手の甲で汗粒の滴る額を拭う。前髪の毛先から滴り落ちた。
高貴な金色の長髪には精液の雄臭さが染み付き、発情した雌のフェロモンも相まって、むせ返る淫臭を発生させている。セラフィーナは艶めかしい息づかいで、乱れた呼吸を整えた。
夜の帳が明け、カーテンの隙間から朝日が差し込む。
小休止を挟みつつ、ずっとセックスさせられていたベルゼフリートは、疲れ切ってベッドの上でグッタリとしている。
アナルセックスの後、発情したセラフィーナに押し倒され、妊娠済みのオマンコに精子を注ぎ続けた。
セラフィーナのアナルに突き刺さったサキュバス製の尻尾プラグは、左右に大きくブンブンと揺れている。騎乗位で交わるセラフィーナは、二穴から押し寄せる快楽を噛み締めながら、ベルゼフリートの頬に両手を添える。
(やっぱり、陛下は幼いわ……。どんなに性技が巧みだろうと、大人の女には勝てないのですね)
少年の矮躯に不釣り合いな逞しい男性器を膣内で愛でる。そそり立つ股間に跨がり、腰をくねらせ、愛液塗れの女陰を押しつけた。
その淫靡な姿は、美少年の男娼に媚びる貴婦人を想起させる。
(私にセックスの快楽を教え込んだのは、他ならぬ皇帝陛下なのだから、ちゃんと責任を取ってもらいますわ)
セラフィーナは真の意味で女となった。性交の悦楽を知ってしまったのだ。
夫であるガイゼフとの上品な子作りが、今となってはお遊びのオママゴトとしか思えなくなっている。セックス中毒者となったセラフィーナは羞恥を顧みず、性行為に貪欲だった。
(ガイゼフを愛しているけれど、もう男性としては見られなくなってしまったわ……。それともガイゼフがちゃんと頑張れば、今の私を満足させるセックスをしてくれるのかしら……?)
膣穴にはベルゼフリートの極太チンポが挿入されている。尻穴ではプレゼントされた尻尾プラグが、性感帯を刺激する。
(⋯⋯夫のオチンポより大きいオチンポ♥︎ 陛下のイチモツはきっと女を堕とすためにあるのだわ♥︎)
連戦に次ぐ連戦で、疲弊した男性器は勃起状態を維持できていない。萎えたフニャチン状態であるのだが、それでもなお、ガイゼフの男根よりも遥かに立派だった。
(んぅぅ……♥︎ ちょっと苦しいですわね。精子で下腹がタプタプ♥︎ きっと胎児も精液塗れになってる。でも、こうしてオマンコに陛下のオチンポを入れていると、気持ち良い♥︎ 背徳的な愉悦を感じるわ。夫を持つ身で、最低な裏切りをしているのにっ⋯⋯。どうしてこんなに、私の心は満たされるのかしら……?)
変化させられているのは、内面だけに留まらない。人間離れした巨根と交わったセラフィーナの膣穴と尻穴は外見上の変化が生じている。
(陛下とセックスをするようになってから、膣穴が広がってしまったわ。こんなに広がっているのなら、子供を産むときは苦労が少ないでしょうね……。ふふっ⋯⋯)
激しいセックスで、セラフィーナの女性器は変形していた。膣口と膣道は、ベルゼフリートの男根を受け入れられるように拡がり、愛液が滲み出やすい体質となった。
先祖に淫魔がいるせいか、セラフィーナの肉体はセックスに最適化されつつある。
「ねえ……。セラフィーナ……。もう朝だよ……?」
「はい。夜が明けましたわ。陛下」
「そろそろ眠らない? 寝不足は健康に悪いよ。お腹の僕らの赤ちゃんいるんだからさ。あと、僕だって睡眠は必要だよ」
「陛下がお疲れになって眠られるのなら、やめるつもりでしたわ」
妊娠中のセラフィーナは、胎児に後ろめたさを感じる。妊婦の自覚を忘れ、激しい運動をしてしまった。
「⋯⋯セラフィーナの膣内は居心地がいいね。オマンコが搾り取ろうとしてくる」
「陛下こそ私を眠らせてくれませんでしたわ。今だってこうして、私との逢瀬を愉しんでいるではありませんか?」
「僕だって体力が残っていれば相手をしてあげるつもり。でも、眠いのは本当なんだ……。すっごく眠気は感じてるんだけど、頭が覚醒しちゃってすぐには眠れないの。分かるかなぁ。この微妙な感覚。自分でもよく分からないけど、そんな感じ……」
「ええ、もちろん分かりますわ。私も陛下と同じまどろみの心地ですから……」
口では同調を示しつつも、騎乗位で覆い被さるセラフィーナは、ベルゼフリートの肉棒を逃さない。膣襞で絡め取り、女陰の牢獄に軟禁する。下腹部から生じる緩やかな快楽を味わいつつ、情婦と化したセラフィーナは熟考していた。
