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【1話】∴捕食者∴(仮題)

 現在執筆中。書き終わるのは7月くらいかと思います⋯⋯。草稿だけでもここで上げておきます。元ネタは映画の「∴」です。

 空気が熱で揺らいでいる。茹だるような暑さに包まれていた。不快な湿気が皮膚にまとわりついてくる。

「あ⋯⋯うぅっ⋯⋯ァ♥︎」

 日々の訓練で鍛え上げられた屈強な女体を触手が撫で回している。

 歯を噛みしめ、陵辱に耐えようとするが、敏感になった性器は淫欲を催す。白濁色の粘液が無遠慮に塗りたくられていった。

「あん⋯⋯♥︎ んひぃ♥︎ んんぉぉおぉっ⋯⋯♥︎」

 泥水が足下に溜まった暗い地下。蠢く触手は薄らと緑色の光を放っている。

「はぁ⋯⋯はぅ⋯⋯うぅ⋯⋯♥︎ あっ♥︎ あぁっ♥︎ んぁあああああああああぁっーー♥︎」

 帝国軍の特殊部隊長ジャネット・レッパーは、あられもない嬌声を上げる。蕩けたアヘ顔、身悶えする下半身、口元からは涎がこぼれた。

「あぁっ♥︎ んぎぃっ♥︎ ひぃっ⋯⋯♥︎ やめっ! らめぇっ⋯⋯! らめおっろぉおっ♥︎ んぎぃっ♥︎ あぁっ! あっ! あっ! おぉぉおっ!! 尻が裂けるぅぅうぅっ⋯⋯♥︎」

 拡張された尻穴に極太の触手が突き刺さっていた。人間の腕と大差ない太さの触手が、ジャネットの腸内をこねくりまわす。

 特殊部隊を率いる隊長として、ジャネットは拷問に耐える訓練は受けていた。しかし、人間の行える陵辱など生易しい。怪物は想定以上に淫猥な方法でジャネットの身体を淫らに改造した。

 触手のピストン運動が激しさを増す。手足と両足、四肢をがっちりと固定され、陰裂を見せつける痴態の体勢で尻穴が掘られる。

「あんぉおっ♥︎ おっ♥︎ おおっ♥︎ おほぉっ♥︎ おおっ♥︎ らめっ♥︎ らめええっ♥︎ んほぉっ♥︎ 漏れるっ♥︎ もれちゃうぅぅううっ♥︎ おしっこ⋯⋯でちゃううぅうっ⋯⋯♥︎」

 両脚が生まれたての仔馬のようにガクガクと震える。ジャネットがどれだけ懇願し、泣き縋ろうと、触手は手加減をしない。

「あぁっ⋯⋯っ♥︎ んぁぁっ⋯⋯♥︎ んぃいぃいいぃ~~♥︎」

 ジャネットは不様な格好で失禁する。尿道から勢い良く小水が噴出した。膀胱に溜め込み、一気に放出された尿はアンモニアが濃縮され、深みのある黄色に変じていた。

 ――プシュッ! ジョボォォオッ!!

 黄水を噴き散らす陰裂で異変が起きる。膣穴がぽっかりと開口している。

「あぁっ!? んぎぃひっ!? あっ♥︎ んぁっ♥︎」

 愛液に混じって、半透明の体液が流れ出た。液体の流出は止まらない。さながら水風船に穴が空いたかのようだった。

「あっ! んぁっ♥︎ いぎぃっ♥︎ いぎぃぅっ♥︎ あっ♥︎ あぁっ♥︎ ああぁっ♥︎ いやっ! 産みたくないっ!! 出てくるなっ!! 産まれるなァ!! んひぃっ!? 痛っ!! あぅうぐぅぅっ!! おっおぉおぉぉぉっ♥︎ やめろぉおっおぉっ♥︎ 触手の赤ちゃん産みたくないっ!! んぎぁいいっ! んぁあああ~~っ!! いやぁあああああああぁぁ⋯⋯!!」

