こんなことは金輪際、一度限りにしてほしいと三皇后にお頼みしてください。どんなに頼もしい護衛がいるからといって、事あるごとに陛下を連れ出されては、心配のあまり悶え苦しんでしまいますわ」

「私も陛下の外泊が好ましいとは思いませんが、今回は政務の一環です。万全の警備体制を敷いています。ここには警務女官だけでなく、レオンハルト元帥が率いる帝国軍もおります」

「グラシエル大宮殿でもそうだったはずです。あのときの一件は私の耳にも入っているのですよ? こともあろうに、陛下は警務女官を出し抜いて不届き者とセックスなさったと!」

「ええ、あれは確かに警備と護衛で不手際がありました。しかし、ユリアナが近くにおりました。危険が及べばすぐに対処できていた事案です」

「その話を聞いたとき、私は仰天しましたとも。相手の女が病気持ちだったら、どうなっていたことか! 陛下が護衛に囲まれて、大人しくしている御方ではないとヴァネッサ様もご存知でしょう?」

「もちろん。存じておりますよ。近頃は特に元気が有り余ってるご様子です」

「落ち込んでいるよりは良い傾向です。しかし、陛下は幼いのです。だからこそ、周りがしっかり見張っていないといけません。機会さえあれば、きっと城下街へ抜け出そうとしてしまう。陛下はそんな子です」

 アデライドは蛇腹に結びつけた医療器具を部下に外させる。

「さすがに城を抜け出したりはなさりません。ウィルヘルミナ閣下が言いつけました。もし心配なら目を光らせておけばよろしいでしょう。お目付役に医務女官長の貴方をお呼びしたのです」

「私もそのつもりで参りました。陛下は嫌がるでしょうけども」

 医務女官は天空城アースガルズの衛生面を担当する重要な職責を担う。その長である医務女官長アデライドは皇帝の専属医だ。女官総長ヴァネッサも凄腕の医術師であり、交代でベルゼフリートの診療をしている。

「前代未聞のことばかりです。愛妾とはいえ、公の場で出産をさせるなんて、過去に例がありましたか? 私は聞いたことがありませんとも」

「非公式ではあったようですよ。そうした歴史はユイファン少将がお詳しいでしょうね」

「前例があろうとなかろうと、母子に良い影響はないと思いますけれど? で申し上げるのならば」

「政治的パフォーマンスなのです」

「宰相閣下はもっと慎重な御方だと思っていました。しかし、今回の件で、私は見方を変えるべきかもしれません」

「既に決まったことですよ、アデライド。三皇后だけでなく、当の本人が望んでおりますし、陛下も意欲的です」

「陛下はいけない遊びを覚えられてしまったのですね。これも軍務省が人妻なんかを情婦として陛下に与えたからです」

「陛下は存外にセラフィーナさんを気に入っているようですよ」

「性癖が歪んでしまったらと思うと⋯⋯。はぁ、もっと健全に育っていただきたかった」

「下世話な話でいえば、栄大帝は数え切れないほどの記録があります。しかし、メガラニカ帝国の全盛期を築いた偉大な皇帝です。私達の陛下は許容範囲内だと思いますよ」

「栄大帝には名相のガルネットがおりました。しかし、我らにはいないのです」

「まあ、それはその通りですね」

「節度ある性生活を心がけていただきたいものです。盛り上がった発情期の猫じゃあるまいし」

「言葉が過ぎます。アデライド」

 セラフィーナの出産に備え、玉座の間は分娩台が設置されていた。

 女仙が孕んだ赤児は、臍帯が繋がっている間は瘴気の影響を受けない。しかし、母胎との繋がりが絶たれた瞬間、女仙の穢れで傷ついてしまう。当然であるが、産まれた赤児を世話する助産師は、女仙以外の者でなければいけなかった。

「産場の準備は進めているのでしょうね?」

「大神殿に連絡し、助産巫女が二十四時間体制で待機させています。胎孕たいよう廟堂びょうどうの人員をこちらに回していただきました。万事抜かりなく備えております」

「長老派の妃達が出産を終えた後で助かりました」

 助産を手助けするのは、女仙化していない大神殿の巫女達である。沢山の不満はあるももの、アデライドはしっかりと仕事をこなしていた。

 天空城アースガルズの中枢、帝城ペンタグラムの直下に胎孕たいよう廟堂びょうどうと呼ばれる空中庭園がある。

 周囲から隔離され、領域外を浮遊する胎孕たいよう廟堂びょうどうは、例外的に女仙でない助産巫女が働いている。皇子皇女の分娩施設は、瘴気を低濃度に維持しなければならない。そのため、女仙の出入りは制限されていた。

