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【266話】相談喫茶~とある王妃の側女~〈後編〉 

 黄葉離宮に帰着するなり、マリエールはロレンシアに相談喫茶コンシェルで見聞きした出来事を包み隠さず報告する。頼まれたお使いは完璧にこなしている。叱責されることはなかった。

「――という次第です。買い出しの帰りが遅くなってしまいました」

 代理母出産のエピソードはロレンシアとも関係がある。ショゴス族の寄生卵子を植え付けられたロレンシアは、代理母の一例であった。超大に膨らんだ巨胎は他人の赤子も育てているのだ。マリエールの話を興味深げに聞いていた。

「面白い喫茶店があるのね。私もいつか行ってみたいわ」

「おすすめいたしますよ。店員のメイドさんがとても親切でした。大きな声では言えませんけれど、黄葉離宮に長期ご滞在中のやんごとなき女官様とは大違いです」

 上級女官への皮肉を交えつつ、マリエールは店員メイドの接客態度をべた褒めする。

「相席になった側女はどこの妃に仕えているのかしら?」

「お互いに偽名を名乗りました。あの喫茶店では身分を隠すのがマナーらしいです」

「そう⋯⋯。代理母で妊娠した側女⋯⋯。何だか、他人事とは思えないわ。私も他人の赤ちゃんをたくさん預かっているから」

 ロレンシアは会ったことのない側女に親近感を抱いているようだった。

「⋯⋯ロレンシアさん」

「どうしたの?」

 マリエールは少し迷ったが、隠していた真相を告げる。

「一つ、先ほどの報告を訂正させてください。私はチェンバーさんを騙しています。代理母の件は私の捏造です。騙すためにそれらしい話をでっち上げました。ロレンシアさんまで信じてもらっては困ります」

 何食わぬ顔でマリエールは告白した。

「騙した?」

「ええ。それが最善だと考えました。親切心の嘘です」

「けれど、代理母の話は辻褄が合っていたわ。整合性のある推理だったし、相談してきた側女が信じきるくらい真実味のある内容だった。あれが全て嘘だっていうの?」

「例の妃がチェンバーさんを代理母に選んだのなら、必ず説明がなされていたでしょう。チェンバーさんは主人に忠実な家臣です。打ち明ければ絶対に協力してくれます。そんな相手にわざわざ隠す意味がありますか? ――だから、私が伝えた憶測は大嘘なのです」

「それなら真実は何? ここまで話しておきながら、種明かしをしない気じゃないでしょうね?」

「私の予想では妃と側女が入れ替わっています。チェンバーさんこそが本物の娘です。大貴族の当主となり、皇帝陛下の妃になるべき人物でした」

「入れ替わりですって?」

「はい。今、妃になっている女性は偽物。本来なら側女になっていたはずの従者。分家筋の人間かもしれませんね。まあ、今さら元通りにはできません」

「どうしてそんなことが起きているわけ?」

「赤子のうちに取り換えたのでしょう。つまり、主犯は先代当主と大奥様です」

「待った。それはおかしいわ。血の繋がった娘を下僕にして、他人の娘を迎え入れたの? ありえないわ。なぜ?」

「事情があったのですよ。チェンバーさんは幼少期に事故で大怪我を負っています。両目に後遺症が残り、顔面を整形する必要があったほどの傷です。先代の当主夫妻は焦った。他の子供は息子だけ。やっと生まれた娘が死んでしまったらどうなるか⋯⋯。後宮で暮らす私達なら想像できますよね?」

「後宮に入内させる娘がどうしても必要だった。そういうこと?」

「ええ。その通りです。まだベルゼフリート陛下が現れていない時期だったとは思います。しかし、死恐帝の災禍が過ぎ去った後、新帝誕生の噂はずっと囁かれていました。当時の世情を記した書物によれば、帝国の貴族達は入内させるための美女を常に用意ストックしていたそうです。世間体もあったのでしょう」

 新帝が即位したとき、妃を輩出できなかったら悲惨だ。大貴族であれば不忠者と社交界で侮蔑される。ナイトレイ公爵家と関係が深い保守派の貴族ともなれば、なおさら問題だ。しかも、評議会の議席を得られない。帝国の評議会は皇帝の妃達で構成されている。

 領地持ちの大貴族は、何としてでも一族の女を入内させる必要があった。

「我が子が事故で死にそうだったから、健康な偽物とすり替えた。そのせいで主人と従者が逆転してしまったのね」

「ええ。赤子の入れ替えは保険だったかもしれません。新帝の誕生が遅ければ、息子夫婦の間にできた孫娘を入内させればいい。ところが、運悪く時期は重なってしまった。ベルゼフリート陛下がこの世に現れ、すり替えた偽物の娘を嫁がせなければならなくなった」

