太陽が昇る前にヴィクトリカは目覚めた。
(火照る。暑いわ⋯⋯。地面が揺れている気がする)
変調は自覚している。だが、ヴィクトリカは認めたくなかった。
(微熱。風邪かな? はぁ⋯⋯、身体が重たい)
妊娠の初期症状が現われている。身体は熱っぽい。初めての悪阻を経験していた。
(眠気が覚めてしまったわ。⋯⋯二度寝は無理みたい。まだ外が暗い。早い時間に起きてしまったわ。誰かが起きているかしら。冷たい飲み物を貰ってこよう)
ヴィクトリカは宿の客室から、ふらふらと抜け出した。
料理店と酒場が併設されている階下に降りる。早朝のフロントにいたのは、ショゴス族のコンシェルジュだけだった。
「冷たい飲み物ですね。それならレモン水を用意いたしましょう。そちらのテーブルでお待ちください」
「ありがとう」
ショゴス族は粘体生命の奇異な種族だ。
外見は普通のヒュマ族。だが、目を離すと半透明になり、目や手足を増殖させていたりする。
(昨日、あのピアノを演奏していた音楽家もショゴス族だった。そんなに珍しい種族ではないのかも⋯⋯。メガラニカ帝国には沢山の種族が暮らしている。隣国で、しかも戦争をしていたのに私は何も知らなかったわ⋯⋯)
国力は圧倒的にメガラニカ帝国が上だ。しかし、人口で国の富を割ったとき、裕福なのはアルテナ王国だ。
アルテナ王国は肥沃な穀物地帯を抱える。農作物の生産効率と収穫高は圧倒的だった。
ヴィクトリカが滞在した帝都アヴァタール近郊は、メガラニカ帝国で発展著しい都市部である。死恐帝時代に甚大な被害を被った旧帝都ヴィシュテル近隣は、復興から取り残され、荒廃している地域が多い。
「ねえ。この情報紙は毎朝届くの?」
「新聞ですか? ええ、地元の商会が発行しています。週刊や月刊だったりしますが⋯⋯。マルスフィンゲンの日刊新聞は面白いですよ。週末に掲載されている『人気サキュバス嬢の恋愛相談』はオススメです」
ヴィクトリカは暇つぶしに地元の商会が発行している新聞を広げた。
統一言語の文字がギッシリと詰め込まれ、さまざまな記事が掲載されている。「増大が続く軍事費、歯止めかからず!」というようなお堅いニュースもあれば、市民からの寄稿もあった。
「酒嫌いのドワーフで何が悪い!」だとか「長命種にありがち! 時間感覚の無さ!」など、市民が寄稿したとコラムが並ぶ。「〈署名活動中〉コロシアムは野蛮な文化、即刻廃止を求む!!」といった政治広告が目に留まった。
(政治は貴族の仕事。それなのに市民が口を挟むなんて⋯⋯。おかしな国だわ)
ヴィクトリカの感覚は一般的なものだ。全市民に政治的な権利を付与する国家は稀だ。
メガラニカ帝国では貴族が地方を治めている。一方で市民には強い請願権がある。また、選挙制度があった。市民の権利を守る護民官、国民議会の議員を選ぶ権利を持つ。貴族が酷い悪政を敷けば、特権を没収される。
(最終的な決定権を握るのは、宮廷の妃達で構成される評議会。そして、行政、軍事、司法の三権を握る三皇后。三皇后の政治は民衆が評価し、世論を構築する。メガラニカ帝国の皇帝は実権を持たない⋯⋯)
そうであるなら、アルテナ王国との戦争を決めたのは、メガラニカ帝国の国民自身だ。しかし、人々と触れ合い、交流するうちに、ヴィクトリカは以前のような悪感情を抱けなくなった。
自身を強姦し、母親と旧友を辱めた皇帝こそが「諸悪の根源」と思い込めれば、きっと気が楽になる。けれど、戦争に関して言うのなら、ベルゼフリートはまったく関与していない。
(帝国宰相のウィルヘルミナ。ナイトレイ公爵家の当主を失脚させれば、本当にアルテナ王国は助かるの?)
