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【23話】洗脳解除(後編)

 カレンティアはリリトゥナに奪われた身体を奪い返した。レーヴェ家のメイドになってから一週間以上が経過していた。

 セックスの最中、カレンティアは己が何者であったかを取り戻した。取り憑いていた貌無しの意識の内側に封じる。それまで自分がやられていたように、心の牢獄を構築する。通常では絶対に起こりえないことだった。

 女冒険者カレンティアは長い間、滅魔の聖剣を身に帯び、聖なる加護で守られていた。聖剣を失ったが、正当な所有者である限り、恩寵の効果は波及する。

「うっ! うぐぅっ! はぁはぁっ……! あがっ……ぐぅ……! 痛っ……!! 私は……。やっと……思いっ……出せてきた……!!」

 洗脳時の記憶に感情が酔わされる。何度も頬を叩き、カレンティアは正気を保とうとした。

「貌無し女め……! よくもやってくれたわね……!! この私を……!!」

 リリトゥナの強烈な愛欲がカレンティアを染めている。闇樹館での日々は幸せに満ちていた。

「信じられない。まさかリリトゥナを逆に封じ込めるなんて。すごい……。そんなことが人間にできるなんて……。考えもしなかった。さすがは帝都の冒険者……。大迷宮を攻略した英雄の血を引くだけはある……」

「お褒めいただき光栄だわ。でも、少しは焦ったほうがいいわよ。私は完全に自由を取り戻したのだから……。何を意味しているかは分かるはずよ」

「だったら……まずは僕から離れたほうがいいかも」

「え? あっ! あぁ!?」

 カレンティアは絶句する。だらしなく股を開いて、ヴォルフガングの男根に跨っていた。

(そうだった! 私……! セックスしちゃってたんだわ!!)

 ここは闇樹館の主寝室だ。暖炉の灯りが全裸で交わる男女を照らす。両手両足を喪失した青年の男根がオマンコで蠢いていた。

(……私の膣内なかにっ!? やばぁっ! こんなっ……!! 私……っ! リリトゥナに操られてからずっと……!! 浴室でセックスした後……何日も……毎晩……この部屋で……書斎でも……とセックスしちゃった……!!)

 結婚を約束した恋人だけに許した領域を侵犯され、白濁色の子種が胎を穢している。憎悪に駆られたカレンティアは拳を振り上げた。

「…………」

 ヴォルフガングは無言だ。言い訳もせず、懇願もせず、断罪の裁きが下されることを受け入れた。カレンティアは唇を噛む。四肢欠損の無抵抗者に鉄拳を振り下ろせない。

 無断で膣内射精をしたクロヴィスは、思いっきり蹴りつけた。しかし、ヴォルフガングに制裁は下せなかった。

(私は……何を……。くそ! 迷うな! ちくしょうっ! 黒幕はレーヴェ家……! 四年前に母さんが失踪したのもヴォルフ坊ちゃんのせい……! ほだされるな……!!)

 反撃は絶対にない。相手は四肢を喪失した身体障害者だ。素手で嬲り殺すことだってできる。

「その貌……。卑怯だわ」

 暴力を振るえない。それどころか、口汚く罵声を浴びせることさえ無理だった。闇樹館でメイドになっていた頃の感情がカレンティアの中に残っている。

 とても優しい御主人様だった。「ヴォルフ坊ちゃん」に強い親しみを抱いている。そもそもレーヴェ家の若君は何度も警告してくれた。カレンティアはその善意を無視し続けた。その末路が現状なのだ。

「果物用のナイフが戸棚にあるよ。……ごめんね。君の聖剣がどこに隠されているのかは僕も知らないんだ」

「私が殺せると思うの……? 殴ることだってできないのに……」

 情けなくなったカレンティアは号泣している。オチンポで貫かれたオマンコは濡れていたのだ。セックス中毒者の売春婦が肉棒を愛するように離れられない。

「――僕に報いを与えてくれるのは君じゃないのか。残念だ」

 悲痛な表情のヴォルフガングは嘆息を吐き出す。

「ヴォルフ坊ちゃんは……私に殺されたかったの……?」

「死ぬのは怖いよ。でもね、悪業の報いを受けるときが必ず来る」

 カレンティアが殺意の衝動に衝き動かされ、戸棚にしまったナイフを首に突き立てる。レーヴェ家の若君は裁きを望んでいた。

「これが終わったら話を聞かせてもらうわ。すべてっ……! ここで起きたことを包み隠さずに……話しなさいっ……! はぁはぁ……! んぅっ! はぁっ……♥︎」

 カレンティアは腰を上げて、オチンポを半分だけ引き抜き、再びオマンコに押し挿れた。M字に両脚を折り曲げて、抽挿運動を繰り返す。帝都の仮宿でクロヴィスと愛し合っていたように、己の性欲処理に勤しんだ。

