2024年 9月20日 金曜日

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【淫魔メイドのお仕事】〈レッスン2〉母親の真意を知ろう!

NOVEL淫魔メイドのお仕事【淫魔メイドのお仕事】〈レッスン2〉母親の真意を知ろう!

 セナムが初めて馬を乗りこなした日の夕暮れ時、リリスはクロニクル伯爵夫人に呼び出された。

 使用人達から奥方様と敬われ、伯爵家を取り仕切る女傑である。当主のクロニクル伯爵は王都に出向いていることが多く、領地の運営は奥方が握っていた。

「リリス。ちょっとよろしい? 内密で話したいことがございますわ」

 リリスを教育係メイドに雇ったのも奥方だった。仲睦まじい夫妻であったが、息子に対する教育方針は擦れ違っていた。

 父親はセナムの教育係に元王国騎士の女剣豪セバスティアナを大抜擢した。しかし、母親は何やら思うところがあったらしく、落馬事故の件をきっかけに新しい教育係メイドを引き入れた。

「はい。何でしょうか? 奥方様」

 クロニクル伯爵家の家臣派閥で言うのなら、リリスの後ろ盾は奥方だった。

「貴方がセナムの教育係になってから、息子は男らしくなった思いますわ。内気な子で心配だったけれど⋯⋯貴方の教育方法が良かったのでしょうね」

「お褒めいただき、ありがとうございます」

「――けれど、私に隠し事があるようですね?」

 奥方の目が光った。リリスは内心の動揺を隠し、素っ恍けた声で返す。

「隠し事とは⋯⋯? 思い当たる節はありません」

 むしろ思い当たる節しかなかった。

 自分が人間ではなく魔族のサキュバスであること。クロニクル伯爵家に潜入した情報機関の諜報員スパイであること。そして、大切な一人息子のセナムと肉体関係に及んでいること。

「私は母親ですよ。息子の様子がおかしければ気付くわ。口喧しいことは言いたくないけれど、少しなのではなくて?」

 有無を言わせぬ鋭い追求に、リリスの背筋は凍りついた。

⋯⋯? まさか⋯⋯? 気付かれた⋯⋯!?)

「息子の勉強が終わった後、毎晩のように部屋で激しく(運動を)しているのでしょう? 他のメイドが匂いで気付いたわ。下着はびっしょりと(汗で)濡れているのだもの。今さら隠し立てしても無駄ですわよ?」

「⋯⋯⋯⋯ッ!」

 リリスは確信する。奥方はセナムとリリスの肉体関係に勘付いたのだと。しかし、実際は違った。

「息子に問いただしたら、洗いざらい話してくれましたわ。騎乗の心得をリリスが教えてくれたと⋯⋯。(馬に乗るとき)身体をどう動かすかも含めて、手取り足取り⋯⋯」

(騎乗位セックスのことまで知られている⋯⋯!? くぅ~。これはもう⋯⋯言い逃れできないわ。セナムお坊ちゃん⋯⋯! 母親に喋ってしまったのですね⋯⋯!)

 奥方はまったく真相に気付いていなかった。けれどもリリスは勘違いを起こす。セナムが秘密特訓の内容を母親に暴露したと思い込んでしまった。

「⋯⋯そんな顔をしなくていいわ。責めているわけじゃないの。貴方も息子を想って行動してくれたのでしょう」

(え? あれ? そんなに怒っていない⋯⋯? 息子を溺愛する過保護な奥方が⋯⋯どうして⋯⋯?) 

「(運動は)適度であればよいことですわ」

(えぇ~~!? いいの!? 本当に⋯⋯!? 適度なセックスなら許されちゃう倫理観!? やっば!)

「⋯⋯けれどね、無断でするのはいけないわ。息子に勉強を教えるために貴方を雇っているのよ。まずは母親である私に許可をもらうのが筋ではなくて?」

(許可をくれるの!? セナムお坊ちゃんと公認セックス!? やばぁいっ! 奥方様、最高すぎる!)

