【R18作家インタビュー】ういろうさん 濃厚な“コンテクスト”で趣を添える、エロは物語の延長線上に

 イチャラブ純愛で定評のある小説家ういろうさん。「どれだけ濃厚なコンテクストを持ってこれるかが、スケベ作家としての腕の見せどころ」と官能哲学を語る。エロに至るまでの文脈・状況・関係・心境は情緒を形作り、背景描写によってキャラの魅力はより引き立つ。短編だからこそ、丁寧に物語を紡ぐ。ういろうさんから「クリエイトする楽しさ」「幼馴染純愛に寄せる想い」を聞かせてもらった。

【取材:三紋昨夏】


最高の自家発電とは何か?

――創作活動を始めた「きっかけ」について教えてください

 趣味でアナログイラストなどを描いていたこともあり、一つの作品として「何かをクリエイトするのは楽しいな」とずっと感じていました。数ある創作活動の中で、あえて小説執筆を選んだのも色々と理由があります。

 きっかけとして一番大きかったのは某感染症の影響です。当時の私は大学生だったのですが、大学にも趣味の一人旅にも出かけられず、暇を持て余し、「新しい創作活動にチャレンジしよう」という意欲が湧き出していました。試しに魔法ファンタジー、スチームパンク、戦国時代転生モノなどの小説を書いてみたんです。それらの作品はいずれも非公開なんですけどね。

 執筆を始めてから、ふと「最高の自家発電とは何か?」と考える機会があり、R18小説を書き始めました。ある日、「私だけの最高のおかず♡」として書いたものを、思い切って小説投稿サイト「ノクターンノベルズ」で公開してみたんです。「ロシア人美少女イリーナは、通訳の俺としか会話ができない筈だった」という作品で、R18小説の処女作だったと思います。

 ちょうどその頃、ライトノベル『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』(著:燦々SUN)が話題になり始め、ロシア人美少女モノの追い風もあり、運良く短編の日間一位か二位を取れました。

 それで「あっ、私の書いたエロ小説は決して独りよがりのドスケベではなくて、他の多くの人たちにとってもドスケベなんだ!」と気付きを得て、投稿用にR18短編を少しずつ執筆するようになったんです。

――ご自身のペンネームに由来はありますか。

 由来は和菓子の「ういろう(外郎)」から、と言いたいところですが、正直どうしてこのペンネームにしたのかは覚えていません。名前関連だと実は……エゴサが困難という悩みを抱えています。

物語性のあるエロを紡ぐ

――専門の活動ジャンルは?

 ラブコメ調の純愛短編で、幼馴染などをメインヒロインに据えた作品が多いです。

 なぜかNTR専門の作家と勘違いされることが多いので、もう一度言いますね。幼馴染純愛です(強調)! 嘘じゃありません、本当です!

――性癖やエロに関する「こだわり」はありますか?

 月並みかもしれませんが、ちゃんと物語性のあるエロを紡ぐことです。

 純愛短編では本番に辿り着くまでに、結ばれる二人の馴れ初めを描きます。文章の三分の一か、たいていは半分くらいを費やし、丁寧に描写するんです。物語の延長線上にあるからこそ、エロシーンもより感情豊かで、没入できるものになるんじゃないか、と思っています。

 冗長と言えば冗長だけど、そういうのが好きな読者に届いてくれればいいのかなと。ずっこん、ばっこんの背後にどれだけ濃厚なコンテクストを持ってこれるかが、スケベ作家としての腕の見せどころで、つまり“こだわりどころ”だと私は考えています。濡れ場に至るまでの背景描写をどれだけ濃くできるかは意識しています。

――「処女作」「代表作」など、思い入れのある作品を教えてください。

 思い入れがある作品は色々ありますね。一つだけ選ぶとしたら、フランス書院様で書籍化した『明らかに両想いなのに長いことつかず離れずだった美少女幼馴染と、ついに一線を越えてイチャラブキスハメエッチに及ぶ話』でしょうか。

 いつも私の作品を読んで感想を送ってくれるリア友が開口一番「最高に良いっ!」と褒めてくれたのがとても嬉しかったんです。

――感想を聞かせてくれる友人がいるのは良いことですね。どこを褒めてくれたのですか?

