ルキディスとカトリーナは湯船に浸かっていた。
東方の大国と名高いラドフィリア王国は、王都のみならず主要都市は上下水道が完備してある。インフラ設備が整っていないのは人口が少ない農村部くらいだ。
一方、小国サピナで水道が完備してあるのは王都の一区画のみだ。
下水設備の有無は公衆衛生に大きく影響する。暮らしやすさだけでなく、防疫の観点からも、人口が密集する都市部は水道を整備すべきだった。しかし、インフラを整えるには高度な技術と巨額の資本が必要だ。
そのどちらもサピナ小王国は持ち合わせていなかった。
(水道を敷設する場合、大規模な浄化術式を組む必要がある。術式を構築した後も整備と管理が不可欠。しかし、その人材がサピナにはいない)
ルキディスは湯船に浸かりながら、手に入れた貧国をどうやって成長させようかと頭を悩ませる。
(王都のインフラだって大昔の骨董品を騙し騙し使い続けているようなもんだ。いつ機能不全に陥るか、分かったもんじゃない。必要なのは『土木技術』と『術式技術』。肝心の技術者が不足している)
財政は逼迫している。ラドフィリア王国からの経済援助でかろうじて破綻を免れている状況だ。
(どうにか資金を捻出して、他国の職人集団に外注するのも一つの選択肢だ。しかし、浄化術式の運用に定期的な保守管理が……。まったく! どこからその費用を捻出すればいい? 頭が痛くなってきた。今はやめておこう。考えても答えは出ない)
入浴する度に思うのは、上下水道の重要性だ。サピナ小王国の農村では、井戸水の冷たい水を使って身体を洗っている。王都ですら各家に風呂があるわけではない。
市民が使うのは公衆浴場だ。革命の後、貴族から没収した財産を注ぎ込んで、公衆浴場を無償化した。今のサピナ小王国にできる最大限の社会保障だった。
もし王都に暮らす民家全てが湯船を持つようになったら、時代遅れの下水浄化術式では対応できない。近くの河川が汚染され、下流の水質が悪化し、飲水の問題が表面化する。
「湯加減のほうはいかがでしょうか?」
世話役の女性バトラーが、入浴中のルキディスとカトリーナに問いかけた。
湯温は人それぞれ好みがある。ルキディスに拘りはない。凍るような冷水でなく、沸騰する熱水でなければ十分だった。
シェリオンと出会った頃は、雨水で泥を落とす野性味溢れるサバイバル生活をしていた。
お湯を使えるだけで贅沢なことだ。
魔物は文明的な存在に対して、破壊衝動を抱く生き物である。しかし、冥王は魔物の本能を抑えられる。
普段から文明の利器を愛用していた。一度でも文明的な生活に慣れると、かつての不便な洞窟暮らしはできなくなった。
「快適な湯温だ。カトリーナはどうだ?」
「ええ、ちょうどいい湯加減ですわ」
バトラーは給湯器から魔石を外した。市民は薪や泥炭などの自然燃料を使う。一方で、貴族は魔石で湯を沸かしていた。失火の危険があるため、火を極力使わないようにしているのだ。
自然物の燃料に比べ、魔石などのマナ鉱石は高コストである。だが、薪や泥炭と違って煙を出さない。王都の空気を汚さないという利点があった。
貴族街の空気は澄んでいる。どこの屋敷も無煙を徹底しているからだ。
(――それにしても、お熱い夫婦。新婚さんかしら? 当然のように一緒の湯船に入るなんて……。私だったら恥ずかしくて、とてもじゃないけどできないわ)
高級な宿屋で働くバトラーは男性が多い。しかし、女性バトラーは常に一定の需要がある。夫人の世話係に下男は使いにくいからだ。ただし、貴族夫人は侍女を連れていることがある。その時は出番がない。
(外交に関わっている貴族だから、失礼がないようにと支配人から言われているけれど、無理難題を言ってくる夫婦じゃなくてよかったわ。どこの国から来たのかしら……?)
