魔窟と化した廃都ヴィシュテルの帝嶺宮城で、レヴェチェリナは満面の笑みを浮かべていた。
一千年を注いだ宿願の成就は目前。計画は最終段階に入った。
「キュレイの強襲部隊は配置に付いたわ。無事に人間達の警戒網を抜けた。ケーデンバウアー侯爵家の騎士団は私達が作った抜け道を知らない♥︎ 本当に人間は愚かよねえ⋯⋯♥︎」
レヴェチェリナは紋章が刻まれた〈翡翠の首飾り〉を指先で弄くり回す。豊満な乳房の上で緑光を放つ宝石が跳ねる。
「廃都ヴィシュテルを包囲する機雷源は、先代ケーデンバウアー侯爵が敷設したもの。死恐帝の災禍で発生し続けた亡者用を防ぐための自立型魔術陣♥︎ 天才が造り上げた至高の魔術式⋯⋯だけど、私達のような知能ある魔物向けじゃないわ♥︎」
廃都ヴィシュテルの機雷原は、ケーデンバウアー侯爵家の騎士団によって管理が続いている。人間が機雷原を突破するのは難しい。触れた途端、手足が吹き飛ぶ大爆発が起こる。しかし、特殊な移動能力を持つ者達がいれば話は違ってくる。
「何もかも思い通りで心地いいわぁん♥︎ ねえ、そっちはどう? ピュセル? 貴方のほうは順調かしら?」
薄笑いを浮かべる魔女は青髪の美鬼に問いかけた。今回の帝都強襲計画でピュセルはもっとも重要な役割を担っている。
「ええ。いつでもできるわ。特級冒険者ネクロフェッサーに潜入されたときは、ちょっとだけ冷や汗をかかされたけれど、今さら気付いたって止められないわ」
太古の昔からアガンタ大陸に存在した凶悪な魔物。神喰いの羅刹姫は自信に満ちた笑みを返す。
「レヴェチェリナが用意してくれた都市計画図のおかげ。帝都アヴァタールにキュレイが攻め込む直前、私の仕掛けは発動するわ。⋯⋯ただし、泣いても笑っても一回限り。悔いが残らないように全力を尽くしましょう。くすくすっ!」
レヴェチェリナとピュセルの悪巧みを近くで聞いていた影の魔物は疑念を抱いていた。
(そう簡単にいくものなのでしょうか⋯⋯? 帝都アヴァタールの退魔結界は堅牢堅固。数千年にわたって魔物の侵入を阻んできた要害です)
人間の大都市には破魔石を基点とした退魔結界が張られている。例に漏れず、帝都アヴァタールは六重結界の術式があった。
(魔物にとっての不可侵領域である退魔結界を破れれば、確かに帝都アヴァタールは大混乱に陥る⋯⋯。それは間違いありません)
結界術式の維持には膨大なマナが必要となる。しかし、対価に見合うだけの効果があった。どれだけ強い魔物だろうと破魔石の退魔結界は破れないのだ。
「シャッテンは私が信じられない?」
キュレイは帝嶺宮城の柱をゆらゆらと張っている影に訊ねかけた。
「⋯⋯シャッテン?」
聞き慣れない名前だった。周囲にはレヴェチェリナとピュセルしかいない。名指しされたのは自分だと気付く。しかし、影の魔物には名前がなかった。
「貴方の名前。私ね、ずっと考えてたの。可愛い名前にしてあげたいと思ったんだ。どう? 気に入ってくれた?」
「ピュセル⋯⋯。私に名前はありませんよ。必要ともしていません。影は影です」
「そう? 私ね、魔物にも名前が必要だと思う。人間の時代を終わらせるには、私達が人類文明を凌駕しなければならないでしょ?」
「はぁ⋯⋯そうですか。まあ、私のことはご自由に呼んでください。それよりも、帝都の退魔結界を本当に破壊できるのですか?」
影の魔物はピュセルの策が信じられずにいた。疑っているわけではない。退魔結界を破壊できるのなら人類と魔物の情勢は一気に変わる。