 触手に囚われたジャネットは孕まされていた。

 大きなボテ腹に宿るは異種交配の忌み仔。おぞましい触手の子胤で妊娠させられたジャネットは合いの子を産み落とそうとしていた。

 母胎の胎内をほぐそうとアナルに入り込んだ触手が暴れ始める。子宮の裏側を執拗に刺激してくる。

「あぁっ! んぁっ⋯⋯! あひぃんぃいいぅうぅう♥︎ んぃんあぃいぐぅうぅうぉぉぉぉおおおぉぉっ~~!!」

 肉々しいグロテスクな卵塊が排出された。

「――んぎぃっ♥︎」

 ジャネットの胎内で羊水に浸っていた化物の幼体。楕円型の球体は人間の胎児とは似ても似つかない。けれど、産み落とされた触手の仔は、ジャネットと螺線状の臍帯で繋がっている。

「あァ⋯⋯! うっ⋯⋯! あぅっ⋯⋯♥︎ 産まれちゃった⋯⋯。はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯! はぁ⋯⋯んくぅっ⋯⋯♥︎」

 初めての出産だった。赤と青の色が交差する臍の緒で繋がっている。母性本能など湧いてこなかったが、紛れもない我が仔だ。血管が浮き出た肉袋の卵塊は、力強く脈動し、生命の波動を感じる。

 秘境の密林に隠された禁忌の古代遺跡。最奥部の地下に囚われた女軍人ジャネットは肉塊の壁面に沈んでいった。胎盤の排出が終われば、再び触手は母胎に仔胤を注ごうとする。

「だれか⋯⋯だれ⋯⋯か⋯⋯! あぁ⋯⋯あぁ⋯⋯いやぁ⋯⋯!! 助けてっ⋯⋯せん⋯⋯ぱ⋯ぃ⋯⋯!!」

 助けを求めるジャネットの泣き声は誰の耳にも届かない。アナルにめり込んだ触手は、出産で体力消耗した肉体に栄養を供給する。

 尻穴の刺さった極太の触手は、女を逃さない肉管の鎖だった。栄養摂取と汚物排泄が屈辱的な方法で管理される。

 完全にアナルと一体化した触手を強引に抜けば、肛門が千切れてしまう。たとえ救助されたとしてもジャネットは日常生活には復帰できないだろう。

「んふぁ⋯⋯あっ⋯⋯♥︎ はぅっ⋯⋯!!」

 胎内に張り付いていた胎盤が剥がれ落ち、体外へと排出された。空っぽとなったオマンコに無数のオチンポ触手が我先にと集った。

「むぐぅぅっ~~♥︎ んぐぐぐぐぅうぅぅ!!」

 五本の触手が一斉に膣口へ押し入った。ジャネットは悶えている。肉壁に頭部が埋まっているせいで、どもった嬌声だけが地下に反響していた。


 ゲルマ王国の北東部に広がる雄大な熱帯雨林ジャングルを進む一隻の小船。水面から突き出た紅樹林の根っこを避けながら、特殊船は曲がりくねった小川を激走する。

 深夜の密林は闇が支配している。満月の光だけが、人間の進むべき道を照らしてくれる。魔力駆動のモーターでの操舵を誤れば、船はすぐさま激突し、大破してしまうことだろう。

 乗船している七人はいずれも女性だった。一名を除いて、全員が帝都で名の知れた凄腕の冒険者である。

 超一流の女冒険者だけで結成されたパーティー〈ワルキューレ〉。いずれのメンバーも様々な経験を積み、高い能力を身に着けた実力者だった。

「酷い暑さだ⋯⋯。カルボレザの砂漠が天国に思えてきた。はぁ。まさに熱帯夜⋯⋯。空気が蒸れている。気持ち悪くなってきた」

 リーダーのジェニファーは元帝国軍人。冒険者となってからは軍と縁を切っているが、仲間達からは未だに少佐と呼ばれていた。

「少佐、どうしてこの依頼を引き受けたんです?」

 勇敢なアマゾネス族の拳士ビエンヌ=スーは、周囲に聞こえないように囁いた。筋骨隆々な肉体に宿った膂力りょりょくで、魔物を殴り倒してきた歴戦の女戦士である。

「気になるか? ビエンヌ。珍しいな。お前が気にするのは報酬だけだと思っていた」

冒険者組合アドベンチャー・ギルドの斡旋ではありましたが、いけ好かない帝国軍からの依頼でしょう? なぜです? 以前、似たようなリヒビアの仕事を回されたときは断った」

