黄葉離宮の側女は新参者で構成されている。
女王セラフィーナの従者として入内したロレンシア、元一級冒険者のララノア達、彼女らは正規の手順を踏まずに女仙化した者達だ。
秩序を絶対とする宮中でこうした例外的措置が取られたのは、ひとえに三皇后と皇帝の意向が働いたからである。
唯一、リアだけが真っ当な手続きを経て側女になっている。本来の主人ヘルガはケーデンバウアー侯爵家当主の王妃であり、軍閥派次席と首席宮廷魔術師の地位を兼ねる上級妃の臣下。出向扱いで黄葉離宮に属しているが、側女の中でも地位は高いと言える。
何よりもリアの祖父は帝国軍の名将と名高いウィリバルト将軍だった。軍部を疎む国民議会の議員達ですら一目置く老将。長年にわたる貢献は誰もが認め、皇帝からは個人的な信頼を寄せられている。
リアが側女になれたのは、そういった背景が強く影響している。
名門ケーデンバウアー侯爵家の推薦やウィリバルト将軍の偉勲を考慮し、先天性疾患で成年まで生きられないと診断されていた病弱なリアに血酒が与えられた。溺水で死にかけていたイシュチェルが回復したように、リアも血酒の仙薬で命を救われた一人であった。
「もうすぐ胎孕廟堂に入るんでしょ? リアは真面目過ぎ。僕がいる間は女官に任せちゃいいんだからさ。このお腹じゃ掃除とか大変でしょ」
クッション付きのソファーに腰掛けたベルゼフリートは、ボテ腹の曲線を人差し指の爪でなぞる。臨月を迎えたリアの腹部は見事に膨れていた。
犬耳の美少女は恐縮しつつも、顔を赤く染めて喜ぶ。敬愛する皇帝の御子を授かった。育ててくれた祖父や早逝した父母に対する最高の恩返しとなる。
(本当によろしいのでしょうか? 私なんかが陛下の隣に座るなんて⋯⋯)
慎み深いリアはこうも考えてしまう。
(宮中にはもっとふさわしい高貴な方々が⋯⋯。私はヘルガ妃殿下のように賢くもありませんし、セラフィーナ様のように美しくもない。こんな私が皇帝陛下の御子を産む⋯⋯)
側女の自分が皇胤を頂くのはあまりに畏れ多い。リアの生まれについては誤解している者が宮中にもちらほらといる。祖父の輝かしい功績で、名高い武家だとか貴族令嬢と思い違いをしていた。実際はケーデンバウアー侯爵家に仕える使用人の家系。先祖は共和主義に傾倒し、反皇帝を掲げていたため、後になって迫害を受けた。
ケーデンバウアー侯爵家の庇護を受け、名誉回復のためにウィリバルトが奮闘した結果、今の栄えある地位を得た。平民とは言い切れない微妙な立ち位置だ。誉れ高き騎士の孫娘。平民と呼べなくもないが、社会的評価は特権階級の貴族に寄っている。
ケーデンバウアー侯爵家という強大な後ろ盾、帝国軍の重鎮が可愛がるたった一人の孫娘、さらには皇帝の寵愛を授かったとなれば、貴族令嬢と同列に扱われて当然である。無論、奥ゆかしい性格のリアは望外の厚遇に恐縮するばかりで、驕り高ぶりとは無縁な娘だった。祖父が施した教育の賜物である。
「皇帝陛下⋯⋯」
「なぁに? くすぐったかった? お臍は弱点だったりする? じゃあ、こっちを弄っちゃおうかな」
ベルゼフリートの悪戯好きな指先はリアの乳房を挟む。
色事を知らぬ乙女だった頃なら、恥ずかしさで声をあげていただろう。リアは真面目な顔つきで語りかける。
「黄葉離宮にご滞在いただくのは嬉しく思います。しかし、お妃様達の不興を招きはしないでしょうか? 差し出がましい諫言とは存じますが⋯⋯」
「大丈夫! ヘルガのところにも顔を出してるよ。ヴァネッサとハスキーはいつも嫌な顔するけど。ほら、ヘルガって噛み癖があるじゃん。僕は気にしないのにね」
「あ、いや、その⋯⋯。ヘルガ妃殿下ではなく⋯⋯。大勢のお妃様が皇帝陛下のご訪問を心待ちにしておられます」
「そういうことね。リアは気を回すねぇ。頑張ってハーレムを運営してるつもり。でもねぇ、これ以上は無理だ。僕は分身とかできないからさ」
「申し上げるのは憚られますが、私の祖父を通じて陳情が届くほどです。皇帝陛下に取り次いでほしいと⋯⋯」
「へえ。それは驚き。軍規を擬人化したウィリバルト将軍に頼むんだ。ふーん。まあ、その口利きに耳を貸してもいいよ? 優遇してほしいのはどこの妃? 軍閥派だよね?」