「信じられない?」
もし簡単に退魔結界を破れるのなら、魔物はもっと楽に戦えていた。
「これまで不可能とされてきたことです」
退魔結界は人類社会の根幹を支える重要技術である。魔物の攻撃を防ぐ絶対の不可侵領域。マナの供給切れが起きない限り、結界術式は崩れ去らない。
「帝都アヴァタールを覆っているのは六芒星の退魔大結界。栄大帝時代に暁森の大賢者が構築したとされる最高峰の結界術式。魔物である私達に突破する術はないわ。――正面から挑んでしまったらね」
ピュセルは魔術で帝都アヴァタールの地図を空中に描いた。投映された精緻な図面を使って説明する
「この地図を見て。結界の基点は六カ所。そのうち、位置が明かされているのは三カ所だけ――〈グラシエル大宮殿の地下宝玉堂〉〈国民議会議事堂の中央棟〉〈大神殿の帝都本庁〉。残りの場所は秘匿されている。でも、大体の位置は察しがつくわ」
鋭い鬼爪で六カ所を指差す。浮かび上がった地図に赤い点が六つ印された。
「帝都アヴァタールと廃都ヴィシュテルは姉妹都市。破魔石の配置は近似座標に違いないの。だから、こことここ、それとここもだね。この六カ所でまず当たり。レヴェチェリナが用意してくれた都市計画書とも合致してる」
「⋯⋯正確な位置が分かれば破魔石を破壊できるのですか?」
「破壊まではできないかな。破魔石に刻まれた結界術式を乱すのよ。結界術式の維持で必要なのは、膨大なマナの安定供給。過剰なマナ流入は結界術式に不具合を生じさせる」
「深く理解できていませんが、つまりは退魔結界を麻痺させるのですね」
「ええ。その認識で正しいわ。風船に空気を入れすぎて破裂しちゃうみたいな感じよ」
「風船⋯⋯」
「知らない? ゴム風船とか紙風船。人間の出店売っている玩具」
「そのたとえ話は魔物相手だと分かりにくいです」
「じゃあ、もっと正確に説明してあげるね。破魔石に収まりきらなかった過剰なマナは第四物質形態、強力なプラズマ波を生じさせるわ。きっと優美なオーロラが見えると思う。とっても綺麗だろうね」
帝都アヴァタールの上空がオーロラで包まれたとき、六芒星の退魔大結界は崩壊する。
ピュセルは楽しそうに説明を続けた。
「大結界の再起動には少なくとも半日はかかる。六カ所全てを調律しなければならない大仕事。大神殿のお婆ちゃん達が手早く動いても限界があるわ」
「半日で退魔結界が復活してしまうのですか⋯⋯。私には短い時間だと感じてしまいます」
「神官長カティアがいなければ、ちょっとは余裕なんだけどね。だから、細工をしてある。運が絡んじゃうけれど」
帝都アヴァタールに侵入したキュレイが活動できるのは、退魔結界の効果が消滅しているわずかな時間のみ。死地への特攻に等しい。
帝都襲撃のリスクはピュセルも理解していた。しかし、レヴェチェリナの計画を成功させるために必要不可欠な要素だった。
「――たった半日で情勢は一変するわ♥︎」
レヴェチェリナは下腹部を撫でる。
背徳女王の子宮と重なり、強く同調している熟れた女性器。ベルゼフリートとセラフィーナが交わり、膣内射精が行われたとき、レヴェチェリナの胎内にも帝気を帯びた精液が流れ込む。
「儀式が始まれば、もはや止められない♥︎ 反魂妖胎の触媒は完璧に仕上がってる♥︎ くふふふ⋯⋯♥︎ アルテナ王国の王子、セラフィーナの息子、リュート王子の屍骨♥︎ 最高の適合素体だったわ。あとは祭礼の日を迎えるだけ♥︎」
計画を成功させるにはいくつかの条件があった。
