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【265話】相談喫茶~とある王妃の側女~〈中編〉

 マリエールはチェンバーと名乗った美女の腹部を観察する。

(皇帝陛下と肉体関係がある女仙⋯⋯。妃ではなさそうです。私と同じ側女に見えます)

 まだ妊娠初期の段階だ。外見からはまだ分からない。

 メイドが飲み物を変更させたのは、事前に妊娠中だと伝えていたからだろう。

「堕落聖女さんはお詳しいのですね。ひょっとして大神殿の神官さん⋯⋯? あっ! ごめんなさい! 詮索するつもりじゃ⋯⋯!」

「当たらずとも遠からず⋯⋯ですよ。医術の心得はあるので、そういったご相談も受けられます。しかしながら、専門の後宮には医務女官がおられる。担当医を頼られるべきでしょう」

「相談したいのは体調のことじゃありません。産まれてくる御子を誰に預けるかで⋯⋯悩んでいます」

「帝国の法制度によれば、御子の養育権は生母にあるはず。ご実家に預けるものと聞いてます」

 公文書館でメガラニカ帝国の慣習や法律を頭に叩き入れた。

「はい。そうです。親族が難しい場合は大神殿に預けられる方もいらっしゃいます」

「分かりました。事態。つまり、チェンバーさんのお悩み事は御子の取り合いなのですか?」

「私はある妃殿下にお仕えしている側女です。妃殿下とは同い年でした。入内する前から、ずっと可愛がってもらっています。皇帝陛下の御子を妊娠できたのも⋯⋯妃殿下のご厚意でした。夜伽に何度も呼んでくださったのです」

 チェンバーが抱かれた回数は多そうに思えた。言い振りからして、一度や二度ではない。清純な生娘を思わせる外見だったが、どんなセックスをしてきたのか気になってしまう。

「とても羨ましい話ですね。皇帝陛下の寵愛をいただけるなんて。後宮に住む女仙の大多数は処女なのですから⋯⋯。かくいう私も未通女です」

「すみません⋯⋯! 自慢話にみたいなってしまって⋯⋯」

「いいえ。お気になさらず。お話を続けてください」

「私の懐妊が分かったとき、妃殿下は⋯⋯。それはもう大喜びしてくださりました」

 てっきり仲の良かった妃との円満関係に亀裂が入ったのかと思った。しかし、違った。妃は側女の妊娠を我が事のように喜び、祝福してくれたという。

「妃殿下は私に『御子を本家の養子にさせてほしい』と頼み込んできました。恐れ多いことですが、妃殿下の父君である先代からもお手紙をいただいて、御家の決定事項になったのです」

「チェンバーさんは嫌なのですか? 子供を取り上げられることが」

「いいえ、とんでもない!! とても名誉なお話です!! 私の父母も賛成してくれています! 私自身も⋯⋯私の子供を養子に迎え入れてくださるご厚意に感謝しておりました。ただ⋯⋯その件で⋯⋯御家で大きな揉め事が⋯⋯」

「あぁ、なるほど。本家で引き取るのは決まっている。けれど、誰が育てるかで争いが勃発したわけですね?」

「はい。最初は妃殿下の先代、つまりご両親が引き取ることになっていました。ところがです。妃殿下の兄君達⋯⋯三人いらっしゃるのですが⋯⋯そのご兄弟がそれぞれ自分達で引き取りたいと⋯⋯。言い出されたのです。おかしなことではありませんでした」

「妃殿下のご両親は老齢であられる?」

「そうです。ご隠居されております」

「もしや三人の兄達と妃殿下は歳が離れているのでは?」

「お察しの通りです。妃殿下は末娘で、兄君達と年齢が離れています。当主の座を継ぎ、後宮に入内して立派な評議員となられ、政治の第一線で活躍されております。ただ⋯⋯。天空城アースガルズを離れられませんので、領地の実質的な統治は未だに先代が担われています」

