キングハイラル聖王国の母后マリンジェンヌを乗せた護送船が外洋で消息を絶った。
大嵐の暴風で進路が南に逸れ、絶海アポルオンに近づきすぎたのだ。
禁忌海域と恐れられる魔境。大型帆船を海底に引き込む大怪魔の巣窟。人類の不可侵領域で護送船は消えた。
本国から派遣された海軍船団が母后マリンジェンヌの捜索活動にあたったが、生存者は一人も発見できなかった。
大破した護送船の残骸と思われる漂流物には、大怪魔クラーケンの吸盤が張り付いていたという。二次被害を憂慮した聖王国の海軍は、絶海アポルオンに近づこうとはしなかった。
絶海アポルオンは怪魔がひしめく危険地帯。武装を揃えた船団だろうと海の藻屑になってしまう。
人類文明を近づけぬ閉ざされた魔の海域――絶海アポルオンの中心には伝説の孤島アバドーンがあると噂されていた。
人喰いを好む野蛮なキルアヌイ族が巣くう禁域の島。
教会の聖典を受け入れぬ、おぞましき人喰い部族。遭難者がアバドーン島に漂着していたとしても、まず生き延びられない。
キルアヌイ族は外部の人間を等しく侵入者と見做す。島に入り込んだ異人は邪神の生け贄の供物とされるのが習わしだった。
大陸でもっとも高貴な女性、キングハイラル聖王国の母后マリンジェンヌだとしてもだ。外海の国々と交流がない未開の原住民からすれば、金髪白肌の異邦人は災いを呼ぶ侵入者でしかなかった。
聖王家の高貴な血筋、万民から崇敬を集める母后の地位、着飾った壮麗な衣装――全てが無価値。しかし、キルアヌイ族の野蛮文化とキングハイラル聖王国の文明社会にどれだけの隔たりがあろうと共通の価値観はある。
人間社会である以上、どちらも突き詰めれば男女が営む世界だ。
マリンジェンヌ・キングハイラルは新王を産んだ母親。すなわち、子供を産める女だった。花盛りの若娘を終えて、熟した三十代の美女。その胎はまだ赤子を作れる。
生贄以外でマリンジェンヌにある価値とは、閉鎖的な部族に新しき血を齎す異人の女。新王を産み落とした母后の高貴な膣穴は、蛮族の男根で貫かれていた。
「あぅっ♥︎ あふぅっ♥︎ お゛おぉお⋯⋯♥︎ おっぉぉお゛ぉぉおおっ⋯⋯♥︎」
アバドーン島に原生する催淫草を嗅がされたマリンジェンヌは、汚れた淫声を披露する。
蛮族の少年は腰を力強く振った。男による女の支配を見せつける。
(――うぐぅっ♥︎ 身体のあらゆる感覚が敏感になってるぅっ⋯⋯!! お股が熱いぃっ♥︎ 乱暴されてるのにっ♥︎ 悔ぢいィのに⋯⋯!! 喘いでしまぅうっ⋯⋯♥︎)
白い祭壇の土台には、磨き上げられた髑髏が嵌めこまれていた。
(死にたくないっ⋯⋯! 邪神の生贄は嫌ァ!! でも、こんな目に遭わされるのも嫌ですわぁっ⋯⋯!! 助けてっ! 助けてくださいっ!! 神様っ!! この異教徒どもを地獄に堕としてっ!!)
