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【13.5話】幼帝と女王のお茶会〈下〉

「話題を少し変えよう。メガラニカ帝国の皇帝が、どのように選ばれるか、女王様は知っている?」

「詳しくは知りません。宗教的な儀式で選ばれるとだけ⋯⋯」

 王族としての教育を受けたセラフィーナは、隣国のメガラニカ帝国が特殊な宗教国家であると教わっていた。

「ちょっとだけ違うかな。でも、宗教的な部分は正解。メガラニカ帝国の皇帝は血筋で選ばれない。儀式は⋯⋯ニュアンスが異なるかな? 巫女の託宣で見出されるんだ」

 メガラニカ帝国の皇帝は500年以上も空位だった。それは、皇帝となる資格を持つ者が現れなかったことを意味する。

「——の転生者がメガラニカ帝国の皇帝となる。生まれ変わりを皇帝に祭り上げているんだ」

「破壊者ルティヤ……? それは破壊帝バルトリヤのことを言っているのでしょうか」

「違うよ。勘違いしても無理はないか。今となっては破壊帝バルトリヤのほうが有名だもんね」

「破壊帝の蛮行を知らぬ者はおりませんわ。大陸全土で暴虐の限りを尽くし、〈黒鉄の勇者〉に討ち滅ぼされた歴史上最悪の暴君なのですから⋯⋯。夥しい血が流された歴史は、今も語り継がれておりますわ」

「破壊帝バルトリヤは3代前の皇帝。メガラニカ帝国が大陸統一国家から転げ落ちた原因だね」

 セラフィーナは人並み程度の歴史しか知らない。しかし、古代のメガラニカ帝国は大陸を平定し、全土を統治していたのは聞いていた。

 1500年以上も昔、メガラニカ帝国の最盛期を築いたのは、栄大帝と皇后ガルネットであった。アガルタ大陸の統一という史上初の大偉業を成し遂げた。

 歴史を画する大国家の治政は、恒久的に受け継がれていくはずだった。

 ——しかし、後に続く3人の皇帝は平和を壊した。

「大陸の全文明を破壊した。帝国を建て直せなかった。そして何もできずに殺された。憎まれているけれど、彼らだって被害者だよ。破壊者ルティヤの転生者は望んで皇帝となったわけじゃない」

「貴方自身はどうなのですか? 破壊者ルティヤという得体の知れぬ存在。その転生者が皇帝に祭り上げられるのなら⋯⋯。貴方は皇帝になりたかったのですか?」

「僕は捨て子だったらしい。もしも破壊者ルティヤの転生者でなければ、今頃は飢え死にか、救貧院で辛い想いをしていたはずだ。女王様とセックスなんて絶対にできなかったろうね」

「破壊者ルティヤとは何なのですか……?」

 セラフィーナは情報を引き出そうとする。単なる好奇心からではない。

 アルテナ王国の今後を考えてのことである。これまでメガラニカ帝国を知らなすぎた。

 メガラニカ帝国は広大な領土を持つ宗教国家。かつては大陸全土を平定した輝かしい歴史がある。しかし、破壊帝の暴虐で勇者が立ち上がり、帝国の栄光は潰えた。その後に飢饉や病魔、大災厄が続き、国力は大きく衰えた。

 それがセラフィーナの知るメガラニカ帝国の歴史だ。

(栄大帝の統治時代、アルテナ王国はメガラニカ帝国の一部だったのでしょう。しかし、破壊帝が倒された後に独立し、帝国とは距離を置いてきた……)

 その歴史をアルテナ王国の民衆は知らない。隠してはいなかったが、広める話ではなかった。古代の歴史とはいえ、メガラニカ帝国から独立した経緯を認めれば、再併合の理由とされかねない。

「破壊者ルティヤの正体を知る者はいない。分かっているのは、破壊者ルティヤの器を壊すと、大陸全土に大きな災厄が生じる。器は転生者。つまりね、僕が死んでしまうと、この大陸で大きな災いが起きる」

