2025年 1月16日 木曜日

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【203話】日焼けの女王陛下(♥︎)

NOVEL亡国の女王セラフィーナ【203話】日焼けの女王陛下(♥︎)

 幼帝は陶芸職人のような真剣な顔付きで、柔らかな肌を指圧する。寝そべった女王の背中にサンオイルが広げられた。下半身にもしっかりと行き渡らせる。盛り上がった臀部でんぶから両足の指先まで余すところなく塗りたくった。

「臨月の時は大きかった腰回りが、こんなに細くなってる。女の体って摩訶不思議だ」

「また大きくなっていきますわ。体重が増えておりますの。陛下のご寵愛で授かった御子は、すくすくと胎で育っておりますわ」

 ベルゼフリートのお呼びがかかったセラフィーナは、高貴な美白肌を小麦色に染めるべく、ビーチに降り注ぐ太陽光で全身を焼いていた。

(ちょっぴりヒリヒリしますわ。肌だけでなく、心もかしら⋯⋯? 背徳感のせい? 太陽光が私の皮膚を黒く焦がしていくわ。ベルゼフリート陛下と同じ小麦色の肌になれると思えば⋯⋯♥︎ ふふっ♥︎)

 アルテナ王国の王宮文化で日焼けは好まれない。田畑で働く農民、騎士や兵士などの戦闘員であれば別だが、肉体労働に従事しない貴族層は肌焼けを嫌った。

 貴族の頂点に君臨する王族で、真っ白な肌な女王陛下は神聖潔白な君主の象徴だった。

 メガラニカ帝国でそのような価値観はない。皇帝のベルゼフリートは産まれながらに暗褐色の肌であったし、多種族が暮らす帝国の民は、髪や肌の色をまったく気にしない。

「ふふふっ! くすぐったいですわ。陛下、もう動いてよろしいでしょうか?」

 艶肌は油分でテカテカと輝いていた。庶民では手が出せない高級品なのは間違いない。サンオイルには金粉がふんだんに混じっていた。

「オイル塗りは完了! 日焼けを促進する成分が含まれてるから、綺麗に仕上がるはずだよ。ラヴァンドラ商会の超高級サンオイルを使えば肌染みの心配なし!! ⋯⋯と高らかに宣伝したものの、女仙化したセラフィーナは日焼けくらいで肌が劣化したりしないけどね」

 晴天の砂浜に置かれたビーチベッド。規則的なさざ波の水音がよく聞こえる。入り江に設営した天幕では、皇帝旗がなびいていた。

 海パン姿のベルゼフリートは黄葉離宮の女仙達を外に連れ出した。その間、女官達は天幕の掃除に勤しんでいるはずだ。

「ほんと、真っ白な肌。痣や染みがない。セラフィーナの体質かな? 乳首も綺麗なピンク色。ロレンシアみたいに妊娠や出産で茶色になる人は多いんだよ」

 優雅に横臥するセラフィーナは水着を外し、裸身で太陽の熱線を受け止める。透き通る白肌は陽光で破壊され、火傷の赤みを帯び始めた。サンオイルの特殊な油分は、余剰な紫外線を遮断してくれる。

「こうして太陽の光を浴びていれば、肌が小麦色になるのですね? 日焼けをするのは生まれて初めてですわ」

「日焼けするのは嫌? でも命令ね。僕のモノになったセラフィーナをイメチェンさせてみたい」

「いめちぇん?」

「イメージチェンジ! 清楚系女王がちょっと見ない間に淫魔風の遊女に変わる! きっと帝都新聞の三面くらいに記事が載るだろうね!」

 セラフィーナに対して向けられていた清廉な女王のイメージはとっくに崩れ去っていたが、ベルゼフリートは外見を自分色に染めたくなった。

「日焼けの慣習はアルテナ王国にありませんわ。ですが、陛下が望まれるのなら喜んで従いましょう。今の私はメガラニカ皇帝に忠愛を誓った性奴隷ですわ」

「オイルが乾いたら教えてね。肌を焼きすぎると水膨れになっちゃう。それと、ちょっとだけスペース空けてくれる? 隣りで寝るから。はあ。マッサージでお手々が疲れた」

 手狭なビーチベッドにベルゼフリートが寝そべり、横たわるセラフィーナに寄り添った。お互いの身体にサンオイルが塗布され、触れ合う肌の摩擦はほとんど感じない。ぬるんっと滑らかにこすれた。