(メガラニカ帝国の皇帝と密約を交わし、こうして親密な仲となれたわ。けれど、アルテナ王国を守るためには、もっともっと……そう……心の奥深くに踏み込んだ関係まで発展させないと……)
今は互いを利用する立場。しかし、セラフィーナはそれ以上の関係を望んでいた。祖国の自主独立を守るという大義名分のもと、セラフィーナは手段を選ばない。
(客観的に考えなければいけませんわ。幼帝ベルゼフリートは、女王セラフィーナにどういう感情を抱いているのかしら……? 私と皇帝の関係性を意識して、考えながら距離を縮めていかないと。立ち回りを誤ってしまうわ)
13才の少年に対し、36才の人妻は色仕掛けの打算をしていた。
視線を釘付けにする絶世の美貌。異性を惑わす爆乳巨尻の身体、目を虜とする美しい黄金の長髪。誇れる容姿を持つセラフィーナだが帝国の後宮は美女揃いだ。美しさだけでは魅力が弱い。
(そう……。美しい容姿だけでは、大勢いる美女の1人でしかない。私には美貌しかないけれど、絶対的な強味にならないわ)
たとえ、その胎に皇帝の御子を身籠もっていたとしても同じだ。情婦の1人である事実は変わらない。セラフィーナが目指すのは特別な寵姫だ。
「眠れないのなら、眠りたくなるまでお話しませんか。陛下は恋をした経験がございますか?」
「恋をしたことはあるよ。僕だって皇帝である前に男の子だ。惚れ込んだら、僕ってすっごく一途だよ。セラフィーナとそこは同じ」
「……不思議なことを言われるのですね。今の私が一途に見えるのでしょうか? 私は夫婦の誓いを破り、淫行に耽った果てに不義の子を宿した卑しい女ですわ。純真だったころの私に言われるのなら、分かるのですけども……」
「セラフィーナは僕とのセックスは、すっごく愉しんでる。でも、それって不倫してるのを自覚してるからだよね。旦那さんへの気持ちを忘れてるなら、後ろめたさなんて感じないよ」
ベルゼフリートの指摘は図星だった。
ガイゼフを男として見れない。しかし、そうであっても、夫としてのガイゼフは恋しいと思う。ベルゼフリートとの関係は「男女の性情」であるのに対し、ガイゼフとは繫がりは「夫婦の絆」だった。
「祖国だって諦めてないでしょ? 息子のリュートを殺した怨みだって、きっと覚えているはずだよ。実際、僕が口に出したら、セラフィーナは表情を曇らせちゃうしね。セラフィーナは家族に一途だし、まだ未練が残っている」
内心を見透かされ、セラフィーナは一言も反論できなかった。
「僕だって実は同じだよ。本当の家族を知りたい……。記憶にすらないけど、パパやママがいるはずなんだ」
母性に飢えるベルゼフリートは、セラフィーナの乳房に頬を寄せる。性的な欲求を満たすためではなく、原始的な愛慕を求めての仕草だった。
(んあっ……! 敏感になった乳首の性感帯が刺激されてっ♥︎)
セラフィーナは発情した雌の反応を示してしまう。子宮がキュンキュンと疼き、膣道が収縮する。子胤を欲するオマンコがオチンポを締め上げいると、ベルゼフリートは理解した。
「イってるの? まだまだ欲求不満? ごめんね。もう出し尽くしちゃった。種切れだよ。一眠りしたら続きはしてあげるね」
ベルゼフリートは苦笑いを浮かべる。疲れているせいか、少年らしい根本の心情が表面化していた。ベルゼフリートは母性的な愛を求めたが、セラフィーナはその愛慕に欲情を隠せなかった。
「私も睡魔に負けそうですわ……」
セラフィーナは言葉を濁す。3人の皇后なら皇帝の幼心に気付き、本当の癒やしを与えられたかもしれない。そんなことを考えてしまって、セラフィーナは自信を喪失する。
「うん。一緒に眠ろう。お休み。セラフィーナ」
男女の微妙なすれ違いは、寝室内に気不味い空気を作った。
◇ ◇ ◇
〈沈黙の誓い〉を立てた無口無表情の警務女官は、皇帝と女王の痴情をジッと眺めていた。
皇帝の秘密を守り、身辺警護を全うする。それ以外の感情はない。不動の姿勢で警護をしていた女官は、寝室の扉に意識を向けた。
まだ、交代の時間ではなかった。扉を守る警務女官たちが、何者かと廊下で話している気配に気付いた。
廊下に詰めている警務女官が寝室の扉を叩いた。ノック音は3回響いた。しかし、室内にいるベルゼフリートやセラフィーナには聞こえていない。戦闘訓練を積んだ武人でなければ、聞き取れない微細な小音だった。
秘密の守り人は、口頭で返事ができない。その代わりに扉を5回叩き返した。
警務女官にだけ通じる意思疎通だった。5回叩き返す意味は「必要があるなら扉を開けても良い」だ。扉が開き、同僚が顔を覗かせる。
