2025年 3月25日 火曜日

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【192話】宝物庫に封じられた遺産

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 帝嶺宮城ていれいきゅうじょうの各所で戦いが繰り広げられていた。大妖女レヴェチェリナが発動した瘴園〈妖胎伏魔殿〉は、魔都ヴィシュテルの全域を覆った。そんな状況下で唯一、邪悪な妖術の影響を受けていない領域がある。

 宝物庫は扉を固く閉ざし、外敵の侵入を拒んだ。

 メガラニカ帝国が全盛を迎えた栄大帝の時代に建立された宝物庫は、ドワーフ族の名工が造りあげた最高傑作である。破壊帝、哀帝、死恐帝の三代にわたる災禍を耐えきった。

「ん⋯⋯んぅ⋯⋯。あれ⋯⋯? ここは⋯⋯?」

 気絶していたセラフィーナは目を覚ました。転移酔いで意識を失っていたのは、ほんの数十秒だった。光で溢れた宝物庫の内部は、暗闇になれていたセラフィーナの視界を眩ませた。

「宝物庫のなか⋯⋯?」

 宝物庫の入口は議場を思わせる円形の大広間となっていた。内装は黒曜石の支柱が等間隔で立ち並び、その全てに黄金で豪奢な装飾が施されている。

 積み上げられた棚に収蔵された財物は、栄大帝が選別した収蔵品である。特別な力は宿っていないが、いずれも芸術的な価値を有する。強力なアーティファクトや重要度の高いアイテムは、枝分かれした小部屋に保管してある。

「身体を動かせるのなら、私の上から退いてくれますか? ⋯⋯貴方は重たいです」

 下敷きにされていたウィルヘルミナは、セラフィーナの乳房を押し退ける。二人の美女は互いの爆乳を付き合わせる体勢で抱き合っていた。

 天然もの乳房としては、宮中最大のバストサイズを誇る豊満な肉付き。しかし、言い換えれば相当な重量がある。小顔であるとはいえ、ウィルヘルミナとセラフィーナの爆乳は頭部よりも巨大だった。

「もっ、申し訳ありません! 失礼いたしました⋯⋯!」

 セラフィーナは慌てて飛び退く。夜伽の場ではベルゼフリートを愉しませるため、接吻や授乳、貝合わせなどの過激なレズ行為をしていた。しかし、理由なく抱き合うほど仲睦まじい間柄ではなかった。

 正妻と愛人。たった一人の少年を愛し、嫉妬深く奪い合う女同士。派閥も異なれば出自も違う絶世の美女。平時の宮廷では手を取り合えない恋敵。しかし、現在のような緊急時にとなれば別だ。

「皇帝陛下は⋯⋯!?」

「ご無事です。怪我はありません。貴方が降ってこなければ、もっと無事でしたが⋯⋯」

 ウィルヘルミナはベルゼフリートの身体を抱きしめていた。後から転送されてきたセラフィーナが覆い被さり、挟み込まれていたのだ。艶やかな媚肉に挟撃されてかなり息苦しかったらしく、ベルゼフリートの身体は汗ばんでいた。

「他の方々はおられないのですか?」

 セラフィーナは懐から取り出した絹のハンカチで、ベルゼフリートの額を拭った。道中は穏やかに眠っていたが、今は熱病に罹ったようにうなされている。

「宝物庫のせいで分断されてしまいました。武装していたり、戦闘能力が高い人間の入室は認めなかったようです。合流を図りたいところではありますが、外の状況が分かりません」

 そもそも宝物庫が扉を開けてくれるかも分からない。宝物庫に宿った人工精霊は自我が確立している。独自の判断基準で行動し、その裁量は予測がつかない。

(帝国宰相である私の呼びかけに宝物庫は答えてくれない⋯⋯。カティア神官長か、せめて医術の心得があるルアシュタインと合流したいのですが難しそうです)