ヴィクトリカはレモン水で喉の渇きを癒やす。心中で自問自答を繰り返した。
考えを巡らせるが妙案は出てこない。
(バルカサロ王国は頼りにならないわ。酷い話⋯⋯。そもそもの始まりはバルカサロ王国とメガラニカ帝国の争いだった⋯⋯! お父様は頑張っているけれど⋯⋯、奴らはアルテナ王国のために戦ってくれないわ)
ヴィクトリカは気付き始めていた。バルカサロ王国はアルテナ王家を切り捨てようとしている。
アルテナ王国は一時、ヒュバルト伯爵の独立宣言で東部が内乱状態に陥った。
その渦中、ヴィクトリカは両方の陣営に暗殺されかけた。
(このままだと私達はメガラニカ帝国に飲み込まれてしまう。けど、一体どうすればいいの⋯⋯?)
アルテナ王国の敗戦後、帝国軍は王都ムーンホワイトをはじめとする主要都市や軍事拠点を支配下に置いた。けれど、国土の全域までは掌握できていない。
(帝国軍の支配が及んでいない辺境に義勇軍と国王軍を再編成する。でも、帝国軍が見過ごしてくれるはずがない。集まる前に叩かれてしまう。⋯⋯帝国軍が動けないような事情を作れたとしたなら?)
ヴィクトリカは下腹を見る。変調の兆しを示している子宮。皇帝ベルゼフリートに濃厚な子胤を注ぎ込まれてから、月事の訪れはなくなった。
(皇帝の子供を帝国軍はきっと殺せない⋯⋯!)
仮に懐妊していようと、ヴィクトリカは産むつもりがなかった。
愛していないどころか、憎悪している男との間にできた赤子を産めるはずがない。だが、もしもベルゼフリートの赤子で、アルテナ王国を守れるのならと考える。
メガラニカ帝国はセラフィーナにベルゼフリートの子供を産ませ、傀儡の王を作るつもりだ。けれど、ヴィクトリカは対抗の目論む。
(⋯⋯最悪だけど⋯⋯本当は考えるのも嫌だけど⋯⋯っ! 私の子供には利用価値があるわ。だって、アルテナ王国の王統を継ぐべきは王女である私、そうでなければ私が産んだ子供だわ)
ベルゼフリートを好いているわけではない。しかし、血統の筋道で語るなら、絶対にそうなるべきだ。
(お母様とベルゼフリートは正式な夫婦じゃないわ。産まれてくるのは婚外子。不義密通で産まれた子供が王位を継ぐなんて、教会の教えが浸透しているアルテナ王国ではありえないわ)
ヴィクトリカが女王を継ごうとすれば、メガラニカ帝国は武力で潰しにかかる。だが、ベルゼフリートとヴィクトリカの間にできた子供なら、どうであろうか。
最初に立ち返れば、アルテナ王国がメガラニカ帝国と講和条約を締結した際、皇帝ベルゼフリートに差し出した王家の女は「ヴィクトリカ」なのだ。
メガラニカ帝国は、逃げ去った王女ヴィクトリカを捕まえられなかった。そこで、まだ子供が産めそうな女王セラフィーナに目を付けた。
結果、今に至っている。しかし、両国が交わした条約の文面は「和約の証として、アルテナ王家の血を引く娘を嫁がせる」としか書かれてない。
(私は愛する祖国を守れるのなら! 私は⋯⋯覚悟しているわ⋯⋯っ!)
ベルゼフリートの子供を産むのは屈辱だ。しかし、我が身を捧げ、アルテナ王国を救えるのならばと意を決する。
(後悔させてやる⋯⋯。私は妊娠してしまっている。でも、これは創造主様が与えてくれた復讐の機会! お兄様を殺し、お母様やロレンシアを辱めた悪行! 必ず償わせてやるんだから!! 私のお腹に宿ったアイツの子供はそのための武器!)
