イラストコミュニケーションサービスの「pixiv」は10月20日、AI生成作品の扱いについて、従来の作品とすみわける機能を実装すると発表した。実装は10月下旬とし、「投稿編集時にAI生成作品と設定できる機能」「AI生成作品を検索時などにフィルタリングする機能」「AI生成作品のみのランキング」をリリースする。
機能変更は恒常的なものではなく、必要に応じ、見直しや変更を行う。今後の対応は、利用規約やガイドラインの変更、pixivの各種機能変更等も含め、検討を続けていくという。
また、機能改修の発表とあわせ、pixivはAI生成作品について「この先、創作過程におけるAI技術の利用がより普及していくと捉えており、AIが関与した成果物の完全な排斥は考えておりません」とコメントしている。
pixiv AI生成作品の取り扱いに関するサービスの方針
AI技術は、これまで開発されてきた画材や素材、画像制作ソフトやデバイス、3Dなどの技術と同様に、クリエイターを大いに助ける技術となり得ると考えております。最終的には創作コミュニティーと技術が、うまく共存できる道を模索してまいります。
一方で技術の急激な発展により、その利用方法に関して様々な議論や不安があり、倫理や規定といったものが追いついていない過渡期であると理解しています。AI技術に関連する課題について、現在調査を行い、さまざまな検討を重ねています。
クリエイターの皆さまがご心配されている諸問題や、法的な制約、一般的な心情を踏まえた上で、皆さまに安心して創作を楽しんでいただけるよう長期的に取り組んでまいります。
【執筆者の雑感】
・小説への影響は?
いろいろと話題になってたAI生成作品の大量投稿。pixivはランキング隔離&フィルタリングで対応するようです。問題なのは無料会員が追加機能を使えるのか。さすがに使わせないと炎上しそうなので、無料提供してくれるとは思います。
ちょっと気になるのは小説の扱いです。正直、そこまで気にはしていませんが、AI生成の小説も結構あります。また私自身も実はAIを使っています。プロットや物語、文章表現では使いませんが、誤字脱字チェックはATOKさんとNolaを通してます。
まあ、それでも誤字脱字って大量に発生しますけどね。あと喘ぎ声を赤字で指摘してきます。日本語って難しい⋯⋯。新たなツールとして迎えいれるのは個人的にも大賛成。人的コストの省力化は重要です。イラストの納期が早まってくれるのは助かります。
著作権の問題は燻り続けるかもしれませんが⋯⋯。
・AIの学習の制度が上がる?
AI生成作品のフィルタリング、ランキング隔離が行われると、AIは学習しやすくなるかもしれません。たとえばAI生成のランキング上位作品だけを学ぶ、反対に人間が書いた作品だけを学ぶ。そんなことも可能になります。
今回の発表で、pixivはAI学習のデータを事実上提供してしまっている件にはノータッチ。pixivからデータを抽出するのは禁止とは言ってなさそうです。このあたりをどう考えているのかも発表してほしかったです。