 現在の帝嶺宮城ていれいきゅうじょうは魔物の巣窟。事情を知らぬ宝物庫からすれば、そんな危険地帯に大切な皇帝を連れてきた女仙は信用ならないだろう。皇帝の安全を考えれば、外に出したくないはずだ。

(魔物が侵入できないなら、安全ではあるのかもしれません。しかし、問題となるのは⋯⋯)

 ウィルヘルミナが抱く懸念は、ベルゼフリートの肉体から吸い取られている荒魂の残量だった。レヴェチェリナは破壊者の荒魂を新たな器に移しかえようとしている。魂の抜けた身体は衰弱死する。呼吸や心臓すら動かせなくなったとき、医術師がいれば生命維持を行える。

(魂を繋ぎとめる私とセラフィーナがいたとしても、荒魂を吸い取られ続ければ、ベルゼフリート陛下は亡くなってしまう。宝物庫の隔壁はレヴェチェリナの妖術を遮断できているのでしょうか⋯⋯?)

 宝物庫を避難先に選んだのは、反魂妖胎の祭礼を阻害できる可能性があったからだ。

「しばらくは宝物庫に留まります。護衛隊とは分断されましたが、ここは安全のようです。カティア神官長が予測していたとおり、宝物庫の隔壁は妖術の影響を遮断できています」

「そのようですわ。ベルゼフリート陛下の御体に流れている帝気が安定しています」

 セラフィーナは触れただけで、ベルゼフリートの精神状態が分かるようになっていた。

 敗戦の夜に血酒を飲まされ、不老不病の女仙となって一年余り、帝国の後宮で様々な出来事を経験したが、妊娠と出産はセラフィーナの運命を決定づけた。魂を繋ぎとめる楔役になった影響も相まって、感受性は急激な成長を遂げた。

「休める場所を探します。私に付いてきてください。内部構造は分かっていない。迷って離ればなれになったら合流できなくなります」

「はい。それにしても、メガラニカ帝国の宝物庫はアルテナ王国と大きく違うのですね。豪華な装飾がなされていますが、これではまるで⋯⋯」

「元々は霊廟です⋯⋯。栄大帝と大宰相ガルネットは自分達を葬るため、ドワーフ族に建造を命じました」

「お墓なのですか? 栄大帝と大宰相ガルネットの御遺体は宝物庫に?」

「いいえ、初期構想の時点では霊廟だったというだけです。聡明な大宰相ガルネットは自分達が失敗したとき、災禍の被害を最小限に抑えたかった。そこで、破壊者ルティヤが呼び起こした災禍を封じ込めるはこを作った。つまりは隔離施設です」

「隔離施設⋯⋯? それは天空城アースガルズと同じような?」

「まさしくです。栄大帝時代、メガラニカ帝国は天空城の製造に成功しました。災禍を封じ込めるはこを作るより、浮遊させた人工島に城を築き、皇帝が逝去してしまったら深海に沈める。そちらのほうが効率的でした」

 どちらもドワーフ族が建造に大きく関わったが、採用されたのは天空城だった。不採用となった帝嶺宮城ていれいきゅうじょうはこは宝物庫に流用された。気合いを入れて墓作りをしていた栄大帝は「ここに永眠できないなら、せめて宝物庫に⋯⋯!!」と大宰相ガルネットに泣きついた結果だった。

「色々と準備はしていたのですが、取り越し苦労に終わりました。栄大帝は一千年以上の治世を全うし、災禍を起こさず、この世を去っています」

 失敗の備えを万全に整えた栄大帝と大宰相ガルネットだったが、皮肉にも二人は成功し続けてしまった。晩節を穢すことなく、完璧な善政を貫徹したのだ。しかし、大偉業の反動が、後世で生じるとまでは予想できなかった。

「破壊帝は当時の帝都だったヴィシュテルに近付かなかったと聞きます。宝物庫が破壊者ルティヤの魂を封じるはこになると知り、恐れていたからではないかとも囁かれています。真偽は分かりません」