「どうせならもっとお近くに♥︎」

 セラフィーナはベルゼフリートの小柄な身体を抱き寄せた。我が子に愛情を注ぐ慈母を想像させる。二人の年齢と体格のひらきは母子と等しい。だが、勃起した男根と濡れた女陰は、ただれた肉体関係を生々しく示している。

 我慢できなくなったセラフィーナは、破れんばかりに膨張していたベルゼフリートの海パンをずり降ろす。露出した巨根に、恥毛が茂った己の女陰を押し当てた。

 幼げな童児の逸物とは思えぬ男根。こんな馬並の極太オチンポでは処女を困惑させるだろう。しかし、性欲に支配された淫母は、幼帝の巨根でしか満足できない身体になっていた。

「ベルゼフリート陛下、黄葉離宮の女仙をお招きいただき、身に余る光栄ですわ。夜のお務めもご指名いただけるなんて⋯⋯。嬉しいです。しかし、私どもを選んだ理由をぜひ教えていただきたいですわ」

 天空城アースガルズで暮らす大勢の女仙達が青海の砂浜に降り立った。自由にビーチで余暇を楽しんでいるが、皇帝の天幕が設営された区画には近づけない。規制線を引いた警務女官が目を光らせていた。

「私どもを呼んだ理由があるのではございませんか?」

 皇帝の相手は三皇后と指名された寵姫が務める。どの寵姫が呼ばれたかは噂で漏れ伝わってくる。午前中の間、王妃や公妃は誰一人として呼ばれていなかった。

 三皇后が順番に伽役をしていると囁かれていた。ところが、側女のネルティが一足先に帰る姿が目撃される。皇帝と古馴染みの側女が相手を務めていたと知り、妃達の内心は荒立つばかりだった。

 昼過ぎになって、次に呼ばれたのは黄葉離宮の女仙。これには上位の王妃達が苦言を呈した。黄葉離宮の女仙は主人のセラフィーナを含め、全員が妊娠している。これでは不公平だと申し立てた。

 状況が一変したのは、三皇后が傘下の派閥に対して「」と伝えてからだった。

 幼い皇帝が惚れ込んでいるのなら、後宮の女達は嫉妬心を燃え上がらせる。だが、公務ならばそれは三皇后の命令。何かしらの理由があってのことだ。

 事情を知らされていないのは不服だったが、騒ぎ立てていた妃達は潔く引き下がった。一方、セラフィーナは三皇后の意図を読み解こうと頭を悩ませた。

(指名された思惑がなんであれ、伽役のお仕事はたっぷり味わいますわ)

 セラフィーナが後宮で暮らし始めて一年と少し。メガラニカ皇帝の後宮がどういう力関係で動いているのかは感じ取れるようになった。

 黄葉離宮の女仙達を指名した裏には三皇后の思惑が働いている。

「それとも⋯⋯今はと呼んだほうがいいのかしら? わざわざ人払いをしたのは⋯⋯♥︎ んぁっ♥︎ あんっ♥︎」

「まずはセラフィーナを抱きたかったから。セックス狂いの女王様は僕のオチンポが必要でしょ?」

「あんっ♥︎ あぁんっ♥︎ 陛下に性奉仕するのは極上の幸せですわ♥︎」

 オイル塗れの身体で、二人は愛の営みを開始する。ベルゼフリートに覆い被さった。セラフィーナは両脚を開き、膣道に収めたオチンポを肉襞で扱く。ゾクゾクと昇る快楽で、熟れた媚肉を痙攣させている。

「見た目じゃ分からないけど、こうして触れれば分かるね。お腹の赤ちゃん。また僕らの子供が生まれる。国家の謀略なんかじゃなく、セラフィーナが私利私欲で望んだ赤ちゃんだよ? くすくすっ!」

 世話係の女官は遠巻きの離れたところで待機、黄葉離宮の側女達も海で遊んでいるように命じられた。セラフィーナとベルゼフリートの近くには、寡黙な警務女官が一人だけいる。

 ユリアナは咎めるような面持ちで見守っていた。セックスを挟まなければ用件を進められないのかと呆れ気味だった。

(皇帝陛下が宰相閣下の依頼を忘れていないといいけど⋯⋯)