哀れな犠牲者の人骨で積み上げられた祭壇。
キルアヌイ族の神聖な儀式の場。けれど、部族に属さぬ異人からすれば、醜悪な呪物にしか見えなかった。
(あうぅっ! 後ろから打ち付けてくるっ!! 高貴な身分の妾がァ♥︎ なぜこんな辱めぉっ♥︎ んおぉっ♥︎ 太いのでぇっ♥︎ 穿たれるっ♥︎ あぁっ♥︎ んぁあ゛ぁ~~♥︎ んひぃぃっ♥︎ 壊れるゅぅう゛のぉ~~♥︎ 蛮族の穢らわしい男根で聖王家の子宮をごわされぢゃうぅぅうっ~~♥︎)
背面立位で激しく犯される。肢体を揺さぶられ、晒し物となっている爆乳が荒ぶる。反り上がった逞しい肉棒が容赦なく子宮を攻め立てた。
「あぁふぅっ♥︎ んぁああ゛ぁっ♥︎ んあ゛っ♥︎ らめぇえっ♥︎ やめでぇっ~~♥︎ んひぃっ♥︎ あんっ♥︎ んぁっ♥︎ あぁ~~♥︎ やだっ♥︎ いやぁっ♥︎ 漏れちゃぅう♥︎ がまん⋯⋯むりぃっ⋯⋯♥︎ 漏れぢゃううぅのぉっ♥︎ んほぉお゛お゛ぉおぉぉ~~♥︎」
人骨を組み込んだグロテスクな祭壇で辱められる全裸の美熟女。
プラチナブロンドの長髪が乱れ舞う。両脚をガクガクと震わせ、背後から突き上げてくる男根に堪える。
(――いぐぅっ♥︎ 我慢っ! あぁっ! できませんわぁっ! おしっこぉ♥︎ 漏らしぢゃうぅ♥︎)
尿道がヒクつく。涙が溜まった両目を閉じた。もう我慢はできなかった。
「あっ♥︎ んおぉっ♥︎ んぁっ⋯⋯♥︎ あうぅう゛ぅう~~♥︎」
我慢できずド派手に失禁した。膀胱を膨らませていた尿を一気に撒き散らす。
(はぅう~~っ♥︎ お漏らししちゃった⋯⋯! とっ、とまらないぃっ!! 見られてるっ⋯⋯!! 野蛮人に犯されながら、おしっこを撒き散らす醜態⋯⋯! 最悪っ!! 最悪ですわっ⋯⋯!!)
人前でお漏らした羞恥心。放尿に伴う言い表わし難い満足感。熟れた子宮を穿つ若々しい男根の淫熱。亀頭が膨らみ、陰茎の裏筋が脈動する。
「あぅ♥︎ んぉっおっ♥︎ なかで膨らんで⋯⋯!? うっ、うそっ!? まさか!? らめぇえっ! それだけはっ⋯⋯!! 許しませんわよっ!! んぁ♥︎ お゛ぉっ♥︎ やめっ⋯⋯やめなさぁ⋯⋯ぃいっ⋯⋯♥︎ 今すぐに穢らわしいオチンポを抜きなさっ⋯⋯! んぅぁぁああああぁーーッ♥︎」
種付けから逃れようともがく色白肌の美熟女を、漆黒肌の少年が抱き押さえた。
(あぁぅう⋯⋯! 出されちゃうっ⋯⋯!! 凄い力で引っ張られるぅ!! 逃げられないっ⋯⋯!! 蛮人の胤っ! 注がれてしまうっ!!)
腰のくびれを掴む浅黒い手の指先がマリンジェンヌの媚肉に食い込む。抵抗する子宮口をほじくり開き、高貴な血統の子壺に人喰い部族の子胤を注いだ。
「んぎぃっ⋯⋯♥︎ 抜いてっ! お願いっ⋯⋯!! だめっ! だめですわぁっ!! にっ、妊娠しちゃう!! 今すぐおやめなさいっ!! 命令ですわよっ!! 膣内に出すのはやめてぇえ⋯⋯っ!!」
悲痛な叫び声を上げる美熟女。しかし、キルアヌイ族の少年は抱きしめる両腕の力を緩めなかった。全身全霊の精力で己の遺伝子を刷り込む。
――僕の子を孕め!
少年は行動で答えを示した。激しい腰打ちで汗ばんだ豊尻が歪な楕円形に変じる。臀部の柔らかな媚肉を堪能し、胸部に実った爆乳を荒っぽく揉みしだいた。美熟女の心身を淫欲で酔わせる。
「んっ⋯⋯♥︎ あぁ⋯⋯あぁぁっ⋯⋯♥︎」
圧迫された乳房からミルク汁の飛沫が勢いよく弾ける。雌牛から乳を搾るように噴き散る。マリンジェンヌのあらゆる体液が孔から垂れ流れていた。絶頂の性悦に酔い痴れ、理性が崩壊していく。
――とぅぷんっ♥︎
美熟女の子宮は旺盛な子胤で満たされた。キルアヌイ族の黒い肉棒は、聖王を育み産んだ胎を穢し尽くした。
(妾の、高貴なキングハイラル王家の子壺に蛮族の胤を許してしまった⋯⋯っ! ふざけないでっ! 何なの⋯⋯!? もう嫌ですわっ⋯⋯! どうして? あぁ、慈悲深き神様ァ!! なぜ妾がこんな目に遭わねばならないのです!? 誰か! 誰でもいいですわ! お願いよォ! 妾をこの地獄から救い出して⋯⋯!!)