 会話こそ成立しているが、奥方とリリスの意思疎通は絶妙に噛み合っていなかった。

「勝手なことをしてしまい、申し訳ございませんでいた。しかし、セナムお坊ちゃんをお慕いする心に嘘偽りはございません。その⋯⋯奥方様は⋯⋯、私の勝手な振る舞いをお許しいただけるのですか?」

「私は夫が王国騎士団から引き抜いてきたセバスティアナより、貴方が(教育係に)ふさわしいと考えてきたのよ。(剣の)技はすごいかもしれないけれど、教えるのが上手いとは思えないわ」

「⋯⋯執事長のテクニックがどれほどのものか、私は知りません。しかし、(性の)技に関しては、使用人で私以上の者はいないと自負しております」

「たいした自信ですわね。でも、実績は認めましょう。事実、リリスがクロニクル伯爵家で働き始めてから息子は一皮剥けたわ」

「奥方様⋯⋯! ありがとうございます。身に余るお言葉です。私はセナムお坊ちゃんに(セックスの)すべてを教えたいと思っております。立派な大人の男になれるように⋯⋯。しかし、奥方様も(オチンポの)皮が剥けたのをご存知だったとは⋯⋯」

「血の繋がった親子ですもの。最近の立ち振る舞いを見れば一目で分かりますわ」

(たしかにセナムお坊ちゃんは皮を剥いてしばらくは痛そうに歩いていたわ。あのときから奥方様は分かっていらしたのですね⋯⋯)

「――けれど、加減は守らなければなりませんわ。たとえ息子が望んでいるとしても、まだ幼い子供ですわ」

「(セックスを)毎晩するのはお許しいただけないと?」

「ええ。そうですわ。室内(運動)だとしても毎晩は身体が疲れてしまうわ」

「はい。今後は節度を弁えます⋯⋯」

「外で(運動)するのも許可してあげますわ。使用人や領民は息子を病弱だと思っているようなのよ。元気な姿を見せてあげれば民も喜ぶわ」

「⋯⋯ぇ⋯⋯あの⋯⋯恐れながら奥方様! 野外で(セックス)するのは⋯⋯。まだ早いかと⋯⋯! それも周りに見せてしまっては⋯⋯!!」

「⋯⋯そう? でも、普通は外でするものでしょう」

(外でセックスするのが普通⋯⋯!? 性に奔放なサキュバス族でさえ、セックスの原則は室内行為なのにっ⋯⋯! まさかクロニクル伯爵家の領地はフリーセックス!? どこでも誰とでも自由にセックスできてしまうの!?)

「若い頃の夫は伯爵家の仕事をほっぽり出して、仲の良い使用人達と遊んでいたわ」

「え!? あの伯爵様が使用人との遊びに耽っていたのですか!?」

「驚くでしょう? 若い頃の話よ。夫は大勢とやる玉遊びが好きだったの。領民を老若男女問わずに誘って、全員でやりまくっていたのよ。誰が入れただの、回しただの、遊びほうけて困らされたわ」

(誰が挿れただの! 回しただの! 老若男女を問わずにヤりまくりィ⋯⋯!? とても想像できませんね。あの厳格な伯爵様が⋯⋯! しかし、玉遊びとはいったい⋯⋯? うぅっ⋯⋯! サキュバスとして恥ずかしい! 私の乏しい性知識では⋯⋯! 勉強不足だったわ!! 想像するに⋯⋯陰嚢を暗喩した男女乱交パーティーでしょうか⋯⋯?)

 玉遊び。二つのゴール地点を設け、足だけで玉を運ぶ健全なスポーツである。双方の陣営にはゴールキーパーが一人ずつ配置され、手を使うことが許される。

(ここで無知を晒せば、奥方様に失望されてしまうわ⋯⋯!!)

 当然であるがリリスが想像する卑猥な乱交パーティーでは断じてない。老若男女が参加できる真っ当な遊戯である。

「夫は山に行くのも好きだったわ。足腰が痛くなるから嫌だったのだけど、何度も付き合わされたの。とちゅうでへばってしまって、抱き上げてもらったりもしたわね」

(足腰が痛くなるくらいのセックス⋯⋯!!)

「頂のは天にも昇る心地だったわ。この歳だけれど、思い出すときたくなるわ」

 奥方が話しているのは登山の話である。クロニクル伯爵は若かりし頃、登山を趣味にしていた。

(絶頂は天にも昇る心地!? 山頂セックス⋯⋯いつか私もセナムお坊ちゃんと⋯⋯。奥方様の気持ちがよく分かる。確かに妄想するだけでってしまいそうですわ⋯⋯! くっ! 上級淫魔の肩書きが悲しくなってきたわ。私は処女を捧げた程度で自惚れていたわ⋯⋯!)

