シルヴィアの意識は苦々しい刺激臭によって無理やり叩き起こされた。
尻穴から投与された自白剤のせいで、尋問中の記憶は抜け落ちている。シルヴィアは自分が何を喋ってしまったのか覚えていない。言ってはいけないことを言ってしまった気もするし、何も喋っていないような気もした。
全て情報を話してしまっているが、記憶を失っているシルヴィアにその自覚はない。
全面が真っ黒な部屋にいた。四方を黒い壁、上下を囲う天井と床も黒一色だ。
部屋の広さは拘束椅子があった白い部屋と同じだった。天井の中央にある結晶灯が部屋全体を照らしている。
シルヴィアの身体は拘束椅子から開放され、ベッドの上で仰向けに寝かされている。
自由となった代わりに、特殊な首輪を付けられていた。この首輪は、動きを制限する抑制の拘束具だ。暴れたり、逃げようとすると、四肢の筋肉が弛緩し、へたり込んでしまう呪いがかけられている。
「――お昼寝の時間は終わりニャ♥︎」
ユファは部屋の角に置いてある香炉に火を入れていく。黒い陶器の香炉から、かぐわしい淫香の煙が漂い、室内を満たしていった。
「私をどうする気……?」
何をされるかは予想がついていた。
服を脱がされて無防備な女がベッドに寝かされている。そして服を脱いだ男が、そそり勃ったペニスを露わにしている。性的な経験が乏しい乙女のシルヴィアでも分かっていた。これからやることは1つしかない。
「どうなるかはシルヴィアの素質次第だ。せめてもの情けというか……、犯す側の責任として、説明はしておいてやろう」
「犯罪者にしては紳士的じゃない……。まったく嬉しくないけれど」
「その割には顔が真っ赤ニャ。まんざらでも無さそうな顔をしてるって感じニャ」
「ユファ。茶化すのは止めなさい。シルヴィアにとって大切な儀式なのですから、貶めるようなことは言うべきじゃありません。彼女が眷族になったら、禍根が残ってしまいますよ」
「……ッ!」
同じ女であるシェリオンとユファは、助けてくれそうにない。ルキディスに処女を捧げるのは不可避。そう覚悟を決めざるを得ない状況だった。
陵辱されるとき、普通は嫌悪感が沸き起こるものだ。だというのに、シルヴィアは強い拒絶感を抱えてなかった。悔しいことに、ユファの指摘は的を正確に射ていたのだ。
自白剤の副作用やユファが焚いた淫香の影響もあるだろう。けれど、一番の要因はそれらではない。犯してくる相手がルキディスであるからだ。
ルキディスの容貌は美しい。雰囲気は知的で、整った顔立ちをした黒髪の美青年だ。
黄金色の瞳は特に魅力的に映った。最初に家を訪れたとき、シルヴィアは妖艶な眼光に魅せられ、つい見惚れてしまった。色恋を避けてきた仕事女のシルヴィアですら心を動かされてしまう美男子であった。
警戒を怠って不用意に家に上がり込んでしまったのも、ルキディスの容姿に魅了されていたのかもしれない。
「まずは正体を明かしておこうか。俺はな、こういう種明かしが嫌いじゃない。ちょっとしたサービスだ」
――ルキディスの顔が、黒狼に変貌した。
シルヴィアは、己の目を疑った。薬の影響で幻覚を見てしまったのではないか? シルヴィアはそう思ってしまったが、そうではない。
「言葉すら出ないか? 面白いだろう。百面相なんてものじゃないぞ」
ルキディスはどんどん顔を変化させていく。
狼の顔からシルヴィアの顔になり、その次は上司のブライアン上級警備兵、その次は同僚のジャンの顔になった。顔や姿だけでなく、服装まで変えてみせた。身体どころか、服装まで瞬時に作り上げてしまう。
「どういうこと……?」
娼婦連続失踪事件で、情報がまったく得られなかった理由。ルキディスは自由自在に姿を変えられる魔物であった。
ある時は老人に成りすまし、ある時は少女となる。行方不明になった娼婦の姿に化けて、街をうろつけば行方不明になった日にちを誤魔化すことができた。
「〈変幻変貌〉。俺は自由自在に姿形を変化させられる『魔物』だ。貴様は俺を犯罪者といったが、俺は罪人になれない。人じゃないからな。裁判を受ける権利すらない。そもそも魔物は、人間が決めた法律や道徳を守る必要がない。魔物の存在意義は、人類を攻撃して滅ぼすことだ」
「魔物……!? そんなはずはないわ! 魔物が人間の都に住み着くなんてありえない!!」
ありえないことであるし、断じてあってはならないことだ。
「俺は冥王だ。魔物の頂点に君臨する絶対支配者。俺の力をもってすれば人間の都に入り込むくらい簡単だ。人間に化けるのは俺の得意技だぞ」
――得意気に言っているが、実のところ冥王にそれしかできない魔物だった。
かつてこの世に存在していた魔王であれば、人間の都に堂々と乗り込んで、破壊の限りを尽くせただろう。魔王は最強の魔物だった。勇者の絶対的な力でしか、魔王は滅ぼせなかった。けれど、魔王と違って、冥王は最弱の魔物だ。
軍隊と単独で戦おうものなら、瞬殺されてしまうだろう。だから、ルキディスは眷族を護衛にして、人間に化けて潜入している。潜入が露見したら、シェリオンとユファの力を借りて全力で逃げる予定だ。
