仮に逆の立場だったらと考える。
ラヴァンドラは失脚しようと、我が子を政敵に売り渡す非道はしなかっただろう。
「アルテナ王家の女王とメガラニカ皇帝の血を引く赤子ですわ。利用価値は計り知れないものとなるでしょう。軍務省が現在進めている計画に必要不可欠の存在ですわ。それを宰相派の王妃であられるラヴァンドラ妃殿下が手にする。使い道はいくらでも考えられますわ」
「現時点で、貴女はまだバルカサロ王家のガイセフ王と婚姻状態にあります。ならば、産まれた子供は婚外子。私生児の扱いでは?」
「ええ、その通りですわ。しかし、もし私が正式に離婚し、皇帝陛下と契りを交わせば、産まれる子供は嫡出子です。アルテナ王国の第一王位継承者となりますわ。そうならずとも、娘のヴィクトリカが死んだ今、アルテナ王家の王統を継げるのはこの子だけです」
子供の養育権は生母が有している。けれど、女仙は育児ができない。養子として近親者に預けるのが一般的だ。神官長のカティアが産まれたばかりの男児を〈暁森の一族〉へ委ねたように、遠縁の親類に与えることもあった。
(アルテナ王家の子供が手に入るのなら、軍務省の介入を妨害できる。アルテナ王家を存続させるにしろ、断絶させるにしろ、セラフィーナ女王が産む子供は今後の鍵となる……)
ラヴァンドラの事情も変わってくる。セラフィーナの子供をラヴァンドラ商会で利用すれば、アルテナ王国から莫大な富を引き出せるのだ。
(アルテナ王国は肥沃な穀物地帯。復興途上のメガラニカ帝国では食糧難が予想されています。ラヴァンドラ商会がアルテナ王国に傀儡の新王を擁立し、その交易利権を独占すれば……)
子供の売り飛ばしを提案しているセラフィーナは、そこまで計算にいれていないはずだ。そうラヴァンドラは予想する。
もっと頭が回るのなら、自分ではなく宰相のウィルヘルミナに提案をすべき取引だからだ。けれど、それこそが誤算であった。
セラフィーナの目的はウィルヘルミナの弱味を握ることだ。ラヴァンドラを呼んだのは、ウィルヘルミナに絶対の忠誠を誓っていない王妃だったからである。
明晰なラヴァンドラであっても、セラフィーナが皇帝と共謀し、宮廷の全員を出し抜こうとしているとは思い至らなかった。
「面白そうな話です。興味が湧いてきました」
莫大な利益に目が眩みつつも、ラヴァンドラは実利のある取引だと確信した。セラフィーナの思惑が何であれ、赤子を手に入れられるのなら些事に思えた。
「前向きに考えていただけるのなら、喜ばしい限りですわ」
セラフィーナはほくそ笑み、膨らんだ孕み腹を撫でた。
真実を明かすなら、胎児にどれほどの価値があるのか、セラフィーナは分かっていない。しかし、ラヴァンドラ王妃を懐柔できる価値があれば十分だった。
(条件はこれで揃いましたわ。そう……あとはロレンシアの働き次第なのだけど……)
ヴァネッサによって、ショゴス族の肉体改造を施されたロレンシアは、かつてのように動ける身体ではなくなっている。
苗床化による肉体変異は恒久的なものだ。元通りにはならない。急激に肥大化した腹部のせいで、歩行が難しくなり、今はリハビリの最中だった。しかし、肉体面よりも深刻なのはロレンシアの精神状態だった。
◇ ◇ ◇
「ねえ。ロレンシア? 大丈夫? 林檎、食べる?」
林檎の切れ端をロレンシアの口元の寄せる。
ベルゼフリートは十分に配慮しているつもりだったが、ロレンシアは首を横に振った。
「蜜入りで美味しいのに……」