 リリスは崇敬の眼差しで奥方を見詰める。遙か高みにいると勝手に誤認した。

「あら。ごめんなさい。話が逸れてしまったわ。ごめんなさいね。のろけ話を聞かせてしまったわ」

「いいえ、いかに私が未熟であるかが分かりました。私も精進いたします」

「⋯⋯? よく分からないけれど、まあいいわ。息子の件について教えてくれるかしら? 下着にべっとりと(汗の)匂いが残るほど、身体を動かしているのよね? どんなことをしているの?」

「(セックスの)基本は身体に宿るの強化です。まずは足腰を使っていただき、お身体の動かし方を覚えてもらっております」

の強化⋯⋯。あの子が活気付いているのは、その効果が現われているのでしょうね」

「はいっ! きっとセナムお坊ちゃんが自信を身につけているからです。(騎乗位セックスで)私の身体を(オチンポで)浮かせるくらい、腰がしっかりしてきました!」

「⋯⋯リリスを持ち上げたというの? あの小さいサイズの息子が、大人の女性である貴方を?」

「(オチンポの)サイズが小さくとも力強さは大人にも負けません。幼いお子様とはいえ、さすがは勇者のセナムお坊ちゃんです。ぐいっと(子宮ごと)昇ってしまいました♥︎」

 奥方はリリスの言葉が大げさに盛っていると思った。リリスとセナムの体格差は大きい。矮躯の少年が豊満な乳房の成人女性を持ち上げられるとは思えなかった。

 リリスの胸部にぶら下がる爆乳はどう軽く見積もっても五キロ以上、そこにムチムチの巨尻と太腿がセットでついている。

「そう⋯⋯。くれぐれも無茶はさせないようにお願いね」

「承知いたしました。奥方様」

「それと服のことだけど、(運動をするときは)着替えたほうがいいでしょうね。洗濯係のメイドが怪しんでいるわ。寝間着や下着が(汗で)濡れていたそうよ」

「それはその⋯⋯考えが足りておりませんでした。服を脱いで動けば⋯⋯(精液や愛液の)汚れは付かないとは思います」

「裸でやれと言っているわけではありませんわ。服を着ずに(運動)していたらおかしいでしょう? お金を上げるから、(運動に)適した服を買いなさい」

(服を着ずにセックスしたらおかしい⋯⋯? えぇ⋯⋯!? これが噂に聞く! 着衣至上主義者⋯⋯!? 言われてみれば奥方様はそういう服装をしている気がします。挿入用の穴あきショーツを愛用してそう⋯⋯)

「その顔は何⋯⋯? 私が変なことを言ったかしら?」

(度重なる性癖の開示⋯⋯! 間違いなく奥方様は本気だわ⋯⋯!! セナムお坊ちゃんのセックス相手に相応しいか試されているッ!)

 返答を誤れば屋敷から叩き出される。性癖の違いは宗教対立と似ているのだ。リリスの頭脳はフル回転していた。

「とんでもございません。服を着て(セックス)するほうが適切です! 盛り上がります! 私もメイド服は脱がないようにしています!」

 まずは恭順を示す。相手の趣向を否定し、変態と蔑んではならない。どんな病的な愛好を抱えていようとも理解しようとする。その姿勢が大事だ。

「⋯⋯まあ、そうね。リリスが薄着になるのは良くないことですわね。失礼だけれども、その身体は慎みが欠けているわ。服装の乱れには気をつけなさい」

(すごいわ。性癖にかける真摯な態度! これがクロニクル伯爵家の御夫人⋯⋯! これほどの御方だったとはね。これだから人間は侮れないわ。この女性こそ勇者を産んだ母親⋯⋯!!)

「――けれど、一つだけ釘を刺しておきますわ」

「なんでしょうか?」

 リリスは避妊についての確認だと思った。人間と魔族は交配できる。セナムと中出しセックスを繰り返すリリスはいつ妊娠してもおかしくない。

(サキュバスの避妊魔法を使っているから、そのあたりの心配はいらないのだけど⋯⋯。どう説明したらいいの? 私の正体は隠さないといけない)

 この世界で魔法が使えるのは魔族だけだ。魔力は魔族の証。リリスが避妊魔法を使っているのがバレたら、正体が人間ではなくサキュバスだと露見してしまう。

「息子に戦い方を教えるのだけはやめてほしいの。私がセバスティアナを教育係にしたくなかった理由はそれですわ。勇者の伝説なんて⋯⋯もう忘れ去られた昔話⋯⋯! 私は息子が⋯⋯セナムが戦争に行くのを見たくありません⋯⋯!」