母后マリンジェンヌは大粒の涙を流した。キングハイラル聖王国でもっとも高貴な女性は、未開な蛮族の少年と淫らに交わる。
(⋯⋯この蛮族の少年っ! いつまで射精し続けてるのよ⋯⋯っ!!)
真っ白な股を貫く漆黒の陰茎、合体したオチンポとオマンコ。新たな命を授かるための神聖な性儀式。
けして出会うはずのない二人の男女は、数奇な運命に導かれ、互いの生殖器を結合させている。
「あぁっ⋯⋯うぅ⋯⋯!! 離しな⋯⋯さぃい⋯⋯よぉ⋯⋯!」
「逃げるな。お前は婢女になるんだ」
「ひじょ⋯⋯? 違うわっ!! 妾はキングハイラル王家のぉっ! きゃぁああっ!!」
「うるさい! 生け贄が嫌なんだろ。僕の孕女になるしか生き延びる道はない。孕むところを村の皆にちゃんと見せるんだ」
キルアヌイ族の少年ウォルフは鋭い声で叱りつけた。マリンジェンヌは股を閉じて、男根の挿入された陰裂を隠そうとしていた。
「あっ⋯⋯! やだっ! いっ、いやですわ⋯⋯!! こんな破廉恥なところ⋯⋯!! らめえぇっ⋯⋯!! 妾を見るでない⋯⋯っ!!」
失禁時の尿を吸った恥毛はずぶ濡れだった。膣穴から流出した白濁汁が太腿の内側を滴っていた。猛々しく勃起した男根で貫き穿たれている。
祭壇の前に集められたキルアヌイ族の村人達は、マリンジェンヌの痴態を視姦する。老若男女を問わず、幼児まで物珍しい異人とのセックスを見物していた。
(殺してやるっ! こいつら! 島に住んでる野蛮人どもは全員死刑にしてやるんだからぁっ!! 妾を助けに必ず王国の軍勢が来ますわ!)
キルアヌイ族は島外の人間を侵入者と見做す。海難事故で漂着した漂流者だったとしても生け贄とする。しかし、一つだけ島外の異人が生き延びる道はあった。
部族との同化。すなわち、キルアヌイ族の同胞と認められた異人は保護される。
「長老⋯⋯! この異人は僕の子を孕ませる! 神聖な祭壇でキルアヌイ族の子胤が注がれた! もう生け贄じゃないっ! 子産みの稀人となった! 交わりを見届けた村の皆が証人だ! 部族の証をお授けください! 腹に婢女の焼き印を!! 部族の証となる紋様を!」
「うむ。良かろう⋯⋯。部族に新しき血を迎えようぞ」
キルアヌイ族の長老は杖の先端をマリンジェンヌに向けた。臍の穴に先端を挿し込み、不気味な呪文をぶつぶつと唱える。
「いぃっ! あぅっ! お腹が熱いっ⋯⋯! 燃えてしまうぅううっ!! 薄汚い老いぼれめぇ! おやめなさいっ! 無礼者め! 妾は聖神に選ばれし高貴な一族! キングハイラル聖王国の母后! 貴様達のような下賎な蛮族ごときが妾にっ!! 国王の高貴なる母親に何する気よぉ!?」
キングハイラル聖王国の名を知る下々の民であれば、地面に額を擦りつけたであろう。しかし、絶海の孤島アバドーンの野蛮人キルアヌイ族に大国の威信は通じない。
「殺してやるっ!! 全員っ!! 縛り首よ!! こんな辱め⋯⋯絶対に許されなぁっ⋯⋯んぎぃっ! 焼けてしまうわぁっ!! いぃっ! やめてっ!! 痛い! 痛い! 痛いぃ!! やめてぇ!! 死んぢゃうぅう! しぬぅうっ!! しんぢゃぅぅう!! いやぁっ! いっ、痛っ⋯⋯!! んぎゃあああああああああああああああああああぁぁっーー!!」