ルキディスはサピナ小王国の名を出していない。サピナ小王国から売られたと思わしき犬族の奴隷には言いにくかった。
豪勢な生活を楽しむサピナ小王国の外交官が現れたら、苦労して異国で成り上がったと思われる彼女は何を考えるだろうか? ただでさえ負の印象を抱かれているのに、祖国への愛がことさら減るのは分かりきっていた。
「ん? どうした。カトリーナ……?」
「いいえ。何でもないわ」
カトリーナは浴室の鏡で自分の顔を見ていた。顔を洗ったのに化粧が崩れない。
化粧落としを使うか、冷水で根気よく洗顔しない限り、化粧は落ちないと仕立て屋が自慢げに語っていた。それは本当だった。
(……でも、この化粧で家に帰るわけにはいかないから、朝になったら渡されたクレンジングオイルで落とさないと)
(ふむ。ユファの言ってた通り、本当に化粧が落ちていない。どうしてあんなに化粧代が高いのかと思ったが、これなら納得だな。さすがユファだ。……でも、ちょっと高かったな)
ユファ曰く「死に化粧になるかもしれないから、出し惜しみは失礼ニャ」ということで、カトリーナの化粧にかなりの金を払った。
パーティードレスほど高価でなかったが、支払いは金貨単位になった。
ルキディスが使っている資金は、革命時に王家から没収した財産である。けれど、それだって国費には違いない。無駄な出費を抑えたい冥王はかなり悩んだ。だが、ユファの言い分も一理あると考えて、ユファに全てを一任した。
(……とはいえ、死に化粧になるかもしれないからっていうのは、あんまりだろう。せめて嫁入りの化粧だから高い化粧にしたと言うべきじゃないか? 苗床と眷族、どちらになるにしろ、人間として死は確定だがな)
ルキディスはカトリーナの肩を抱き寄せた。湯船の中なので身体が軽い。だが、浮力のせいだけではない。カトリーナが抵抗せず、ルキディスに身体を委ねきっているからだ。
肉体の火照りを感じていた。夜戦を再開するには良い頃合いだとお互いに思った。
カトリーナは王立劇場で味わった性的快楽にもう一度酔い痴れたかった。自発的にルキディスの股間に跨がった。
「ねえ。あなた。そろそろいいでしょう。早く、挿れてちょうだいッ♥」
「ああ、分かったよ。欲しがりだな」
ルキディスは優しく耳元でささやいた。
「んあぁん……っ!」
カトリーナのオマンコは再びルキディスの肉棒を受け入れてしまう。結合部からぞわぞわと快楽が登り、淫悦が脳を酔い狂わせる。下腹部の筋肉が痙攣し、男根を呑み込んだ膣道が引き締まった。
「味を占めたな。積極的に搾り取ってくるようになった。ここなら気兼ねなくセックスを愉しめる。脱衣所の奥にバトラーがいるが、あれは単なる使用人。置物とでも思え。思う存分、悦びで喘ぐといい」
ルキディスは〈変幻変貌〉を発動し、陰茎の形状を変化させる。
王立劇場の個室席では、人間形態の陰茎でセックスした。しかし、宿の客室でなら遠慮はいらない。カトリーナを思う存分、喘がせ、啼かせ、犯し抜ける。
カトリーナのオマンコに最も適応したオチンポの形状で堕とす。
「んっ、ぁん……♥ 私のオマンコでルキディスのオチンポが膨らんでるぅ……っ♥」
膣内で男根の膨張と変異が始まる。夫のものより巨大だったルキディスのオチンポがさらに肥大化し、カトリーナの子宮を侵略する。
「んぁ♥︎ あぅっ♥︎ あぅうっ♥︎ はぁはぁ♥︎ さっきよりも大きくっ♥︎ すごぃいっ♥︎」
内部で激しく蠢いている。オマンコの形を作り変えられているかのようだった。
実際、冥王の男性器は交わった女を魔物化させる。肉体を作り変えているのは事実だ。しかし、カトリーナは興奮による作用で身体がそう感じていると錯覚した。
「んふぅぅううう……♥ んくぁ……っ! あっああああんぁ……っ!!」
ルキディスが腰を突き上げると湯も揺れる。波に勢いが乗った。湯船から湯水がこぼれ、流れ零れていった。
