2025年 2月10日 月曜日

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【214話】直行直帰の幼帝はご機嫌斜め

NOVEL亡国の女王セラフィーナ【214話】直行直帰の幼帝はご機嫌斜め

 ベルゼフリートはキングサイズのベッドを一人で占領していた。

 左右に身体を転がし、存分にくつろいでいる。

 小さな体躯も相まって、可愛らしい稚児の仕草に見えてしまう。だが、当人は頬を膨らませ、ご機嫌斜めの恐ろしげな主君を演じていた。

「せっかくの外出だったのに!」

 わざとらしい口調を心がけた。流し目で警務女官の反応を伺う。だが、視線の先にいた相手が悪かった。

「⋯⋯⋯⋯」

 ユリアナは人形のような無表情だった。

「帝都を出歩くチャンスが!」

 ベルゼフリートは気を取り直し、再び様子を伺う。

「⋯⋯⋯⋯」

「その無反応。傷ついちゃうぞー」

「⋯⋯⋯⋯」

 ユリアナは無言を貫く。だが、困り顔を見せてくれた。室内には警務女官長ハスキーを含め、大勢の警務女官がいた。この状況下でユリアナが口を開くことはない。

「はぁ⋯⋯。かごで飼われた小鳥になった気分だ」

 ふかふかの羽毛枕に顔をうずめて、恨み節を込めた愚痴をこぼす。

 護衛に選出されたメンバーは豪勢であった。なにせアレキサンダー公爵家の七姉妹から四人が派遣されたのだ。あれだけの護衛戦力が整っていれば、市街地をお忍びで漫遊できるかもしれない。

(魔物は掃討したのにいつまで厳戒態勢なんだろ? 海で遊んでたときのほうが自由度が高かったよ)

 三皇后に手紙を送って、精一杯の裏工作はしていた。幼帝の淡い期待は無慈悲に砕かれた。

(思い返せばアルテナ王国やバルカサロ王国を負かして、戦勝で浮かれてたときは警備が緩かった。ユリアナだけで護衛は十分だと思われてたし)

 冒険者組合との交渉を見届けたベルゼフリートは即帰還となった。

 屈強な警務女官に両脇を掴まれ、軍務省が編成した特殊部隊による警護も加わり、天空城アースガルズに護送された。

 無駄な時間は一秒もなかった。直行直帰である。

(はぁ⋯⋯。部屋の空気が蒸し暑い。帝都アヴァタールはそろそろ夏の本番かな⋯⋯。西岸地域に比べれば涼しいもんだけどさ)

 時節は六月初旬、メガラニカ帝国の夏季が始まった。

 薄絹うすきぬのナイトガウンを一枚だけ羽織はおった幼帝は、臨戦態勢の恥部を隠そうともしない。

(どうにかならんもんかなー)

 ベッドの上で転がる度、小さな身体に不釣り合いな巨根が荒ぶる。

(上級妃や上級女官のご機嫌取ってるだけじゃダメそうなんだよなー)

 極太かつ長大、後宮ハーレムの女仙を虜にしてきた逸物は形状からして常人とは異なる。種馬の生殖器を連想させる極大サイズの亀頭で、数百人の処女を散らしてきた。廃都ヴィシュテルから戻ってきてからは、強まり続ける性欲を持て余し気味だった。

(なんとか都合つけて遊び回りたい。甘々だったヴァネッサも帝都に戻ってきてからは引き締めにかかってきてる。このままだと数年は天空城アースガルズで飼い殺しだ)

 特殊な環境で育っているというだけで、ベルゼフリートの内面は十四歳の少年と何ら変わらない。つまり、彼は退屈だった。

(もちろん、分かっているよ⋯⋯。ああいう事態が起きちゃって、危うく命を落としかけた。そりゃあさ⋯⋯。立場が立場なわけだし⋯⋯。冒険者組合が謁見を申し込んできたのは、大きな話だったから僕が動けたわけだけど⋯⋯。仕事がすんなり終わったら、もう僕はお払い箱⋯⋯。それってどーなのさ?)

 冒険者組合との交渉は成功した。

 セラフィーナは大きすぎる胸をなで下ろしていたが、ベルゼフリートは物足りなさを覚えた。

 お年頃の幼帝は、華やかな帝都の歓楽街をお忍びで遊び回りたかった。無論、そんな望みが叶うはずもなく、交渉成立を見届けた直後、すぐさま連れ戻された。

(いいこともあったけどさ。セラフィーナとロレンシアの赤ちゃんに会えたのは収穫だった。弟妹を沢山作ってあげなきゃね。家族は多いほうが賑やかでいいもんね)

 ギーゼラとジゼル、ベルゼフリートがセラフィーナとロレンシアに産ませた子供達は、それぞれが母親譲りの髪色を受け継いだ。すくすくと育っている赤子は、メガラニカ帝国とアルテナ王国を結ぶ鎖となる。

