お酒とRPGが大好きと語る人気作家のネコミコズッキーニさん。ノクターンノベルズで複数作品の書籍化・コミカライズを成し遂げてきた。「自分が書きたいものを書く。趣味は楽しむもの」と話し、執筆ではプロットを一切立てない。物語の設計図があると仕事感や作業感を覚えてしまうからだ。小説執筆という趣味を楽しみ尽くす、そんなネコミコズッキーニさんにインタビューした。
【取材:三紋昨夏】
執筆のきっかけはコロナ禍
――創作活動を始めた「きっかけ」について教えてください。
コロナ禍がきっかけです。休日は飲みに出かけていたんですが、営業自粛で居酒屋も開いておらず、引きこもる日々が長く続きました。自宅で動画を見続けているのも飽きてきたころ、ちょうど友人が「小説家になろう」に投稿し始めたのを知って、自分も何か書いてみようと思ったんです。
当時、なろう作品では『本好きの下剋上』(著:香月美夜)にどハマりしていました。しかし、それ以上にのめり込める作品と巡り合うことができませんでした。だから、自分で書いてみようと思ったのが始まりです。2021年頃から執筆活動に入りました。
学生時代に読書はしていましたが、文芸部に所属していたわけでもなく、小説を書くのは初めての経験でした。
――ご自身のペンネームに由来はありますか。
実は名前に滅茶苦茶こだわりがありまして……というのは嘘なんです(笑)。こだわりはありません!
――ネコや巫女、ズッキーニが好きだったとか、そういうわけでもなく?
当時はマクドナルドで執筆していて、趣味のためだけに書いていました。投稿するつもりはなかったんです。
100話ほど書き溜めたところで「ここまで書いたし、友人も投稿しているのだからチャレンジしてみよう!」と思いました。トイレに行った帰りに「投稿するなら本名は嫌だからペンネームが必要だ……」と気付き、席に戻ってきた時にふと思いついた名前が「ネコミコズッキーニ」でした。
つまり、特に深い意味はなく、完全な思いつきです!
書きたいものを書く
――専門の活動ジャンルは? 性癖やエロに関する「こだわり」はありますか。
作品の舞台をファンタジーに絞るようにしています。性癖については時期によって変わりますが、アナルにはあまり触れず、行き過ぎた爆乳は苦手です……。二次元の場合はスレンダー体型の方が輪郭として美しいと思います。三次元のAVとかだと巨乳系も好きなんですけどね。
エロは陵辱から純愛まで幅広く書いています。共通して「くっころ」系のお約束物が好みかもしれません。
基本的には自分が書きたいものを書くスタイルで続けてきました。楽しくない小説を書くようになったら、趣味から遠ざかってしまう気がするんですよ。
――「処女作」「代表作」など、思い入れのある作品を教えてください。
「翠桜皇国の仙術使い」ですね。理由は初めて書いたノクターンノベルズの作品だからです。
最初の1年間は「小説家になろう」に全年齢作品を投稿していて、ヒロインが出てこないガチガチの硬派なファンタジー小説を書いていました。ヒロインが一切出てこないような作風です。自分が読みたいファンタジー作品にヒロインとのアレコレはいらなかったんですよ。
1年くらい経ったタイミングで「気分転換に今まで書いたことがないような、美少女が出てくるハーレムものを書いてみよう」と思い立ち、息抜きで書き始めたのが「翠桜皇国の仙術使い」です。
これが一気に楽しくなってしまい、気付いたらノクターンノベルズでしか書けない体になってしまいました。初めて日間ランキングや週間ランキングで1位を取り、見たことのないPV数になって大興奮しました。この成功体験がなければ、創作活動をここまで続けていなかったかもしれません。
その後に「ゼルトリーク戦記」「無職からの成り上がり!」「魔窟の王」などの作品を書きましたが、小説投稿サイトで味わったことのない数字を最初に経験させてくれた「翠桜皇国の仙術使い」は思い出深いです。
プロットは作らず、書きながら考える
――作品作りのコツなど、創作するにあたっての「ネタ出し」「企画」はどのように考えていますか?