「人間には寿命があります。貴方もいつかは死んでしまいますわ。もし貴方の話すことが本当なら、いつか必ず災厄が起きてしまうわ」

「唯一の例外は、僕が天寿を全うし、安らかに老衰死することさ。困ったことに破壊者ルティヤの器は長寿なんだ。2代目の聖大帝、4代目の栄大帝は1000年以上、生きたとされている。皇帝があまりにも長生きだから、世話係の女官や妃も長生きになる。不老の女仙が存在する意味はそれだよ」

「仙薬を飲まされて、私は女仙となってしまったわ。それなら、貴方が死んだとき、女仙である私も死ぬのですか?」

「死ぬね。今のところ、皇帝の代替わりで女仙は全員死んでいる。最初に説明しておくべきなんだけどねえ。誰も教えてなかったでしょ?」

「ええ。どなたも教えてくれませんでしたわ」

 女仙となった女王セラフィーナはベルゼフリートを殺せない。

 ガイゼフ王も同じだ。息子を殺し、妻を寝取った皇帝に深い憎悪を抱くだろう。しかし、愛する妻の生命が失われてしまうと知れば、皇帝に殺害できない。

「先代の死恐帝は7歳で暗殺された。即位式できずに殺されたから、女仙が1人もいなかったそうだ。女仙は僕が現れるまで、久しく存在しなかった。500年もの空白だ。失われた記録も多いらしいよ」

「皇帝が天寿を全うせずに亡くなると、大きな災厄が起こる。貴方はそう言いますが、先代の皇帝が亡くなられた時には何が起こったのですか?」

「死恐帝が殺されたのは500年前。当時のメガラニカ帝国は災厄を国内に留めようとした。だから、国外ではあまり知られていないだろうね」

 他にも理由はあった。被害が局所的だったのは、臣下の裏切りで暗殺された死恐帝が、帝国を憎んでいたからだ。

「死恐帝の崩御後、帝国内では大量のアンデッドが出現するようになった。大量の不死者が生者を殺し回り、鼠算式にアンデッドモンスターが増えていった。それ以来、帝国では鳥葬と火葬が徹底されているんだ。災厄が去った今でも習慣化したんだ」

 セラフィーナはリュート王子の葬儀を思い出した。帝国はリュート王子の遺体を徹底的に燃やし尽くした。骨すら残らず念入りにだ。

 アルテナ王国への嫌がらせだと思っていた。帝国の歴史を知って、理由のある風習だったと分かった。

 死恐帝がもたらした大災厄は、散発的な大地震とアンデッドを発生させる濃霧である。死者が大量発生すると濃霧が生じ、死体がアンデッドモンスターになった。

 唯一の対策は、死骸を鳥などの野生動物に食べさせ、骨すら残さず焼いてしまうこと。

「メガラニカ帝国が滅びかけた『リバタリアの災禍』だ」

 500年の災禍は、大国であったメガラニカ帝国を衰退させた。

「全ての皇帝が災厄を生じさせるわけじゃないよ。初代の始皇帝。2代目の聖大帝。4代目の栄大帝。3人の皇帝は安らかに眠ってくれた」

 メガラニカ帝国の歴史上、天寿を全うした皇帝は3人いる。始皇帝の在位年数は不明であるが、聖大帝と栄大帝の治世は1000年を超えた。

 また、栄大帝の時代、大陸全土の平定という偉業が成し遂げられた。

「⋯⋯他の皇帝は違ったのですね」

「残念ながらその通り。3代目の烈帝は在位262年。『ザレフォースの災禍』で生じた業火の嵐は、大陸全土を焼いた」

 烈帝は人格者として名高く、民から尊敬される清廉な君主であった。しかし、臣下に恵まれなかった。政治に口出しする烈帝を疎んだ臣下は反逆し、主君を軟禁した。

 皇帝と臣下の不和で帝国は大きく乱れた。

 妃達は横暴を尽くし、ある傲慢な妃がザレフォースで民衆を虐殺。幼子にいたるまで無辜の民を処刑した。蛮行を知った皇帝は憤死を遂げた。

 烈帝の死で生じた業火は、王城や城塞、国家権力の象徴物を灰燼に変えた。大陸全土を焼いた炎は、国々を燃やし尽くした。こうして「ザレフォースの災禍」は約200年続いた。

