2025年 1月16日 木曜日

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【205話】金勘定の両天秤(♥︎)

NOVEL亡国の女王セラフィーナ【205話】金勘定の両天秤(♥︎)

 女官達は常日頃から皇帝の気分を害さぬよう心掛けている。天幕内は涼しく、居心地が良い。虫除けを兼ねたお香が焚かれていた。

 夜の砂浜で嬌声が響く。充満したせ返る淫臭。発情した美女達の甘ったるいフェロモンが鼻を酔わせる。

 淫靡な衣装で着飾った孕女達が、たった一人の少年に群がる。一つの花弁に集る蜜蜂のような有様だ。

 八人の美女を同時に相手取るなど、常人の精力ではまず不可能である。しかし、性豪の幼帝は難なく全員を抱き、一巡目の中出しを終えた。くじ引きで決めた順番の始めに戻る。

「はい。じゃあ、またロレンシアからね」

 幸せなのは余裕がある間だけだ。二巡目、三巡目と続いていけば射精の勢いが失せていく。おそらく四巡目では限界を迎え、精根が尽き果ててしまう。

 黄葉離宮の女仙達は底無しの性欲を抱えている。調子に乗ったベルゼフリートが形勢逆転されるのはいつも通りの展開だ。いずれは攻守が入れ替わり、揉みくちゃにされるが、今のところベルゼフリートは攻勢を保てている。

 もう一巡くらいは攻め気を維持できる。滾らせた肉棒で子壺を揺らす。宮中最大サイズの超乳、巨大に膨れ上がったボテ腹、淫媚を体現したロレンシアは絶頂しかけた。

 旧帝都ヴィシュテルでの一件以来、ベルゼフリートの精力は向上した。周りで順番待ちをする待機組と談笑する余裕まであった。

 享楽的な夜伽のさながら、ララノア達から冒険者時代の貧乏エピソードを聞かされて、ベルゼフリートは目を丸くする。

「――え?」 

 前後運動を繰り返していた腰が止まる。

「冒険者ってお金持ちなんでしょ? 帝都の冒険者組合が貧乏なのは聞いた。でもさ、一級冒険者だよ? まさか! ちょっと盛ってるんじゃないの?」

「そうであれば良かったのですが⋯⋯。はははは。冒険業は日雇い労働ですよ」

 熟練の冒険者だったララノアは乾いた笑いを漏らす。長命種のエルフ族である彼女は百年以上のキャリアを築いていた。

「駆け出しならともかく、等級の高い冒険者は依頼金がべらぼうに高いじゃん」

 ベルゼフリートの男根は、ロレンシアの妊娠子宮を突き上げたまま一時停止している。話し相手のララノアに顔を向けたまま、ロレンシアとの正常位セックスに興じる。

 ビクビクと手足を痙攣させたロレンシアは、喘ぎ声を抑えるために口を手で覆う。主人の会話を邪魔してはならない。できれば会話に加わりたいくらいだった。

 帝都の冒険者についての話題。知っておきたい内容だ。ところが身体は言うことを聞かない。ロレンシアの意思に反し、雌獣の淫叫は指先の隙間から漏れ流れてしまう。

「んぅぅうぅっ~~♥︎ ん゛ぅ♥︎ んぅぅうっ~~♥︎」

 発達した乳腺が脈動している。膨れ上がった乳房にうっすらと血管の色彩が浮き出ていた。左右に溢れ垂れた超乳をリアとエルフィンの獣人娘が吸う。

「はぁはぁ♥︎ はぅっ♥︎」

 両隣に陣取った同僚の獣娘二人は、勃起した乳首を甘噛みし、丁寧に母乳を搾り上げる。

(あぁっ♥︎ 陛下とは違う吸い方⋯⋯♥︎ 獣人族のザラつく舌が乳首を刺激するっ♥︎ リアとエルフィンが私の母乳を吸ってる。しかも、オナニーしながらっ♥︎ らめぇ♥︎ オマンコがイく♥︎ 止められないぃっ♥︎ イぃ♥︎ イぐぅううっ♥︎ 頭を使いたいのに馬鹿になっぢゃうぅっ♥︎)