 二人っきりの状態を演出するため、ユリアナは影のように存在感を消し去る。沈黙の誓いを立てたユリアナは、皇帝の秘密を厳守する特殊な女官だ。ベルゼフリートとセラフィーナの享楽的な荒淫を言い触らすことはない。

「あっ♥︎ んぁっ♥︎ あん♥︎ きてっ⋯⋯♥︎ ベルゼっ♥︎ もっとぉ♥︎ もっと突いてっ♥︎ そのオチンポで私を愛してぇっ♥︎ 私もベルゼを愛してあげるからっ♥︎」

 母性愛に飢えた幼い少年は思う存分、母親に見立てた年上の美熟女に甘える。ひとしきり爆乳を揉み、乳首から湧き出た極上の白蜜を吸う。

「吸わせてっ! セラフィーナのおっぱい!」

「はい♥︎ 存分にご賞味くださいませ♥︎」

 十数年ぶりの子産みで雌覚めざめた淫体は、真なる愛情を込めて少年に奉仕する。向けられた欲望に応えて、愛母を演じきる。

「あっ⋯⋯♥︎ んぅ⋯⋯♥︎ はぁあぁっ~~♥︎」

 双乳を揉んでいたベルゼフリートは、片方の手をセラフィーナの下腹部に伸ばした。ちょうど子宮があるあたりをさする。指先で陰毛を撫ぜた。サンオイルの油分を吸った陰毛は、金色の輝きに磨きがかかっていた。

「ふふっ♥︎ 赤ちゃんがいるから優しくして⋯⋯♥︎ でも、欲しいですわぁ♥︎ 欲しいの♥︎ んぁっ♥︎」

 ベルゼフリートの猛ったオチンポは攻勢を強める。大勢の美女を虜にしてきた極太の逸物は、さらなる段階に至り、セラフィーナの膣穴を開大させた。

(あぁっ♥︎ やっぱりベルゼは特別ですわっ♥︎ 凄まじい帝気が臓腑に染み広がるぅ♥︎ あぁ! なんて快楽なのでしょう! 知ってしまったら抗えない禁断の悦楽っ♥︎ んっ♥︎ んぁっ♥︎ イっ、イきゅうぅっ~~♥︎ また負けちゃう! オチンポで陥落するっ♥︎ 幸福で脳髄が酔う⋯⋯♥︎)

 太陽は煌々と砂浜を照らす。全身を日光で焦がされながら、美女は少年とのセックスに耽る。熟れたオマンコは若々しいオチンポを歓迎する。

「セラフィーナは僕だけの家族ママだよね?」

「ええ、そうよ♥︎ ベルゼは私の全てを奪った。だから、私の全てはベルゼのモノ♥︎ この世の誰よりも、我が子よりもっ、祖国よりも、貴方を愛しているわ⋯⋯♥︎ んぁっ♥︎ あぁああぁっ♥︎ あぅう♥︎ あ゛ぅ♥︎ おぉっ⋯⋯♥︎」

 膣内に精が放たれる。腰をくねらせ、絶頂の激流に任せる。

 セラフィーナはベルゼフリートを離すまいと背中に手を回して抱きしめた。断続的な射精が数分続き、子宮に入りきらなかった精液が逆流し、愛液とともに膣穴から垂れ流れた。

「ねえ、セラフィーナ。実は大切な話があるんだけど、聞いてくれる?」

 妙なタイミングで切り出されてセラフィーナは戸惑う。

「大切な話⋯⋯ですか⋯⋯?」

「ちょっとした相談事でもあるかな」

 たっぷりと射精を決めてスッキリしたベルゼフリートは、セラフィーナに水面下で進められているヴィシュテル復興の計画を説明した。

 ◆ ◆ ◆

「――というわけで、旧帝都ヴィシュテルの復興に投資してみない?」

 砂浜のビーチベッドで陰部を重ね合う二人。説明の最中もベルゼフリートはセラフィーナと繋がったままだった。交わりを維持し、 仲睦まじげに足を絡める。

「帝国の冒険者組合が支援を求めているのは分かりましたわ。なぜ廃墟となった旧帝都の復興が絡んでくるのですか? そもそもアルテナ王国に支援を要請するのはなぜ⋯⋯?」

「背景を紐解いて話すとね⋯⋯。まずメガラニカ帝国と冒険者組合の関係かな。魔物退治や人命救助で協力関係にある。レヴェチェリナの騒動でも手は貸してもらった。でも、普段から仲が良好ってわけじゃない」