「依頼を持ち込んできたのが、士官学校の同期だった。奴には色々と借りがあるのさ。それにリヒビアは軍事作戦の支援だった。私達のスタイルに合わない。だが、今回の依頼は民間人の救出だ。帝国軍の任務に協力するって内容なら断っていた」

「反政府ゲリラに拉致された帝国大学のシュタイナー教授ですが、何だって危険地帯をうろついてたんでしょうか⋯⋯? 単なる植物学者が危険地帯でフィールドワークを?」

「新薬の開発につながる貴重な植物を探していた。そして現地の反政府ゲリラに取っ捕まった。間抜けな話だ」

 依頼内容はゲルマ王国の熱帯雨林で環境調査を実施していた植物学の権威、帝大教授のシュタイナー博士の救出だった。

「⋯⋯ここもゲルマ王国の領土には違いありません。ですが、反政府ゲリラの支配地域と被ってます。いくら貴重な植物があるかもしれないとしても、命知らずが過ぎませんかね? 自分の命を賭けるほどの価値があったと?」

 軍事独裁国家のゲルマ王国は事実上の内戦状態にあった。北東部に広がる森林地帯は、先住民族の獣人が独立を求めて蜂起。反政府ゲリラとなって各地で中央政府と戦いを繰り広げていた。

「⋯⋯⋯⋯」

 ジェニファーは密林を睨みつける。雨季で増水しているため、普段よりも川幅が広がっていた。自然環境も厳しい。しかし、それ以上に危険なのは殺気立った先住民だろう。

 外国人が立ち入って無事に済むような場所ではない。たとえそれが学術的調査という高尚な目的だったとしてもだ。

 数百万人を救える新薬の開発に繋がると説明したところで、先住民からすれば勝手に侵入してきた余所者なのだ。排除すべき侵略者と見做すだろう。

「私も気になっていた。だが、研究心を抑えきれなかった研究者らしくもある。そういった無謀な連中にビエンヌも会ったことがあるだろ?」

「好奇心は猫をも殺す、ですか? 仰るとおり、死に急ぎは冒険者以外も沢山います」

「情報によれば冒険者を雇って護衛にしていたそうだ。シュタイナー教授と一緒に冒険者も助け出せれば冒険者組合アドベンチャー・ギルドからのボーナスを期待できるぞ」

「その冒険者達が生きてるかは分かりません。反政府ゲリラが人質にしてるのはシュタイナー教授だけ」

「⋯⋯最悪の場合、冒険者はバーベキューのメインディッシュになってるだろうな。そのときは骨だけを持ち帰ろう」

「相手さんの要求は、現政権を支援してる帝国の態度を改めろってことなんでしょう?」

「人実を取るやり方は間違っている。だが、独立を目指す反政府ゲリラの気持ちは分からんでもない。ゲルマ王国の軍事政権を支えているのは我らの愛しき祖国、帝国だからな」

「どうして軍事政権の肩を持つんです? ゲルマ王国の独裁者は酷い風評だ。国民を虐げてる」

「天然資源の安定供給。ゲルマ王国産のゴムは帝国の生活に不可欠なのさ。格安でゴムが入手できるのは、クソッタレの独裁者と帝国が仲良しってこと」

「何を差し置いても国益が第一、天然資源の確保が優先ってわけですか。あたいは好きになれませんね。国民生活のためとはいえ、圧政を敷いてる軍事政権の肩を持つなんてのは⋯⋯。清濁併せ呑む⋯⋯それこそ吐き気がしますよ」

「私も同意見だよ。ビエンヌ。拉致されたシュタイナー教授を助け出さなければいけないが、反政府ゲリラとの交戦は避けたい。彼らは犯罪者とは言い切れない」

「ええ。相手が盗賊団なら同情はしませんが、自分達の生まれ故郷を守ろうとしてる獣人族なら、殺したくはありませんね。反政府ゲリラというが、ようするに自衛組織でしょう」

 小船は反政府ゲリラの基地アジトがあるとされるポイントに向けて突き進む。

 ジェニファーが率いる冒険者パーティー〈ワルキューレ〉は六人組、全員女性だ。彼女達に同伴者しているのは、帝国軍の情報将校ディノン。金色の前髪で片目を隠した厳めしい女軍人は、ジェニファーの旧友だった。