「貴様は、今の今まで俺達の正体に気づかなかった。この世には、知能のない魔物しかいないとでも思ったのかな? 残念ながら、この世には俺のような魔物が存在している。先入観というのは恐ろしいな。そんなものはさっさと捨ててしまうべきだ。高度な知能と擬態能力を持ち、俺のように人間社会に住み着く魔物もいる。それこそ、本物の人間のようにな」
正体を明かした冥王ルキディスは、青年の姿に戻ってベッドに上がった。
「貴様にやってほしいことは、簡単なことだ。俺の子を孕んで産む。子作りは雌だけの特権だ。優秀な雌からは、優秀な子が産まれる。シルヴィアは悪くない身体を持っている。強い魔物を産み落としてくれそうだ」
ルキディスは、シルヴィアの乳を掴む。
「ケダモノめ……! それが目的で娼婦を拉致していたのね!!」
「その通りだ。全員期待はずれだったがな……。娼婦たちは苗床化してしまった。シェリオンやユファのように眷族にはなれなかった。貴様はどうだ? シルヴィア。冥王に仕える魔物となるだけの資質があるか?」
気丈なシルヴィアはルキディスの頬を叩こうと手を振り上げた。しかし、振り下ろすことができない。首輪の呪力がシルヴィアの攻撃を抑制しているからだ。
本性を現した魔物はシルヴィアの抵抗を退け、穢れを知らない生娘の身体を優しい手つきで撫でている。
「ふむ。警備兵だけあって腹筋が硬いな。引き締まっている、だが、胸と尻は雌らしく成熟している。娼婦のような肉欲を受け入れ続けていた身体だって悪くないが……、シルヴィアのような無垢な身体というのも、これはこれでいいものだ。ん? おいおい、その顔は何だ? 俺は褒めてやっているんだぞ。魔物の王から褒められているんだ。もう少し喜んでほしいな」
「邪悪な魔物に褒められたって、ちっとも嬉しくないわ……!!」
「――そうかそうか。言葉で足りないというのなら、身体を使って喜ばしてやろう」
シルヴィアはルキディスに押し倒された。強引に股を押し開けられ、お互いの身体が重なり、脚が絡み合った。
シルヴィアは太腿の内側で、脈打つ男性器の熱気を感じ取る。
ルキディスの生殖器は人間のものより遥かに大きい。冥王は肉体の形状を自由自在に変えられる。その気になれば馬並みの凶悪なペニスで、シルヴィアの処女膜を貫くことだってできる。しかし、下手をするとシルヴィアの膣が裂けてしまうので、そんなことはしない。
普通の人間には限界というものがある。だが、人間から魔物へと転生した眷族たちは、人間としての限界がない。シェリオンやユファは、かなりハードなセックスを要求してくる。
今回は人間の雌であり、出産経験どころか、性経験すらない生娘だ。無茶をする気はない。魔物であるがルキディスは人を嬲って愉しむような性格ではなかった。
「挿れる前に遊んでやってもいいが、焦らされるのは嫌らしいな」
亀頭がシルヴィアの膣口に接触した。シルヴィアの陰唇は漏れ出した愛液で濡れている。処女だというのに、今にも勃起した雄の肉棒を飲み込もうとしていた。
「俺と交わった雌は魔物の子を孕む。孕んだ母体が眷族に転生するか、自我を失って苗床になるかはシルヴィア次第だ。――人間をやめる覚悟はできたか?」
魔物の王は、シルヴィアの返答を待たない。
巨大なペニスが、シルヴィアの膣に挿入される。ゆっくりと押し広げていき、亀頭が処女膜に触れた。
「ちょっと、まっ! ――いやぁッ!」
ルキディスは腰を下ろして処女膜を一気に突き破った。
「あっ! やめっ! んひぃ……あっ……! 痛ぅうっ……! あうぅぁっ!」
シルヴィアは、鋭い痛みで身を強張らせる。破瓜の痛みは女にとって特別なものだ。愛する男に純潔を捧げるときの痛み。それを昨日会ったばかりの魔物に捧げてしまった。
意中の相手がいるわけではなかったが、言い表せない喪失感があった。深々と根本まで突き刺さった男性器は、シルヴィアの中で脈動する。
〈変幻変貌〉で、シルヴィアの膣を調べているのだ。ペニスの形状を変化させ、犯している雌に極上の快楽を与える。初体験の生娘では耐えきれない悦楽で精神を蝕む。
シルヴィアの肉体が冥王の瘴気と魔素を受け入れられず、苗床化して人格が死ぬ可能性は大いにある。ならば、苦痛の中で死ぬよりは、悦楽に溺れながら死なせてやるべきだ。
失踪した14人の娼婦たちは肉欲と絶頂の悦びで満たされ、廃人と成り果てた。これは冥王なりの配慮であった。
「あうぅうぁ! あんっ! んぁぁあっ! んぁっ、ああぅ!!」
オチンポが出し入れされる度、シルヴィアは喜悦の喘ぎ声をあげる。肉棒を咥えてる膣穴から、破瓜の血と愛液が入り交じった淫猥な汁が漏れ出し、ベッドシーツを汚していく。
シルヴィアがセックスを拒否しようとしても、彼女の肉体は魔物が与えてくれる快楽を甘受しようとしていた。
(どうして……? 最初は痛かったのに、嘘でしょっ!? 絶対にこんなのおかしい! もう処女膜を破られた痛みが消えちゃってる……!!)