 同時責めでもだえ悦ぶロレンシアを愛でる。ベルゼフリートは仕上げとばかりに、男根をさらなる深奥部へ侵入させた。

「んぃひぃんっ♥︎ あんっ♥︎ あぁっ♥︎ あぁっ~~♥︎」

 リアとエルフィンの乳吸いもさらに強まった。リアは顔を真っ赤にしているが、命じられたとおりに舌の動きは止めない。エルフィンも先ほどやられた返礼とばかりに甘噛みを繰り返した。ロレンシアの母乳を吸い尽くす。

「んひぃっ♥︎ んぉっ♥︎ おっ♥︎ んあぁっーー♥︎ あぁう゛うぅ♥︎」

 超乳巨孕の淫女は赤毛を逆立てる。幼帝の巨根でしか味わえぬ至高の淫悦に達した。子宮口に粘つく精液が浴びせかけられる。ボテ腹の妊娠オマンコは絶頂の悦びで潮水を吹き散らかす。

「あ、いいよ。ララノア? さっきの話、続けて。ロレンシアを抱きながら聞いてる」

 ベルゼフリートはララノアに会話の続きを促した。我が子を宿したロレンシアの大きな妊娠腹を撫でている。次は何人の子供達が生まれるのか楽しみにしていた。

「一級冒険者への依頼金、つまり私達が受け取っていたクエスト報酬は高額です。しかし、いつも依頼が舞い込んでくるわけではありません。他国に比べて、帝都の冒険者組合に持ち込まれる依頼は少なく、私達の収入は不安定でした。金勘定での苦労は尽きません」

「一級冒険者向けの依頼って、そんなに少ないの?」

「高額報酬の依頼を定期的に持ち込んでくれるのは政府機関です」

「宰相府とか軍務省の依頼が多いってこと?」

「はい。しかし、これはメガラニカ帝国が冒険者組合を頼っているのではなく、政府組織から民間へ仕事を供給する国策の一環です」

 冒険者を頼らずとも、帝国軍を出動させれば大抵の問題は解決する。特級冒険者など特殊な技能持ちは例外であるが、暴力的な手段で解決できるのなら、アレキサンダー公爵家やケーデンバウアー侯爵家などの軍閥で事足りるからだ。

「そうなんだ。ウィルヘルミナやレオンハルトが冒険者組合にお仕事を回してるとかは聞いたかも? 政府なら金払いはいいもんね」

「私達がセラフィーナ様やロレンシアさんと接点を持てたのは、政府系の筋から依頼が回ってきたからです」

 大財閥ラヴァンドラ商会は民間商業組織である。しかし、その実態はラヴァンドラ王妃が頭取を務める政府系複合企業だった。宰相府の意を汲んで動くことが多い。半官半民の立ち位置にあった。

「去年の夏にロレンシアを護衛してたときは、そんな感じだったんだね。ラヴァンドラが仲介したんでしょ?」

「はい。要人護衛の依頼としても破格の報酬でした」

 災禍が終息した後、ベルゼフリートが誕生してからのメガラニカ帝国は魔物の発生率が著しく下がった。帝国軍内の騒乱や隣国との戦争は起きたが、冒険者達が関わる案件ではない。

 一級冒険者の稼ぎ口は、政府筋の依頼が大半を占めるようになった。特に先般の大妖女レヴェチェリナが起こした襲撃は、冒険者組合の懐事情を温める結果となった。

 魔物の襲撃後、帝都アヴァタールの大商人や裕福な貴族はこぞって護衛を雇った。そのうえ、軍務省からは旧帝都ヴィシュテルの魔物掃討作戦で大口の依頼があった。もしララノア達が現役の一級冒険者だったなら、まず間違いなく招集がかかっていた。

「懐事情を聞いちゃうと夢がない職業だね。お国の使いっ走りじゃん」

 ベルゼフリートは口を尖らせる。皇帝ほどの身分では特級冒険者がもっとも身近なため、自由奔放で華やかな職種と思い込みがちだ。

「冒険者の仕事はお使いクエストがほとんどですよ」

「領主仕えの騎士や剣闘士のほうがよっぽど儲かるじゃない? 決闘王だったハスキーは大金持ちだったよ。いろいろと自由だったらしいしさ。自由過ぎた気もする⋯⋯。いや、今も自由なメイドだけど⋯⋯」