いつの時代もレヴェチェリナの前に立ちはだかるのは皇帝を護る女仙達である。
「計画をおさらいしましょう。――たとえピュセルが六芒星の退魔結界を崩壊させても、帝国元帥レオンハルト・アレキサンダーに行動の自由を許せば、キュレイの強襲部隊は一掃されてしまうわ」
大前提として最強戦力のレオンハルトを帝都アヴァタールから遠ざける必要があった。
「もう一つ、神官長カティアを皇帝に近づけさせてはいけないわ♥︎ 巫女に口伝されてきた隠蔽の秘伝結界は厄介。隠されてしまったら、私の妖術で補足できなくなる。大神殿には皇帝より、帝都の保護を強く意識させるのよ⋯⋯」
神官長は戦力としても脅威だった。しかし、それ以上に厄介なのが、古代から破壊者を祀ってきた巫女の秘技だ。
ベルゼフリートの記憶を封印していたように、カティアには秘伝の業がある。
「――大きな障害となるのはもう一人、帝国宰相ウィルヘルミナ。あの淫魔はおそらく私達の蠢動に勘付いているわ。でも、確信はできていないのでしょうね。幼い皇帝に対する煮え切らない態度がその証拠。判断を迷わせ続けるのが重要よ♥︎」
レヴェチェリナはメガラニカ帝国の情報を得ている。しかし、内通者がいるわけではなかった。
情報の漏洩元は皇帝ベルゼフリートの肉体に封じられた破壊者の荒魂だ。霊的な繋がりがレヴェチェリナに情報を与えてくれる。
(破壊者ルティヤの転生体を通じて情報が漏れている。頭の回る人間ならそろそろ気付く頃合い。流出した情報は全てベルゼフリートの耳に入った情報だけだもの。賢い帝国宰相は必ず疑う。くふふっ⋯⋯♥︎ むしろ好都合♥︎)
遠見の水晶玉が発動する条件。それは転生体の封印が緩み、器から穢れが溢れ出ている間。つまり、興奮状態のベルゼフリートが女仙とセックスしている瞬間だった。
天空城アースガルズの動力炉に潜ませていた分身体を目覚めさせたとき、レヴェチェリナはベルゼフリートと魂の繋がりを作った。
「私と陛下の絆は特別♥︎ たとえ大神官の巫女だろうと絶てはしないわ♥︎」
――しかし、レヴェチェリナ自身も気付いていないことがある。子宮を通じて己の記憶がセラフィーナに盗み見られていた。
「ウィルヘルミナの判断次第で、私達の計画が台無しになってしまうわ。だから、キュレイには帝都で頑張って大暴れしてもらわないとね⋯⋯♥︎」
「レヴェチェリナの考えは分かるけど、キュレイに無茶をさせすぎじゃない?」
「ピュセルは断ったでしょ。だったら、勇敢なキュレイにお願いするしかないわ。やる気のある若者にチャンスを与えてあげたのよ?」
「軍務省は帝国宰相に護衛をつけている。たぶん七姉妹の誰かをね⋯⋯。マルファムを殺したキャルルかも? いずれにせよ、相手がアレキサンダー公爵家の人間となれば、キュレイでも殺されてしまうわ」
ベルゼフリートの身辺警護に長女のシャーゼロット、次女のルアシュタイン、三女のレギンフォードが割かれている。もっとも重要な皇帝の護衛戦力を削ぐとは考えにくい。
五女のタイガルラはセラフィーナの護衛を命じられている。予備選力の意味合いもあるだろう。
消去法で残るのは七女のキャルル。そして、六女のブライアローズだった。
「キュレイは強くて賢い魔物だわ。アレキサンダー公爵の七姉妹だとしても、レオンハルト以外であれば食い下がってくれる。瞬殺はされないはずよ。それに⋯⋯心配性のピュセルは護符を持たせてあげたのでしょう?」