 ディノンは迷彩服の襟元を緩める。乳房の谷間に溜まった汗がシャツを濡らしていた。ボタンを一つ外して上乳を夜風にあてる。

「⋯⋯⋯⋯。さっきから何だ? 私の顔に何か付いているか?」

 不機嫌を露わにした仏頂面で冒険者に睨み返す。値踏みするように女将校をジロジロ見てくるのはブレリーンだ。

「わざわざ付いてくるなんて、物好きな将校だと思ったのさ。少佐の知り合いだからって偉そうにするんじゃないよ。言っておくけど命の保証はできないかね。うちらは部下じゃない。忘れるな。人質を救出するのが仕事で、お前の護衛も引き受けちゃいない」

 噛み煙草をくちゃくちゃと嗜むブレリーンは、パーティーの前衛を担う岩のような巨躯の盾役。いけ好かない女将校ディノンを睨みつける。

「ふんっ! ご心配なく、自分の身は自分で守れる。今は情報将校だが、ジェニファーと肩を並べて戦場で戦っていた。士官学校の同期生だ。私が主席、ジェニファーは次席だった。貴様のようなよりも死線を潜り抜けている。実戦経験は豊富だ」

「私達は冒険者。人殺しの帝国軍と比べられてもね」

「なんだと? ⋯⋯貴様、ブレリーンと言ったか? 口に気をつけろ。栄えある帝国軍人を人殺し扱いするな! 我々は祖国を守るために戦っているんだ!!」

「ああ、そうかい。そいつはありがたいね。――ペェッ!!」

 ブレリーンはディノンの軍靴に噛み煙草を吐き出す。

「おいっ⋯⋯! 汚い唾を吐くなら足下をよく見ろ!! つま先にかかったぞ!」

「どこのお偉いさんか知らないけど、この船に乗ってる女でアマチュアはお前だけさ。軍でどれだけ階級が高かろうと、その辺は覚えておけ。⋯⋯足を引っ張るなら、森に捨てていくぞ。帝国軍のお嬢ちゃん」

「ちょっと、ブレリーン? 素人さんを脅すのはその辺にしときなさい。船上なのよ? びびった軍人さんがお漏らしたらどうするつもり?」

 魔力駆動モーターで船を動かしている魔術師ソーサラーのマーシーが嘲笑する。褐色肌の魔女マーシーは、盾役のブレリーンと仲が良い親友だった。

「ははははっ⋯⋯! 悪い悪い。漏らしちゃいないか? お客様用のオムツを持ってくるのを忘れてたよ」

「貴様ァ⋯⋯!」

「失礼だわ。ちゃんと持参してかもしれないわよ? 帝国軍御用達のオムツ装備がきっとあるはずでしょ? あっははははははは!」

「言ったな? ろくでなしの冒険者どもっ⋯⋯!! ジェニファーめ! 部下の教育を怠っているようだな⋯⋯!!」

「私らは少佐の部下じゃない」

「そうよ。仲間。冒険者は役割があるけど、上下関係なんかないわ」

「私は礼儀を弁えろと言っている!」

「その辺にしておきなさい。ブレリーン、マーシー。確かに貴方達の態度はすごく悪かったわ。目的地に近づいているのよ。ここから先は反政府ゲリラの勢力圏。いつ奇襲をされてもおかしくありませんわ。仲間割れをする余裕があるのかしら?」

 教会に仕える修道女プリーストエリサヴェトは、煽り立てるブレリーンとマーシーを諫めた。最年長のエルフ族らしい丁寧な物言いだった。

「ふん⋯⋯。礼儀を弁えている者もいるようで安心した」

「ごめんなさいね。冒険者は気性の荒い方が多いの。そこの二人は特に」

 回復役ヒーラーは冒険者パーティーの生命線だ。その発言力は時にパーティーリーダーを上回る。

 ブレリーンとマーシーは帝国軍将校を嘲笑う度胸はあっても、エリサヴェトに嘗めた口を叩く無謀者ではなかった。

「ベッキー。着岸ポイントまで、あとどれくらいかしら? 夜明けまでは到着できそう?」

 斥候役スカウトのベッキーは、身長が人間の半分ほどしかないハーフリングだ。未成年の幼い少女に見えるが、人生経験豊かな大人である。

「ご親切な帝国軍が寄越した不正確かつ間違いだらけのマップだとそろそろ到着する。そこからは歩き。迷ったら遭難死は確実。反政府ゲリラの兵士は原住民だから庭みたいなものなんだろうけどね」