 ハスキーは近くにいない。撤収作業の打ち合わせでシャーゼロットに呼び出されていた。その代わり、ユリアナが影を操って周囲を警戒している。

「お金に困ってコロシアムで日銭を稼ぐ冒険者は少なからずいました。冒険者に副業は付き物です。かくいう私も駆け出し冒険者時代、迷宮都市ラビュリントスの地下街でガイド業をしていました」

「ラビュリントスで働いてたんだ! しかも、ガイド!」

「陛下はラビュリントスに行きたがっておりましたね」

「うん! 僕はね、迷宮観光に行ってみたいんだ。なかなか許可が下りなくてさ。ロレンシアやセラフィーナも連れて行ってあげたいな。ララノア達にガイドしてもらおうよ。きっと楽しいデートになる」

 射精を一段落させたベルゼフリートは、膣穴から男根をゆっくりと引き抜いた。粘っこい愛液が糸を引く。出し損ねた精液が尿口に付着している。

「ロレンシアの番は終わりね。気持ちよかった?」

「ふぁいっ♥︎ ありひゃとうございますぅっ♥︎」

 呂律ろれつが怪しいロレンシアは、恍惚の表情で笑みを浮かべていた。

「よし。じゃあ、えっと、次はテレーズだよね。うっ! うわっ! ちょっ!」

 ずっと我慢していたテレーズはベルゼフリートを押し倒した。

「陛下ぁぁぁああああああああああああああぁぁーーーー♥︎」

 ほんの一瞬、警務女官達が反応する。ユリアナの影が近くまで這い寄ってきた。しかし、テレーズを捕まえたりはしなかった。悪意あっての襲撃ではない。聖堂教会の破廉恥な聖衣で夜伽に臨むテレーズは発情しきっていた。

「あぁっ♥︎ あっ♥︎ 皇帝陛下♥︎ あぁっ♥︎ 陛下ッ♥︎」

「涎が垂れてるよ。テレーズ」

「迷宮都市のことなら私にお任せください♥︎ なぜならばぁっ♥︎ じゅるりぃ♥︎ 聖堂教会の拠点があるからでございますっ♥︎ 信者が総出で陛下をおもてなしいたしますわ♥︎」

「うっ、うん⋯⋯」

 戸惑うベルゼフリートは聖堂教会があると聞いて複雑な心境だった。ますます訪問の許可が下りにくくなった。そんな気がした。視界の隅に入ったユリアナの表情が険しい。首を横に振っている。

 警務女官だけでなく、大神殿も聖堂教会を危険視している。宗派対立というよりは、聖堂教会の過激な行動理念のせいだ。

「あぁ、皇帝陛下! 陛下ぁああっ♥︎ 次は私のオマンコを堪能ください♥︎ 皇帝陛下のオチンポに御奉仕できるのは至上の悦びぃいッ♥︎」

「もう挿入済みじゃん⋯⋯。テレーズはセックスがどんどん上手くなっていってるよね。飛びかかってきたときには、もう膣穴に捕捉されてた」

 ベッドに押し倒された瞬間には、にゅるりとオチンポが突き進み、挿入状態が完成していた。

「あぁっ♥︎ んぁっ♥︎ んんっ♥︎ 既に膣内射精していただいた子宮に、再び子胤をたまわるなんてっ♥︎ あんっ♥︎ テレーズは幸せ者ですわぁっ♥︎」

(口を閉じてお淑やかにしてれば、オマンコの締まり具合も良くて、欠点が一つもない美人さんなのに⋯⋯。ああ、分かった! これが残念美人ってヤツだ! 僕のことが大好きなのは分かる。分かるんだけど⋯⋯。うーん。瞳孔が開いてる。ガンギマリの勢いが恐い。聖堂教会の信者って皆こんな感じだったりして?)