「友達想いって言ってくれないかな。護符は保険みたいなもの。相手が相手だもの。どうなるかは分からないわ。⋯⋯だから、シャッテンは手筈通りに逃走経路を作っておいてね。いざとなったらキュレイを助けてあげよう」
「はい。承知しています。⋯⋯ところで、これから私をその名前で呼び続けるのですか?」
「あれ? 気に入らない? じゃあ、別なのにしちゃう?」
「⋯⋯いいえ。もうそれでいいです。呼び名に不満があるわけではありません」
影の魔物はピュセルに奇異の視線を向ける。
レヴェチェリナの呼びかけで多くの魔物が集まった。しかし、魔物には社会性がない。強者が弱者を従える。そして、互いが互いを利用する。
(体外に滲み出ている魔素で分かる。ピュセルは私よりも遙かに格上の魔物。もしかすると武闘派筆頭と見られているキュレイよりも⋯⋯)
神喰いの羅刹姫ピュセル=プリステス。
人類史から忘れ去られた伝説の美鬼。栄大帝の統一帝国が仕損じた巨悪。この魔物と敵対してはならないと本能が告げていた。
「作戦決行は三月二十三日。特別な記念日だわ。皇帝ベルゼフリートと女王セラフィーナが肉体関係を結んで一年。すなわち、メガラニカ帝国とアルテナ王国の間で最初の講和が結ばれてから一年が経った。この日、三皇后は皇帝の近くにいないわ♥︎」
――帝国元帥レオンハルトは副都ドルドレイで行われる軍事演習を視察。
――神官長カティアは天空城アースガルズで戦没者の慰霊祭。
――帝国宰相ウィルヘルミナは国民議会に出席予定だった。
◇ ◇ ◇
〈翡翠の首飾り〉の捜索は難航していた。
冒険者組合、盗品窟の商人、聖堂会のコミュニティ、いずれも有益な情報は得られなかった。
約一ヶ月の情報収集で分かったのは、シーラッハ男爵家から〈翡翠の首飾り〉を買い取った帝都の商人が既に死んでいることだけだった。精神病を患い、六年前に自殺していた。
むしろ大きな収穫となったのは、外出したセラフィーナに釣り上げられた諜報員から搾り上げた国外の情勢だった。中央諸国の諜報機関はメガラニカ帝国の内情調査を進めており、西アルテナ王国の奪還を目論んでいた。
その際、邪魔となるのがメガラニカ帝国に屈した女王セラフィーナ。
正統なアルテナ王国の君主であり、皇帝ベルゼフリートの娘を三人産んだ売国妃。
教会圏の中央諸国が支援するヴィクトリカの政治的立場は盤石と言えない。セラフィーナに廃位を申し渡されたヴィクトリカは本来、アルテナ王家の一員と扱われるべきではなかった。
帝国に屈した女王が下した政治的決断――ガイゼフとの離婚とヴィクトリカの廃位は大きな影響を与えていた。
「どこもかしこも慌ただしくて嫌になるよ。戦争が終わって一年。どうして平和は続かないのかな?」
アルテナ王国の全域を奪還するには、皇帝に寝取られた女王が邪魔だった。
中央諸国は団結し、然るべき時期、メガラニカ帝国に戦いを挑もうとしている。今すぐ戦争が起こるわけではない。しかし、国内の問題を早々に解決しなければならなかった。
「評議会と国民議会は大忙しらしいよ。おかげでセラフィーナを毎晩のように伽役で呼んでも、他の妃達から文句が出てこないわけ」
四つん這いにさせたセラフィーナの巨尻を掴む。
「セラフィーナは運が良かったね。僕のオチンポを独り占めできてさ」
「んぁっ♥︎ はうぅんっ♥︎」
陰唇の裂け目から垂れる淫涎。黄金色の陰毛が茂った膣を指先で開帳した。鮮やかなピンク色の肉襞をクパァと広げる。ヒクつく膣穴と尿道が丸見えとなった。
「くださいっ♥︎ 陛下のオチンポォ♥︎ 繋がりたいですわ♥︎」