 そのリア友は「一人称視点でヒロインの魅力をありとあらゆる角度から語り尽くすことで、主人公君の抱く好意のほどが読者に対して常時垂れ流し状態になってるのが大変健康にいい」と言っていました。男性側の激重感情がダイレクトに伝わってくるのが好き、ってことだと思います。

決定的なシーンに帰結させる

――作品作りのコツなど、創作するにあたっての「ネタ出し」「企画」はどのように考えていますか?

 ネタ出しは入浴中や日課の散歩中に、その場でメモったアイデアを深夜の執筆時に利用しています。

 プロットは立てずに、見せ場となる決定的なシーンを先に書いてしまうんです。必ずしもエロシーンというわけじゃないです。そこに帰結するような諸々のコンテクストをじわじわ補っていく、という形で進めています。

 十年以上前の作品ですが『ブラック・ブレット』という有名なライトノベルがあって、その作者先生の「あとがき」がわかりやすいので引用したいと思います。

 通常の哲学的な用語法とは少し異なりますが、要するに「前から順を追って書いていく演繹法えんえきほうタイプ」と「見せ場から遡行して書いていく帰納法きのうほうタイプ」の二種類の作法があるということですね。

 皆様はどちら派でしょうか?

――そう言われると、他の作家さんの書き方が気になりますね。私は前から書く演繹法タイプですよ。

 登場人物の自由闊達な動きに任せたい人もいるだろうし、R18小説なんだから一番ドスケベなシーンから書いてくって人もいるだろうし、あとは普通に折衷法タイプの方なんかも割といると思います。

 プロットは帰納法(後ろから前へ)で、本文は演繹法(前から後ろへ)で、みたいな方もいるかもですね。

――ういろうさんは帰納法タイプですか?

 はい。私はここで言う典型的な帰納法タイプです。なんならプロローグを最後に書くことさえあるんですよ。矛盾のない綺麗な物語になりやすい気がします。

 この方法がエロ小説にも向いてるのかどうかはわかりません。創作論の類としてではなく、好きだったラノベ作家の執筆方法を私が真似っ子していると受け取ってほしいです。

――執筆で愛用しているツールは何ですか。また、サービスや参考資料など、創作活動で役立つオススメがあれば教えてください。

 創作エディタツール「Nola(ノラ)」を使って主にパソコンで執筆していますが、空き時間にスマホで執筆することもあります。

 参考資料は永田守弘『官能小説用語表現辞典』(筑摩書房、2006年)、永田守弘『官能小説「絶頂」表現用語用例辞典』(河出書房新社、2008年)などですかね。あと、日々の思い付きをすぐメモできるようにしておくことも大事です。

牛歩でも進み続ければ完成に

――これから創作活動を始めようとしている人にアドバイスするとしたら?

 むしろ若造の私のほうがアドバイスしてほしいくらいです(汗)。

 既に他の先生方が言われていたことの繰り返しになってしまいますが、細かいことは考えずまずは一行でも書いてみてください。それを継続することが大切です。牛歩でも書き続けさえすればいつかは完成します。

 就寝前にほんの三十分だけ時間をとって、昼に溜めた妄想をまとめて出力する。その程度でも二カ月続けると、短編が一本くらいは仕上がります。

 私は筆が遅いので……。他の人ならもっと速筆なのかな? 「こんな筆が遅い人でも何か書けてるなら、俺も! 私も!」と感じてもらえれば幸いです。とにかく、とらわれず自分流のスタイルを見つけてください。

――今後の目標、目指しているものを教えてください。

 原点である「クリエイトする楽しさ」を忘れないようにしつつ、たくさん書いて、多くの本を出版して、色んなことにも挑戦して、一人でも多くの読者さんの性癖形成に寄与したいです!