 事故で生死を彷徨さまよったチェンバーは奇跡的に回復し、重い後遺症を負ったものの生き延びた。その数年後、新帝ベルゼフリートが誕生した。この展開は先代当主の大誤算だった。

「マリエールさんの推理通りなら、妃は事情を知ったうえで動いているようね。自分が偽物の娘だってことも⋯⋯」

 ロレンシアは当時王女であったヴィクトリカの影武者を務めた経験がある。もし主従逆転の入れ替わりが元通りにならなかったら、従者はどんな思いを抱くだろうか。忠臣ならば喜びよりも恐怖が勝る。

「ベルゼフリート陛下が現れて、偽物は焦ったでしょうね。何とかして本物も入内させようと必死に動いた。どんなに美しくとも本来、顔を整形した女は入内できない。手を尽くしてナイトレイ公爵家に泣きついた。チェンバーさんの主人はおそらく宰相派の上級王妃です。そこそこ重鎮でしょう。帝国宰相の強権発動がなければ、こんなのは罷り通りませんから」

 主人の身分をチェンバーは明かさなかった。マリエールは宰相派の王妃だと予想する。実際、それは当たっている。帝国宰相ウィルヘルミナが貸しを作るに相応しいと認めた相手。名門の門閥貴族であった。

「チェンバーさんが身籠った胎児は、血の繋がった我が子です。王妃の子供ではありません。だからこそ、兄夫婦の子供とは結婚させられない」

「その妃が不妊っていうのは⋯⋯」

「偽装です。おそらく王妃は『子供を産めないから、代わりに貴方が世継ぎを産んでほしい』と吹き込んだ。何も知らないのはチェンバーさんと三人の兄達だけ。皇帝陛下あたりは、事情をご存知なのではないでしょうか? 王妃を孕ませず、たった一人の側女を孕ませる。これは共犯者が不可欠です」

 先代当主は血の繋がらない偽物の娘に家督を譲り渡した。入れ替わった偽物の娘は、皇帝の王妃になってしまった。こうなれば演じ切るしかない。自分が仕えるべき本来の主人を下僕として、こき使う。偽物の娘は深く苦悩し、今も頭を抱えている。

「難儀な王妃もいたものだわ。避妊を徹底しているのかしら」

 ロレンシアは名も知らぬ王妃に同情する。皇帝の夜伽を務めつつも、絶対に自分は妊娠してはならないのだ。女仙は不老不病である。ベルゼフリートの治世が続く間、おそらく一千年以上もの間、秘密を隠し通す破目になった。

「これがチェンバーさんを騙した理由です。ご自分の正体を知ったところで、これからも側女であり続けなければなりません。それならば何も知らないほうが幸せです。三人の兄達も王妃になった妹が赤の他人だったと知ったら、ひと騒動が起きかねない」

「上手くいっているし、本人は幸せに働いているものね⋯⋯」

「ええ。そうです。壊れていない物を直す必要はありません」

「⋯⋯⋯⋯」

 ロレンシアは考え込む。知りえた情報を何かで利用できないかと企んでいた。宰相派の上級王妃にとっては弱みである。

「今回の件、セラフィーナ様にお伝えするのは構いません。しかしながら、宮廷闘争の武器にはならないでしょう。証拠はありません。そもそも皇帝陛下と帝国宰相はこの件を知っています。下手に動けばご不興を買いますよ」

「それもそうね。ご忠告、痛み入るわ」

「とんでもない。面白い小話を持ち帰れて良かったです。買い出しで注文した日用品は、後日配達されるとのことです。本日のお仕事は終わりましたので、私室に戻っておりますね。御用があればお呼びください」

「お疲れ様。しばらくの間、買い出しをマリエールに任せるわ」

「あぁ⋯⋯それと、イシュチェルさんはどうされてますか? 皇帝陛下のお相手を?」

 マリエールとイシュチェルは同室だ。けれど、イシュチェルはベルゼフリートに呼ばれることが多く、一緒に過ごす時間は少ない。

「イシュチェルさんはセラフィーナ様とご奉仕に励まれているわ。夕食は寝室で済ませる気だと思う」

「ご盛んで大変よろしいことです」

 マリエールはある可能性を考えていた。手掛かりとなったのはチェンバーを騙したである。

(あの喫茶店で天啓をいただきました。人工授精と代理出産⋯⋯。生殖医学を修めた医術師ならば可能。メガラニカ帝国の医療水準なら容易に⋯⋯。子宮の聖印を出し抜けるかもしれない。イシュチェルさん卵子は守られています。⋯⋯第三者の受精卵を仕込んだらどうなるでしょうか?)