(ほんと、早いもんだよね。あの二人が僕の赤ちゃんを産んでもう半年が過ぎようとしてる。そして、もう次の種は仕込み済みだ)

 すでに弟妹の誕生は決まっている。ベルゼフリートはセラフィーナとロレンシアを早々に再妊娠させた。出産直後の懐妊は、愛妾セラフィーナとロレンシアが寵姫の一人であると内外に知らしめた。

 ベルゼフリート自身も悪い気はしていない。だが、お馴染みの夜伽役だけでは発散できぬ鬱憤がある。

(それはそれとしてだ。⋯⋯外をちっとも見せてもらえない。西アルテナ王国との交易が本格化して、市場が活気溢れてるって話なのに⋯⋯。むぅ~。これじゃ囚人の獄中生活じゃん!)

 ベルゼフリートは自由に飢えていた。大妖女レヴェチェリナの事件が起きてから、過保護の度合いは強まっている。

「ねえ、ハスキー。ハスキーってばー!」

「はい。いかがなさいました?」

「帝都の歓楽街でデートとかしたくない? ハスキーはそう思わない? しようよ~。デート」

 独り言に飽きたベルゼフリートはハスキーにちょっかいをかける。

「デートですか⋯⋯? また闘技場のど真ん中で愛し合いたいですね♥ 観客に見せつけながら♥」

「いや、それはちょっと⋯⋯。恥ずかしい⋯⋯。もうやりたくない」

 過去の話を持ち出されて、ベルゼフリートは言葉に詰まる。

「私の故郷では大盛況でしたよ?」

「そういう変態的なプレイじゃなくて! 僕は普通のデートがしたいの! 男女の健全なお付き合い!」

「変態的なプレイとは心外です」

「とにかくさ、ハスキーも協力してくれない? ヴァネッサを説得して、心配性な三皇后をどうにかしてよー」

「当面の間、警備体制はこのまま維持されます。三皇后の決定です」

「三皇后がなんだって言うのさ」

「メガラニカ帝国の最高権力者ですよ。宮廷の頂点に君臨するやんごとなき正妃です」

「札付きの警務女官長が三皇后に臆するなんて! いつもの反骨精神を出してよー」

「今は天空城アースガルズでお過ごしください。催事が執り行われるようになるまでの辛抱です」

 ハスキーはねるベルゼフリートをなだめた。

「その催事だってさ。戦勝式典のパレードみたいなイベントはやらなそうじゃない? どうせやるのは大神殿が決めたお固い宮中祭祀だけでしょ。豊穣祈願と採鉱祈願はこの前、済ませたよ」

「大神殿の祭儀は重要なお仕事ですよ。陛下の真摯な祈りが帝国に繁栄を齎してくれます」

「最近は祭祀場のあるグラシエル大宮殿にすら行かせてもらってないけどね」

「帝国の領土内であれば、祭祀の場所はどこでも構わないと神官長は仰っておりました」

「そうそう。だから、長老派は年内に実施する全ての催事を天空城アースガルズで終わらせる気だ。間違いないね。儀式に使う祭具を運んできてるもん。グラシエル大宮殿にあった道具以外も」

「グラシエル大宮殿は帝国軍と大神殿が調査を行っています」

「安全確認で?」

「はい。グラシエル大宮殿は陛下を昏睡状態に陥らせる要因となった場所です。念入りに調査が行われると聞いています。昨年の夏、陛下が警務女官の警備を振り切り、グラシエル大宮殿に忍び込んだ曲者と致した件も少なからず影響しておりますよ」