「天空城アースガルズと同じで、宝物庫は災禍を封じ込める隔離施設なのなら、宰相閣下はどこまでを視野に入れていたのですか?」

 セラフィーナは質問せずにはいられなかった。宝物庫は安全だと三皇后は説明した。しかし、歴史的背景を聞けば聞くほど、ある考えが浮かんでしまう。

(私は祖国を捨てた卑しい女。けれど、三皇后はメガラニカ帝国の指導者⋯⋯。私とは考え方が異なりますわ)

 ベルゼフリートを殺めてでも魔物の謀略を止める。三皇后が苦渋の決断を下したとき、宝物庫は墳墓に早変わりする。

 実際、哀帝を自殺に導いたアンネリーという前例がある。セラフィーナはアンネリーの首飾りを調査する過程で気付いていた。哀帝は自ら死を選び、アンネリーは天空城を深海に沈めた。

「いくつか手は講じていますが、皇帝陛下を犠牲にするのは帝国元帥レオンハルト・アレキサンダーが敗北した場合だけです。そんなことは起こりえません」

 ウィルヘルミナは帝国元帥に全幅の信頼を寄せていた。死恐帝の災禍を鎮めた大英雄の孫娘は、再びメガラニカ帝国を救ってくれる。

「れ⋯⋯おん⋯⋯は⋯る⋯と⋯⋯?」

 変化は唐突に生じる。ウィルヘルミナは転がっていた奇妙な人形を踏み付けていた。その瞬間、背負われていたベルゼフリートが眼を開いた。

「陛下⋯⋯!? お目覚めになられたのですね⋯⋯。良かった」

 セラフィーナはベルゼフリートに問いかける。しかし、生気を微塵も感じ取れない。

(様子がおかしいですわ。ベルゼフリート陛下の顔付きが⋯⋯。雰囲気がいつもと違う⋯⋯? 陛下じゃない⋯⋯?)