「一族の当主は妃様だとしても、領地を治める代理人が不可欠。老齢の先代が亡くなれば領地経営は、三人いる兄の誰かに任せるわけですね。皇帝陛下の御子が育つまでは適任者がいない。これは揉めるでしょう。御子を養子にできた人間が事実上の後継者となる」

「⋯⋯⋯⋯」

 チェンバーは無言だった。どこまで内情を明かすかで悩んでいる。

「妃殿下が決められることでは? 当主が負うべき責務です。三人いる兄達の誰に領地経営を任せるのか。遅かれ早かれ、決断すべき事柄でしょう。両親が健在な今であればこそ、兄弟の諍いも後腐れがなく解決できる。きっぱりと決めてしまえばよろしい。三人の兄達も醜い争いを止める」

「いいえ、違います⋯⋯! 三人の兄君達は対立しておりません。手を取り合って⋯⋯その⋯⋯、むしろ協力しているのです」

 マリエールは数秒沈黙する。バルカサロ王国では跡目争いで兄弟が憎しみ合った。それで思い込んでしまったのだ。

「そうでしたか。これは失礼。私の早合点でしたね。しかし、協力とは? だったら、揉めているのは誰と誰ですか?」

「私がお仕えする妃殿下と兄君達です⋯⋯。妃殿下は三人の兄君に御子は渡したくないと拒絶なさいました。三人とも⋯⋯養親に相応しくないと⋯⋯」

「先代はどのような立場に? ご両親は妃殿下についているのですか?」

「はい。先代のご当主様や大奥様は妃殿下のお味方です」

 養子縁組が内定している御子を、妃と老齢の両親は三人の兄達に渡したくなかった。その理由をチェンバーは聞かされていない。

「妃殿下やご両親は、三人の兄達を信頼されてないのですか? 失礼ですが、兄達が優秀ではない? 評判や素行が悪いとか?」

「とんでもない! 一番上の兄君は先代の補佐を務め、領民から敬愛されている御方です! 二番目の兄君は帝都で官僚になり、妃殿下の補佐をなされています! 三番目の兄君は士官学校を次席で卒業し、当家の騎士団をまとめ上げる長です! 三人とも優秀な方々です!!」

「人柄も良いのですね」

 力を込めて熱弁するチェンバーを見ていれば、三人の兄弟が優秀な人物だと分かる。

「はい。人柄だって申し分ございません。使用人をいつも労わってくださり、私のような下っ端にも声をかけてくださる優しい方々です」

「⋯⋯老齢の先代当主がいつまでも引退せず、領地の実権を握り続けている。揉め事の争点はそこかもしれませんね」

「恐れ多いことですが⋯⋯。まさしくです。僭越ながらお仕えする私どもは心配しております。ご隠居の身でありますが、先代のご当主様は現在も実質的な領主であらせられる。けれど、ずっとは続けられません。誰かを後継者に指名しなければ、領地で大きな混乱が起きてしまう。私の故郷は北方にあります。⋯⋯あのバルカサロ王国とも近い」

「それは心配です。バルカサロ王国は荒れておりますから」

「帝国軍が軍縮に動いているせいで、駐留部隊が撤退した分の負担を担わなければなりません。こんな時期に御家騒動で揉めていては領民の不安は大きくなるばかりです⋯⋯。流れてきた難民の受け入れに苦慮しております。敵国の不穏分子が紛れ込んでいるかもしれないのに」

(今、目の前にいる相談相手は敵国の不穏分子なのですけれどね⋯⋯)

 ほんの一年前まで戦争をしていた敵国からの難民。メガラニカ帝国側の認識では、バルカサロ王国から仕掛けられた戦争である。打ち負かしたとはいえ、好ましくは思っていないだろう。難民の受け入れを拒否している領地は多い。

(チェンバーさんは宰相派の王妃に仕える側女で間違いありませんね。北ですか⋯⋯。皇帝陛下の郷里も帝国北方だったと記憶してます)