 大神殿の慎ましい神官達とは雰囲気が異なる。とはいえ、清楚な聖職者だろうと、セックスの乱れ具合は似たようなものだ。

(まあ、こういうタイプも良いよね。二人や三人も相手にするとなったら困るけどさ)

 テレーズに跨がられたベルゼフリートは、挿入済みのオチンポを力ませる。勃起の硬度が増す。膣襞で変化を感じ取ったテレーズは、ベルゼフリートと密着する。

「そんな強く抱きしめなくたって逃げたりしないよ。ちゃんと満足させてあげる。テレーズが元気な赤ちゃんを産めるようにね」

「んぁっ♥︎ はいっ♥︎ ありがとうございますぅっ♥︎ あぁ♥︎ 見えますわぁ♥︎ 皇帝陛下の御子が偉大な指導者となり、聖堂教会がメガラニカ帝国の国教になる日が見えますわッ♥︎」

「う~ん。どうだろ? その願望が叶う日は来るかなぁ?」

 中身はともあれ、スタイル抜群に美人ではある。激しい想いをひとまず受け入れた。

「ふふっ♥︎ 御奉仕を始めますわ♥︎」

 両脚を折り曲げたテレーズは、騎乗位で艶尻を高速杭打ちする。

 パンッ♥︎ パンッ♥︎ パァンッ♥︎

 小気味よく肉音が鳴り響く。ベルゼフリートも腰を突き上げて、子宮口を穿ち貫いた。狂信的愛情を向ける皇帝にオマンコを捧げる喜悦に浸り、テレーズの釣り上がった口元から大量の涎が垂れ流れた。

「あ゛ぁああぁぁ♥︎ 皇帝陛下ッ♥︎ 可愛い♥︎ 本当に小さくて愛らしい陛下ッ♥︎ 私と陛下の赤子が子宮にいるだけでも幸せなのにぃ♥︎ 孕んだ後も寵愛をくださるなんてっ♥︎ ずっと、ずっと、ずっとぉ♥︎ 繋がっていたいぃっ♥︎」

「僕が射精したら交代だからね? 分かってるよね? 説明したよね? クジ引きで決めた順番は守らなきゃ、んぎゅっ!? ふぎにゃっ!」

 テレーズの乳房でベルゼフリートの顔面が覆われる。

「ふふふふっ♥︎ 子産みを終えるのが待ち遠しいですわぁ! 母乳が出たら必ず陛下に捧げます!! 陛下はミルクが大好きなのでしょう!?」

「す、すぅきだけどぉ⋯⋯!」

「極上の母乳を搾りだしてみせますわぁ♥︎ 今から予行演習をいたしましょう♥︎」

(これはもう何を言ってもダメか。オッパイで口封じされちゃったよ。母乳の味が好みっていうよりは吸うのが好きなんだけどね。でも、せっかく黄葉離宮の女仙を全員孕ませたんだし、飲み比べはしてみたいかも)

 少年の矮躯は淫らに肥えた女僧侶シスターの肉体で押し潰されてしまった。

「あぁっ♥︎ 陛下♥︎ 陛下ぁ♥︎ あぁっ♥︎ あんっ♥︎ 愛が止まりませんわ♥︎ あぁ♥︎ ダメです♥︎ 洪水のように理性が押し流されてしまうっ♥︎」

(理性がぶっ飛ぶのはいつものことじゃん)

「全身で私を感じてくださいませっ♥︎」

(全身で潰されそうだよ。ふぅっ⋯⋯。まあ、無理やりされるのも悪くない。でも、僕だって反撃しちゃうんだからっ! テレーズが敏感なのはこの辺りかな? ていっ!)

「んあぁっ♥︎ 陛下のオチンポ♥︎ すごいぃっ♥︎ 亀頭がゴリゴリくるッ♥︎ 激烈な快楽っ♥︎ くるっ♥︎ くるぅううう~~っ♥︎ あ゛あぁあぁぁ~~♥︎」

(効いてるんだか、効いてないんだか。分からないなぁ⋯⋯。膣圧が高まったから、もっと押してみよう)

 ベルゼフリートとテレーズは寝台を軋ませながら騒々しく荒れ狂ったセックスを続ける。次の夜伽番であるルイナとアリスティーネは、おもむろに警務女官から拘束具を受け取っていた。

「セラフィーナ様はもっと私に聞きたいことがありそうですね。も含めて」

 ララノアは視線に気付く。片隅で静かに微笑むセラフィーナは手招きする。黄葉離宮の側女達にはあらかじめ、セラフィーナが抱え込んだ事情を説明していた。

 アルテナ王国の国王夫妻による巨額の投資。冒険者組合を起点とした旧帝都ヴィシュテルの復興計画。百年以上もの間、帝都で冒険業を続けたララノアは助言を求めるべき有識者だ。