 薄ら寒い冷気で嫌な汗が滲んだ。ベルゼフリートの身に起きた異変を誰よりも強く認識しているのはウィルヘルミナだった。肉体の中身がすり替わっていると一目で見抜いた。

「貴方、何者ですか?」

 ウィルヘルミナはベルゼフリートの身体を床に下ろした。返答次第では非情な決断を下さねばならなかった。

 ベルゼフリートの自我が消え失せて、魔帝に全てを乗っ取られてしまった。最悪の可能性がウィルヘルミナの脳裏によぎった。

 ◆ ◆ ◆

「んっ⋯⋯んぅっ⋯⋯。ごめんなさい。しばらくぶりだから舌が動かなくて⋯⋯自分の身体じゃないせいかも⋯⋯ちょっと待って⋯⋯。んっ! けほっ⋯⋯!」

 ウィルヘルミナとセラフィーナは困惑する。皇帝の肉体に憑依した何者かは、むせ込んでいる。その仕草は子供っぽく、邪悪な気配は感じられない。

「発音練習するので、もうちょっとお時間を⋯⋯! んーあーあーあー。あー。あ~。ん? なんか喉が変な感じ⋯⋯」

 静かで穏やかな口調は、ベルゼフリートとは明らかに異なる人格だ。しかし、魔物側に属している悪しき存在とは到底思えぬ善良な気質が溢れ出ている。

「えっと⋯⋯その⋯⋯。お待たせしました。初めまして。あ! まずは自己紹介ですね。僕は⋯⋯その⋯⋯この国の皇帝です⋯⋯! 初めまして」

「貴方がメガラニカ帝国の皇帝だというのですか?」

 ウィルヘルミナは強い警戒心を抱きつつ、ベルゼフリートの身体に憑依した何者かと言葉を交わす。

「えっと。うん⋯⋯そのはず⋯⋯です。 即位したことになってる⋯⋯と思うんです。あれれ⋯⋯? えっと、お姉さん達はメガラニカ帝国の人ですよね?」

 その質問に肯定の返事ができるのはウィルヘルミナだけだった。セラフィーナは現在もアルテナ王国の女王である。しかし、事態がより複雑化しそうなので黙っていた。

の知り合いじゃ⋯⋯ないみたいな? 説明を聞いてません?」

 ウィルヘルミナの眉間に皺が寄った。頭脳明晰な帝国宰相はある可能性を考えてしまった。しかし、そんなことはありえないと常識が否定する。

「⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯」

 数秒の気不味い沈黙が宝物庫を支配した。ウィルヘルミナは深刻な面持ちで口を閉ざした。

? 帝国元帥のレオンハルト閣下のことをおっしゃっているのかしら⋯⋯?」

 静寂に耐えきれず、セラフィーナはつい口走ってしまった。「レオンさん」に該当する人物で、最有力なのはレオンハルト・アレキサンダーだった。

「そうです! レオンハルト・アレキサンダー! ああ、良かった。も来てくれているなら、さっそく⋯⋯。って、あれ⋯⋯?」

 ベルゼフリートに憑依した者は、地面に落ちた人形を拾い上げる。

「空っぽの憑代傀儡が床に転がってる⋯⋯!? えぇ!? じゃあ、僕が入ったこの身体は何なの!? 誰の体⋯⋯!? どういうこと! はわわわ⋯⋯!!」

「貴方は間違って陛下の御体を乗っ取ってしまったの⋯⋯?」

「ごっ、ごめんなさい! ちょっと何か間違ったみたいです! 本当にごめんなさいっ!!」

 頭を下げて謝ってくる姿を見て、セラフィーナは調子が狂ってしまう。

(これはこれで可愛らしいけれど、ベルゼフリート陛下らしくはないわ。私を辱めてはくれなさそう。なんだか物足りないわ。中身が違うとこんなにも惹かれないなんて⋯⋯)

 ベルゼフリートは実権のないお飾りの皇帝だが、メガラニカ帝国の君主だった。周囲の者達はベルゼフリートに支配者の振る舞いを求め、一国の主に相応しい尊大な側面があった。

 本来のベルゼフリートには敗戦国の女王を強姦し、孕ませる性悪の心根がある。人妻の心を奪った魔性の少年。清廉な国母だったセラフィーナを淫母に貶めたベルゼフリートは、そんな人間だった。

(まるで別人ですわ。いえ、実際に中身は別人なのですけれど⋯⋯)

 深々と頭を下げるベルゼフリートは、とにかく慌てている様子だった。声は震え、目線が泳いでいる。

「――貴方様は先帝のミーシャ陛下ですか?」

 ずっと黙りこくっていたウィルヘルミナは、ベルゼフリートの中身を言い当てた。

「先帝? ミーシャ⋯⋯? お待ちください! ウィルヘルミナ閣下! どういうことですの? 先代の皇帝は五〇〇年以上前に亡くなられたはず⋯⋯。私はそう聞かされてきましたわ だって、死恐帝は⋯⋯」

「ええ。ありえないことです。しかし、言動から察するに、この御方はミーシャ陛下としか思えません」

「そんな⋯⋯なぜ⋯⋯?」

 セラフィーナは驚愕を隠しきれない。死恐帝は既に無くなっている。死者が蘇るなど絶対に起こりえない。だが、ベルゼフリートの肉体に憑依した者は肯定する。

「えっと。はい⋯⋯。お恥ずかしながら⋯⋯僕はミーシャと申します。えっと、つまり⋯⋯死恐帝です。そういう物騒な名前で呼ばれてるんですよね?」

 あっさりと死恐帝だと正体を認めた。そのうえで深々と頭を下げている。

「死後の件は本当に⋯⋯。国民の皆様には何とお詫びしていいか⋯⋯」

 五〇〇年以上も前にこの世を去り、引き起こした災禍でメガラニカ帝国を滅ぼしかけた先帝は、申し訳なさそうに謝罪する。暗殺された被害者側なのだが、恨みを抱いてる様子はなかった。