お風呂に入りながらアイディアを出すとか、私生活でネタ出しをしないタイプです。プロットは一切立てず、書きながら考えています。
――珍しいですね。プロットを作らずに書いて、混乱したりすることはないのですか?
プロットを立てて書くと作業感や仕事感が強くなり楽しくありません。ルービックキューブをガチャガチャ回していたら自然と完成している。そんな感じで小説を書いてます。
私の友人はプロットを作り込むタイプで、むしろそっちが少数派だと思ってました。色々な作家さんと交流しているうちに、自分のほうが珍しいと知って驚きでした。
――愛用しているツールは何ですか。
「Word」を使用しています。特にこだわりはなく、最初に書き始めたときから「Word」ですね。
それと、執筆時は耳栓を愛用してます。没入感を持って自分の書いてる世界観に入り込み、創作に集中できるんです。高級な耳栓を使っているわけじゃありませんが、無音の環境だと書きやすいんですよね。
――執筆はご自宅で?
車の中で執筆することが多いです。家だと気持ちがリラックスしすぎて意欲が沸き起こりません。でも、たまに午後7時頃まで執筆した後、まだ物足りないと感じたときに、家で軽く発泡酒を飲みながら書くことはありますよ。
昔からRPGゲームが大好き!
――創作で参考にしている資料はありますか?
RPGゲームが創作の源泉になっています。昔からRPGゲームが大好きでした。
この歳になると仕事の兼ね合いもあって、ゆっくり時間をとってゲームに没頭できる機会がなくなりました。でも、昔から数々のRPGをやってきた経験だったり、記憶に残っている物語が今の創作活動に影響を与えています。
――今までにどんなRPGをプレイされてきたんですか。
ノクターンノベルズの自己紹介欄に今までプレイしたRPGのタイトルを挙げてます。
ルナ2、クロノトリガー、ゼノギアス、ヴァルキリープロファイル、ワイルドアームズ2、グローランサー、幻想水滸伝2、イース8、グランディア、スターオーシャン1と2、FFタクティクス、ラストランカー、ラジアントヒストリア、空の軌跡、ルドラの秘宝、ロマサガ3、サガフロ、ダーククロニクル、ファイアーエムブレム(聖戦の系譜、封印の剣、烈火の紋章)ティアリングサーガ、ベルウィックサーガ、ブレスオブファイア4、トレジャーハンターG、テイルズシリーズはファンタジアとディスティニー、あとハーツ、サモンナイト1〜3等……たくさんあります! 熱く語りたい…!
楽しい書き方を探索しよう
――どうすれば執筆速度を維持できるのでしょうか?
私から言えることは……あるかな……? 一番早いときなら30分で3000文字ほど書きます。もちろん、その執筆速度をずっと維持できるわけではありませんよ。
小説を書き始めた当初に比べれば、執筆速度は上昇してます。ブラインドタッチができるようになって、タイピングの速さが上がりました。
また、執筆時に改行や字下げを意識せず、後から調整することで効率化しています。他にもよく使う単語やキャラクターの名前をコピペしたり、今の執筆速度はそうした工夫が洗練されていった結果かもしれませんね。
――これから創作活動を始めようとしている人にアドバイスするとしたら?
なかなか難しい質問です。
例えばライトノベルや官能小説ですごい大御所になりたいんだとか、 とにかく馬鹿売れしたいって人もいると思います。それとは違って趣味で書きたい人もいるはずです。書き方にせよ、何にせよ、アドバイスの受け取り方が違っちゃいますから。
趣味で小説執筆を考えている人に対しては、どういう書き方が一番楽しいかを見つけることでしょうか。自分が書いて楽しいように書くこと。自分にとって最も楽しい書き方を探索できるといいですね。
――今後の目標、目指しているものを教えてください。
あえて言うならアニメ化とフィギュア化……?