「カレンティア? なにをやって? どういうつもっ……!?」

 唐突な逆レイプが始まり、ヴォルフガングは困惑を深める。身動きが取れない不具者は、騎乗位セックスから逃れられない。勃起した男根は丸呑みにされる。

 母のベロニカより、カレンティアのオマンコは窮屈で締まりが抜群だった。

「今は余計なことを喋らないで……。私の身体が望んでしまうの。ヴォルフ坊ちゃんのっ……貴方達のせいで……! 私はこんな淫乱な身体に……! 早くしてっ! 私をイかせてっ……! 満足しないとセックスを止められないのぉぉおおっ……!」

 カレンティアは自分の乳首を弄り回す。指の圧迫では刺激が足らず、爆乳を口元に寄せ上げてセルフパイ舐めで責め立てる。

(くるっ! くるっ! くるぅうぅううーー! 私の身体を使ってあの化け物が感じてた悦楽がっ……! 亀頭のソリが大きいっ♥︎ 肉厚だわっ……♥︎ クロヴィスより小柄なのにっ! 弱っちい男……! なのにぃっ♥︎ 太さも、長さも、圧倒的っ♥︎ 凌駕してるっ! 出会っちゃったぁ♥︎ 惹かれちゃう♥︎ セックス相性が最高のオチンポぉっ……♥︎ 子宮が降りるっ♥︎ 吸いつくぅ♥︎ オマンコの形が生まれ変わるっ……!! クロヴィスぅぅうっ! ごめんなさいっ! この一回だけ! たった一回! お願いよ! この一回だけ、私の裏切りを許してぇ……!)

 オチンポを根本まで抱擁し、オマンコの肉襞で抱き締める。自分の唾液で濡れた乳首を解き放ち、ヴォルフガングの唇に近づけ、押し当てた。

「ぁん♥︎ んっ♥︎ おっぱいをしゃぶって……!! 咥えてぇ♥︎ 乳首を吸ってぇぇっ……♥︎」

 お気に入りの性感帯を無理やり甘噛みさせた。処女を捧げた唯一の恋人にだけ教えていた秘密を曝け出し、くびれた腰をヒクつかせる。膣内で肉棒が脈動する。練り上げられた濃厚な精液が尿道を駆け上がり、カレンティアの子宮を撃ち堕とした。

(――やばい。これ。気持ちよすぎる。子宮が恋しちゃう♥︎)

 一夜の過ち。背徳の棘が心に穴を穿うがった。カレンティアの膣道が蠕動する。姦淫の罪科に苦悶しながらも、溜まりに溜まった性欲を全解放し、究極至悦の浮気セックスで酔い痴れた。

 ◆ ◆ ◆

「レーヴェ家の荘園で収穫されるリンゴは、接木で栽培されている。リンゴの穂木ほぎ台木だいぎに挿して育てるんだ。……穂木は頭で、身体が台木。別々の植物を上手く継ぎ合わせれば、立派な果実が膨らむ」

 ベッドの枕に背を預けたヴォルフガングは、黄金リンゴの栽培方法を明かしてくれた。

「それがレーヴェ家の荘園が成功してる秘訣なの?」

 寝間着のネグリジェに着替えたカレンティアは、窓辺の椅子に腰掛けている。

 子宮では精液があふれ、たぷんたぷんと揺らめいていた。淫熱の残り火が腔内を焦がし、下腹部の火照りはしばらく冷えそうにない。

「いいや。リンゴ栽培で接木はごく一般的だ。というより、そうやって育てるのが普通だ。リンゴの種を地面に植えれば芽は出てくる。でも、その苗で実ったリンゴは味が変わる。母親の形質が完璧な形で子供に遺伝されないせいだ。交配すれば必ず、父親の形質も混ざる。世代を重ねるごとに、祖先とはかけ離れた形質になっていく」