「メガラニカ帝国と冒険者組合は対立があるのですか?」

「争ってるとか、典型的なそういう敵対的なものとも違う。メガラニカ帝国は冒険者を必要としてないの。少なくとも不可欠とは考えてないんだ。地方は貴族の騎士団がいて、いざとなれば国軍の帝国軍が動く。魔物駆除を民間に委託なんかしない。頼むとしても魔狩人くらいかな」

「つまり、冒険者を軽んじている?」

「まあ、そうだね。うん。たぶん、それが一番正しい評価だ。メガラニカ帝国は冒険者組合に対する優遇処置をそんなにしてこなかった。信用が低いんだ」

 冒険業に憧れる者は多くいる。しかし、その大半はベルゼフリートのような子供。大人になれば冒険者が単なる日雇いの遊び人だと気付く。聞き慣れた冒険譚が尾ヒレの付いた創作話に思えてくるのだ。

 他国であれば自由を好む逸材が揃う。しかし、メガラニカ帝国では騎士団や帝国軍が受け皿となる。変わり者であっても、ヘルガ・ケーデンバウアー侯爵のような変人領主が招き入れてくれる。

 冒険者の社会的地位は低い。尊敬を集めるのは、ごくごく一部の特級冒険者や一級冒険者くらいなものだった。そもそも人々は冒険者側に仕事を与えてやっている程度の認識だ。

 大切で重要な仕事は、帝国軍や領主が責任をもってやってくれている。それはそれで理想的な統治体制である。国家権力が強大な軍事力を握り、しっかり運営できている証左だ。

「冒険者になるのは、よっぽどの物好きだけなのですね」

「等級が高ければ別だろうけどお金が稼げないからね。国内のダンジョンは政府の管理下にある。観光地化されているところを除けば自由に手入りできない」

 冒険者組合に回される依頼は、ほとんどが商人からのお使いクエスト。そのほかは騎士団や帝国軍に頼めないような私的な依頼だけだった。

「法律的な縛りが多い。ロマンがなければ冒険者なんかやってられないそうだよ。スカベンジャーなんて蔑称があるくらいだ」

 帝国は厳格な法治国家。求職者から金銭を徴収する行為を固く禁じていた。冒険者組合は職業斡旋所と見做され、仕事を求める冒険者から登録手数料や訓練費用などを徴収できない。

 登録などの事務手数料は冒険者組合が負担した。さらに訓練は職業指導行為に該当するので、拘束した時間分の報酬を冒険者側に支払えと命じている。

「それですと冒険者組合の収入は⋯⋯?」

「依頼報酬の一割が冒険者組合の取り分。高額な依頼に関しては二割まで。労働派遣の律法で定められた割合しか取れないんだ。ララノア達から聞いたことない?」

 多大な国土と人口を誇るメガラニカ帝国で、冒険者組合の規模が大きくない理由は財政にあった。

 報酬のほとんどを冒険者が得る。冒険者側では大きなメリットだが、依頼を仲介する冒険者組合は持ち出しが多く、組織を拡大する余地がなかった。

(翡翠の首飾りを調べるために、帝都アヴァタールの冒険者組合を一度訪ねたけれど⋯⋯。あまり収穫はなかったわ)

 ギルドマスターが寿退職したララノア達に文句を言っていたのを思い出す。ただでさえ稼ぎが悪いようだった。しかし、冒険者の気位はあるのだろう。ある言葉をセラフィーナは思い出す。

 ――国家の権威で冒険者組合がへりくだると思うなよ。

 金貨の山を前にしても、ギルドマスターは媚びへつらわず、冒険者組合の規則〈ギルドコード〉の手続きに沿った依頼しか受けないと言い放った。

「冒険者組合が破産しないように、政府が特級冒険者に高額依頼を出して、最低限の支援はしてたみたい。でも、そんなのを続けていきたいとは思わないでしょ?」

「それはその通りですわ。ちょっと実態が惨めですわね⋯⋯。けれど、アルテナ王国がそんな状態の組織に支援したところで、底に穴が開いた風呂桶に水を注ぐようなものですわ」