 ロレンシアと違って帝国の人間であるが、今さらそんな些細なことは気にしない。今やセラフィーナも立派な帝国の女だった。

「冒険者組合で最も強い影響力⋯⋯。主導権を握っているのはギルドマスターなのかしら?」

 セラフィーナは一度だけギルドマスターと会っている。つい先頃、大妖女レヴェチェリナの正体を探るため、シーラッハ男爵家が手放した〈翡翠の首飾り〉についての情報収集を依頼した。

(あのギルドマスターは、私が大金を積んでも依頼の審査が必要だと言っていましたわ。国の使いっ走りと揶揄されていても、本心では独立自尊なのでしょう)

 依頼結果の実りは少なかったが、冒険者をまとめる優秀な人物に思えた。しかし、冒険者組合を取り仕切っているのが彼とは限らない。特に今回の件は、メガラニカ帝国で活動する冒険者の未来を左右する。

「もっとも強い影響力を持つのはです。あの方達には様々な特権が認められています。他国のギルドから直接依頼を受けたり、国境を自由に超えたり、御法度とされるギルド経由ではない依頼を黙認されたりと⋯⋯。とにかく滅茶苦茶です」

「帝都には特級冒険者が二人いるのでしょう?」

 特級と一級には雲泥の差がある。努力では届かぬ領域の傑物。ララノア達が一生を費やしても到達できない頂点に君臨する二人。その名はセラフィーナの耳にも入ってきている。

「ネクロフェッサーとノエル・ウェイジャー。帝都の冒険者組合を動かすのはネクロフェッサーです。今回の件、あの御老公が裏で糸を引いている気がします」

「なぜノエル・ウェイジャーを除外するのかしら? この手紙には二人の名前が連名で裏書きされていたわ」

「ノエル・ウェイジャーは名前を貸しただけだと思います。一度だけ依頼を一緒にこなしましたが、政治的案件に関わる性格ではありません。そういった面倒を嫌って帝国軍を除隊しています」

「ネクロフェッサーはどうなのかしら?」

「規則を破ることに躊躇がない御老公です。しかし、最古参の特級冒険者であり、半世紀前の廃都ヴィシュテル解放戦で生き残った猛者。特に帝国西方での支持は⋯⋯。つまり、私達がいるこの西岸地域で絶大な人気を誇ります」

 ララノアはネクロフェッサーの偉業を軽く説明する。エーザンベジュ大山脈の地下都市に押し寄せた屍軍の一掃、西方の沿岸都市を守る要塞線ヴェストヴァールの構築。業績は数知れずある。

 死恐帝の災禍が猛威をふるった時代、ネクロフェッサーと配下のクラン〈天文監察補助隊ネクロ・アストロモア〉は大勢の命を救った。

 一方で大神殿との関係は拗れており、原因は貴重なアーティファクトの無許可持ち出しである。未だに返却はされていないという。

「帝都アヴァタールで会談の予定があるのなら、ネクロフェッサーはまず間違いなく出てきます。皇帝陛下と親しく、宰相閣下との繋がりが深い人物です」

「宰相閣下はネクロフェッサーを好んで雇っていたという話を聞きましたわ」

「ネクロフェッサーはナイトレイ公爵領の出身だったはずです。歴代の公爵家当主が多額の援助をしていました。要塞線ヴェストヴァールの費用は、ナイトレイ公爵家が負担したと聞いています」

「ネクロフェッサーの出自は、ナイトレイ公爵家に仕える貴族家や元騎士だったりする?」

「いいえ、違うと思います。懇意にしているのは事実で間違いありません。しかし、それは同郷だからでしょう。主従関係はないはずです」

「そう」

 セラフィーナはナイトレイ公爵家とネクロフェッサーの繋がりに嫌な気配を感じた。

 帝国宰相ウィルヘルミナ・ナイトレイの政治手腕を以てすれば、影から冒険者組合を動かせるかもしれない。

(冒険者組合に探りを入れたいですわ。アルテナ王国が費用を負担するのですから主導権は握らないと⋯⋯)

 大金をせしめられた挙げ句、ウィルヘルミナの掌で踊らされる。そんな事態は避けたい。昨年の末、セラフィーナは宮廷闘争で大敗を喫した。

 帝国宰相を失権させるどころか、危うく処刑されるところだった。ベルゼフリートの温情がなければ、出産を終えた後に始末されていたかもしれない。屈辱的な敗北は、身の程を知り、己の本心と向き合う切っ掛けにはなった。

(私は再び試されているのでしょうか?)