 ハスキーはここぞとばかりに釘を刺す。非難の念が込められたメイドの瞳は「自業自得」と嗤っていた。

「⋯⋯それは⋯⋯うーん⋯⋯」

 その当時、王女だったヴィクトリカとベルゼフリートが肉体関係を結んだ騒動でハスキーとユリアナは始末書を提出している。

「女官総長にこっぴどく叱られました。私とユリアナは特に」

「お祭りの気分でやらかしちゃったね。だってさ、母娘で抱き心地を比べてみたいじゃん」

「我々ではご満足いただけませんか?」

 頭を撫でていた指先は無防備な股間に這い寄った。

 白手袋をはめた五指が、太々しい肉茎を優しく包む。

「今は仕事中なんじゃないの?」

 意地悪な幼帝はメイドの職務逸脱をなじる。

「これもお仕事の範囲内です。陛下の御心を癒やせるよう、我ら女官が誠心誠意、御奉仕いたしましょう♥」

 鼻孔びこうの奥を刺激する淫女の色香が漂う。

「今夜の相手はセラフィーナとキャルルなんだけど?」

「存じております」

「悪いメイドだね。いつもみたいにまみ食いするつもり?」

「軽い準備運動です。夜伽の前戯に⋯⋯♥ 私といかがでしょう? 陛下のオチンポは我慢ならないご様子ですが?」

 男根を握った指は焦らすように止まっていた。

 淫欲に酔ったメイドは媚びた上目遣いで視線を送ってくる。

「しょうがないなぁ。悪戯いたずらだけならいいよ」

「本番はダメですか?」

「禁止。だって、ハスキーはすぐ本気になるもん。セラフィーナとキャルルに僕が叱られる」

「承知いたしました♥︎ それであれば、手と口だけで⋯⋯♥︎」

 ハスキーの唇が亀頭に触れる。

「――ちゅっ♥︎」

 恥じらいなく尿口に接吻し、たっぷりと愛敬を示す。

 淫欲に酔ったメイドは幼帝の逸物に魅了されている。巨根を握り締めた両手が上下に動く。そして、口内に亀頭を咥え入れた。

「んれろっ♥︎ んんぅっぷ⋯⋯♥︎」

 本性を現わした淫獣は、少年の股間に顔面をしずめ、精嚢ふぐりに蓄えられた子種を貪り取ろうとしごいてくる。

 舌先が恥垢を丁寧に舐め取り、男根の裏筋を攻め上げる。

「ハスキーってば⋯⋯。そんな調子で吸われたら、すぐ出しちゃうよ?」

 ベルゼフリートはハスキーの顔に垂れかかった髪をすくい上げ、耳元に寄せてあげた。オチンポを扱いてた指先が離れる。

「んふゅぅう゛~~♥ んぢゅっ♥ んぢゅぅるゅんっ♥ んゅぅぅふゅう゛ぅうぅう゛ぅんぅ~~っ♥」

 喉奥に入り込んだ亀頭が口呼吸を遮る。

 巨根を丸ごと嚥下えんげし、大きく頬を膨らませたハスキーは鼻息を荒げていた。

「んぅっ♥︎ んぢゅっ~♥︎」

 舌体が口内で激しく動き回り、蜷局とぐろを巻いた蛇のように絡みついてくる。

「もう⋯⋯。ハスキーのせいだよ。口の奥に出すからね。責任を取ってぜーんぶ飲んでよ」

 ベルゼフリートはハスキーの顔面を股間に押さえつける。

 力いっぱいに髪を掴み、荒々しくフェラチオを強要する。

「んじゅっ♥ んんぅっ~~♥」

「ほんと、変態なんだから⋯⋯。そういう女仙は多いけどさ」

 ハスキーが本気で抵抗すれば簡単に振りほどける。だが、幼帝を愛する警務女官長は悦んで奉仕する。

 性欲旺盛なメイドの口内に濃厚な精液が放たれる。

「んお゛ぉっ⋯⋯♥︎ ンンゥ⋯⋯!? ん゛ぅ~ふぅう゛ぅ~~! お゛ぅ⋯⋯ふぅ⋯⋯う゛⋯⋯んぅ⋯⋯!! んぅっ♥ ごっくぅぅっんぅっ~~♥ んっ♥ んんぅっ♥」

 喉を鳴らしながら、泥々の白蜜を味わう。

「いつもみたいに一滴残らず飲み干してね。ハスキー」

 精子の大激流がハスキーの食道を埋め尽くす。

 脈動する巨根の射精は止まらない。帝気のほとばしりを女仙は甘受する。

(⋯⋯釣り針に引っかかった魚みたいだ。ずっと僕のオチンポにしゃぶりついてる気だったり⋯⋯しないよね⋯⋯?)

 警務女官長のフェラチオを羨ましげに部下達が眺めている。部屋の片隅には、屈強な警務女官達が立哨りっしょうしていた。

(あの事件以来、警務女官は増員された状態が続いてる。通常の体制に戻るかと思ったけど、そんなこともなさそう)

 警務女官長ハスキーを筆頭として、ユリアナなどの見慣れた武装メイドの面々が四六時中、ベルゼフリートの護衛についている。

(それにしても遅いな。セラフィーナとキャルルは何してるんだろ。前準備があるとか言ってたけど⋯⋯? ちょっとお風呂が長すぎない? 化粧直しで手間取ってる? それとも僕や女官に聞かれたくない情報交換の最中?)

 夜伽を情報交換の場に利用する女仙は多い。派閥の違う女仙が自然な形で会う理由付けができる。皇帝が望めばイレギュラーな組み合わせも可能となる。

(キャルルは軍閥派の情報通。参謀本部所属のユイファンと違って素直だしね。宮廷で生きていくなら仲良くしておくべきだ。キャルルにとっても、セラフィーナは気になる相手なんじゃないかな)

 セラフィーナとキャルルは今日が初対面だった。双方ともに軍閥派の女仙であるが、ベルゼフリートが引き合わせなければ、一緒に湯浴みをすることはまず起こりえない。

(――でも、早く来てほしい。ハスキーの目付きが本気になってる。この調子だと押し倒された勢いで、本番までヤッちゃうんだよね)

 夜伽役を差し置いて皇帝ベルゼフリートの精力を吸い尽くす。警務女官長ハスキーの名高い悪癖であった。

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