「だから、接木するわけ? 優れた形質を維持するために」

「接木で増やせば完璧な複製だ。大本になったオリジナルの穂木ほぎが子供を産み続ける。身体を乗り換えながら……。隣町の人達が穂木を欲しがっている。狙いは僕らが守っている原生樹だ。それさえあれば、彼らもレーヴェ家のリンゴを栽培できる」

「なるほど……。レーヴェ家だけが原生樹の場所を知っているのね」

「ご明察の通りだ。どこにあるかも想像はついているじゃないかな」

「黒森のどこかにリンゴの原生樹がある」

「そうだ。さすがだね」

 レーヴェ家の許しがなければ黒森に足を踏み入れてはならない。無断で侵入した人間は殺される。それは黒森に隠された神聖な原生樹を守るための掟だった。

「カレンティアは行商人や隣町の人から、もう一つの噂を聞いているかな?」

 ヴォルフガングは後ろめたそうな顔で問いかける。眉をひそめたカレンティアは重々しく頷く。レーヴェ家の荘園に連れてきてもらった行商人から聞かされていた。

「ええ、耳にしたわ。レーヴェ家は人間の死体を肥料にしてるって……。まさかとは思ったわ。そんな悪評……。信じられなかった。けれど、今ならどんな話でも……信憑性があるわ。……事実なのかしら?」

「それこそがレーヴェ家の大きな秘密だった。原生樹の根本に頭部を埋めるんだ。人間の頭を……苗床にしている……。だから、その悪評は真実だ」

「まさか……母さんの首を刎ねて……!」

 カレンティアは思い出す。浴室の湯舟でヴォルフガングと交わっていた母親の姿。肉体は母親で間違いなかったが、黒髪の頭部は別人だった。

「レーヴェ家は何百年もの間、原生樹に人間の頭を捧げてきた。でも、勘違いしないでほしい。僕らが供物にするのは亡くなった人間の首だ。生贄はしていない。病気や老衰、事故で亡くなった村人の首を切断して、頭部を弔っているんだ。……生前の意思も確認するし、遺族が拒否すれば首は刎ねないよ」

「これまで一度もなかったと断言できる?」

「自分の意思で捧げた供物じゃないと受け取ってくれない。四年目に殺された司祭の遺体は、五体満足で隣町に送り届けた。原生樹の根本に埋めている首は、レーヴェ家と荘園で暮らす民だけだ。信じてほしい」

「分かったわ。ヴォルフ坊ちゃんが嘘を言っているとは思わない。でも、それなら母さんの首はどこにあるの? リリトゥナは母さんの肉体を操っていたわ。私に取り憑いたとき、母さんの身体から頭部が消えた」

「カレンティアは首の在処ありかを知ったらどうする気?」

「それは……もちろん母さんの身体に戻すわ。戻せるのよね? 不思議な話だけど……頭部を失っても生きているんでしょ?」

「その通りだ。ベロニカは生きている。だから首を取り戻せば、元通りになるよ。でも、僕の口からは言えない。……首の在処ありかはベロニカが知っている」

「どうしてかしら? 今、ここで、なぜ教えてくれないの? 理由は?」

「それを言ったら、首の在処ありかが分かってしまう」

「…………」

 話さないと言ったら、絶対に教えてくれない。報いを受けるため、殺されてもかまわないといった青年の覚悟だ。カレンティアがどんな手段を使っても、ヴォルフガングの口は割れないだろう。

「その代わりに五年前の話を教えるよ。父上と母上、本邸で働いていた使用人達が殺された夜……。僕だけが助かった。ダミエーラとリリトゥナが助けてくれた」

「ヴォルフ坊ちゃんは古井戸に逃げ込んだのでしょ。もう聞いたわよ。襲撃者と火の手から逃れたけど、井戸水に浸かった身体は凍傷を負った。それで両手両足を失った」

「カレンティアに言わなかったことがある」

 ヴォルフガングは右腕を見せた。他の手足に比べれば長めに残っている。肘先でちょん切れた右腕の断面は綺麗だった。傷跡は真相を物語っている。凍傷による壊死であれば、皮膚に変色や痣があるはずだ。

「本邸の中庭には古い井戸があった。――でも、僕が生まれる前からずっとだったんだ」

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