「どうだ? カトリーナ?」
「すごぃ……♥ ルキディスのオチンポぉ、すごすぎるぅううう♥」
冥王との性交で得られる性的快感はどんな悦楽にも勝る。
往古の世界を脅かした魔王と違って、冥王は強大な力を持たない。その代わりに与えられたのが、女に極上の快楽を感じさせる権能だ。繁殖で戦力を増やす冥王は、生殖能力のみに特化している。
(乱れてるな。雄の冥利に尽きる。とても良い蕩け顔をしているじゃないか。この声量だと向こうで控えているバトラーに聞こえてるな……)
冥王も快楽は感じるが、一時の感情に流されたりはしない。下半身と上半身に別々の思考回路があった。カトリーナのオマンコを虐めつつ、頭ではバトラーをどうするべきか考え込んでいた。
(リスクを考えれば、俺達の会話を聞かれたくない。あのバトラーは『ルキディス』『カトリーナ』と名乗る夫婦がセックスしているのを知ってしまった。会話の内容を聞かれてしまっている。風呂から上がったら、追い出したほうがいいな)
女性バトラーを遠ざけたい理由はもう一つある。
(冥王の瘴気にあてられて発情でもしたら、それはそれで困る。今夜の相手はカトリーナだけだ。下調べもしていない女の相手はできない)
ルキディスはカトリーナの乳房を両手で揉みしだいて、カトリーナを絶頂へといざなう。
「来るぅ……っ♥ わたし、そろそろぉ……んァ……♥ イくぅっ♥ イっちゃいますわぁ……♥ ルキディスっ♥ お願いぃ……っ♥」
「何がほしい? ちゃんと言葉に出して言ってみろ。カトリーナ」
「オマンコの一番奥に精子をちょうだいっ……っ! 私の子宮にあなたの子種を注いでっ♥︎ 好きになってしまったのぉ……♥︎ もう自分を止められないっ! お願いだから出してっ♥︎」
「妊娠してしまうかもしれないぞ」
「赤ちゃんができてもいいっ♥︎ 愛してるっ♥︎ 貴方を愛してるのっ♥︎」
「分かった。俺もカトリーナを愛してる。しっかり受け止めろ」
要望通り、ルキディスはカトリーナの膣内に子種を放った。子宮が冥王の種で満たされる。胎内に入り込んだ精子は細胞を侵食し、子宮を冥王専用の孕み袋へと作り変えていった。
「んぁっ♥ んぁ、んぁぁああああああぁ……ぁ♥ オッパイからミルクが出ちゃう♥︎ こんなの始めてっ……♥︎」
ルキディスはカトリーナの乳首に口を当てる。カトリーナの乳房から大量の母乳が湧き出していた。冥王と交わった影響で、滲む程度にしか出なくなっていた母乳が復活したのだ。
「母親の味だな。お前のミルクは美味いぞ、カトリーナ。独占したくなる。俺以外の誰にも飲ませたくない」
カトリーナが絶頂の余韻を愉しんでいる間、ルキディスは母乳で栄養を補給する。
冥王は身体能力がさほど優れていない。栄養価の高い母乳を吸って精力の回復を図った。
(カトリーナは俺の精液で疲労を癒せる。だが、俺はエネルギーを出してばかりだ。調子に乗って精力を浪費すると、後半で地獄を見ることになる……。この消費ペースなら全く大丈夫だとは思うが、回復できるのならしておくに越したことはない)
ルキディスは乳飲み子のようにカトリーナの母乳が尽きるまで吸い続ける。
カトリーナはこれまでのセックスで生成した母乳を捧げる。ルキディスとの交わりで乳腺が活性化し、乳房に栄養豊富なミルクを蓄えられていた。
(私……ルキディスに種付けされて、母乳まであげてしまってるわぁ……♥ ジェイクよりも美味しそうに飲んでくれてる。もっといっぱいっ♥︎ たくさん飲んでぇっ♥︎ セックスしながら乳首を吸われるの最高に気持ちいいわ♥︎)
子作りは夫の権利で、授乳は我が子の権利だ。だというのに、カトリーナは本当の家族を裏切り、母親の恩寵をルキディスに与えてしまっている。
背徳感はカトリーナの良心を傷つけず、肉欲を激しく煽った。
(あぁ♥︎ 本当に妊娠しちゃうかもっ……♥︎ ルキディスの遺伝子が私の子壺を満たしてる♥︎)