 冒険者組合の財政難は構造的な問題に起因する。

 他国では登録料や職業訓練費、成功報酬に応じた自由なマージン率が設定できる。何よりも大きいのは免税措置だ。

「もしかしてメガラニカ帝国では冒険者組合に課税しているのですか?」

 セラフィーナは問題の本質に触れた。徴税権は国家や領主が握るもっとも強い権力だ。

「がっつり課税してるよ」

 軽い返答だったが、他の国では考えられない異常な状況だった。

「驚きですわ。冒険者組合、魔狩人、教会は基本的に税の対象から外されると思っていましたわ」

「メガラニカ帝国で課税対象にならないのは魔狩人と教育機関、あとは認められた公益慈善組織だけ。冒険者組合は営利目的だから課税対象なんだ。そこで一部の冒険者達は本部をアルテナ王国に移転する計画を練り始めた」

「アルテナ王国の王都ムーンホワイトには、冒険者組合の連絡支部がありますわ。⋯⋯まさか法律が違うから、そのために移転を?」

「うん。でも、移転計画は中止になった。アルテナ王国は東西に分裂してる。そんな状況下、帝都の冒険者組合を移転したら、西アルテナ王国はメガラニカ帝国の一部だと認めてるように思われちゃうでしょ?」

「ほぼ併合状態ではありますわ。陛下と私が一心同体であるように」

「まさに今みたいな状態だよね。僕とセラフィーナは別々の人間だけど一つに合体してる」

 ベルゼフリートとセラフィーナは互いの国をセックス中の自分達になぞらえた。

「とはいえ、冒険者組合は中立組織だ。中央諸国との対立は避けたいし、他国の冒険者組合から叩かれかねない。進退きわまって、どうしようかと悩んでいたとき、旧帝都の魔物が一掃された」

「そこで旧帝都ヴィシュテルの復興と関連してくるのですね」

「うん。長らく放置されてきた廃都を蘇らせるには、莫大な費用と人手が必要だ。冒険者組合は復興協力の見返りとして免税特権を求めた。そんでもって、ヴィシュテルの一部区画を冒険者組合の永久租借地にしてほしいと提案したわけ」

「冒険者組合であれば人手は集められるかもしれませんが、費用はどこから⋯⋯? あぁ、分かりましたわ! それでアルテナ王国に財政支援の協力ですか?」

「大正解。帝国金貨で一千億枚以上の支援だ。帝国の大貴族だって捻出できるような金額じゃない」

 冒険者組合の過大と思える要求に三皇后は難色を示さなかった。他国と比べて規模の小さい冒険者からの税収は微々たるものだ。帝都の財政に影響をほとんど及ぼさない。そして、荒れ果てた廃都の土地を貸すのもさほど問題はなかった。旧帝都の住人はほとんど亡くなっている。なにせ五百年以上前に捨てた都だ。

(アルテナ王国は戦争に負けたにもかかわらず、財政にゆとりがありますわ)

 東西分裂でアルテナ王国の国力は割れた。しかし、均等な二分割ではない。セラフィーナが領有する西側のほうが土地は豊かだった。好景気の理由はもう一つある。

 目覚ましい経済発展を遂げるメガラニカ帝国が穀物の買い手になったからだ。敗戦に伴う軍備縮小で、経済に注力できている面も大きい。

(アルテナ王国は好景気でお金が余っていますわ)

 そのことをメガラニカ帝国の民達は快く思っていない。講和条約でアルテナ王国は賠償金を一切支払わないと決まった。そして気付けば戦勝国の富が敗戦国に流れている。

「冒険者組合への支援は妙案かもしれませんわ。投資した資金をいずれ回収できればの話ですが⋯⋯」

「ユリアナ、あれを。セラフィーナにあの手紙を渡して。冒険者組合から届いたんだ。僕とセラフィーナ、つまりアルテナ王国の国王夫妻に宛てた内容だよ」

「ですが、手にオイルが⋯⋯」

「別に汚れたって構わないよ。どうせ写しはあるでしょ」

 セラフィーナはユリアナから手紙を受け取った。要請された支援の額面を見て、富国の女王でさえ険しい顔付きになる。

「金額が大きいですわ。陛下はどうされたいのです?」

「ん~。そこがちょっと複雑。僕はセラフィーナを説得するようにお願いされた。この話は強制じゃないよ。アルテナ王国の王様と女王が相談して決める政治案件だ。国民の血税だから無駄遣いはできない。そうだよね?」