 教皇が施した聖印は着床を防げるだろうか。やってみなければ分からない。だが、成功すればバルカサロ王国の王妃イシュチェルが皇帝ベルゼフリートの子供を産んだ事実は作れる。遺伝的に血は繋がっておらずとも、出産を強いることができるかもしれない。

(――いや、難しい。おそらく着床は失敗する)

 マリエールは直感的に否定した。

(不妊治療の技術を使って聖印を突破できるとは思えません。教会で育った私が気付くのなら、教皇庁の考えが及ぶ範囲です。聖印の祝福に小細工は通じない。だったら、何か⋯⋯他の方法で⋯⋯。いいや、根本的にずれている気がします。そもそも聖印は血統を守るために⋯⋯。バルカサロ王家への恩寵で⋯⋯)

 廊下でマリエールは振り返る。ロレンシアの巨胎に視線が向かう。

(ショゴス族は寄生卵子を植え付ける⋯⋯。移植⋯⋯)

 赤毛の美女は歩く度にボテ腹が揺れていた。ショゴス族の寄生卵子が卵巣に植えられ、繁殖特化の母胎に改造された肉体。苗床胎のロレンシアを静かに眺める。

(移植⋯⋯。逆なら? 卵子や受精卵じゃなく、精子だけなら⋯⋯? ああ、見落としていた。疑うべきはアーロン王子の出生だ。事の発端に立ち返るべきでした。バルカサロ王国で内乱が起きたのは、イシュチェルさんの不義が疑われたからです)

 マリエールはもう一つの可能性に辿り着いた。教皇庁が聖印を授けた理由を疑うべきだった。

(老王チャドラックは本当にイシュチェルさんを孕ませたのでしょうか? たとえ人工授精であったとしても、年齢的には相当厳しい。自然妊娠の見込みは低かった。だから、第一王子ドラミホールとイシュチェルさんの不義密通が噂されて⋯⋯)

 第六王子アーロンの外見は第一王子ドラミホールと酷似していた。まるで血の繋がった父親と息子のようだったという。

 

(あの性格です。イシュチェルさんは絶対に浮気をしていない。間違いありません。けれど、無自覚の不義だった場合は? 第一王子ドラホミールの精子を密かに仕組んだとしたら?)

 不貞行為の自覚を持たせぬまま、王妃ははイシュチェルは義息むすこドラミホールの子を孕んだかもしれない。

(医術師なら精子の凍結保存と移植はできる。原始的な方法を使えば偽装はもっと簡単です。イシュチェルさんの意識を奪い、その間に性行為を済ませてしまえばいい⋯⋯。仮にアーロン王子の出生がそうだったとしたら⋯⋯)

 教皇庁の枢機卿に向けて書いた手紙を思い出す。軍務省の検閲で握り潰されているかもしれない。仮に届いても返事も検閲で内容を調べられる。問いかけに対する返答を得られるかは微妙だ。

(国王チャドラックはイシュチェルさんの産む子供に執着した⋯⋯。たとえ自分の子種でなくとも⋯⋯。理由に思い当たる節があります)

 凄惨な政争を制し、バルカサロ王国の王座に登り詰めたチャドラック。王族の処刑は禁忌とされているが、事故や病死、不審死が相次ぎ、王宮は血に塗れた。そして、修道院に守られていた孤児のイシュチェル。教会は出時不明の幼女を外界に一歩も出さなかった。

(バルカサロ王家の血統はすり替わっているかもしれない。数十年前、国王チャドラックの即位では多くの血が流れてます。前王妃のエルシェベナが扇動した大規模な粛清〈鮮血革命〉があった)

 なぜ前王妃のエルシェベナが亡くなった途端、イシュチェルが新王妃に迎えられた。その答えは明白だ。王統の誤りを正すために教会が協力したのだ。

(子宮に刻まれた聖印はためにある。やはり不味い。そうだとすれば⋯⋯誰の子種であっても⋯⋯)

 ◆ ◆ ◆

「――あぁんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ あんっ♥︎ んあぁっ♥︎」

 イシュチェルは寝室のベッドで長乳を荒ぶらせていた。下品な大股開きで女陰を差し出し、オチンポの刺突を受け止める。包帯で両目を遮られ、視界は暗闇に包まれて何も見えない。目を患ったわけではなく、調教セックスの一環だ。