ルキディスの食欲は、幼き頃のジェイクより遥かに貪欲だった。
両手をカトリーナの巨尻に回して、揉み始める。それと同時にルキディスのペニスが、カトリーナの子宮をゆっくりと小突く。カトリーナを興奮させて、最後の一滴まで母乳を搾り取るつもりのようだ。
「ぁんっ♥ そっちはダメぇ♥ ダメなんだから♥」
ルキディスの指先が、カトリーナの肛門に触れた。
最初はなぞるだけだったが、次第に菊門を開こうと押し始める。アナルを弄られた経験のないカトリーナは、生娘のような声をあげてしまう。
口では抵抗する。しかし、身体はルキディスになされるがままだ。オマンコを極太の男根で制圧され、乳房は母乳の略奪を受けている。
(やばいっ♥︎ 全部の性感が刺激されてるッ♥︎ こんなの耐えられないわっ♥︎)
アナルに伸びた魔の手はカトリーナに新たな性的興奮を与えた。
「いっぁあぁ♥ んぁんぁあっ♥ 広げたら、駄目ですわぁっ♥ そんなところに指を入れちゃだめぇえ……っ♥」
カトリーナは叫ぶ。だが、ルキディスは指先を止めなかった。舌使いとオチンポも休まずに快楽を与え続けてくる。アナルを拡張される恐怖や痛みは、快楽で塗りつぶされてしまった。
「いっ、いぐぅう……♥ イかされちゃう……っ♥ お尻の穴をほじくられながら、イっちゃううぅ♥︎」
母乳の枯渇が近いことを悟ったルキディスは、二回目の射精を始めた。ルキディスの射精を感じ取ったカトリーナは、上半身を反らして全身で受け止めきった。
「あぁっ♥︎ ルキディスぅっ♥︎ 射精の勢いがまったく衰えてないわ♥︎ 若いのねっ♥︎ 」
ルキディスは口元から垂れた母乳を逃さずに舐めとった。眷族が冥王の体液を美味と感じる。同じように冥王は女体の蜜を好物とする。
「美味しい味だった。ごちそうさま。カトリーナ」
冥王は眷族と違い、普通の食事も楽しめるが、大好物は愛する雌から滴る蜜だ。これに勝る味はない。
(しかし、あの女バトラーは脱衣所で何をしているんだ……? 脱衣所からも発情した雌の匂いがしてくるぞ。瘴気は浴室から出ないようにしていたはずなんだが……)
――この時、脱衣所で待機しているバトラーは、浴室で行われている情事を想像し、己の手で陰部を弄くり回していた。ルキディスとカトリーナの交わりにあてられ、発情してしまったのだ。
こんな行為をするのは初めてだった。仕事の最中に自慰行為をするなど馬鹿げている。だが、気づけばオナニーに耽っていた。
(バトラーには出て行ってもらおう。彼女が失職したら、いたたまれない……)
全裸のカトリーナを抱え、ルキディスは浴室から出る。
のぼせ上がったカトリーナは立つとふらつくようだったので、ルキディスがお姫様抱っこをしている。
カトリーナは惚けたまま、幸せそうにルキディスの顔を見つめていた。
脱衣所で待機していた女性バトラーは姿勢を正す。陰部を弄くっていた両手は背中に隠した。
「とても良い湯だったよ。濡れた身体を拭くは自分達でやる。夫婦の営みを一晩中聞き続けるのは苦行だろ? もう戻ってくれていいよ」
「えっ、はい……。分かりました。必要になったら、呼び鈴を鳴らしてください」
ついさっきまで、夫婦の営みをオカズに自慰をしていた女とは思えない。一流のバトラーとして、すました顔で応対をしている。しかし、ルキディスは察していた。
(心情を透かし見てしまえば、真面目な顔と受け答えが笑えてしまうな)
ルキディスは女性バトラーを慮って、気付いていないふりをしてあげた。抱きかかえているカトリーナは、ずっとルキディスを見ている。
(そんな顔をしなくたって大丈夫だぞ。今夜は徹底的にカトリーナを犯してやるつもりだ。浮気したりはしないさ)
他の女に意識を向けるつもりはない。邪魔者を追い出すような口調で、ルキディスは女性バトラーを退席させた。