「にわかには信じがたい状況です。もし本当に貴方様が先帝であられるのなら、どういう状況なのかご説明いただきたい。私は帝国宰相ウィルヘルミナ・ナイトレイと申します」

「帝国宰相? それにナイトレイって、たしか⋯⋯。えーと⋯⋯知ってるかも⋯⋯。公爵家の⋯⋯?」

「はい。左様でございます。ミーシャ陛下の次に即位されたベルゼフリート陛下にお仕えしております」

「次に即位⋯⋯? べるぜ? ああ、そっか! うっかりしてました。僕は死んでるから、今は皇帝じゃない。先帝になったんだ。それはそうだよね。あはは⋯⋯。ちょっと記憶が混乱してるみたいです。さっき自己紹介でメガラニカ帝国の皇帝と名乗ったけど訂正します。僕は先帝でした。で、現役の皇帝さんはどこに?」

「⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯」

 ウィルヘルミナとセラフィーナは無言で視線を交差させる。

「大切な話というか、伝えたい事がありまして⋯⋯。ん? なにか問題が?」

 どう答えるべきか、ウィルヘルミナとセラフィーナは思い悩んでいた。しかし、死恐帝ミーシャは変な勘違いをしてしまう。

「まさかこちらにいる金髪の女性が新皇帝? まさかの女帝⋯⋯!? あ、ごめんなさい。失礼ですよね。でも、女の人は皇帝になれるんですか? 破壊者ルティヤの転生体は必ず男だって僕は教わったんだけど⋯⋯。男性じゃ⋯⋯ないですよね?」

 セラフィーナの体型は美事な女体である。突き出た爆乳、くびれた腰回り、媚肉で肥えた巨尻。女帝に間違われたセラフィーナは慌てふためいて否定する。

「ち、ちがいますわっ! とんでもない! 私は愛妾のセラフィーナと申しますわ。元々は隣国のアルテナ王国を治める女王でしたが、今はベルゼフリート陛下にお仕えしております」

「あいしょう? それって宰相の副官みたいな役職ですか?」

 先帝ミーシャは愛妾の概念を理解していなかった。初心な反応は純朴な幼年者そのもの。ベルゼフリートよりも精神が幼いのかもしれない。返答にもたつくセラフィーナを見かねて、ウィルへルミが説明する。

「セラフィーナは皇帝陛下のお相手をする下女です。夜の遊び相手と考えていただければよろしいかと⋯⋯」

 ウィルヘルミナの補足は若干の侮蔑が滲み出ており、セラフィーナは不快感を表わした。だが、荒立てるような真似はしなかった。十分過ぎるほど、ややこしい事態になっているからだ。

「へえ、そういうお仕事もあるんですね。遊び相手がいるのは羨ましいです。それで、今の皇帝さんはどこに? おかしいな。宝物庫さんが扉を開けてくれたんだから、一緒にいますよね?」

「恐れながら申し上げます。ミーシャ陛下は私達がお仕えるベルゼフリート陛下の御体に憑依しております」

「ふぇ? えぇ⋯⋯!? じゃあ、この肉体って⋯⋯! 生きた人間の⋯⋯!? ごっ、ごめんなさい!! とんでもない手違いがあったみたいです!! 本当は空っぽの器に定着するはずだったのに⋯⋯。おかしい⋯⋯。用意してた憑依傀儡が壊れちゃったのかな⋯⋯」

「専門家ではないため断定しかねますが、ベルゼフリート陛下は魂を抜かれ、昏睡状態に陥っておりました。器にあるべき荒魂が損耗し、ミーシャ陛下が宿られたのかもしれません」

「こんすいじょうたい? 病気ですか?」

「このまま魂が戻らなければ永遠に眠ったままでしょう」

「え? それは⋯⋯。とんでもなく不味い状況じゃ⋯⋯?」

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