――最後にメッセージをお願いします。

 読者の皆様のおかげで、たいへんな幸運に恵まれ、めでたく書籍化することができました。

 どうか今後とも応援よろしくお願いいたします!

 また、三紋昨夏さんにも一生に一度あるかないかの機会を設けていただき、ありがとうございました。

――こちらこそ、取材にご協力いただきありがとうございました! 一度あることは、二度も三度もあるはず! 異世界転生なんてこともあるかもしれません! 今後ともよろしくお願いいたします!!

 ういろうさんのプロフィールと作品は下記でご紹介しています。

 読者の皆様、ぜひご覧ください。


【プロフィール】ういろうさん

NTR、BSS、悪堕ち、TS、ホモ、百合をこよなく愛するが、その業の深さゆえに、怪人ウラスジナメロウによってノンケイチャラブ純愛セックスしか書けない体へと改造されてしまった和菓子。年にニ、三本のペースで糖度高めの短編を投稿していくことで罪を贖っています。
電子書籍も好評発売中ですので、もしよろしければご覧ください!
『明らかに両想いなのに長いことつかず離れずだった幼馴染と、ついに一線を越える話』(フランス書院eブックス)

◆X(旧Twitter)
https://x.com/Maastrichtian_K

◆ノクターンノベルズ
https://xmypage.syosetu.com/x6555bx/

◆pixiv
https://www.pixiv.net/users/15162266

【作品紹介】

明らかに両想いなのに長いことつかず離れずだった美少女幼馴染と、ついに一線を越えてイチャラブキスハメエッチに及ぶ話

竜胆隆と三春澪は、仲の良い付かず離れずの幼馴染同士という関係のまま、今年で大学二年生になってしまった。だが、竜胆隆はついに決心する。三春澪を温泉旅館に誘い、そこで告白することを。一線を越えて先に進むとき、近過ぎるがゆえに遠かったこの美少女幼馴染の一途で、しかしとてもエッチな本性が明らかになる……。
※フランス書院eブックス様より続編および書き下ろしと共に書籍化していただきました!
『明らかに両想いなのに長いことつかず離れずだった幼馴染と、ついに一線を越える話』


昔振った可愛い元教え子と行きつけの居酒屋で再会したら、向こうの感情が爆発してぐいぐい迫られ、孕む気満々の生ハメエッチで徹底的に搾り取られた。

行きつけの居酒屋で、女子校教員である俺はかつての教え子、三好有紗と再会した。昨年の卒業式のとき、俺は三好有紗のことを振っているのだが、彼女は今でも俺のことが好きらしく、犯されたがりの一人のメスと化して、耳元でねっとりと囁きかけてくる。「エッチしようよ」。気づけば俺は、近くのラブホに彼女を連れ込み、濃厚なベロチューを交わしていた……。むっちりと実った長乳を揺らし、男性器と精子のにおいで鼻息荒く発情し、下品な喘ぎ声を出しながらイきまくる元教え子とのイチャラブ純愛生ハメエッチ短編です。


ずっと実の娘のように思って大切にしてきた姪っ子が、甘ったるいメス声♡とドスケベボディで絶えずちんこをイラつかせる媚び媚び純愛おまんこに変貌して孕ませ懇願してくるまで

死んだ兄夫婦の娘で、俺から見ると姪っ子にあたる宇佐美恋花のことを、今まで実の娘のように思って大切に育ててきた。恋花は「おじさん」と呼んで俺に懐いてくれていた。それなのに、俺はどこかで間違ってしまった。ある日、恋花が俺の名前を呼びながら自慰で達するのを目撃してしまい、それから堰を切ったように彼女の常軌を逸した「愛」があふれだす。成長して極上のドスケベボディを備えるようになった姪っ子による手段を選ばないセックスアピールを前にして、理性は腐食して使い物にならなくなる……。ド淫乱な姪っ子が、「おじさん」のことが好きすぎて甘ったるい誘い文句の数々でちんこをイラつかせ、スクール水着やローションまで用意して精子を搾り取り、最後には濃厚白濁液で種付けしてもらう背徳的な純愛エッチ短編です。

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