 妃であれ、側女であれ、女官であれ、それこそ愛妾であろうと通常の出産は胎孕たいよう廟堂びょうどうで行われる。

 今回、セラフィーナは例外的に白月王城で出産の望む。しかも、戴冠式などの国典が開かれる玉座の間でだ。アルテナ王家の継承者が誕生する光景を重臣に見せつける。

 メガラニカ帝国の意図はヴァネッサが言及したように政治的パフォーマンスだ。

 今のセラフィーナは公開出産を恥辱とは思っていない。しかし、教会の教えが浸透しているアルテナ王国で、御産の場に男性が居合わせるのは、ありえないことだった。助産の医術師は女性が推奨された。男性医術師の関与は緊急の場合だけだ。

 アルテナ王国の女王であるセラフィーナが膣部を晒し、皇帝ベルゼフリートとの間に孕んだ三つ子を産み落とす。

 教会の信仰を粉々に打ち砕く、背徳的な見世物だ。「さぞかし愉快な晴れ舞台になるでしょうね」と嘲笑するアデライドを、ヴァネッサは「アデライド、その辺にしておきなさい。三皇后にはお考えがあるのです」と上官の威厳を以て窘めた。

 セラフィーナの公開出産は踏み絵であった。女王の勅令で諸侯を招集し、出席の有無を帝国に屈するか否かの返答とした。

「お務めは果たします。衛生面には気を払いましょう。瘴気の濃さは要警戒です。神官長のカティア猊下はお帰りになられるようですが、ウィルヘルミナ閣下とレオンハルト閣下は残られています。そうでなくとも、この大所帯です」

 アデライドは周囲にいる警務女官と医務女官、さらに世話をする庶務女官を指で示した。

「人員を整理すべきでは?」

「警務の人数は減らせません」

「医務女官の人数だって減らせません。だから、天空城アースガルズにお戻りいただきたいのです」

「寝殿の付近はカティア猊下が直々に瘴気祓いをされているものの、帝国軍の兵士から体調不良者が出るかもしれません。軍務省に警告はしてあります。女仙のいる場所には近づかぬようにと」

「大人しく従ってくれるといいのですけれどね。帝国軍の兵士達ときたら、警務女官と張り合おうとするのですから」

 先端が二叉に分かれた蛇舌で、大気に溶け込んだ瘴気の濃度を確かめる。

 器が壊れていない限り、発生源のベルゼフリートから瘴気は漏れ出さない。周囲を汚染をするのは、血酒で女仙となり、深く性接触している寵姫達だ。

 特にウィルヘルミナの血肉は、他の女仙とは比較にならない激烈な瘴気を宿している。素肌に触れたメイドの指先が、ほんの数秒で壊死するほど、ウィルヘルミナの瘴気は強かった。

「年越しまでには引き上げるべきでしょう。瘴気の残滓が色濃く染み渡らぬうちに⋯⋯おや⋯⋯まぁ⋯⋯」

 アデライドは精緻な彫刻が施された扉を半分だけ開けた。男女の交わりで発生する独特の性臭、さらに淫らな喘ぎ声が流れてくる。

 日頃から生真面目に至誠の性道徳を説くアデライドが、思わず顔を赤らめた。国王夫妻の寝室で繰り広げられている淫奔多情な悦欲の狂宴を覗き見れば、どれほど堅気な女仙だろうと陰裂を濡らしてしまうだろう。

 ガイゼフが王婿であった時代、アルテナ王国の国王夫妻は仲睦まじく穏やかに、安眠の一刻を過ごしていたはずだ。しかし、ガイゼフは廃され、王座を追われた。

 白月王城の新たな主人は、精力旺盛なメガラニカ帝国の幼帝ベルゼフリート。うら若く、幼すぎる皇帝はアルテナ王室の聖域を色欲で征服していた。


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