「側女のリアがセラフィーナさんとの面会を求めています。どうします?」
「…………」
無口な警務女官は怪訝な視線を向ける。リアは愛妾仕えの側女。下女が皇帝に謁見を願うのと等しい。そんな願いなど、却下するのが当然だ。
わざわざ確認をとるほうがおかしい。平時であってもそうだが、ベルゼフリートとセラフィーナは夜伽の最中なのだ。
「…………」
無口な警務女官は非難を込めた鋭い眼光を放つ。目線は「答えは確かめるまでもなく分かっているでしょう?」と物語っていた。
門前払いすべき案件を皇帝のいる寝所にまで持ち込んだ。配慮に欠けていると思ったのだ。扉を閉めようとしたとき、同僚が新聞を差し出してきた。
「理由があってのことです。側女が持ってきた今日付の帝都新聞です」
「…………?」
帝都新聞を黙って受け取る。紙面を読み進める最中も、彼女は無表情だった。しかし、記事を見て納得させられた。
無口な女官は不評を承知で、眠ろうとしているベルゼフリートに駆け寄る。
「ん? どうしたの? 誰か来るの? 別にいいよ。でも、眠たいから手短にね」
ベルゼフリートの了解を得て、無口な警務女官は手招きした。半開きとなっていた扉が完全に開き、新聞を手に持ったリアが入ってくる。
左右には薙刀を構える女官がいる。悪さをして捕まえられた囚人のようだった。
寝室に入ってきた人物が意外だったので、眠りに落ちかけていたセラフィーナは驚いた。女官総長のヴァネッサか、高位の妃が押しかけてきたかと邪推していたが、完全に意表を突かれた。
(……リア? どうして貴女がここに……?)
セラフィーナは羊毛の手巾を陰部に添えて、膣穴から逆流してくる精液と愛液を拭っている最中だった。垂れ流してしまうと、添い寝しているベルゼフリートを不快にさせてしまう。夜伽を終えた後宮の女たちは、股に挟んで眠ることが多い。
意外な人物の登場に驚いている幼帝と女王だったが、生々しい閨事の場に通された純粋無垢なリアが受けた衝撃も大きかった。
女官は見慣れた光景だが、猛烈な淫臭を嗅ぎ取ったリアは唾をゴクリと飲み込んだ。豪奢なベッドで見知った男女が同衾している。
裸で抱き合うベルゼフリートとセラフィーナ。リアが赤面しているのをベルゼフリートは微笑ましく思った。陰険な謀略が日夜繰り広げられている宮廷で、まず見られない初々しい反応だ。
「おはよう。リア。訪ねてきてくれて嬉しいよ。でも、僕じゃなくて、セラフィーナに用があるのかな? 僕への口上はいらないから用件だけ伝えなよ。無礼講でいこう」
よほどの重大事なのだろう。そうでもなければ女官が通すはずがない。
リアの祖父は帝国軍の重鎮ウィリバルト将軍。だが、大貴族の出身者ではない。そもそも有力な門閥貴族出身者であろうと、女官が側女を丁重に扱うことはまずない。時には皇后さえ侮蔑し、嘲笑するのが、宮廷の強かな女官達だ。
「皇帝陛下……! お休みのところ、お騒ぎ立てして大変申し訳ございません。しかし、セラフィーナ様に、大至急お伝えしたいことがあります。どうか、これをお読みください……!」
獣人は獣耳や尻尾に感情の起伏が顕著に現れる。犬族は獣人族の中で内心を隠すのが特に下手だ。萎縮するリアは、頭部から生える犬耳が折れていた。
「帝都新聞……?」
セラフィーナは差し出された朝刊を手に取る。一面の大見出し記事、トップニュースの内容に視線を移す。
——王女ヴィクトリカ・アルテナ死亡、帝国軍総督府が発表。
朝刊一面に、娘の死亡を伝える見出しが躍っていた。
「……セラフィーナ様のご息女に関する一大事でしたので、お伝えしなければならないと思いました。ロレンシアさんは……その……今は使用人の仕事ができる状態にはありません。……差し出がましいとは思いつつも……」
聞こえているはずなのに、リアの言葉が頭に入ってこない。セラフィーナは息子のリュートに続いて、娘のヴィクトリカまで失ってしまった。母親として娘の死に動揺したセラフィーナは、記事の本文を読み進められなかった。
硬直するセラフィーナに代わり、ベルゼフリートが反応を返す。
「ふーん。そっか……。軍務省はやっぱりヴィクトリカ王女を保護する気がなかったんだ」
ベルゼフリートの脳裏に浮かぶのは、参謀本部の情報将校ユイファンの微笑だ。必要に迫られれば、軍務省は非情な決断を下す。
穏健派だからこそ、最低限の血しか流れない策謀を用いるのだ。
(女王が妊娠しちゃえば、王女は不要だもんね。これは宰相府も折り込み済みなのかな……?)
