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【8話】結婚指輪を外した未亡人ベロニカ

 ベロニカは結婚指輪をついに外した。それでも、数十年に及ぶ夫婦愛の残像が刻まれている。空白の輪郭は色濃い。薬指を彩る円環の白肌は、未亡人に重たい罪悪感を抱かせた。

 自責で傷ついた心の隙間をヴォルフガングは慰める。寝取り男の打算からではない。四年間の共同生活でベロニカはヴォルフガングの人柄に触れてしまった。

「結婚指輪……。本当に外してしまったんだね。大丈夫? ベロニカ?」

「本音を言ってしまうと、ちょっとだけ後悔してるかもしれません。でも、あのままじゃいけなかった。夫にも、ヴォルフ坊ちゃんにも……すごく失礼ですから……。自分で決めたんです。お墓に埋めてきました」

「結婚指輪を捨てたわけじゃない。ベロニカの中で後悔が残り続けるなら、冬明けに拾ってくればいいよ。僕は気にしてない」

「いいえ、私が捨てたんです。自分の意思で……。外したかったのですわ」

「いいの?」

「はい。ヴォルフ坊ちゃんの手足となり、レーヴェ家に我が身をお捧げします」

「ごめんね……。ベロニカをレーヴェ家に引きずり込んでしまった。僕の子供なんか……産みたくなかったでしょ。ごめんなさい」

「ヴォルフ坊ちゃん……。謝らないでください。ここでの生活は幸せです。無理やり言われてるわけじゃありません。嘘偽りなしの……本心の……告白……。この歳になるとプロポーズは恥ずかしいですわ。自分からは初めてだから……♥︎ ヴォルフ坊ちゃんをお慕いしております♥︎」

「最初の結婚は旦那さんから?」

「はい。十四歳のとき……。御屋敷のバルコニーに連れ出されて……。ああ、嘘みたいです。もう三十年前だわ」

「どんな言葉だった? 参考までに聞きたい」

「秘密です。恥ずかしいので……♥︎」

「あははは! そっか。そっか。仕方ない。秘密ならしょうがない。顔を赤くしてるベロニカが見られないのは残念だ。……僕も前の旦那さんに負けないくらい、ベロニカを愛する。約束する。四肢欠損の田舎貴族じゃ、偉大な英雄に見劣りするだろうけどね」

「そんなことありませんわ。だって、あの人は私を置いて、先に逝ってしまった。でも、ヴォルフ坊ちゃん私を離さずにいる……。ずっと一緒に……♥︎」

「僕は囚われたからね。本当はベロニカを逃がしてあげたかった。レーヴェ家の悪業を許してくれるのなら、ずっと一緒に暮らそう。僕が報いを受けて滅びる去る……。その日まで……」

「はい♥︎ ヴォルフ坊ちゃん♥︎ 寝室に行きませんか? その……ご奉仕をしたいです……♥︎」

 茶黒の乳輪にそびえる突起が勃っている。愛しい御主人様を抱き上げているベロニカは発情していた。無論、美女の裸体にヴォルフガングもオチンポを硬くしている。

 太陽が沈んだ。北方の寒い夜が訪れる。人肌の温かさを互いに欲する。主従の上下関係が崩れ、肉欲で満ちた男女関係が強まる。

「あぁ、でも……夕食の時間でしたね……」

「今晩の夕餉ゆうげはベロニカの母乳で済ませる。寝室に行こう」

「よろしいのですか? ヴォルフ坊ちゃん……♥︎」

「遠慮はいらないよ。ベロニカは結婚指輪を外して、亡くなった旦那さんに返したんだ。今からはだ。もう身分や立場なんか関係ない。愛の名のもとに結ばれよう」

「ふふっ……♥︎ はいっ♥︎」

「ん……。んぅ……。あのさ。恥ずかしくなってきた。ちょっとキザだった? 笑ってるよね」

「失礼しましたわ。理由があります。だって、前の夫とプロポーズが一緒でしたわ」

「えぇ? ほんと?」

「ルココ恋愛譚の台詞を参考になさったのかしら? 三十年前の流行りでしたわ。今時の若い子は読みませんわね」

「ちょっと傷ついた。僕のセンスって三十年前なんだ……。ああ、そっかぁ……。ルココ恋愛譚って母上の本棚にあった小説だった。……古くて当然じゃん……」

「お気になさらず。年増女を誘惑するのはぴったりですわ♥︎」

 ベロニカはヴォルフガングを抱えて寝室に向かった。肉体の淫熱が立ち昇り、漆黒の騎士兜が温かくなっている。寒空の館外に出たら、頭部の天辺から蒸気が昇るだろう。溢れ出た膣汁が内股をびっしょりと濡らした。

 ベロニカはセックスが好きだった。夫の生前は避妊に気を払いつつ、毎晩欠かさずに愛し合った。

 避妊に失敗したのは、カレンティアを孕んだ時だけである。

 妊娠を避けていたのは冒険者という危険な職業柄。もう一つの理由は、伯爵家で起きている後継者問題だ。

 案の定、カレンティアはお家騒動に引っ張り込まれている。未亡人のベロニカでさえ、夫の死後に伯爵家から「本家の血筋を残してほしい」と頼まれた。

(もう子供を産まない。私はきっぱりと宣言したのに……♥︎)