腹部の表皮が焦げる。長老の呪術で刻まれた焼き印は、マリンジェンヌを一族の同胞と認めた証だ。
キングハイラル聖王国の母后は、キルアヌイ族の子産み婢女となった。
「焼き印が浮かび出た。やった! 異人の子宮を屈服させた! さあ、長老! 皆の前で宣言をしてください!!」
王族の尊厳を粉微塵に砕かれた。
母后マリンジェンヌに種付けした部族の少年ウォルフは、交わった陰部を見せびらかした。
――聖王家の子宮は、蛮族の精子を吸い上げる。
「証は与えられた。よろしいっ! 祖霊の御名において認めようぞ。産めよ! 増えよ! 地に満ちよ!! 狼憑きのウォルフ! 稀人の女を従えるのじゃ! 外海から齎された災いを喰らい滅ぼせい!!」
長老は枯れた声を震わせ、集まった村人達に洗礼の祝言を聞かせた。
「あ⋯⋯んぉ⋯⋯♥︎ お゛ぉ⋯⋯ぉ⋯⋯♥︎」
小さな白煙が立ち昇る。性臭に混じって漂うのは、皮膚が焼け焦げた不快な匂い。
白目をむいたマリンジェンヌの唇から涎が垂れた。腹には痛々しい焼き印が記されていた。
(⋯⋯どうしてよ⋯⋯なんで⋯⋯? 無理やりなのに、感じてしまう⋯⋯。なぜこんなにっ♥︎ 気持ちいいのぉ⋯⋯♥︎)
国王を産んだ母后、キングハイラル聖王国で最も尊ばれるべき母親はキルアヌイ族の少年に辱められ、部族社会の最底辺に堕ちた。
――アバドーン島には変わった祭りがある。
穢らわしい異人を精霊に捧げる生贄祭。
もう一つは〈災い喰らい〉の若人と交わり、キルアヌイ族の一員に迎えられる祓胎祭。
どちらも外海から漂流者の処遇を決めるキルアヌイ族の重要な祭儀だった。
「はぅ⋯⋯ぁ⋯⋯♥︎」
マリンジェンヌは疲労困憊で全身の力が抜けきってしまった。戦争で先立たれた夫の逸物では味わえなかった激しいセックス。高潔な王母の女穴は、蛮族のどす黒い男根で征服された。
(大きぃ⋯⋯。お股が痛い⋯⋯。まだ⋯⋯子供なのに⋯⋯夫より⋯⋯デカい⋯⋯オチンポぉ⋯⋯。力も⋯⋯すごく強いわ⋯⋯。⋯⋯子宮の奥に届いてる⋯⋯)
ウォルフは仰け反った姿勢で垂れかかるマリンジェンヌを軽々と抱き支えている。
日に焼けた真っ黒な肌は、幼い少年ながら筋肉質だった。肉体労働と無縁だった王家の女とは身体の造りが全く違う。
(妾が蛮族の子を孕み⋯⋯産む⋯⋯? なぜ⋯⋯? 神様⋯⋯! 妾にこのような酷い試練をお与えになったのですか⋯⋯? あまりに⋯⋯無慈悲ですわ⋯⋯!)
信仰に救いを求める。しかし、マリンジェンヌが信じる神は答えなかった。
現実は無情だった。膣道に突き刺さった男根。乳房から漏れ出す母乳。屈辱的だったが性悦に酔わされた事実は否定できなかった。
――身体に染み渡る淫らな欲求、肉欲の発芽は王家の誇りを辱める。
マリンジェンヌは失禁するほど激しく絶頂した。その余韻はまだ子宮に残っている。亡き夫には申し訳なかったが、熟れた子壺は女の悦びを歓迎していた。
亀頭の反りで肉襞を抉られる度、マリンジェンヌは淫猥な艶声で喘いだ。情痴に乱酔する姿は広場に集まった大勢のキルアヌイ族が目撃した。
(聖王家の貴き女になんという仕打ち⋯⋯。耐え難き屈辱⋯⋯! でも⋯⋯! だけど⋯⋯!! 死にとうない⋯⋯!! 死ぬのだけはイヤぁ⋯⋯! 妾は絶対に死にたくないわ⋯⋯! 生き延びるっ⋯⋯!! 生ぎたい゛ぃっ⋯⋯!!)