子供を五人産んだ淫母のオマンコ。幼帝の巨根で征服された子宮は胤を欲する。とうの昔に女盛りを過ぎたはずの女王は、齢三十七を迎えた今、淫猥なる肉欲を開花させる。
「セラフィーナのデカ尻は、ほんと掴み心地が最高だよね」
ベルゼフリートは前戯のフェラチオで既に二回射精させた勃起オチンポを近づける。セラフィーナの尻に腰を充てて、距離を縮めていった。
「挿入るよ、セラフィーナ⋯⋯っ!」
愛液で濡れた陰裂に幼帝の巨根が挿入された。
「あぁうっ♥︎ はぅっ♥︎ あぁっ! んぁっ!! んぅうぅっ~~!!」
「まだ半分だよ? 処女みたいな喘ぎ声。くすくすっ! セラフィーナの淫乱オマンコはこんなもんじゃないでしょ? 僕の娘を三人も産んだ経産婦のオマンコなんだから! んっ! くぅっ⋯⋯!! オマンコの底までっ! 挿れるよっ!」
「あっ♥︎ んぁっ♥︎ んんっ♥︎ 陛下のしゅごいオチンポォ♥︎ ぜんぶぅっ♥︎ はいってくるぅ~~っ♥︎ 押し込んでっ♥︎ 一番、深いところまで犯してっ♥︎ んぁっ♥︎ くるっ♥︎ くるぅうぅっ♥︎ んいぃっ♥︎」
「はぁはぁっ⋯⋯! んっ! んっ! んぃっ、あとちょっと! ふぅ! 根元まで挿れちゃった。子宮口に亀頭がぴったり挟まってる」
「はぁ♥︎ んぁっ♥︎」
「セラフィーナも分かるよね? こんなに深いところまで届いてるんだもん」
「はい♥︎ セラフィーナは幸せ者ですわぁ♥︎ 陛下の夜伽役を毎晩ぅ♥︎ オマンコを可愛がってもらえるなんてぇ♥︎ 子壺を突いてくださいませっ♥︎ 押し貫いてぇ♥︎ 陛下の極太オチンポじゃないとイけないのぉ♥︎」
嬌態で媚びるセラフィーナは豊満な巨尻を擦りつけた。
「腰使いが巧みになった。いっぱい精子が欲しい?」
「はぁいっ♥︎ 欲しいっ♥︎ 欲しいですわぁ♥︎」
発情した雌犬を想わせる淫靡な美熟女。背筋を弓なりに反らし、柔らかな贅肉がたっぷり詰まった艶尻を押し上げる。
思わずベルゼフリートは勝ち誇った笑みを漏らす。ほんの一年前、出会った当初は清麗な人妻だった。他人の愛妻を完璧に塗りつぶした。
セラフィーナの妖艶な魔性はベルゼフリートが目覚めさせた。巨尻を揺らして男の射精を請う淫行。
前夫のガイセフでは絶対に曝けなかった女王の本性。愛妾の生活に染まったセラフィーナは恥ずかしげもなく、男根の支配を甘受する。
「くすくすっ! セラフィーナのデカ尻はエロすぎ! たっぷりオマンコに注いであげるよ。今夜はバックから犯したいかな! 最高の肉付きを味わうのっ! オチンポに犯されるためだけの豊尻っ! もっと僕を愉しませてよ!」
ベルゼフリートの腰振りが始まった。生殖馬のペニスと同等の極太オチンポで、愛液まみれのオマンコを掻き混ぜる。
(快楽が全身にほとばしるわ♥︎ 魂が揺さぶられるぅ♥︎ 陛下との逢瀬はいつだって私を狂い酔わせる♥︎)
リズミカルなピストン運動で巨尻に己の性欲を叩きつけた。
「あんっ♥︎ あんっ♥︎ ああんぅっ♥︎ んぁっ♥︎ んひぃっ♥︎ んぁっ♥︎ あ゛んぅっ♥︎ んいぃ♥︎ んぁぉぁっぁあっ~~♥︎」
アルテナ王家の歴史上でもっとも美しいと讃えられた女王は、淫らなアクメ顔で濁音混じりの喘ぎ声をあげた。
(――陛下だけですわっ♥︎ そうっ♥︎ ベルゼとの営みだけが私に女の快楽を教えてくれたのぉっ♥︎ きてぇっ♥︎ 私を孕ませるのはっ♥︎ メガラニカ皇帝の貴き子胤っ♥︎)
安産を象徴する白桃の淫尻は、挿し込まれた男根から若々しい胤を搾る。