ベルゼフリートは自分の口に林檎を放り込む。甘い果汁が舌の上に広がる。
「はい。これは確かに美味しいですね。陛下」
謹慎という名の休暇を終えたハスキーが、皿の上から林檎を掻っ攫っていった。勤務復帰後、ハスキーはベルゼフリートの元に駆け付けた。
「ハスキーはちょっとくらいは遠慮してよー。大神殿の巫女に頭を下げて、回復効果付きの林檎をもらってきたのに」
「神官は意地悪ですね。これくらい上質なスイーツを私たちにも回してくれると嬉しいのですけど」
「ほんと、これ美味しいね。祭礼用の果物らしいけど、精力回復効果もあるかなぁ? セラフィーナがセックス上手になってきたから、僕の方が体力的にきついんだよね。むしゃむしゃ」
希少な林檎は健康体の二人が食べ尽くしてしまった。ベッドに横たわるロレンシアは、寝室に押しかけてきた皇帝に怪訝な顔を向ける。
肉体改造エキスを注入されたロレンシアは、子宮の変異に苦しんでいた。
腹部は数倍に膨れ上がった。乳房の大きさは爆乳のセラフィーナを凌駕するバストサイズとなった。急激な肥大化に血管が追いつけず、皮膚下で小さな内出血が生じていた。
「丈夫な身体だね。ショゴス族の借り腹は、普通一人につき一人。なのに、ロレンシアは11人分の寄生卵子を送り込まれたのとか……。ヴァネッサも酷いことするよ」
「11人のショゴスに輪姦されれば、こんなお腹になってしまうのですね。本当にショゴス族の文化は恐ろしい。総長には逆らいたくありませんね」
「ロレンシア。お腹を出して。クリーム塗ってあげるよ」
ベルゼフリートは治癒クリームを手に馴染ませ、膨れ上がったロレンシアに腹部に塗りたくる。治癒ポーションを軟膏に混ぜた医療薬。皮膚下の内出血を癒やすために処方された。
「皇帝陛下の依怙贔屓が激しいですね。私が妊娠したときにはしてくれなかったサービスです。ちょっと妬いてしまいますよ?」
「ロレンシアはヴァネッサの相手を務めたんだよ? 労ってあげないと。次はおっぱいね。」
優しい手付きでブラジャーを外し、丸々と肥えた爆乳をマッサージする。天然物のセラフィーナと違って、不自然に大きく、柔らかみよりも弾力が強い。
「さっきからずっと黙ってるけど、セックスするとき、ロレンシアは無口なタイプなのかな?」
いつの日か、その時が来ると覚悟していた。同性とはいえども、既にヴァネッサをはじめとするショゴス族の女官に辱められた身体だ。皇帝の相手をするのに強い拒絶心はなかった。
「ヴァネッサだけじゃなくて、セラフィーナからお願いされてるんだ。少しでもロレンシアを楽にさせてほしいって……。大変な目に遭ったんだから、それくらいの役得はあってしかるべきだもんね」
ベルゼフリートは衣服を脱ぎ捨てる。色黒の素肌を晒し、勃起した肉棒が顕わとなった。貞淑な人妻だったセラフィーナを淫欲で染め上げた男根。
ロレンシアは少年の裸体を静かに見つめる。
「歩けないんじゃなくて、歩こうとしてない。ヴァネッサはそう言ってたよ。女官総長のヴァネッサは一流の医術師なんだ。腕前は医務女官長と同等。ヴァネッサの診断に間違いはないと思うよ」
リハビリ中のロレンシアは、補助杖なしで歩けなくなっていた。その原因が精神にあると、ヴァネッサは診断した。
急激な肉体変異により、身体能力は低下している。だが、歩行程度の運動能力は残っているはずだった。
「女仙は僕と深く交われば精神的な傷が癒えるらしいよ。どこまで本当なんだろうね。でも、ロレンシアのオマンコはびしょびしょに濡れてる……。そんなにセックスが好きそうにも見えなかったけど、まんざらでもない?」