 羅針盤、夜空の星、精細さを欠く地図。異国の冒険者達を乗せた小船の導き手は頼りなかった。

 マッピングは斥候役スカウトの役割だが、事前情報の乏しさは顕著だった。ベッキーが不満を漏らしても仲間は咎めなかった。ここまで順調に進めたのは、ベッキーの才覚が本物である証拠だ。

「あった。あれが目印の古代樹⋯⋯。マーシー。あの高い樹木に向かって。見える? 先端が三つ叉になってる」

 ベッキーは魔力駆動モーター操舵を操るマーシーに指示を飛ばした。

「私には暗すぎて見えない。魔術で視力を高めれば見えるかもしれないけど、魔力はまだ温存しておきたいわ。指差しで誘導してくれる?」

「いいよ。分かった。真っ直ぐへ進んで。ゆっくりでいい。水深が浅いし、底に岩石が転がってる。気をつけて、慎重に⋯⋯」

「大丈夫。任せときなさいよ。ヘマはしないわ」

 ハーフリングは通常種の人間と比べ、視力や聴覚が優れている。背丈が低い代わりに、他の能力が優れているのだ。戦闘能力だけが冒険者に求められる資質ではない。

「あれを見て、樹木に傷があるわ。近くに人間が住んでいますわ。水没しているから最近ではなさそうだけど、ガムの樹液を採取していた跡ですわ」

 エリサヴェトは根元に付けられた刃物の傷を指差す。ちょうど噛み煙草の包み紙を剥がしていたブレリーンは、ガムと聞いて反応した。

「へえ~。あれがガムの原料?」

「ええ。煙草の成分をガムに吸わせれば、ブレリーンが愛用する寿命減らしの趣向品となりますわ」

「エリサヴェトの諫言でも、それだけは受け入れられないね。煙草は最高の嗜みさ。私みたいにセックスで強くなりたけりゃ、噛み煙草はやるべきだよ。一回くらい試してみない?」

「遠慮しておきますわ。私は主神に仕える聖職者。処女の誓いを立てていると言っているでしょう?」

「お堅いこと。ちょっとくらいなら神様だって目を瞑ってくれるよ。好きな男が今までに一人くらいいなかったの?」

「誓いを破ったら主神の加護を失いますわ。治癒の力を失ったら、一番困るのは前衛のブレリーンじゃないかしら?」

「おっと! そいつは不味いね。永遠に清らかであれ! 敬虔な信徒エリサヴェト!」

 新品の噛み煙草を口に放り込んだブレリーンはニヤリと笑って見せた。

 ベッキーの正確な先導とマーシーの巧みな操船技術で、一行を乗せた小船は最初の目的地に到着した。水没林の小川を抜けて、やっと陸地に降り立った。

「古代樹の根元が着岸ポイントだ。全員、下船の準備を始めろ。反政府ゲリラの基地はここから直線距離で二〇キロ以上ある。密林の道無き道を進むことになる。覚悟をしておけよ。船は目立たないように木々で隠し⋯⋯。ちょっと待て、船がもう一隻あるぞ」

 ジェニファーは古代樹の根元に停泊する小船を発見した。船尾には魔力駆動モーターらしきスクリューが備え付けられている。地元民の漁船ではなかった。

 船から身を乗り出したディノンがジェニファーの疑問に答えた。

「おそらくシュタイナー教授が使った調査船だ。同じルートでゲルマ王国の北東部に来ていたのだろう。見ろ、ジェニファー。モーターが壊されている。反政府ゲリラの仕業だ。調べよう」