考えがまとまる頃には、日の出となっていた。
窓から真夏の強い日差しが差し込む。気分が良くなったヴィクトリカは、ロレンシアの泊まっている部屋に向かった。
女仙のロレンシアは、使用人扱いのヴィクトリカと違って、最上級のスイートルームを使っている。宿泊中は宿側が専属のスタッフを付けてくれていた。
皇帝の御子を身籠もっている女仙と知り、宿の支配人は万が一を恐れて世話人を付けた。宿側に過失がなくとも、たとえばロレンシアが階段から転げ落ちて、流産してしまったら、宿の評判が地に落ちてしまう。
「おはよう。ヴィッキー」
ロレンシアは着替えの最中だった。かつては王女のヴィクトリカに跪いていた赤毛の女騎士。今は皇帝ベルゼフリートに仕える高貴な女仙だ。
雇われの御者扱いのヴィクトリカことヴィッキーに敬語は使わない。
主従逆転の奇妙な立場にある。この状況をヴィクトリカは好ましく思っていた。以前よりも、親友のロレンシアと気さくに言葉を交わせるからだ。
「とっても苦労しているように見えるわ。手伝いましょうか? ロレンシア様」
母親となったロレンシアの女体は、前部に突き出たボテ腹が目立つ。柔らかな贅肉がたっぷり詰まった巨尻。胸部に実る撓わな超乳。湧き出すミルクで乳首の先端が湿っている。
近衛騎士団の女騎士だったころの面影はない。鍛え上げた筋肉は衰え、ほっそりとした体躯は壺型に変貌した。醸し出す色気は、人妻の雰囲気そのものだった。
「揶揄ってるわね。もう、他人事だと思って⋯⋯。ブラジャーのフックが引っかからないの。本当は誰かに手伝ってほしいのだけど、女仙の瘴気で怪我をするから、自分で何とかするわ」
ロレンシアは花柄のマタニティショーツを穿いている。臍の穴までスッポリと妊婦腹を覆っていた。
「今のロレンシアはそんなに大きなブラジャーをしてるのね。私のお母様と同じくらいのサイズじゃない?」
「たぶん同じか、上回っているかもしれない。実は少しずつ膨らんできているの。まだ大きくなるわ。母乳が出始めているから、定期的に絞らないとオッパイが破裂しそうになるわ」
ロレンシアは入浴時に胸を自分で揉んで、母乳を絞っていた。そうしないと重たくなって、肥大化した乳房が辛くなるのだ。
ベルゼフリートに乳首を吸われながら、犯される妄想でオナニーもしている。
(陛下は何をされているのかしら? この時間帯はまだ寝ている気がするわ。宮廷で一人ぼっちのセラフィーナ様が心配。側女のリアが付いているけれど⋯⋯)
ロレンシアはベルゼフリートを愛している。だが、アルテナ王家の母娘への愛情は捨てていない。
(ヴィクトリカ様も皇帝陛下の女となれば、きっと私を分かってくれるはず)
もはや忠誠を尽くす相手ではないが、同じ皇帝に奉仕する女となり、幸せになってほしかった。
「朝に出発すれば、シーラッハ男爵家の領地に到着できるそうよ。体調のほうは大丈夫そう?」
「ええ。まったく問題ないわ。でも、馬はゆっくりと走らせてね。事故が起こったら大変だし、段差で馬車が揺れるとお腹の子どもが吃驚しちゃうわ」
ロレンシアは、ヴィクトリカの子宮がある下腹部に視線を向ける。
ベルゼフリートに処女を散らされ、膣内射精された事実をロレンシアは知っている。そして、生理が来ないのを悩んでいると気付いていた。
「――お互いに身体は大事にしないと」
子供を愛する母親の顔を浮かべて、ロレンシアは微笑する。堕ちた女騎士は、復讐に取り憑かれた王女を引き込もうとしていた。