 マリエールはチェンバーの身元を絞り込んでいく。それと同時に自身の言動に細心の注意を払う。

 帝国北方は大きな影響力を有する二つの大貴族で二分されている。ナイトレイ公爵家とケーデンバウアー侯爵家。領地が隣接する両家は、それぞれが保守派と革新派の旗頭だ。

(チェンバーさんが仕えている家は、ほぼ間違いなく保守派筆頭のナイトレイ公爵家側です。私の立場を明かせば絶対に口を閉ざす。正体を悟られないようにしましょう)

 マリエールは柔和な微笑を浮かべた。そうとも知らず、チェンバーは相談話を続ける。

「先日、私のところに妃殿下の兄君達から手紙が届きました」

「どんな手紙だったのですか?」

「妃殿下の兄君達は、既に結論を出しておられます。手紙には長兄の養子にしてほしいと書いてありました。そして、もし産まれてくる御子が女児だったら、次兄夫婦の御子息を許嫁にと⋯⋯」

「ほう⋯⋯。考えましたね。長男夫婦の養女に迎えて、将来の結婚相手は次兄夫妻の息子とする。もしもチェンバーさんのお腹にいる御子が男児だったら、三男夫妻の御息女が許嫁となる。話し合った三人の兄達はそういう取り決めをなさった」

 長男夫妻が御子を引き取り、領主代行の地位を受け継ぐ。

 次男と三男は御子の性別次第で、自分の息子と娘を許嫁とする。これで血縁は紡がれる。

「はい。一番上の兄君にはお子様がおりません。不幸なことに、ご夫人が流産で身体を壊されてしまったのです。二番目と三番目の兄君には御子息と御嬢様がおります」

「悪くない案だと思いますよ。当人達が納得しているなら良案です」

「手紙を読んだとき、私もそう思いました。だから、妃殿下を説得しようと思ったのですが⋯⋯」

「受け入れられなかったと?」

「お怒りでした。具申を撥ね退けられてしまったんです。そんなことは許されないと⋯⋯。すごく強い口調で叱られてしまって⋯⋯」

「どんなふうに叱りつけられたのか教えてくれませんか? 私に言える範囲で構いません。教えてください」

「たしか⋯⋯。そんなことは絶対に許さない。御子の結婚相手は遠縁から選ぶと⋯⋯。兄君達の息子や娘とは結婚させない。そう仰っておりました」

「具体的な理由は? 説明されなかったのですか?」

「私は何も聞かされていません。あのような妃殿下を初めて見ました。普段はお優しい御主人様です。私には言えないような⋯⋯。とても大きな理由があるのでしょうか⋯⋯」

「皇帝陛下と妃殿下の間に世継ぎは?」

「あのっ⋯⋯すみません! その件は駄目です! ここではお話できません!! ⋯⋯私が夜伽に参加できたのは⋯⋯そのっ⋯⋯! 特別な事情があったからです! 言えるのはそれだけ⋯⋯。ご容赦ください!」

(チェンバーさんが仕えている妃殿下は子供を作れない体質なのでしょうか? それでお気に入りの側女を代理母にして⋯⋯。ん? 代理⋯⋯?)

 マリエールは推理する。もし側女の胎を借りるなら、一人である必要はない。チェンバー以外の側女も総動員するべきだ。

 実際、ベルゼフリートの性豪ぶりは知られている。黄葉離宮で働いていた側女は、ほぼ同時期に全員が孕んでしまった。

「夜伽に呼ばれた側女は他にもおられましたか? チェンバーさん以外に」

「いいえ。いつも私と妃殿下だけでした」

「⋯⋯⋯⋯。その理由は?」

「私を一番に信頼してくださっていると⋯⋯だけ⋯⋯」

 バルコニー席にかぼちゃケーキと飲み物が運ばれてきた。紅茶をマリエールの前に、果物ジュースをチェンバーの前に置いた。店員メイドが立ち去るまで、マリエールとチェンバーは湖畔を遠くを眺めていた。