「⋯⋯ブービートラップが仕掛けられているかもしれない。マーシー。あの調査船から離れた場所に着岸させてくれ。ベッキー。さっそくだが仕事だ。罠がないか確認してくれ」

「罠は無さそうだよ。少佐。だけど、なぜ調査船のモーターを壊したんだ? あれは最新鋭の帝国製小型船舶だ。鹵獲すれば役だったろうに⋯⋯」

「使い方が分からなかったんだろう。軍部の調べによれば、反政府ゲリラを構成する先住民は未開の部族社会だ。魔力を扱える者がいるかも怪しい」

「⋯⋯どう思う。ビエンヌ?」

「将校さんには悪いが、独自の文明というだけで獣人の術師は過小評価できませんよ。そもそも魔力は帝国だけの専売特許じゃない。アマゾネス族の呪術師はマーシーと同じくらい賢くて強い」

「そうか⋯⋯警戒しよう。既に彼らのテリトリだー。調査船を調べるぞ。シュタイナー教授の足取りを追えば反政府ゲリラの基地を発見できる」

 上陸したジェニファー達は、放置された調査船に乗り込み、一通り調べたが目ぼしい物は残されていなかった。

 奇妙なのは船底に複数の穴が空いていたことだった。泥水が入り込んでいる。特殊素材で出来た最新鋭の調査船は浮力を維持し、沈まずに済んでいる。

 当初、ジェニファーは浅瀬の岩石にぶつかったのだと考えた。しかし、どれもサイズが同じで、側面にも穴が空いていた。

(魔術弾丸の弾創⋯⋯? いや、焼け焦げた痕跡はない。それに襲われたのなら荷物を降ろす余裕はなかったはず⋯⋯。調査船を離れた後で破壊されたのか?)

 船体のいたるところに、ナメクジが這ったような粘液の跡を見つけた。まるで何かが調査船を絞り上げていた。そんな気がしてしまった。

「何だと思う。ジェニファー?」

 熱心に遺留物を探していたディノンも、この妙な痕跡には興味があるようだった。

「あらら~? 士官学校の教科書には書いてなかったのかしら?」

「私はジェニファーに質問した。貴様は引っ込んでろ」

「はあ。マーシー。減らず口はもうやめろ。危険地帯だ。反政府ゲリラの先住民と争いたくはないが、襲ってきたら反撃するしかない。ここはもういい。周囲の警戒にあたれ」

「ラジャー。少佐。邪魔者は向こうへ行っております。元カノとの逢瀬をお楽しみください」

「たくっ⋯⋯!」

 マーシーを追い払ったジェニファーは、ねちょねちょの粘液を足先で踏みつける。

「薄気味悪い。だが、粘液の匂いは悪くない。蜜蝋みたいな匂いがする」

「⋯⋯衛生的にどうなんだ?」

「毒性はなさそうだ。実は同じようなものを以前も見た。二年くらい前、街郭に棲み着いた岩食性のカタツムリを駆除したことがある。この調査船は軽量黒鉄⋯⋯。鉄を喰う新種でもいるのかもな」

「岩を喰うカタツムリ? おいおい。軍を抜けてから、そんなのと戦ってたのか?」

「岩を喰うのは殻を固くするためだ。塩をかけたら退治できたよ。水分が抜けるんだ。マーシーは魔炎で炙ったが匂いが酷かった。塩で退治するのが一番効率的だったんだ」

「ふん⋯⋯。貴様ほどの女を冒険者にしておくのはもったいないな。この仕事が終わったら復隊したらどうだ? 軍は優秀な部下が勢揃いしているぞ」

「軍には戻らない。私は自由気ままな冒険者が性に合ってる。それよりも今は対策だ。シュタイナー教授を救出できても、帰りが泳ぎになりかねない。私達の船には蟲除けの防御結界を張る。エリサヴェト、荷を降ろし終わったら頼む」

「お安い御用ですわ。ついでに人間除けと魔物除けの効果も付与しておくから」

 無人の調査船から降りたジェニファーは、地面の足跡を調べているベッキーに話しかける。

「シュタイナー教授の行き先は分かりそうか?」

「うん。足跡は北に進んでいる。全員で七人。シュタイナー教授、護衛の冒険者六人。構成は私達と一緒の人数。⋯⋯だから、ちょっと気になる」

「気になる? 何がだ?」

「六人の靴底。サイズは違うけど全員が同企画のジャングルブーツ。歩幅に一定の癖がある。少佐や付いてきたあの女軍人と同じ。訓練された人間の歩き方だよ」

 冒険者組合アドベンチャー・ギルドが推奨する冒険者パーティーの定員は六人。これ以上になると頭数で割る報酬面だけでなく、人数過多による危険が増大するというデータがあった。