(誰よりも憎んでいるつもりだった。だけど、今は陛下を愛してしまっている。弱い女だと理解させられてしまったから⋯⋯)
ロレンシアはほんの半年前まで、幼馴染みの夫レンソンがいた。
幼少期から慕っていた青年に初めてを捧げ、知らず知らずのうちに子供も宿した。だが、メガラニカ帝国に幸せを蹂躙され、夫婦は引き裂かれた。
女仙化でロレンシアは流産し、レンソンは男性機能を踏み潰された。
(私の心の傷を癒やしてくれた♥︎ 私を優しく抱いてくれてた陛下♥︎ どんなに貞淑な女だろうと陛下の極太オチンポには寝取られてしまうの♥︎ ヴィクトリカ様だって例外ではないわ♥︎ ――セラフィーナ様でさえ屈したのでもの♥︎)
アルテナ王国の人々に国母と慕われ、穢れ一つなかった清らかな女王セラフィーナ。しかし、女は堕落する。嬉々として性奉仕に励む淫女と成り下がった。
ガイゼフを心から愛し、二人の子供を慈しんだ母親が、祖国を蹂躙した皇帝との不貞セックスに溺れている。
ベルゼフリートには女性を惹き付ける天生の才能があった。子猫のように甘え、気付いた頃には惚れ込んでいる。
(けれど、皇帝陛下が一番愛されている女性は⋯⋯)
——猫は飽きっぽい。それは幼帝ベルゼフリートも同じだった。
◇ ◇ ◇
「オッパイ、噛んじゃってごめんね。セラフィーナ」
ベルゼフリートはセラフィーナの乳房にできた傷を優しく舐めた。二人は黄葉離宮の浴場で混浴している。
皮膚に付着した汚れを湯水で濯ぎ落とす。湯船の中でお互いの裸体を密着させ、素肌をすり合わせる。
「んぁっ♥︎ あんっ♥︎ 陛下ぁ♥︎」
浴槽に薬草を放り込んである。成分が溶け込み、湯はぬるぬると滑るアルカリ性に変化していた。
「うわ。舐めたら苦いっ! 薬草の成分のせいだね。お風呂のお湯、とてもぬめぬめしてるし⋯⋯。石けん水みたい。でも、これでオッパイの傷跡はちゃんと治癒するらしいよ。ほら、もう噛み傷が消えてきた」
セラフィーナの柔らかな爆乳を両手でマッサージする。薬湯でぬめる乳房を優しく揉みほぐした。
「痛む?」
「陛下が好きなように使ってください。このオッパイは陛下のモノですわ。私は陛下の愛妾なのですから⋯⋯♥︎」
セラフィーナはベルゼフリートを迎え入れた。矮躯を抱きしめて、双乳の谷間に頭を埋める。
ベルゼフリートは誘いに応じる。仰向けのセラフィーナに全身を委ねさせた。
「うん。セラフィーナのデカパイは僕だけのもの。もう僕以外にオッパイを吸わせたらダメなんだからね」
「はいっ♥︎ きてっ♥︎ 陛下ぁ♥︎」
お腹の出っ張りさえなければ、もっと肢体を絡ませられたとセラフィーナは惜しむ。
セラフィーナは皇帝の素肌を撫で回す。自分が産んだ二人の王子王女より年若な少年と愛し合う。
首をくすぐり、背中を指でなぞり、小さなお尻を掴んだ。
「んっ♥︎ あぁ♥︎ んぁ~っ♥︎」
「ふーん。セラフィーナってそういう愛好もあるの? 珍しくはないけどね。妃の中にもいるよ。僕が子供だから興奮するって人」
「私は陛下の筋肉をほぐしてさし上げているのですわ。沢山の女仙を抱かれていたのでしょう? 身体に疲れが溜まっているようですわ」
「労ってくれてるんだ。でも、本当にそうなのかな? その割には僕のお尻を撫でてる手付きがイヤらしい。今日の朝だってさ、僕が眠っている間、この淫乱オマンコでオチンポを盗み食いしてたんでしょ?」
「盗み食いだなんて⋯⋯♥︎ ただお慰めしただけですわぁ♥︎」