 指南役を仰せつかったセラフィーナは、イシュチェルを性奴隷に仕上げるため、自分が一年前に受けた辱めを再現していた。まずは徹底したセックス漬け。ベルゼフリートの巨根で熟れたオマンコを染め上げる。

「んぁっ♥︎ あぁぅうぅっ~~♥︎」

 イシュチェルは堪えきれずに絶頂した。ベルゼフリートの大き過ぎる逸物がグリグリと子宮口を抉じ開ける。

「膣内に出すからもっと両足をもっと開いて。無意識な悪癖だね。よしよし、いい子。褒めてあげるよ。これでオマンコの奥まで届く。んっ! それっ!」

「んひっ♥︎ ふぃっ♥︎ んぃぃぃっ♥︎」

 皇胤で満ち溢れた腔内に精子を大量注入する。

「目隠し状態だと激弱なんだ。こういうシチュエーションが好み? イシュチェルって縛り上げられたりすると興奮する変態さん? ニップルピアスも最初は痛がってたけど今はどう? 被虐体質だったりして? 乳首の痛みで感じちゃってる?」

 反り立つ乳首では、磨き上げられた銀製のニップルピアスが輝いている。ハートリング型の淫靡なアクセサリーが、イシュチェルの乳首をいていた。バルカサロ王国でもっとも高貴な未亡人な乳房が不可逆の疵孔きずあなで穢された。

「あぁぁっ♥︎ んぁっ♥︎ らめぇっ♥︎」

「くすくすっ! じゃあ、ご褒美ね。もっと気持ちよくなっちゃえ⋯⋯!」

 ベルゼフリートは乳首ピアスを乱暴に引っ掴み、垂れ気味のデカパイを吊り上げた。

「ひぎぃんっ!? ふぎぃっ♥︎ あぁぎゅぅうぅううっ♥︎」

「すごい。たぷたぷに伸びるねぇ。長乳は引っ張りたくなるんだ。垂れちゃったらごめんね。くすくすっ! デカパイを萎ませないためにも、妊娠しちゃえば? きっと肌に張りが戻るよ」

 鋭い痛みと激しい快感。相反する刺激に襲われたイシュチェルは淫らに雌のイキ声で啼いた。膣が引き締まり、子宮が震える。潮を噴き漏らし、盛大な嬌声を叫んだ。

「あぁんっっ♥︎ んう゛ぅ♥︎ んっ♥︎ んぁっ♥︎ あ゛ぁ♥︎ んぎゅぅ♥ んぁあぁっーーーー♥︎」

「僕がこんだけ精子を貢いでるんだからさ。そろそろ孕んでくれないかなぁ? イシュチェルは死んだことになってるし、産んでもバレないじゃん。秘密出産させてあげる。セラフィーナみたいに公開出産とかはしなくて済むはずだよ?」

 ベルゼフリートはイシュチェルの下腹部を両指で揉む。左右の卵巣を指圧し、排卵誘発のマッサージで攻め立てる。

「はぁはぁっ♥︎ はぁんっ♥︎ やぁっんぅ♥︎ やめぇぇっ♥︎ んひぃっ♥︎」

 悶え喘ぎながらも必死に首を横に振る。膣道は挿入された巨根にビッタリと絡みついているが、イシュチェルの心は屈しない。

「エルフ直伝の卵巣指圧マッサージでも堕ちないか。嫌なの? この強情者めー。精子どろぼー。セラフィーナやロレンシアはもっと素直だったのに。バルカサロ王国の王妃様は頑固過ぎ。えいっ! お仕置きだー♪」

 愉悦の混じった文句を吐きつける。卵巣を圧迫していた親指の力が少しずつ緩む。汗で濡れた白肌を滑り、腰の括れを掴んだ。爪が皮下脂肪に食い込む。

(目隠しで何も見えない⋯⋯っ! でも、分かっちゃう⋯⋯!! 子宮がはじけるっ♥︎ オマンコが壊されるっ♥︎ 腰椎ようついきしむっ♥︎ 私を孕ませようと襲い掛かってくるゆぅっ!! 耐え⋯⋯っ! 耐えないとぉっ⋯⋯っ!! 私はバルカサロ王国の王妃⋯⋯!! 醜態を⋯⋯! 犯されて無様に悦んじゃいけないっ♥︎ )

 デカ尻を引きずり寄せて、根本まで挿し込んだオチンポをさらに押し出した。

「おぉっ♥︎ んぉぉおっぉぉぉっ♥︎ お゛ぉ♥︎ んお゛ぉっ~~♥︎」

 引き千切れんばかりに伸びた膣道は痙攣を繰り返す。震えの止まらぬ肢体を押さえつけられる。耐えられるわけがなかったのだ。女陰は侵入した陰茎に媚びる。美熟女は美少年とのセックスを味わい尽くす。胎は若き子種を飲み干した。