 人数が六人なのは普通だ。なんら不自然ではない。しかし、全員が同規格の装備品を使っているのは奇妙だった。

「シュタイナー教授以外の冒険者は軍靴を履いているのか?」

「ブレリーンやマーシーみたいな軍人嫌いばかりじゃない。軍用品を使う冒険者もいるにはいるけどね。全員が軍オタの可能性も微粒子レベルで存在するかもよ」

「⋯⋯ああ。だが、きな臭くなってきた。ここまで来てしまったが、この依頼は断っておけばよかったな。報酬に目が眩んだ」

「護衛の六人って本当に冒険者かな⋯⋯?」

冒険者組合アドベンチャー・ギルドによるとそういう話だった。帝大の依頼で冒険者六人を護衛依頼を斡旋したそうだ。受付嬢の記録も見せてもらった。まあいい。生きているにしろ、死んでいるにしろ、見つけ出せば分かる」

 ジェニファーは事情を把握しているであろうディノンに問い詰めようかと思案する。だが、すぐに却下した。士官学校時代は自分と違って規範に従う優等生だった。

(私よりも帝国軍人としての適性は高かった⋯⋯。だからこそ、ディノンも上に都合良く利用されているのかもしれない)

 ディノンの同行を決定したのは軍上層部だった。シュタイナー教授の救助に帝国軍が絡んでいるのは、軍上層部に教授の教え子がいて、恩師を何と助け出して欲しいと働きかけたからだという。

(たしかシュタイナー教授は帝国軍の特別顧問。女性将校の増員を働きかけた功労者でもある⋯⋯。私は軍を抜けてしまったが、ディノンや後輩のジャネットが出世できたのは教授のおかげだ)

 何気なくジェニファーが思い出した士官学校の後輩、寮の部屋で共に過ごしたジャネット・レッパー。小麦色の肌で、成績はとても優秀だった。卒業後、何度か任務を共にしたが、今はどうしているか知らない。

(⋯⋯最後に会ったときは特殊部隊に配属されたと喜んでいたな。私が軍を辞めると知ってショックを受けていたみたいだけど⋯⋯。帝国に帰ったら、ディノンに頼んで会いに行こう。特殊部隊の隊員でも将官の権限を使えば面会くらいはできる)

 ジェニファーは思わぬ形でディノンと再会を果たす。しかし、まだ恐ろしい未来が降りかかるとは知らない。

 元軍人で少佐の愛称で呼ばれるジェニファー。

 アマゾネス族の勇敢な女戦士ビエンヌ=スー。

 大盾を軽々と振り回す重装タンク職のブレリーン。

 強大な魔力を誇る業炎の魔女マーシー。

 純潔の誓いを守るエルフ族の聖職者エリサヴェト。

 隠密スキルを持つハーフリング族のベッキー。 

 そして、依頼を持ち込んだ帝国軍の情報将校ディノン。

 気高く、強く、美しい七人の女はゲルマ王国の密林地帯に足を踏み入れてしまった。

 禁忌の森には獲物を狙う怪物が潜んでいる。先住民の獣人族がけして立ち入らない禁足領域。帝国軍から与えられた不正確な地図に、そのような情報は載っていない。未開の蛮族が言い触らす迷信としか思われていなかった。

 ――ジェニファー達が去った後、小船の底に穴が空けられた。魔力駆動モーターに絞り上げ、スクリューごと破壊する。これで水没林を越える移動手段をジェニファー達は失った。

 エリサヴェトが構築した結界は破られていない。蟲、人間、魔物、いずれであっても防御結界が機能すれば弾き飛ばされる。しかし、船を壊した未知の生物は結界をすり抜けた。

 真新しい足跡の匂いを嗅ぐ。女の体臭が残っていた。新たな獲物が現われたと知り、正体不明の捕食者は感悦する。

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