「5代目の破壊帝はもっとも有名だね。僕が説明するまでもない。メガラニカ帝国といえば、破壊帝の名前が一番最初に出てくる」

 破壊帝の名前は有名だ。大陸の国家という国家が機能不全に陥るほど、破壊帝の統治は苛烈だった。

 〈黒鉄の勇者〉によって破壊帝は討ち滅ぼされた。しかし、皇帝の死は災禍の始まりを意味していた。

 破壊帝の死後に起きた「バルトリヤの災禍」で大陸全土に灰色の冬が訪れた。大飢饉で数千万の人命が失われたと伝えられている。

「6代目の哀帝は自ら失政を招いた。復興の象徴となるべき皇帝だったんだけど、重圧に耐えきれなかったと聞いている」

 哀帝は重責に堪えかね、職責を放棄してしまった。主君を支える臣下たちは、有効な対策を講じられなかった。帝国は人的資源が枯渇していたのである。

 哀帝の時代、アルテナ王国をはじめとする国々は帝国から独立した。内部崩壊で帝国の政治は混迷を極めた。

 即位したばかりの哀帝は、暴虐を極めた破壊帝と同視され、国民から恐れられていた。哀帝は国家の再建を志していたが、次第に重すぎる職責に堪えきれなくなり、ついに責任を投げ捨てた。

 失政との評価は免れない。けれども、多くの歴史家は、全責任を哀帝に求めるのは、あまりにも酷であると指摘する。

 在位はわずか26年。最期は唯一心を許していた寵姫アンネリーとの自殺だった。

 哀帝の死後、大陸で病魔が蔓延するが、災禍は100年で終息した。生前も死後も哀れみ深かったことから哀帝と呼ばれ、悲劇の皇帝と語られている。

「7代目の死恐帝は、全くの被害者だ。彼は即位式の前夜。たった7歳で殺されてしまった」

 メガラニカ帝国が犯した最大の罪。それは死恐帝の暗殺を防げなかったことだ。

 哀帝の死で生じた災禍は、予想以上に被害が少なく、100年で終息にいたった。この時になると帝国内で、皇帝制度の廃止を掲げる共和主義派、通称リバタリアが台頭するようになった。