 寝室のベッドで四つ這いになったベロニカは、妊娠オマンコを差し出した。

(あぁ♥︎ 避妊もせずに……子作りセックスをしたから……♥︎ こんな歳で孕んじゃったぁ……♥︎ レーヴェ家の赤ちゃんを……♥︎ でも、いいのぉっ♥︎ だって、誰にも知られていない……♥︎)

 重力で爆乳とボテ腹が垂れ下がり、毛皮の敷布に触れている。

 下腹部の膨らみが後ろからよく見える。暖炉の灯焔とうえんが痴態を照らす。美熟女は背中を弓なりにへこませて、淫裂をくぱぁと開口させる。

「挿れるよ。ベロニカ」

 背面に覆いかぶさったヴォルフガングは、途切れた両脚で立っている。左右の足は太腿までしか残っていない。直立させたところで膝立ち以下の高さだ。しかし、それで十分だ。

 ベッドで腹這いになったベロニカの膣道に押し挿る。青少年のみなぎる若さが、美熟女のオマンコを喜悦させる。ゾクリと全身が震えた。

「おぉっ♥︎ んぉんんぅっ♥︎ あんっ♥︎ あふぅっ♥︎ んゆぅううぅう~~♥︎ おぉっ♥︎」

 ベロニカは女の声で喘ぐ。結婚指輪を捨てる長旅は往路で四日かかった。その間、我慢してきた性欲が爆発する。腹臥ふくがの体位で、肉棒の穿ちに心身を委ねる。

「あぁっ♥︎ んぁっ♥︎ あぁんっ♥︎ ヴォルフ坊ちゃん♥︎ すごいっ♥︎ すごいですわぁっ♥︎ 私達っ♥︎ こんなにぃっ♥︎ ひとつになってぇ♥︎ 繋がってるぅっ♥︎」

「ハアぅ……! ハァハァ……! ベロニカっ……! ベロニカぁっ……!! 暖かいよ。ベロニカの膣内なかはすごく……っ! 僕も気持ちいいっ!」

 四肢欠損の不具は自由を奪う。だが、ヴォルフガングの性技は身体的障害を乗り越える。四年に及ぶ共同生活で、鉄壁貞節だった未亡人の左手から結婚指輪を外させた。

「あぁぁんっ♥︎ ヴォルフ坊ちゃん……♥︎ 愛しておりましゅぅ♥︎ 私の身体は坊ちゃんのモノぉ……♥︎ 好きっ♥︎ 好きっ♥︎ 私は坊ちゃんが大好きぃっ♥︎ こんな私を許してぇ……♥︎ 本気で恋をしちゃったのっ♥︎」

「僕が許すよ。ベロニカ。……旦那さんに先立たれてからずっと耐えてたんだ。寂しかったよね? 辛かったよね? 今までよく頑張った。君には幸せになる権利があるんだ。だから、僕がベロニカを幸せにする……!!」

「はぁ♥︎ はぁあぁぁっん♥︎ ヴォルフ坊ちゃんぅう~~♥︎」

 オマンコに精液の濁流が流れる。絶頂アクメに導かれたベロニカはベッドの敷布を掴む。亀頭が子宮口に押している。お腹で育つ胎児は、出口付近の騒ぎに迷惑しているかもしれない。

「んぁあぁっ……♥︎ あぅっ……♥︎」

 騎士兜が頭部から外れてしまった。漆黒のメタルヘルムがベッドから転がり落ちる。

「あぁ!! はわわぁっ……!?」

 慌ててベロニカは手を伸ばす。だが、掴み損ねた。そのまま床をコロンコロンと二回転する。馬の黒毛で仕立てたカツラが絡まった。

「大丈夫? ベロニカ? 頭が外れちゃった?」

 両手両足が不自由なヴォルフガングでは、ベッドから落ちた騎士兜を拾えない。

「だっ、だじょうぶですよ……。この距離なら問題ありませんから」

 床に転がっている騎士兜が喋る。ベロニカの素顔を見ても友人知人は気付かないだろう。実の娘であるカレンティアですら、母親だと認識できないはずだ。

「頭を拾う? それとも続ける?」

「えっと……あとで拾います。ヴォルフ坊ちゃんの射精が終わったら……♥︎ んぅっ♥︎」

「それはいいけど……。ねえ。旅の間は大丈夫だった? 首無しの妊婦が馬で駆けてた。そんな怖い怪談が巷で広がってないよね?」

「坊ちゃん、おっちょこちょいな私だって外出時は気を付けてましたわ。こんな姿を見られたら大騒ぎですもの」

 首から上には何もない。

 かつて鎮座していた気品ある美顔、プラチナブロンドの艶髪は消えている。頭部がないのだから当たり前だ。

 ――ベロニカの頭部は綺麗さっぱり欠損していた。

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