「眠ってる僕を逆レイプして気持ち良かった? セラフィーナはもうセックス中毒になっちゃってるんだろうね」
ベルゼフリートは超乳の谷間に挟まれる感覚を堪能する。足をセラフィーナと絡ませ合う。さながら巨木に這う小さな蛇のようだ。肉付き豊かな女体にしがみ付いた。
「昨晩はありがとね。滅多にああいう気分にはならないけど、無性に乱暴したくなる。セラフィーナが相手なら、何の遠慮もいらない。気兼ねなく堪った性欲を発散できる」
セラフィーナの鼓動が高鳴る。夫に永遠の愛を誓っておきながら、間男に言い寄られて興奮していた。
「くすくすっ♪ 心臓の音が跳ね上がった。やっぱりセラフィーナは、僕が好きになってるよね? あーあー、ダメな人妻女王様だ♪ そういうつもりなら、やっぱりちゃんと僕を選んでほしいな」
両脚の間に下半身をねじ込み、徐々に姿勢を下げていった。
乳間に寝せていた頭が、孕み腹の位置まで下がる。セラフィーナの臍に頭を添えながら、勃起した男根を女陰にあてがう。数秒の焦らしの後、肛門を攻められた。
「あっ♥︎ 陛下、そっちの穴はっ⋯⋯♥︎」
「アナルに挿入するね。セラフィーナのアナル処女は僕のオチンポが最初だった。セラフィーナのセカンドバージンのは僕だって、アナルセックスするときはちゃんと思い出してね。刻みつけてあげる」
「あん♥︎ ふぁっぁぁああぁ⋯⋯っ♥︎」
ズブリと腸内に異物が入り込む。薬湯が潤滑剤となって、準備していなかったキツキツの尻穴に巨根が突き刺さった。
「ねえ、セラフィーナはどうするの? 僕との約束は別として、思惑通りに進んだら、どういう関係でいたい?」
「うぅ♥︎ んぃ♥︎ はぁーー⋯⋯♥︎ んぃ、はぁぅーーっ♥︎ そっ、それはどういう意味なのかしら⋯⋯? んんあんぃ♥︎」
「誤魔化さないで。僕と結婚する気? このままずっと愛妾でいるつもり? ガイゼフと寄りを戻させないよ。いい加減、素直になったら? 本当は分かってるよね。セラフィーナ?」
セラフィーナはアナルに挿入させている男根の硬度が高まっていくのを感じた。
「今のセラフィーナは幸せそうに見えるよ」
ベルゼフリートは今まで以上に男の瞳をしている。女としてのセラフィーナを獲りにきているのだと分かった。
「ガイゼフよりも僕の方が、セラフィーナを幸せにできる。もう僕のモノになっちゃえば?」
「ふぅうふぅう♥︎ あはっ♥︎ くふふふっ♥︎ 以前に申し上げましたわ。ベルゼフリート陛下がガイゼフよりも相応しい伴侶であれば、私は婚姻を受け入れ、陛下の妻となりますわ♥︎」
「僕はまだ相応しくないの? あーあー。妬いちゃうな」
「私に見定める時間を頂きたいですわ」
「時間がまだ必要なの? だって、僕とセラフィーナの肉体はこんなに互いを愛し合っているよ? 僕以外とのセックスで、満足できると思っているの?」
「今の私は陛下の極太オチンポじゃないと感じられない淫らな身体ですわ。⋯⋯夫との交わりで絶頂に達しはしないでしょう。私の淫乱なオマンコは陛下のオチンポに心底惚れ込んでおります。否定いたしませんわ」
「もうじきセラフィーナは世継ぎを産む。ガイゼフの種じゃなくて、僕の種でね。僕の子どもを産んじゃうんだ。名目がどうあれ、実質的にはもう僕の方が夫みたいなものじゃん」
「陛下の妻は沢山いますわ。正妻であれば三皇后、さらには王妃や公妃、愛人なら数えきれないほどですわ」
「セラフィーナも妃の一人になればいいよ。王妃になれると勅命で決まった。正式にガイゼフと離婚して僕の妻となるんだ。そうすれば妃位を得られる。何がダメなのかな?」