 得体の知れない生まれ変わりを祭り上げるより、破壊者ルティヤごと転生者を葬り去る。その方法を共和主義者は模索していた。

 共和主義者は死恐帝を特殊な方法で殺し、破壊者ルティヤの魂を封印しようと画策した。暗殺計画には皇后即位が内定していた帝国宰相と帝国元帥も加わっていた。

 即位式の前夜。7歳の皇帝は暗殺された。

 三皇后で暗殺計画に唯一加担していなかった神官長は、幼き皇帝の亡骸を前にして絶望した。

 大逆を犯した裏切り者たちを罵り、皇帝を追って殉死した神官長が残した呪詛の言葉は、メガラニカ帝国の将来を暗示するものだった。

 ——呪われろ。裏切り者に安息は訪れない。

 「リバタリアの災禍」は長期間続いた。アンデッドの大量発生で人口が密集していた帝都は壊滅状態に陥り、遷都を余儀なくされた。

 大逆犯の末路は凄惨であった。皇帝を暗殺した当初、国士と賞賛された共和主義者は一転して極悪人と誹られた。

 皇帝を弑逆した者を捧げれば、死恐帝の荒魂は静まる。

 流言に乗せられた暴徒によって、暗殺に加担した帝国宰相と帝国元帥は処刑された。しかし、どれだけ残虐な方法で共和主義者を処刑しようと、死恐帝の災禍は終息しなかった。

 災禍の終わりは、英雄アレキサンダーが登場する500年後まで待たねばならない。

 亡者の巣窟となった旧帝都で、英雄アレキサンダーは死恐帝の亡霊を鎮めた。もし救国の英雄が現れなかったのなら、リバタリアの災禍は未だに続いていただろう。

 それから十数年、英雄アレキサンダーはこの世を去った。新帝探しの空白期が訪れた。メガラニカ帝国は同じ過ちを繰り返さないために、新帝を受け入れる準備を進めた。

 最初にベルゼフリートを発見したのは、後の帝国宰相ウィルヘルミナ・ウォン・ナイトレイであった。かくして第8代皇帝ベルゼフリートが即位し、大陸歴8紀の始まりをもって、「リバタリアの災禍」は完全終息したと認められた。

「僕が即位した後も、帝国内でクーデターとか物騒な出来事はあったんだけどね。それこそバルカサロ王国やアルテナ王国との戦争も起きた。平和な時代は遠いね」

 聞かされた歴史が正しいのなら、ベルゼフリートは破壊者ルティヤの転生者。この少年が死んだとき、恐ろしい災厄が起こる。

 セラフィーナは今一度よく観察してみる。

(真っ白な髪と焦げたような暗褐色の肌……。アルテナ王国では珍しい容姿ですけど、それ以外はまったく普通の子供に見えますわ)

 もし破壊者ルティヤの片鱗があるとすれば、皇帝の股座から生える巨大な陰茎だろう。人間の生殖器とは思えぬ形状と太さ。あれだけは普通と呼べない。

「そういうわけだから、帝国に復讐をするとしても、僕を殺さないように気をつけてね。僕を虐めるのもおすすめしない。過度なストレスは、覚醒の切っ掛けになるらしいよ」

「取り扱いに注意して優しく扱えと?」

「僕や帝国を憎んでいるセラフィーナにそこまでは求めないよ。だけど、もしも後宮で安穏に暮らしたいと思うのなら、心掛けてね。孤立すると大変だよ」

「なぜ、私にそんな助言をするのですか?」

「僕なりのお礼。気持ちよくさせてもらったから。それに僕の子供を産むだろうからね。腹を痛めて僕の赤ちゃんを産んでくれるのなら、これくらいのサービスはしてあげる」

 ベルゼフリートはセラフィーナに擦り寄った。人懐っこい子猫のように肌を触れ合わせてくる。

「それで今夜はどうしよっか。僕とセックスできそう?」

 暗褐色の手がセラフィーナの太腿を優しく撫で、少しずつ内股に伸びる。漆黒の喪服越しに手触りが伝わる。

 答えに詰まったセラフィーナは視線を逸らす。

(誘われている……。リンジーの言葉に従うのなら、皇帝とは良好な関係を作らなくてはならないわ。ですけど……私には……)

 セラフィーナが思い浮かべるのは、夫と娘、そして死んだ息子の顔だった。

 息子の葬儀を終えて間もない母親が、その息子を殺した国の君主に股を開く。ふしだらな女に堕ちてしまう。だとしても、今は皇帝の誘いに応じて、セックスを受け入れるべきだ。

 理屈と感情は別物だった。反射的にセラフィーナは動いてしまった。

「穢らわしい手で触らないでください……っ!」

 セラフィーナは皇帝の手を払いのけてしまった。

 すぐさま侍女がベルゼフリートに近づき、セラフィーナを睨み付けた。その視線には明確な敵意が込められていた。

「僕は大丈夫だよ。怪我はしてない」

 ベルゼフリートが制止しなければ、セラフィーナは女官に殴りつけられていたかもしれない。

「あっ……! わ、私は危害を加えるつもりでは……!」

 失態をしでかしてしまった。弁明をするにはもう遅い。

「いいよ。別に。ウィルヘルミナの命令を優先したことにすればいいから。僕も今夜はそういう気分じゃなかったし。何もしないから帰っていいよ」

「……その……私は……! アルテナ王国とメガラニカ帝国の間には大きな溝があります。しかし、私は禍根で両国の関係をさらに悪化させたくはありません。帝国との講和を受け入れるつもりです。そして友好を⋯⋯」