軽率にベルゼフリートは持ちかける。リアは室内にいる女官達の表情が険しくなった一瞬を見逃さなかった。背中から冷や汗が滲み出る。
壁に背を預けている警務女官長ハスキーの視線が鋭く光っていた。
「とんでもない! そういうお話が来るというだけです。祖父は断っておりますし、私に対しても皇帝陛下を⋯⋯! 畏れ多いのですが⋯⋯誑かすだとか、そういう誤解を招く行動を慎むように、きつく言い含められております!」
「そうなの? 僕は甘やかされたいし、リアに誑かしてもらいたいな」
「いくら皇帝陛下のお望みでもそれだけは無理です⋯⋯。ご容赦くださいっ⋯⋯!」
「まあ、でも、そりゃ、リアだって嫌なことは嫌だもんねぇ。血は争えないか。曲がったことが大嫌いな根っからの職業軍人。宮中工作を仕掛けるにしても、頼む相手を間違えてる。さっきのは冗談だから、聞きが流しちゃって~」
ベルゼフリートはこれから生まれてくるリアの子供も真面目一辺倒な性格なのだろうと感じた。
「祖父の性格は内外に知れ渡っております。それにも関わらず、さまざまな方々が手紙を送ってくるそうです」
「将軍、大人気じゃん」
「祖父は困っているようでした。わざわざ駐屯地の西アルテナ王国まで出向く御方がおられるそうです」
「新しい妃の入内が噂されてる。お願いをしてくる軍閥派の妃は藁にも縋る思いってヤツかな? 新入りが来る前に身籠りたい⋯⋯だろうね⋯⋯。必死なのは分かる。押し倒されたって僕は構わない。でも、度が過ぎるとね、縮こまっちゃうな」
度が過ぎる妃達には自分も困らされていると愚痴をこぼす。しかし、本音を明かせばベルゼフリートはまんざらでもなかった。年齢の割に性経験豊富であるものの、少年は性豪の妃達には勝てない。
迫られ、押し倒され、耳元で口説かれる。
皇帝に即位して以来、それがベルゼフリートの日常だ。
(――今日の僕は捕食者側だけどね)
いつもは獲物の側にいる。だからこそ、襲う側の楽しみを味わってみたいのだ。
「そういう意味では側女も同じですね。私の個人的な友人達ですが、黄葉離宮に出向を希望しております」
「黄葉離宮は人気の職場なんだ?」
「ほんの一年前までは私に同情していたのですけれどね。島流し扱いでした」
「リアのお友達か。じゃあ、ヘルガに仕える側女だね」
「はい。友人達を悪く言いたくありませんが不純な動機です。⋯⋯皇帝陛下のお手付きを目当てにしております」
「そうは言っても働き手は必要だよ。リアは出産で胎孕廟堂に行く。そうなったら黄葉離宮は人手不足じゃん。女官の有能人材を派遣する話もあったくらいだ。ヴァネッサは部下を貸し付けたがってた。でも、黄葉離宮は軍閥派の縄張り。レオンハルトやヘルガが許さなかった」
「私も懸念しておりました⋯⋯。セラフィーナ様は外から新しい側女を黄葉離宮で迎えると仰っておられました」
「うん。今、セラフィーナが迎えに行ってるね。新入り二人が黄葉離宮に到着するのは夕方くらいかな? 一人は教会の元聖女だから念入りに枷を付けなきゃいけないってさ。出入管理の女官が気合を入れてたよ」
「もう一人はバルカサロ王国の王妃なのですよね?」
「そうだよ。国家機密なんだけどリアは知ってるんだ? ああ、そっか! 黄葉離宮の側女には教えられてるんだった。秘密の割に知ってる人が多い。面白みに欠けるねぇ」
「婢女のご事情はお聞きいたしました。口外してはならないとも存じています」
「さすがしっかり者のリアだ。むしろ僕が滑らせそうで怖いや。バルカサロ王国の王妃がメガラニカ帝国にいるのは極秘だってさ。故国を追われた可愛そうな未亡人か⋯⋯。どんな人なんだろ?」
「詳しくは知りませんが、バルカサロ王国はメガラニカ帝国に戦争を仕掛けてきた蛮族の国です。良い印象はありません⋯⋯」
「そこそこ歳いってるらしいよ? セラフィーナよりちょい上だってさ。長老派の平均年齢ほどじゃないだろうけど。くすくすっ!」
ベルゼフリートは腹を抱えて大笑いする。リアは引きつった愛想笑いで誤魔化した。