 セラフィーナは三皇后の意図を推し量る。

(そもそもレオンハルト元帥は私を王妃にしようと画策していましたわ。宰相派と長老派の妨害で、妃位の授与はなかったけれど、あの勅令は執行停止状態。法的効力が残り続けていますわ)

 大妖女レヴェチェリナが起こした事件では、敵の策謀に利用されてしまったが、楔役を立派に務めて、本心からの忠愛を証明した。少なくともレオンハルトは一定の評価をしてくれた。

(働き次第では妃位の授与もありえそうですわ。やはり私は試されている。そういう覚悟で挑むべきですわね)

 ベルゼフリートの愛人であるだけなら愛妾の地位で十分だ。しかし、アルテナ王国の権益を守るには宮中で地位を築かねばならない。

「もう一人の特級冒険者ノエル・ウェイジャーは、ご存知かもしれませんが元帝国軍人です。退職時に色々あったと聞きますが、宰相府としてもネクロフェッサーのほうが声をかけやすい。そんなところだと思います」

 ララノアはグラスに注いだ葡萄果汁ブドウジュースを一気飲みする。妊娠してからは飲酒を禁じられ、清涼飲料水ばかりを嗜んでいた。

「セラフィーナ様もいかがです? 冷えていて美味しいですよ」

「ありがとう。いただくわ」

 勧められたセラフィーナも一口味わう。甘味は控え目で、酸っぱさが強い。身籠もった女は酸味のある食品を好むようになる。懐妊は寵姫の証。メガラニカ帝国の後宮でもっとも名誉な仕事は、皇帝の夜伽役とされる。

 セラフィーナはベルゼフリートとテレーズのセックスを眺める。

 若々しく、しなやかな肉体は動きに鮮やかなキレがあった。騎乗位で緩急をつけて尻振り続ける。長太いオチンポが亀頭付近まで引き抜かれ、勢い激しく再挿入される。衝突で尻肉に波の揺れが伝播する。

 幼帝ベルゼフリートの背丈はちっとも伸びない。しかし、日夜欠かさずのセックスで股間の逸物は逞しさを増している。生まれの影響もあるのだろうが、著しく肥大化した亀頭、極太長大な竿は、種付け馬の生殖器とそっくりだった。

 黄葉離宮の女仙達は慣らしが終わっている。小柄なリアですら、根元までベルゼフリートの巨根を受け入れられるようになった。

(陛下はそろそろですわね)

 皇気放出の予兆をセラフィーナは感じ取る。女仙が穢れ祓いの巫女と呼ばれる所以は、性交を通じて瘴気を身に宿すせいだ。

 ベルゼフリートが射精を始める。テレーズは膣内射精の悦びで絶頂に達し、祈りの言葉を捧げ始めた。破壊者の荒魂を慰めるテレーズの肉体に皇気が取り憑く。脈動する男根。引き締まる膣口。しばらくすると逆流した白濁液が結合部から流れ出た。

(寵姫の座。宮中で熾烈な女の争いが起きるわけですわ。あの悦びを知ったら、欲しがらずにはいられない。私も魅入られてしまった一人ですわ)

 セラフィーナは張り気味の乳房を揉んだ。母乳が飛び散る。ガイゼフの精子で孕んだ時には起きなかった身体の変化は顕著だった。皮膚の火照りが鎮まる頃合いには、純白の肌は小麦色に染まっているはずだ。

 ベルゼフリートは未だにガイゼフに対抗心を燃やしているようだった。幼い皇帝はいつも与えられてばかりだった。セラフィーナとロレンシアはそんな少年が初めて奪い取った人妻。そういう意味で特別な存在だった。

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