 お互いが考え込む。そして、沈黙を最初に破ったのはチェンバーだった。

「困り果てています。私が忠誠を尽くす主人は妃殿下です。しかし、妃殿下の兄君達からも、私はよくしてもらってきました。今回の件に限っては、兄君達が正しいような⋯⋯。けれど、妃殿下や先代のご当主様を裏切るわけにも⋯⋯。どうしたらいいのでしょうか?」

「チェンバーさんはお仕えする妃殿下のご意向を尊重されるべきです」

「⋯⋯やっぱり⋯⋯そうですよね。私は側女です。妃殿下の意向を第一にすべき⋯⋯それが正しいと私も⋯⋯思ってました」

「チェンバーさん。これから私が話す内容は憶測です。ひょっとしたら的外れかもしれない。けれど、もしも事実なら妃殿下の判断が絶対的に正しいです」

「堕落聖女さんの憶測⋯⋯? どういう? お聞かせください」

「チェンバーさん。代理母出産をご存知ですか?」

「耳にしたことはあります。ショゴス族の同僚から⋯⋯。たしか⋯⋯自分の代わりに子供を産んでもらうこと⋯⋯ですよね?」

「はい。不妊の女性であっても卵子を採取できれば人工授精後、代理母の子宮に受精卵を移植することで子供が作れるのです。もしかするとチェンバーさんが妊娠した御子は、遺伝子的には妃殿下が母親かもしれませんよ」

「え? まさか! そんなことが⋯⋯。できるんですか!?」

「医術師なら可能です。やろうと思えば私も施術できますよ。妃殿下や先代当主が強硬な態度で大反対する理由。それは遺伝の問題です」

「遺伝の問題?」

「産みの母がチェンバーさんでも、血縁上は妃殿下の実子です。身内と結婚させたら近親婚になってしまうではありませんか。だから、遺伝の問題になります」

「まぁ! なんてこと! それは⋯⋯! そう⋯⋯ですね。だったら、許嫁の件は⋯⋯! 結婚を前提とした養子は駄目です! 絶対に許されません!!」

「あくまで可能性の一つです。私の予想が大外れで、別の理由があるのかもしれません」

「で、でも、⋯⋯ひょっとしたら⋯⋯。いいえ! たぶん⋯⋯! 合っている気がします! だから、妃殿下は夜伽のとき私だけを⋯⋯! 思い当たる節が沢山あります! そういう事情であれば、兄君達も納得していただけます!!」

「チェンバーさん⋯⋯。この憶測は説明しないほうがよろしいでしょう。タイミングを見計って最適な時期におそらく妃殿下が直接お話するはずです」

「確かに⋯⋯。御家のことですもの。使用人が出しゃばる問題じゃありませんわ。堕落聖女さんが仰る通りです」

「チェンバーさんは胎児が自分の血を引いていなかったとしても、気にされないのですね」

「はい! むしろ嬉しいです! だって、妃殿下のお役に立てている⋯⋯! 臣下として、これ以上の幸せはありません! 妃殿下があのような態度だったのも、今にして思えば⋯⋯。やっと分かりました。教えてくださっても私は気にしなかったのに!」

「⋯⋯⋯⋯」

 マリエールは意味深に口をつぐむ。

(真実は時に毒、無知は時に薬⋯⋯。この方は知らないほうが幸せですね。現状に納得されているのだから⋯⋯)

 妃は大きな秘密を抱えている。チェンバーにだけは明かせないのだ。その理由にマリエールは心当たりがあった。

「私の子宮に宿った赤ちゃんが妃殿下の御子なら、兄君達にはお渡しできません。納得がいきました」

「チェンバーさん。話は変わりますが、幼少期に大きな怪我をなさっていませんか? 両目が悪いようですね。失礼ですが⋯⋯。お顔を怪我されていたのでは? ああ、もちろん、嫌なら答えられなくても結構です」