(ううっ、皇帝陛下⋯⋯。困ります。私のような側女はそのような御冗談ではとても笑えません⋯⋯。女官の方々にも聞かれておりますし、告げ口でもされたら⋯⋯)
長老派の女仙はエルフ族や神族などの長命種で占められていた。若々しく見目麗しい外見の美女だとしても、その実年齢は軽く百歳を超えている。
黄葉離宮にも長命種のエルフ族が一人いる。
ベルゼフリートとリアが乳繰り合ってる部屋にララノアが入室する。扉越しであったが、先ほどの笑い話はエルフ族の細長耳に届いていた。
「お年寄り扱いされますが、エルフ族からすれば他の種族は老化速度が早すぎます」
「あらら? 廊下にまで聞こえてた? ごめんね、ララノア」
「私は構いませんよ。しかしながら、大神殿の女仙は皇帝陛下の誕生をずっとお待ちになっていたのですから、そういう言い方は酷いですね」
ララノアは人生経験豊かな年長者らしく、皇帝の軽口を嗜める。
「ちょっとした冗談だよ。本気にしないで。ララノアも僕のために、ずっと処女を守ってくれてたんだもんね」
「ええ、まぁ⋯⋯そうです⋯⋯ね」
冒険者時代に捨てる機会を見失った結果、成人してから百年以上も未通女であったとは言えなかった。
(皇帝陛下に処女を捧げられた僥倖を喜ぶべきかしら? ついこの前まで、彼氏いない歴が年齢だったのに⋯⋯)
ララノアは日増しに重たくなるボテ腹を両手で下支えする。妊娠確率が低いエルフ族であろうと、たっぷりと精子を中出しされればこの通りの妊婦になる。
「他の皆は?」
「湯浴みを終え次第、こちらに参ります」
「そっか。じゃあ、ララノアもこっち来て座りなよ」
「失礼いたします」
促されてララノアはベルゼフリートの隣に腰を下ろした。
柔らかなソファーが沈む。妊娠後は食欲が旺盛になって体重が増えた。現役の冒険者時代と違って、激しい運動をしなくなった影響もあるだろう。胎児の重みだけでなく、乳房や臀部が肥えてしまった。
(後宮の女になったことを考えれば、ふっくらとした体型への変化は正しいのでしょうね。調理担当のリアが美味しい料理を作ってくれるから、つい食べすぎてしまうわ)
ララノアはベルゼフリートに素肌を密着させる。
入内したばかりの頃は距離感が掴めなかったが、夜伽の相手を務めているうちに慣れてしまった。相手が皇帝だからといって、何ら臆する必要はない。自分の膨れた子宮には、その皇帝から授かった御子が宿っているのだ。
「頼んでたテレーズの件、なんとかなりそう?」
乳房を丹念にマッサージしながらベルゼフリートは問う。ララノアは冷静を装っていたが、乳首の勃起は隠せていなかった。
「最善を尽くしました。いざとなればルイナとアリスティーネの二人に止めてもらいます。アマゾネス族の馬鹿力が役に立つでしょう」
「身重なんだから無茶をさせちゃダメだよ?」
アマゾネス族の女戦士は屈強だ。しかし、子産みの時期は身体を労る。
自分よりも強い子供を残す、それこそが生来の宿願。子孫繁栄に全身全霊を注ぐ種族である。アレキサンダー侯爵家の姉妹達ですら妊娠中は産休を取っている。
「それを言うならテレーズも妊娠中です」
「テレーズはいつも元気だから大丈夫じゃない」
「見た目だけはお淑やかな聖職者なのですけれどね⋯⋯。皇帝陛下もご承知とは思いますが、新入りの二人について、上手くやっていけるでしょうか? 私達は合わせられますがテレーズはあの性格です。エルフィンがボヤいていましたが、わざわざ黄葉離宮に入れる必要があったのでしょうか? 教会圏の人間ですよ?」
「色物の女仙は一箇所に集めたいんじゃない? リスク管理的にもさ」
「聖堂会の敬虔過ぎる信徒に、教会の聖職者をぶつけるなんて⋯⋯。事故に見せかけた謀殺でも考えられているのですか?」
「殺す気はないね。反対意見を押し切って異例の入内だよ? 僕だって本当のところは分からない。三皇后はどうしたいだろうね。⋯⋯改宗させたいとか?」
「それだったら大神殿に行かせたほうが、まだ可能性を感じますね。テレーズができるのは脅迫的洗脳だけです。布教に成功しているところを見たことがありません」
「だよね」