シルヴィアはルキディスの身体を押しのけようとする。だが、両腕に力が入らなかった。その間もルキディスは腰を動かして、シルヴィアの膣を蹂躙する。男根で子宮を突き上げられ、徐々にシルヴィアの抵抗力は弱まっていった。
ルキディスの上半身を押しのけようとしている手を、彼の背中に回して抱きついたら、どれだけの快楽が得られるのだろうか。シルヴィアは淫らな欲求に飲み込まれそうになる。だが、シルヴィアは微かに残った理性で踏み止まった。
「魔物の番になった気分はどうだ。シルヴィア?」
黄金色の瞳は怪しく光る。邪悪な淫獣は押し倒している雌を満足げに見下ろしていた。
「思ったよりも普通じゃない。こんなので私がどうにかなるとでも思ったのかしら? こんなの気持ちよくなんて、いひゃっ……! なぁ、ぁああ、んぁっ! な、ぁにこれぇ!? さっきよりも激しくっ、いやっ、これっ! だめぇ……! おかしくなっちゃうぅう!」
冥王の両目には、相手の感情を操作する能力が備わっている。それが冥王が生まれながらに与えられた権能、瞳術〈誘惑の瞳〉の力だ。
視線が重なれば、その人間の感情を操り、自分に好意を向けさせたり、反対に憎悪を向けさせたりできる。冥王は人間の感情を操るスキルを持っていた。
瞳術は強力な能力だ。けれど、無敵ではない。耐性の高い人間には弾かれることがある。
ただし、冥王の〈誘惑の瞳〉は、性交している相手に対しては、絶対に成功するようになっていた。たとえ聖女であっても、冥王と交わっている最中ならば、瞳術で清廉な精神を陥落させ、淫女に堕落させることができる。
(本音をいえば、冥王としては、幻覚を見せて相手を自由自在に操るだとか、睨んだ相手を呪殺するような瞳術が欲しかった……)
冥王に与えられた権能は、人間の雌を惚れさせることに特化していた。〈変幻変貌〉や〈誘惑の瞳〉は、戦闘で役に立たないスキルだ。けれども、ベッドの上での戦いでは反則級の必殺技となる。
〈変幻変貌〉で相手が望む姿に化け、〈誘惑の瞳〉で相手の心を堕落させる。完璧かつ最強の合わせ技だ。
(セックスってこんなに気持ちいいものだったのぉ!? 無理やり犯されてるのに、気持ちよすぎて脳が溶けちゃいそう!! オチンポが出たり入ったりしてるだけなのに、子宮がキュンキュンするぅぅう! やばいっ、これぇ……耐えられないいぃ……!)