祭壇の土台に飾られた頭蓋骨は、マリンジェンヌと同じ護送船に乗っていた船員だった。
アバドーン島に辿り着くまでに溺死したり、絶海を縄張りとする大怪魔に捕食されたり、生きた状態で漂着した者は少なかった。
五体満足で海岸に打ち上げられたマリンジェンヌは運が良かった。
生贄祭の供物人とされず、祓胎祭の稀人になれたのも幸運だった。そうでなければ今頃は殺されて、祭壇の台座になっていた。
「それにしてもデケえオッパイ。外海の異人はこんなに肥えてるもんなのか? 乳汁の湧き具合もすげえ。肌が真っ白だし、髪の毛も病気みたいだけど、胸の揉み心地は悪くねえや」
ウォルフはマリンジェンヌの乳房を鷲掴む。キングハイラル聖王国の新王を産んでほんの一年の母体である。王母の乳房を搾ると、栄養たっぷりのミルクが勢いよく噴き出た。
「んっ! くぅっ⋯⋯!! お前も叫べ! 森に眠る先祖の霊に子宝を祝福してもらうんだ!!」
戦死した夫に操を立てて、再婚はしないと教会で誓った。けれども、未亡人の胎は新たな男の子胤で充ち満ちている。
「ワォッオーォーン⋯⋯!! ワオオォォオオオォォオオォオォォオ~~~~ン!!」
狼憑きウォルフは遠吠えを叫ぶ。太陽が沈もうとしていた。仰向けに引っくり返りそうなマリンジェンヌを抱きかかえ、陰嚢に溜めた若々しい子胤を残さず出し切った。
◇ ◇ ◇
狼憑きのウォルフは集落から離れた窪地に住んでいる。まだ成人とは認められていない幼年のキルアヌイ族だった。
両親はいない。一人で暮らしていた。だが、同居人が一人増えた。
絶海の大怪魔クラーケンに護送船を沈められ、アバドーン島に流れ着いたキングハイラル聖王国の母后マリンジェンヌである。
他にも漂着した生存者はいたが、生贄に捧げられ、祭壇の一部となった。
生き延びたのはマリンジェンヌただ一人。災いを呼ぶ異人は忌み嫌われる。しかし、子供を産める女は有用だ。
閉鎖的かつ孤立したキルアヌイ族は外の血が必要だった。
外海の国でどれほど偉い地位にいようと、孤立した部族社会では何の意味もない。しかし、丈夫な赤児を孕める女体には大きな価値がある。
「⋯⋯僕を恨むのは筋違いさ。命を助けてやったんだ。ぐだぐだ言うなよ。それとも生贄祭の供物にされたかった?」
狩猟用の石器を磨ぎ、狩りに備えている。草木の屋根と土壁で建てられた粗末な竪穴住居から、マリンジェンヌの泣きじゃくる声が聞こえてくる。
「うるさい! うるさいぃっ! うるさぃいっ!! ケダモノ! あうっぅぅ⋯⋯!! ぐすんっ! うぅうっ⋯⋯! 貴方達のような蛮族⋯⋯! 必ず聖王国の軍勢を呼び寄せて、一人残らず滅ぼしてやるわ⋯⋯!! 妾は⋯⋯! 偉大な聖王国の母后なのよ!!」
「その話は何度も聞いた。外海には大きな国があるんだろ。でも、大怪魔が住む絶海を越えられる船なんかない。十数年に一度、島に流れ着く人間がいるだけさ」
「助けに来るわ⋯⋯! 妾は普通の人間とは違う! 妾はキングハイラル聖王国の王を産んだ母親なのよ⋯⋯! 大怪魔が何だって言うの! 助けにきなさいよっ⋯⋯!! あ⋯⋯うぅ⋯⋯うぅうぅ~~⋯⋯!!」
「絶海に潜む大怪魔の恐ろしさは、お前が一番よく分かってるだろ。身を以て恐怖を体験したわけだ。大怪魔は僕らの島に近づかない。だけど、沖合の縄張りに近づけば容赦なく襲ってくる。⋯⋯人間は餌だ」
マリンジェンヌはぶるぶると震えている。
「⋯⋯僕の両親もそうだった。漁に出たっきり、戻ってこなかった。マリンジェンヌは幸運に感謝すべきだ。五体満足でアバドーン島に辿り着いた」
水面から突き出てきたクラーケンの触手は、巨大な護送船を真っ二つにへし折った。海に投げ出された乗客や船員を捕まえ、海底に引き釣り込んでいった。
(護送船が沈んだときは、まだ大勢の人間が生きてた。でも、あっという間に食い散らかされてしまったわ⋯⋯! 怖いっ⋯⋯! 怖いっ⋯⋯!! あの巨大な魔物に妾が捕食されなかったのは⋯⋯きっと神様が守ってくれたからですわ⋯⋯!)