(んふっ♥︎ 小さな身体を震わせていますわ♥︎ さあ、出しなさいっ♥︎)
大人の男になりきれていない幼童の皇帝は、身体を強ばらせ、歯を噛みしめた。
「んっ⋯⋯くっ⋯⋯!」
鼻息を荒くしたベルゼフリートは、ついに我慢の限界を迎え、犬の姿勢で射精する。放精の勢いで太腿の筋肉が痙攣していた。
「ふふっ♥︎ 孕ませ汁で子宮が満ちていきますわ♥︎」
ベルゼフリートは覆い被さり、セラフィーナを組み敷いている。しかし、交尾の主導権は体格で勝る大人が握る。美女は少年に己の熟れた淫体を食わせる。無防備な艶尻で射精を煽る。
その後もセラフィーナとベルゼフリートの愛し合いは続いた。
「ハァハァ⋯⋯ハァハァ⋯⋯。今日も夜更かししちゃった⋯⋯」
「陛下の凄まじい精力を癒やすにはお時間がかかりますわ」
「明日は大切な公務があるのに⋯⋯。寝坊したらセラフィーナのせいだよ」
「明日はお忙しいのですか?」
「あれ? セラフィーナは忘れちゃったの? 明日は三月二十三日」
「⋯⋯⋯⋯?」
「メガラニカ帝国とアルテナ王国が最初の講和を結んだ日だよ。今じゃアルテナ王国の西側半分は帝国領だもん。慰霊祭をするんだよ」
「慰霊⋯⋯あぁ⋯⋯。すっかり忘れていましたわ」
「まったくもう。為政者の自覚が欠如してるなぁ。薄情な女王様。アルテナ王国の民草が泣いちゃうよ? 僕とのセックスばっかり考えてたら駄目なんだからね。⋯⋯まあ、慰霊祭っていっても、僕はグラシエル大宮殿から動けない。祭拝堂で祈りを捧げるだけなんだけどさ。あ! そうだ。ねえ、セラフィーナ? ねえ、お願いしちゃってもいい?」
「お願い?」
「うん。もう一度、セラフィーナに着てほしいかな。黒は似合ってたよ」
「ああ。なるほどですわ。ふふ♥︎ 陛下のお望みを叶えるのが愛妾の務め。喪服姿でよろしいでしょうか?」
「さっすが! セラフィーナは分かってるね。お祈りは真面目にやるよ。だから、ちゃんと喪に服さなきゃ。でもさ、僕らの仲が講和の象徴なんだ。仲の良い夫婦だってことも証明しなくちゃ。くすくすっ!」
「⋯⋯⋯⋯」
「捨て去った昔の家族にまだ負い目を感じてる? ちょっとだけ表情が昔のセラフィーナに戻ってた。ダメだよ。僕の家族になったんだ。そうだよね?」
「はい。もちろんですわ。⋯⋯私の心は皇帝陛下に寝取られてしまったのですから。大丈夫ですわ」
追憶は刹那の迷いだった。圧縮された二十年分の夫婦生活で育んだ想い出。色褪せてしまったが、けして忘れ去れぬ幸福の日々。帝国軍に処刑されたリュートの残酷な死が、性悦の狂騒を冷めさせた。
「じゃあ、もう一回しよ。――僕だけの母親」
甘えてくるベルゼフリートに抱きつかれ、セラフィーナは母乳を捧げる。大きな母性愛を表象する経産婦の爆乳。家族愛に飢えた少年の渇きを癒やす。
(この子が私の息子を殺した原因だったとしても――)
セラフィーナはベルゼフリートを抱き締め返し、挿入しやすいように股を開いた。仰向けの女体に覆い被さり、母親と少年は正常位で情交に至る。
(――この世の誰よりも愛してしまったわ♥︎)
子宮が幸福で満たされていく。肉体の器が緩み、具現化した帝気が立ちこめた。破壊者ルティヤの転生体から溢れ出た穢れは、女仙の細胞に染み渡り、瘴気の濃さが深まる。
排卵の前兆、疼きで胎に火照りが宿った。けれど、セラフィーナの子宮はレヴェチェリナに操られている。
排卵日はあらかじめ定められていた。
実行は三月二十三日――魔女の仕掛けた凶日が到来する。