喘ぎ声が漏れないように歯を食い縛る。しかし、シルヴィアの身体は肉欲を求めるように動き出していた。ルキディスの動きに合わせて、腰を浮かせてしまう。
抵抗しようと暴れていた足を大きく開き、振り下ろされるルキディスの股間を歓迎していた。
ルキディスは舌を使って、シルヴィアの固く閉じた口をこじ開けた。しばらくの間、お互いの舌が絡み合う。甘い味のするルキディスの唾液がシルヴィアの意地と矜持を崩壊させた。キスを終えた後は、口を閉じることなんてできなかった。
「いやぁぁ、あっ! あぁっ!! くるっ、きちゃうぅぅ! 何か、きちゃうぅうう! ひぃぃぃっぐ! いぃっ、ちゃぁう!! いぐっ、ひぐうぅぅぅぅぅ!!!」
シルヴィアは羞恥心をかなぐり捨てて、本能のままに吼える。
快楽が絶頂に達したシルヴィアは理性を失い、獣のような嬌声を叫んだ。もはや理性や品性なんて存在しない。自らを抱いている魔物が愛おしすぎて狂いそうだった。気付かぬうちに両手を相手の背に回し、乳房を押しつけながら強く抱きしめていた。
――シェリオンとユファは音楽を鑑賞するようにシルヴィアの狂態と喘ぎ声を楽しんでいる。
出来ることなら、今すぐベッドに飛び込んで、冥王の寵愛を頂きたいところである。眷族としての欲望や本能に従うのなら、そうしたいところだ。しかし、特別な儀式を邪魔することは許されない。
シルヴィアに眷族となる器がなければ、このまま壊れて人格のない苗床となる。眷族化は生死のかかった儀礼なのだ。
命がけで冥王の愛を受け入れようとしている者を軽んじることは許されない。シェリオンとユファは冥王と雌の情事を静かに見守っていた。
冥王から溢れ出す瘴気は、眷族に快楽を与えてくれる。シルヴィアの淫猥な嬌声を堪能しながら、冥王の瘴気を全身で感じ取っているのだ。
冥王の性交を見守るのは、けして苦痛ではない。冥王はハーレムを築くことを前提とした魔物だ。眷族の独占欲が皆無というわけではないが、普通の人間よりは嫉妬心が抑制される生態となっていた。そうでなければ、眷族同士で争いが始まり、冥王のハーレムが崩壊してしまう。
「――あんっ♥︎」
膣穴がギチギチと音を立てて拡がる。シルヴィアはルキディスの男根が膨張していくのを感じ取った。それに呼応して、巨大なペニスを包み込んだ膣穴が収縮する。締め付けられたルキディスの生殖器は蓄えた精子を注ぎ入れた。
ルキディスの射精と同時のタイミングで、シルヴィアの背が反り返る。声を押し殺したまま、アクメ顔を浮かべながら、至上の悦楽で全身を震わせていた。
冥王の射精を受け入れた雌が感じ得る快楽は、人間の女が感じる感覚の限界を超えている。人間の限界を超越し、人間性を残したままでは得られない禁忌の快感を味わっていた。
――冥王の精子が子宮を満たしたとき、人間の女から魔物へと墜ちる。
眷族化の洗礼を受けたシルヴィアは、けして戻れぬ領域に足を踏み入れた。子宮に侵入した冥王の精子は、シルヴィアの身体を魔物の肉体へと変化させる。まずは子宮の構造が大きく変化して、多産に耐えられる丈夫な胎となる。
(子宮が熱いぃ! 精液で膨れた下腹部が発熱してるのを感じるぅぅ……!)
シルヴィアの子宮は、変化の始まりが起こっている最中だ。肉体が変貌しつつあるというのに恐怖心は感じない。大量の精液を注がれて、自分の子宮が少し膨れ上がったというのに苦痛や不快感はなかった。
「ふう……。肉体への侵食は順調に進んでいるな。子宮がうごめき始めた。それでいて両目は、綺麗な深緑のままだ。瞳が濁っていないのは、シルヴィアの魂魄が自壊していない証拠だ。見込みのない雌だと、最初の射精で苗床化の兆候が現れるが、シルヴィアにはその兆候がない。クッックククク! その調子で頑張るんだぞ。シルヴィア……!」
冥王は種付けした雌に優しく語りかける。シルヴィアの膣内は、太々とした魔物の陰茎で占領したままだ。これで終わりではない。まだまだ冥王の性欲は満たされていないし、シルヴィアの肉体も魔物の子種を求めていた。
「――喜べ。これで終わりじゃない。腹が膨れ上がって、膣口から溢れ出るまで、魔の種をくれてやるぞ」
「ひゃぁあん……ッ!」
ルキディスは、シルヴィアの乳首に噛み付く。わずかな刺激にさえ敏感になっていたシルヴィアは愛らしい声を上げた。
シルヴィアの乳首を、魔物のザラザラとした舌が弄ぶ。結合している陰部を通じて、ルキディスはシルヴィアの内情を感じ取ることができた。シルヴィアの膣は周期的に引き締まって、ルキディスの肉棒に射精をするよう働きかけている。
(ほしいっ……! もっとほしいっ……!! ダメなのに望んでしまうっ! 気持ち良くなりたいから、もっとオマンコの奥に注ぎ込んで……!!)
ついさっきまで男を知らぬ処女の身体だったというのに、シルヴィアのオマンコは遊女顔負けの媚び方をしていた。
――眷族化の儀式はさらに続く。