「奥方様⋯⋯?」

「公の場で、こんなことは言えないわ。だけど、私はセナムに戦闘訓練なんて受けさせたくないのです。馬に乗れず、落馬で腕を骨折したと聞いたとき、私は⋯⋯とても嬉しかった。勇者の予言はなにかの間違いで、セナムは普通の子供。特別な力なんかありはしない」

 勇者の末裔とされるクロニクル伯爵家に嫁いだ夫人は、母親としての本音を吐露した。

「⋯⋯⋯⋯」

「馬に乗れなくても構わないわ。たとえ王国の人々に弱々しいと蔑まれても⋯⋯平和に生きていてさえくれれば⋯⋯。だから、本当はずっと部屋で勉学に励んでほしいの。リリス⋯⋯、貴方は教育係メイドの仕事をしっかりこなしていますわ。だけど、それは私の本意ではないの」

「⋯⋯⋯⋯」

「先程まで私が話していたのは建前ですわ。本音は違うのよ。セナムを勇者にさせたくない。弱くていい。身体の動かし方なんて知らなくても良いの⋯⋯。リリスは正しいことをしてるわ。だけど、夜の特訓はほどほどにしてほしい。私の命令が聞けないのなら、貴方をクビにするしかないわ」

「⋯⋯⋯⋯奥方様、セナムお坊ちゃんは私が夜に何をしていると話していたのでしょうか?」

「え? 身体を鍛えているのでしょう? 内容は秘密といって話してくれなかったけれど、筋肉を鍛える運動なのよね? 道具を使ったりもしていると聞いたわ」

「⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯? どうしたの? 急に黙って⋯⋯」

「いえ⋯⋯! 何でもありません。 奥方様が仰る通りのことを夜に隠れてコソコソやっておりました! 軽めのダンベル、縄跳び、膝付き腹筋ローラー、腕立て伏せやスクワットなどの自重トレーニング! 運動後の柔軟体操も欠かしておりません!」

 会話の節々で感じていたリリスの疑問が解消された。セナムは母親に少しだけ喋ってしまったが、秘密そのものは守っていたのだ。

「奥方様の本心、しかと承知いたしました。私は教育係メイドに過ぎませんが、セナムお坊ちゃんが魔族との戦争に駆り出されるのを誰よりも恐れております。私が望むのは健やかな成長です。戦うためにではなく、幸せに生きるための学びを与えたい。偽りなき、私の本心であります」

「⋯⋯分かりましたわ。私から言うことはありません。貴方以上の教育係はいないでしょう。私の目に間違いはありませんでした。引き続き、セナムの教育をお願いするわ」

「はいっ! ――このリリスにすべてをお任せください! 奥方様!!」

 頭を垂れたリリスは口角を釣り上げ、淫魔の猥らな本性を表情に顕わした。

(――ふひひっ♥︎ な~んだ! ビクついて損しちゃった♥︎ ちょろい、ちょろいッ♥︎ セックスに気付いてないわ! セナムお坊ちゃんは何も喋ってない! 最高っ♥︎ ふひぃっ♥︎ 奥方様ぁ♥︎ 貴方の大切な息子さんは、淫魔オマンコでたっぷり扱いて鍛えてあげますわぁ♥︎ 今夜もびゅるびゅる大射精させて、勇者の子胤を搾取しちゃうぅんだからぁ♥︎ くふふふふっ♥︎)

 奥方の部屋から退去したリリスは、上機嫌でクロニクル伯爵家の廊下を歩む。向かう先はセナムの寝室である。口元からは涎がこぼれていた。

(伯爵夫人の真意は汲み取ってあげるわ。魔王様の思惑とも合致しているもの。私達だって戦争なんかしたくないわ)

 リリスは奥方が述べた想いには深く共感していた。人類と魔族の共存は維持しなければならない。心優しいセナムが戦争の道具となる未来は全力で阻止する。しかし、この淫魔はちっとも懲りていなかった。

「ふふっ♥︎ セナムお坊ちゃん~♥︎ 今夜もお勉強と秘密特訓をしましょうね♥︎ 世界平和のためにっ♥︎」

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