「恐れながら陛下、それだけでは足りませんわ」
「足りない?」
「私はアルテナ王国で一番に愛されていましたわ。夫や国民からも⋯⋯。だから、陛下にも同じだけの気持ちを要求したいのですわ」
「ふーん。上手い言い回しだね」
「宮廷での暮らしで学びましたから⋯⋯。殿方を悦ばす方法も分かってきましたわ♥︎」
「ん⋯⋯っ! あぁっ!」
「私のアナルは気持ちいいですか?」
「そんなに強く締め付けられるとっ! セラフィーナっ! くぅぅう⋯⋯!!」
「女王の私はアルテナ王国で一番愛された女でしたわ。望まずして、常に一番愛されていたのです。けれど、メガラニカ帝国ではそれは難しい。だから、こうやって努めているのですわぁっ♥︎ さあ、さあぁッ♥︎ その陰嚢に溜め込んでいる濃厚な精子をお出しになってくださいッ♥︎」
肛門を締め付け、アナルで肉棒を圧縮する。
男根に射精を促し、我慢できなかったベルゼフリートはビクンッビクン!と体を震わせる。
「私の身体で陛下の満たされない心を慰めてさし上げますわ♥︎ いいのですよ。さあ、私に身体を預けてください。私を本物の母のように受け入れてぇえっ⋯⋯♥︎」
「んっ⋯⋯はぁはぁ⋯⋯! んぅ、くぅっ! ねえ、セラフィーナっ⋯⋯熱いっ! のぼせちゃうよぉ⋯⋯! 身体が熱くなって変な感じ⋯⋯!! はぁはぁ⋯⋯!」
「ダメですわ。まだ私がイっていませんのぉっ♥︎ 陛下ぁっ♥︎ 陛下ぁあっ♥︎ 陛下ぁああっー♥︎ 強く抱きしめてっぇえええ♥︎ 私を奪いたいのならっ、もっと強く抱いて⋯⋯っ♥︎ あぁ♥︎ きたっ♥︎ きたっ、きたっ、気持ちいいのきたぁあっ♥︎ アナルでイくぅう♥︎ イぐぅううぅうぅぅぅぅうう♥︎」
メガラニカ帝国とアルテナ王国の君主は、湯船で歪んだ愛を育む。
「セラフィーナっ! 僕もぉっ⋯⋯! んっ! はぅっ!!」
無数の触手を持つタコが魚を捕食するように、セラフィーナはベルゼフリートの小さな体躯を包み込む。
セラフィーナに結婚を迫ったベルゼフリートの意図は明白だ。心の奥底では不信感があった。本当に好いているなら、何もかも投げ出してくれる。
実際、ロレンシアは全てを捨て、ベルゼフリートに忠愛を誓った。だが、セラフィーナはまだ何も捨てていなかった。
夫のガイゼフに対し、多くの裏切りを働いている。なのに、なぜ婚姻を受け入れないのかと疑念を抱いてしまう。
(本当のところはどうなのかな? 僕を利用したいのなら、すればいいけどね。どうせ、セラフィーナは本物のママじゃない)
求め、望み、切望する本当の家族。その代用品にはなる。セラフィーナの肢体で性欲を発散し、心の穴を埋めた。
満たされない感情は、忘れてしまった過去を知ればきっと癒える。そうベルゼフリートは信じていた。
「はぁはぁ⋯⋯。あっ。お腹の中で僕らの赤ちゃんが動いてるよ」
セラフィーナのお腹に宿っている我が子の力強い鼓動を感じる。耳を当てて胎内音を聞きながら、アナルに精子を注ぐ。
「どんな子供が産まれてくるのか楽しみだね。セラフィーナは僕の赤ちゃんを母親として愛してくれる?」
「ええ。もちろんですわ。以前の私ならとても苦悩したと思います。けれど、今なら心から愛を注げると誓えますわ」
数分間の射精が終わった後も、セラフィーナはベルゼフリートを離さなかった。風呂の温度が微温湯となるまで、互いを抱きしめ合う。
セラフィーナは強い野心を抱いていた。ウィルヘルミナを蹴落とし、一番の女になりたいと願った。