「私に寄生しているショゴスの卵子が陛下を求めて、女陰を疼かせるのです……」
「ショゴス族の借り腹になると、そうなるんだね。でもさ、子宮にはロレンシアの卵子だって少しは残ってるはずだよ。ショゴス族に寄生された卵子だとしても、ロレンシアの遺伝子も受け継いでる」
「……あっ♥︎ やめっ……まだ準備が……んぁ♥︎」
「非処女を相手にするのは二人目。乙女じゃないセラフィーナやロレンシアを宮廷に上がらせたのを批判する人は多い。だけど、僕は嫌ってないよ」
「んぁっ♥︎ はぁう……ああ……あっ♥︎ だめ……こんなに大き……っ♥︎ んはぁ……♥︎ いやっ……♥︎」
「酷いなぁ。僕のオチンポなんか、ヴァネッサに比べれば可愛い物だと思うけど?」
仰向けに横たわるロレンシアの腰を持ち上げ、ズブズブと肉棒を挿入していく。太々しい男根に貫かれ、ロレンシアは嗚咽を漏らす。
「ロレンシアも結婚してたんだってね。若妻って響きもすごくいい。ちょっと意地悪しちゃおうかな。僕とのセックスを堪能してもらいたいから、イく寸前で止めてあげる」
肉厚な男根で窮屈な膣穴をほぐしていく。ショゴス族の生殖触手で敏感に改造された女性器が熱を発する。
卵巣に潜む寄生卵子は、喜悦の叫びを上げた。性的刺激を神経に飛ばし、男根から子胤を搾り取ろうと膣道を収縮させる。
「あっ……♥︎ んぁっ……♥︎」
「どうかな。僕のオチンポのお味は? ロレンシアのオマンコと繋がってるよ。優しく抱いてあげる」
乳房を揉みながら、ベルゼフリートはゆっくりと腰を動かす。
最近はセラフィーナにもセックスで負け気味だった。ベルゼフリートは初々しい反応を見せるロレンシアにご満悦だった。
(ヴィクトリカ王女が死んで、悲しんでるセラフィーナだって僕とのセックスで立ち直ったんだから、ロレンシアにも頑張ってもらわないとね。どんなに綺麗事を並べようと、ロレンシアだってセックスの快楽には抗えないんでしょ?)
乳首から滲みだした母乳を舐める。乱暴にかじり付かず、子猫のように丁寧な舌使いで舐め回した。
「ロレンシアのおっぱい。とっても美味しい。お礼をたっぷりしてあげるね。だから、身体の力みを抜きなよ。誰もロレンシアを攻めたりはしないよ。僕の後宮にいるんだから、セックスするのは当たり前。気持ちよさに抗っちゃだめだ」
幼馴染みのレンソンとの間に生まれるはずだった子供をロレンシアは流産している。原因は〈不老の血酒〉を飲んで女仙となってしまったせいだ。子供を殺す原因となった幼帝に母乳を貪られているというのに、ロレンシアは抵抗を示せなかった。
(もうどうでもいい……。だって……私には何も……抗えない……。すごく気持ちいい……。だから、もう……諦めていいでしょ……?)
ロレンシアは幼少期に、騎士として王家に絶対の忠誠を誓った。王家への忠誠心は今も揺らいでいない。しかし、もはや騎士の矜持は、失われてしまった。
「んほおおっ……♥︎ んぎぃっ……♥︎ あぁ、出っ、出ちゃうぅ♥︎」
母乳が溢れ出す。正常位でロレンシアを犯すベルゼフリートは左右の乳首を束ねて、口いっぱいに頬張った。
「甘味が強くなってきた。さっきの林檎より、こっちのほうが好みかも♪ 胸が張って苦しそうだから、もっと吸い出してあげる♥︎」
亀頭で子宮を小突きながら、爆乳化した乳房から母乳を絞った。
極上の乳汁を吸いあげ、食欲と快楽を堪能し、ベルゼフリートの心は満たされた。