「ええ。お恥ずかしながら、この歳になって統治者の責務を痛感しておりますわ」

「⋯⋯僕も耳が痛くなってきた」

「ちゃんと考えて決めましょう。我が子に国を継がせたとき、失政で負債を作ったと責められたくありませんわ」

「妥当な金額か、下調べはいるだろうね。なにせ動かすのはアルテナ王国の資本だ」

「アルテナ王国は同盟国だったバルカサロ王国に軍事協力金をお支払いしておりましたわ。冒険者組合が求めている支援額は、ちょうど三年分ですわね」

「そんな心配な顔をしないで。僕も協力する。として初めての公務だ。良き夫として妻を支えるよ」

「んぁっ♥︎ あっ⋯⋯♥︎ オチンポが膣内なかで大きくなってぇ⋯⋯♥︎ あんっ⋯⋯♥︎ んぅ♥︎」

「セラフィーナの妊娠オマンコが絡み付いてくるせいで、出したばかりなのにまた溜まってきちゃった。セックスの相性がますます良くなってる」

「この身が朽ちるまで、御奉仕させてくださいっ♥︎ んあっ♥︎ んくぅっ♥︎ くふふっ⋯⋯♥︎ もう陛下なしでは生きていけませんわ♥︎」

「もちろん♪ セラフィーナのオマンコは僕専用。だけどさ、関係が長くなるとマンネリ化は避けられない。ちょっとした刺激がセラフィーナも欲しいよね」

「刺激ですか?」

「これはウィルヘルミナの入れ知恵。すごく意地悪なんだけど宰相の命令なんだ。許してね。これを聞けばセラフィーナのお尻に火が付くってさ」

「お尻に火が付く?」

 セラフィーナは首を傾げる。勿体ぶるベルゼフリートは、ニヤニヤしながら東アルテナ王国で起きた出来事を伝えた。

「――ヴィクトリカが出産したそうだよ」

 袂を分かった娘の名を久しぶりに聞いた。

 分断されたアルテナ王国の東西にいる二人の女王。血の繋がった母娘は相争う政敵となった。陰惨な親子喧嘩を起こさせた元凶の悪童は、神経を逆なでする口調でささやいた。

「生まれてきたのは男の子。先を越されちゃったね」

 男子を出産したという。攫われた母親と旧友を助けるため、敵地に忍び込んだヴィクトリカは奇異な運命に導かれ、メガラニカ皇帝の子を孕んだ。

「⋯⋯⋯⋯」

 リュート王子の処刑後、アルテナ王家に男子はいなかった。男子を切望していたセラフィーナを差し置いて、娘のヴィクトリカが先に産んでしまった。

「セラフィーナの初孫だよ。お祖母ちゃんになった気分はどう?」

「そうですわね。たしかに火が付きました。陛下の愛妾となって、私は自分の嫉妬深さを知りましたわ。殿方を本気で愛する気持ち⋯⋯。前夫のガイゼフと共に過ごしていた頃、こんな感情は絶対に芽生えませんでしたわ」

 セラフィーナはベルゼフリートを逃さぬように抱きしめる。男根を挟むオマンコの膣圧がきりきりと高まっていった。

「ヴィクトリカが妬ましい?」

「正直に申し上げれば、その通りですわ。陛下の御子をっ⋯⋯! それも男子を産むだなんて⋯⋯!! 全身が灼けつくほどに、ヴィクトリカが妬ましいですわ⋯⋯。きっとあの娘は陛下と私の邪魔をしてきますわ」

「だろうねぇ。僕らは恨まれてるもん」

「陛下⋯⋯。あぁ、陛下⋯⋯♥︎ 私の卑しい悋気りんきを慰めていただけますか?」

「いいよ。セラフィーナがしたいようにしてあげる」

 ベルゼフリートとセラフィーナは激しいセックスを始める。放り投げられた冒険者組合からの手紙をユリアナは拾い上げた。サンオイルが染みが羊皮紙に広がっていた。

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