「嘘吐きだ」

「えっ……!」

「女王様は僕や帝国を憎んでいる。誰かに無理やり言わされた言葉だ。心がまったく込められていない。それくらい子供にだって分かるよ。どうでもいいけどね」

 ベルゼフリートの言葉は冷たかった。

 嘘吐きの大人を見下す無垢な少年の声だ。セラフィーナは失態の上に失態を重ねたことを痛感する。本来の意味での恥辱を味わった。

「今夜、赤毛の子、たしかロレンシアだっけ? 彼女は血酒の仙薬を飲んで女仙となる。君の従者となるために。帝国の宮廷で唯一の味方となってくれる子だ。女仙となる姿を見届けるべきじゃないかな」

 遠回しに出て行けとベルゼフリートは言い放った。

「承知いたしました。それなら貴方のお望み通り、失礼させていただきますわ」

「望みじゃない。命令だよ。嘘吐きは好きじゃない。僕は妃には命令できないけど、アルテナ王国の女王には命令できる。部屋から出て行きなよ」

 失敗はした自覚はある。ベルゼフリートの不興を買った。しかし、愛する家族を思えば正しい行動だったと信じていた。——一国の君主としては失態であったとしても。

(私は愚かな女王ですわ。やはり私は家族を裏切れないのかもしれない。覚悟を決めたつもりだった⋯⋯。ですけど、帝国の皇帝なんかに身を委ねたくない……! アルテナ王国を守るためであったとしても、王家の名誉は穢れ落ちてしまう……!!)

 リンジーが知れば、深く失望しただろう。仮初めの決意は容易に流された。しかし、名君の出現は希だ。

 メガラニカ帝国で天寿をまっとうした皇帝は一握り。それと同じだ。誰もが理想の王を演じられるわけではない。

 今まで甘やかされて育った世間知らずの女王。そう簡単に心を入れ替えられるはずがないのだ。

 セラフィーナを追い出した後、残されたベルゼフリートは侍女を呼びつける。

「はあ……。人妻って面倒くさい……。親切にしてあげてるのに急に怒るし。ねえ。ハスキーは? ハスキーを呼んできてよ」

「ハスキー様は職務がございます」

「仕事って⋯⋯あぁ⋯⋯。ロレンシアに血酒を飲ませるのはハスキーの仕事だっけ。じゃあ、今は無理なわけだ。どうしよ」

「夜伽役でしたら、他の女官からお選びいただければ、お望みの通りにいたします」

 室内にいる3人の侍女は期待を膨らませた。お気に入りのハスキーがいないのなら、自分たちに順番が回ってくる可能性は大きい。

 一度でも気に入ってもらえれば、それは大きなチャンスだ。運良く皇帝の子供を産めれば妃を見下せるステータスとなる。子産みは寵愛の象徴なのだ。

「それならレオンハルトのところに行く。総督府の執務室に連れて行ってよ」

「元帥閣下ですか……?」

「ダメなの? 皇后は僕の正妃だよ。それに頼まれてた命令⋯⋯。セラフィーナとセックスできなかったら、レオンハルトに謝ってこないと……ね」

 ベルゼフリートが次に求めたのは、帝国元帥レオンハルトだった。侍女達は皇帝の望みを拒絶できない。レオンハルトが皇后の地位を持つ正妃だからだ。

 皇帝が正妃の夜伽を所望している。侍女如きが夫婦の営みを邪魔立てしたと知られたら弁解の余地がない。

「御意。陛下のお望み通りに。レオンハルト閣下の執務室にお連れいたします」

 3人の侍女はかしづいた。望みが通ると知って、ベルゼフリートは機嫌を直す。

 幼帝の性根は年相応の少年だ。レオンハルトとは夕食を共にしたばかりだが、好きな相手と一緒にいたいと思うのが子供心。幼い皇帝にとって、宮廷の女達は妻でありながら、母親に等しい存在であった。


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