 初対面の時に質問していたら、はぐらかされていただろう。だが、マリエールは既にチェンバーの信頼を獲得している。

「すごいです! お医者様だとやっぱり分かるんですね」

(まあ、医術師ではありますけれど⋯⋯。チェンバーさんは私を大神殿の神官と勘違いしてそうです。勘違いさせたほうがお得ですね)

「私は覚えていないのですけれど、幼少期に事故で頭部に大怪我を負いました。それはもうグチャグチャだったらしいです。私の顔は整形手術で治してもらったので、容姿が両親と全く似てません」

「視力は後遺症ですか?」

「その通りです。後遺症で色弱になり、色がほとんど見えておりません。女仙になったおかげで、視力はかなり回復しました。皇帝陛下の御力です」

「重ねて失礼な質問を許してください。整形や身体障害があっても、後宮に入内できるのですね」

「本来なら許されません。私は妃殿下のご助力で入内できました。ナイトレイ公爵家と所縁があり、ウィルヘルミナ閣下に頼み込んで、特例扱いにしていただきました。折よく軍閥派でも虚弱体質の娘が特例で入内していたので、私も認められたと聞いてます」

「将軍の娘さんがケーデンバウアー侯爵家の後押しで入内した件ですね。私も耳にしてます」

 マリエールはその人物を知っている。帝国軍の宿将ウィリバルトの孫娘リアだ。先天的に病弱であったリアは女仙化で健康体になった。側女の枠で入内させるために、ケーデンバウアー侯爵家のヘルガ王妃だけでなく、ベルゼフリート自身が動いていたという噂もあった。

「妃殿下は私を後宮に連れてきてくれた恩人です。頂戴した御恩に報いるため、私は妃殿下に一生をお捧げすると誓っています」

「だというのなら、やはりチェンバーさんは妃殿下の判断に従うべきですね」

「はい! 堕落聖女さんに相談して良かったです。迷いが晴れました! 次は私が悩みをお聞きする番ですね。どんな悩みでも仰ってください! お力になりますよ」

「――私は皇帝陛下とセックスしたいです」

 ド直球、単刀直入の相談。マリエールに臆面はない。

「え⋯⋯えっと⋯⋯。セックス?」

 チェンバーの表情は固まった。

「性行為です。皇帝陛下に抱いてもらうにはどうしたらいいのでしょう? 私はセックスしたいです。子供を産んでみたいのですよ」

「え~と⋯⋯その⋯⋯。皇帝陛下と⋯⋯セックス⋯⋯」

「なぜそんな初心うぶな反応を? チェンバーさんはご経験がありますよね?」

「は、はい、もちろん。そのー。そうです。堕落聖女さんがお仕えしている妃様にお願いしてみてはどうでしょう? 夜伽に側女を参加させる妃様は多いですよ」

「難しいですね。私は警戒されています」

「⋯⋯お仕えしている妃様と仲が悪いのですか?」

「悪くはありません。ですが、仲良しな間柄でもないです」

「そうなんですか⋯⋯」

「チェンバーさんは皇帝陛下と何度もセックスしていますよね? 詳しく内容を教えてくださりませんか? 参考にしたいです」

「えぇ!? 内容? え!? 内容を⋯⋯ですか⋯⋯?」

「皇帝陛下の気を惹きたいのですよ。それしか勝ち筋が残されていません」

「私で答えられる範囲なら」

「まずはチェンバーさんの初体験を教えてください」

 マリエールは満面の笑みを浮かべた。バルコニー席で質問攻めが始まる。

「⋯⋯初めて⋯⋯のときは⋯⋯。その⋯⋯。皇帝陛下の男根はとても大きくて⋯⋯挿入するまでに時間が⋯⋯。妃殿下が指先でほぐしてくださって⋯⋯」

 赤面状態のチェンバーから性事情を事細かく聞き出す。およそ小一時間の長話が続き、マリエールは黄葉離宮への帰りが遅くなってしまった。

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