目論みは掴みきれない。しかし、軍務省がヴィクトリカ王女の退場を演出した意図は汲み取れた。
ヴィクトリカ王女の死が事実なら、アルテナ王家の嫡子は全員死んだ。ガイゼフとの間に出来た王子と王女が消え、この世に残るのは、これから産まれるベルゼフリートとの子供だ。
(結局、軍務省の筋書き通り? なんか引っかかるなぁ。まあ、僕は何でもいいのだけど、……実の母親はそうもいかないよね)
そもそも国政や外政と無縁であるベルゼフリートにとって、気にかけるべきは天下国家ではなく、娘を失った母親をどう慰めるかであった。
(ぶっちゃけた話、僕の隠された過去を知るためにも、まだセラフィーナに折れてもらっちゃ困るんだよね。さて、どうしようかな)
傷心のセラフィーナをそっとしておくべきかとも考えた。しかし、むしろ奮起を煽るほうがいいと思い至る。
セラフィーナの心根に野心が潜んでいる。ベルゼフリートは気付いていた。
「慰めてあげる。眠るつもりだったけど、最後にもう一回だけセックスしよ」
ベルゼフリートは、セラフィーナの手から凶報が記された帝都新聞を奪い取り、床に投げ捨てる。娘を失った母親は静かに涙を流していた。淫欲に染まる前の、清らかな慈母だったセラフィーナの表情に戻っている。そんなセラフィーナの眼前に勃起した男根を押しつけた。
「その……今は……さすがに……」
娘のヴィクトリカが死んだ。悲しみの底に沈むセラフィーナを慰めるとベルゼフリートは囁く。しかし、元を辿れば悲劇の原因は、メガラニカ帝国の侵攻なのだ。
戦争さえなければ、セラフィーナは今も普通の幸せを享受していた。
「今さら節義を気にするの? 僕と初めてセックスしたときだって、リュート王子が公開処刑された直後だよ。お腹にいる子供だって、喪中に僕とセックスして出来たってこと忘れちゃった?」
身体をひっくり返され、まんぐり返しの姿勢となったセラフィーナは、自身の陰部を直視させられる。愛液と精液が垂れ流しているいやらしい淫穴は、セラフィーナの本性を示していた。
尻穴に装着している尻尾プラグは、激しい反応を顕している。
「んあっ……っ♥︎」
ベルゼフリートの亀頭が膣道に侵入する。襞を突き抜けて、一気に最奥の子宮口まで到達する。予期せぬ奇襲を受けて、尿道から半透明の汁が飛び散った。
潮吹きを遂げ、不様な痴態を晒す。
女陰からほとばしる潮水がセラフィーナの顔を濡らす。ベルゼフリートも疲労の限界まで達していたが、征服欲を満たすために、セラフィーナに精力を注ぎ込む。
挿入された男根は、母親の涙を洗い流し、淫婦の本性を暴き立てる。
二人は言葉を交わさず、原始的な雌雄の獣となって交尾を続けた。少年の苦しそうな呼吸音、熟れた人妻の喘ぎ声、荒々しい荒淫の水音、身体が打つかり合う肉音が重なる。
快楽の絶頂に至ったセラフィーナはベッドシーツを握りしめる。絶頂と同時に膣圧が高まり、ベルゼフリートも放精に達した。
熱を帯びた新鮮な精液が流れ落ちてくる。
「……んあっ……あぁ……♥︎ 陛下⋯⋯♥︎」
淫事に見慣れている女官だけでなく、無垢なリアを含めて、寝室に居合わせた女達は、その淫靡な光景に見蕩れていた。
白髪の少年と交わり、喜悦の声をあげる黄金髪の美女。色黒の矮躯が、真っ白な媚肉を包み込む。年齢差はあれど、互いの身体を求めて愛し合う幼帝と女王の姿は、魔性を帯びた淫絵のようであった。