「すごい反応。性感が高まってる証拠だ。オマンコは病みつきになってるね。こうして直に繋がってれば、アクメしてるのは丸分かりだよ。すごく汚い声で喘いじゃってさ。くすくすっ! 愉しい? 教会の修道院育ちでも、オチンポには勝てないんだ。⋯⋯って、もしもーし。あらら。意識がイっちゃってるね」

 愛児が通った産道は、幼帝の巨根によって緩々ゆるゆるのガバマンに開発された。けれど、ベルゼフリートの極太男根に性奉仕した女性器はそうなる宿命だ。

「んー。むむ? ん~? ねえ、セラフィーナ、ちょっと来て。これ、見てよ。イシュチェルの聖印が刻まれてるとこ。なんかさ⋯⋯」

「どういたしました?」

「とにかく見てよ。こっち、これ。イシュチェルの下腹部」

 新しい発見をした子供が母親を呼び寄せるような仕草で、ベルゼフリートはセラフィーナを手招きする。

「子宮を護る聖印が濃くなってますわ。どういうことでしょう?」

「やっぱり。そう見えるよね⋯⋯」

「そう見えてしまいますわ⋯⋯」

 ベルゼフリートとセラフィーナは顔を見合わせる。

「えぇ、なんで? なぜに!? 薄くなってもらわないと困るのに~!」

 さらに間近で確認してみると、以前より色の深みが増している。素人目には聖印の力が増していると思える。だが、セラフィーナはしっくりこない印象を受けた。

(教皇が授けた祝福にこれほどの守護力が⋯⋯? おかしいですわね。イシュチェルが拒絶しているとしても、ベルゼフリート陛下の御力を防ぎ続けられるものかしら⋯⋯?)

 セラフィーナは聖印の効力に疑惑を向ける。バルカサロ王家の血筋を紡ぐための祝福。ベルゼフリートの精子でイシュチェルは妊娠できず、事実上の不妊状態となる。

(この聖印⋯⋯。思い返してみれば⋯⋯。軍務省から聞かされた説明には違和感がありましたわ。マリエールが教皇庁宛てに書いた手紙にも気になる記述が⋯⋯)

 先般、セラフィーナはロレンシアと共に軍務省の呼び出しを受けて、マリエールが書いた手紙を見せられた。教皇庁宛ての手紙。その内容は当然、軍務省が検閲しており、機密が漏れないように徹底している。メガラニカ帝国がバルカサロ王国の王妃イシュチェルを確保し、後宮で囲っている情報は特秘事項である。

 検閲に引っかかる内容は、手紙に書かれていなかった。教皇庁の枢機卿に「後宮で不自由なく暮らしている」と伝える近況報告。けれど、一つだけ気になる表現があった。

 ――聖典であるように、チョウの違いは人間の決めつけです。醜ければ蛾、美しければ蝶。観測者の美的感覚でどうとでも入れ替えられる。けれど、これからの教会は、メガラニカ帝国の本質を見定めねばなりません。馬を指差して鹿と言わぬために。

(開闢教の聖典に〈蛾と蝶〉の記述はありません。そんな逸話、私は聞いたことがないですわ。⋯⋯そして結びの一文。〈を指差して鹿と言わぬために〉は古くからあることわざ。けれど、馬と鹿が逆になっていますわ)

 故事成語の〈鹿を指して馬となす〉とは、誤りや間違いを力づくで押し通すこと。メガラニカ帝国でも意味は通じることわざ。だが、ここで重要な点は鹿への言及だった。

(鹿はエルク⋯⋯。つまり、バルカサロ王国を象徴する国獣を意味していますわ)

 マリエールの真意は不明である。教皇候補に挙がっていた元聖女が聖典の内容を誤るとは考えにくい。故事成句で鹿と馬を取り違えているのも不気味だった。

「ベルゼフリート陛下、イシュチェルの聖印はどんなふうに見えておりますか?」

「この形?」

「はい。はねを広げた昆虫のように見えませんか?」

「ああ。たしかに! 言われてみれば綺麗な蝶々みたいだ!」

「⋯⋯私には醜い蛾に見えますわ」

 邪悪な笑みで両目を細めた。見解の大きな相違が生じる。

「えぇ? それってすごい偏見が入ってない? 聖なる御印なんだよ? 蛾はないでしょ。絶対に蝶々だよ」

 ベルゼフリートはセラフィーナをいぶかしんだ。

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