「身内を悪く言いたくありませんが、聖堂会は帝国内でもアレな扱いなんですから⋯⋯」
「でもさ、熱烈な愛情表現は嬉しい。テレーズの良さが最近になって分かってきた気がするんだ。聖堂会の女僧服は美女が多いんだって」
「毒されておりませんか? 失礼ながら、それは危ない兆候かと⋯⋯んっ⋯⋯はぁんっ♥」
乳首を甘噛されたララノアは、可愛らしい声で喘いでしまう。すぐに唇を結んだが、喜悦の叫びは室内の全員が耳にした。
「ララノアの母乳はまだ出ないね」
「まだ出ませんよ。気が早いです」
泌乳は分娩後に起こる生理現象である。ララノアはまだ初産を終えていない。
「出そうなくらい乳輪は黒くなったのにね~」
「⋯⋯それは皇帝陛下が吸い過ぎだからです」
青白い血管が浮き出た爆乳は、ダークブラウンの乳輪が目立っている。胎児が大きくなるにつれて色濃く変化していった。
「そういえばさ、リアが黄葉離宮の厨房係だったんでしょ? 胎孕廟堂にリアが行ってる間、誰が料理をするの? ララノア達? セラフィーナはすごい量を食べるからきっと大変だよ」
「私達も手伝いますが、厨房係はロレンシアさんの担当になりました」
「ほへぇ。ちょっと意外だ。ロレンシアは料理ができるの?」
ベルゼフリートの二重の疑問を覚えた。まずロレンシアの前職はアルテナ王家に仕える近衛騎士。美女令嬢がお飾りをしていたわけではなく、鎧を着込み、剣と盾で戦っていた。
疑問に対する答えはリアが答えてくれた。犬耳を嬉しげに立たせながら事情を説明する。
「僭越ながら私が料理を教えています。ロレンシアさんはお身体のことがありますから、厨房に立ちたいと自ら希望されたのです。今は二人体制で黄葉離宮の厨房を担当しています」
「美味しい料理なんだろうね。妊娠してるのを差し引いてもララノアがちょい太るくらいだもん」
ニヤリと笑みを浮かべたベルゼフリートは、ララノアの媚肉を撫で回した。
「皇帝陛下ったら⋯⋯もうぅ⋯⋯。太っているなんて人聞きの悪い。私は御子の出産に備えて栄養を蓄えているのです!」
「そうかな~? 会ったときに比べて、全体的にぷにっとしてるけど?」
「うっ⋯⋯! やっぱり?」
「エルフ族はそういう人が多いよ。痩せすぎよりは、ふくよかな方が健康だしね。それとも運動しちゃう? リアだって出産直前の臨月ボテ腹セックスをしたいよね?」
「あ、あんっ♥ んあっ♥ 陛下っ♥ まだ他の者達が来ておりませんよ。それにセラフィーナ様が留守の間に始めるのは⋯⋯んぁ⋯⋯♥ んぅう~♥」
「えっ⋯⋯えっと⋯⋯。私は⋯⋯! 皆さんを呼んできま⋯⋯! きゃんっ♥」
両腕を広げたベルゼフリートはララノアとリアの女陰を弄る。左右の手が下着に潜り込み、愛液で濡れた膣穴を手淫する。
(なんという皇気⋯⋯♥ 女仙の身には堪えるっ♥ 妊娠してから性感帯が敏感に反応するっ♥ これはもう身を委ねるしかないっ♥)
(皇帝陛下の御手々がオマンコにっ⋯⋯♥ こんなに拡がるんだ⋯⋯♥ あぁっ⋯⋯あぁ⋯⋯♥ ララノアさんもあんな顔で⋯⋯♥ 私もきっと同じ顔をしてる⋯⋯♥ 皇帝陛下に性奉仕♥ ご奉仕したいっ⋯⋯♥)
股を広げて喘ぐ二人の妊婦は、震わせた喉で淫声を奏でる。おっ広げに開脚する痴態は、さながら出産の予行演習だ。股間をもっこりと膨らませたベルゼフリートはララノアとリアの二人に命じる。
皇帝のお強請りを側女はけして拒めない。
「僕はもう両手が塞がっちゃってるから、自分で乳首を弄ってね。先にアクメしたほうが勝ち。ご褒美のオチンポをあげる」
ベルゼフリートの握り拳が割れ目に入り込む。巨根に慣らされてガバマンとなった膣道は小さな手を受容する。手首から先がすっぽりと挿入されてしまった。
「んふぃんィっ♥ あっ♥ ああぁっ♥」
「きゃっ! きゃふぅうっ♥ あぁっうんんっ~~♥」
発情状態に陥ったララノアとリアは自分自身の乳首を抓る。母胎の淫悦に反応して、子宮の胎児が動き回り始めた。膣道に突っ込まれたベルゼフリートの拳が襞を刺激する。
「膣内に手を突っ込んでるからアクメの動きがすぐ分かるよ。さあ、どっちが先かな? くすくすっ⋯⋯♥」