それともう一つ! エロ漫画家による本格エロ漫画化です!
――最後にメッセージをお願いします。
読者のみんな! いつも応援してくれてありがとう!!
――インタビュー取材にご協力いただきありがとうございました!
ネコミコズッキーニさんのプロフィールと作品をご紹介しています。
読者の皆様、ぜひご覧ください。
【プロフィール】ネコミコズッキーニさん

汝、カチューシャ銀髪片目隠れ娘を愛せよ……Vtuber好きの酒飲みおじさん。気づけばいろいろ書籍化&コミカライズ…ありがたいことです。〈9巻/翠桜皇国〉〈3巻/無職からの成り上がり!〉〈2巻/魔窟の王〉〈2巻/ゼルトリーク戦記〉発売中ですっ!
◆X(旧Twitter)
https://x.com/nekomikozukini
◆ノクターンノベルズ
https://xmypage.syosetu.com/x0507cb/
【作品紹介】

 俺、清水正一(しみず しょういち)はいい歳してアルバイトで日々の生計を立てて暮らしていた。そんなある日、バイトの帰りに異世界に召喚されることに……!?
 ここから俺の勇者物語がはじまるのかと思ったのも束の間、なぜだか遠く離れた森へとポイっと捨てられてしまった。
 そこで妖精(?)アミィちゃんと出会い、あやしさしかないスキルをもらってしまった代償に、寿命が常にガリガリと削られていく体質に……!
 え!? このままだとあと1ヶ月で寿命が尽きるんですか!?
 失われた寿命を回復させる手段は1つだけ! 女性に後背位で中出しすること! いや、童貞の俺にはハードル高いって!?
 でもなんだかんだ日本にも行けるし、得られた力で森も開拓できそうだとわかり……!?
 異世界開拓紀×成り上がり×魔法少女!
 プライドとエゴで拗らせた男と、そんな彼に取り憑いたやべー妖精のファンタジー!
◼️双葉社より書籍化およびコミカライズ化! コミカライズはアプリ「マンガがうがう」等にて10月21日より連載スタート!

 大陸において広大な版図を誇るゼルトリーク帝国。ヴィルガルドはその帝国の皇子として生まれた。しかし皇位継承権は20番目以下という彼が12才の時、新たに皇帝位に就いた兄の粛清に合う。
 どうにか帝都を脱出したヴィルガルドは、他国へ落ち延びてそこで身分を隠し、約10年の時を過ごした。
 だが新たな人生を歩む決意も虚しく、その国にも帝国の騎士団が迫る。
 現在の大陸は、内乱で3つに割れた帝国の影響が大きく、各地で争いが絶えなかった。
「もうこれ以上、帝国に俺の居場所を奪われてたまるか……!」
 決意を新たに、ヴィルガルドは帝国を統一するため、将兵を率いて戦乱の大陸を駆け巡る!
◼️双葉社モンスター文庫より、たくさん新規書き下ろした書籍発売中です!

グナ・レアディーン帝国に所属する俺、マグナは窮地に陥っていた。それというのも連邦の戦闘艦に追い込まれ、無理矢理ワープした先が、どことも知れない辺境の星だったからだ。
くそう! 一級帝国人の俺が、こんな場所でくたばってたまるかよっ! こちとらまだまだエリート帝国軍人の階段を上っている最中なんだっての! なんとか艦を修理して、華々しく帝国本星へ帰還するんだ!
 ……って、なんかこの惑星、変じゃない? え、魔法みたいな現象が起こっているんですけど?
 さらにしゃべる骸骨や妖精さんも出てきたんですけど!!?
 とんだファンタジー世界だぜ……! でもなめんじゃねぇ! こっちにはスーパーAIのリリアベルさんに、最強アンドロイドのアハトさんがおられるんだぞ!
 って、おい! アハトさん、お願い働いて!
◾️webコミックガンマプラスにて、コミカライズ連載中!
                                    