神への祈りが通じた者、あるいは運が良かった漂流者だけが、クラーケンの魔手を逃れた。パニックに陥って溺れ死んだ者も多くいた。
マリンジェンヌは近くの木片にしがみ付き、大きな乳房が浮き袋となってくれたおかげで溺死せずに済んだ。
「流れてきた外海の異人は、生贄祭の供物にする。もしくは〈災い喰らい〉の奴婢にしちまう。そのときは祓胎祭を開いて、長老に稀人と認めてもらう。それが昨日の儀式」
ウォルフはマリンジェンヌの腹に刻まれた火傷の紋様を指差した。
「マリンジェンヌは部族の一員になった。僕の奴婢、つまりは子産みの婢女だ。その腹に刻まれた焼き印を見せれば、異人だろうと殺されずに済む」
長老の呪術で焦がされた皮膚に浮かび上がった不気味なシンボル。マリンジェンヌがアバドーン島の部族社会に組み込まれた証明であった。
「妾を保護したつもり? 恩着せがましいわ。妾に乱暴したかっただけなんでしょ⋯⋯! 嫌い! 大嫌いよぉっ! 野蛮な奴ら! もう最悪! あぁぁ⋯⋯! もう嫌よ! なんもかも!」
「⋯⋯やかましい。うるさい女だ。まさしく災い」
「災い⋯⋯? そもそも〈災い喰らい〉って何よ⋯⋯? 貴方、集落の奴らにそう呼ばれていたわ」
「僕は集落から離れた場所で暮らしてるだろ。そういう追放者を〈災い喰らい〉って言うんだ。僕の両親がそうだった」
「追放された? へえ、そう⋯⋯。もしかして貴方は犯罪者の一族⋯⋯? 分かったわ。村を追い出された悪人なんでしょ⁉」
「悪人? はっはははは。何も悪いことはしちゃいない。むしろ罰する側だ。罪人を処刑したり、供物を殺したり、村に降りかかる災いを引き受ける。それが〈災い喰らい〉だ」
(ふん⋯⋯! 要するに被差別階級の非人じゃないの)
「マリンジェンヌのほかにも異人がいたけど、僕が殺しただろ? 殺人は部族の掟に反する。でも、僕は例外なんだ」
「家業が死刑執行人ってわけ⋯⋯? ああ、分かりましたわ。だから、妾に子供を産ませたがっているのね」
キングハイラル聖王国にも処刑人の一族がいた。死刑囚を処刑する執行人は、卑しい者達だと蔑まれ、嫁や婿を迎えるのに苦労していた。
「外海の異人は災いを呼ぶ。だから、生贄祭で森に魂を捧げる。血肉は食って、骨を祭壇の礎にする。マリンジェンヌが女じゃなければ、他の連中と同じように殺してた」
「⋯⋯蛮族の子供なんか妾は産みませんわっ! 野獣の穢らわしい子胤なんかで⋯⋯! 妾は王族の女! キングハイラル聖王国の母后なのだから⋯⋯!」
「はぁ~。お前が子を産んでくれなきゃ、助けた意味がない。マリンジェンヌは何でもするから殺さないでくれと泣き喚いていた。もう忘れたのか?」
「知らないわよ! ⋯⋯とにかく死ぬのは嫌! 絶対に! 絶対に! 死にたくわりませんわ! 妾は必ず天国に行くけど⋯⋯それでも⋯⋯まだ死ぬなんて⋯⋯嫌⋯⋯!!」
「死ぬの怖がりすぎ⋯⋯。外海でどれだけ偉い女だろうと、ここでは僕の婢女だ。腹に焼き印を見ろ。マリンジェンヌは子産みの役目を負った」
ウォルフは腰布を脱ぎ捨てる。勃起した勇ましい男根がマリンジェンヌに向けられた。
「まって⋯⋯! やめなさいっ!!」
「朝飯を食わせてやった。狩りを手伝えとは言わない。どうせ足手まといだ。だから、はやく僕の子を産め」
王母の熟れたオマンコをぐぢゅぐぢゅに掻き混ぜた肉棒。膣内にべっとりと吐き付けられた濃厚な精液は、まだマリンジェンヌの子宮腔内にまとわりついている。
「や、やめなさいっ⋯⋯! 触らないでっ! 妾に近づくのをを禁じますわっ!!」
必死の命乞いで供物人から稀人になったマリンジェンヌは、儀式の祭壇で犯された。
戦争で亡くした夫以外と初めてしたセックスだった。淫辱で喘ぐ嬌態を見世物にされたあげく、隷属の焼き印を刻まれた。
キルアヌイ族の背丈は小さい。だが、黒肌の肉体に宿る筋力は常人を凌駕する。切り倒した丸太を軽々と担ぐウォルフであれば、マリンジェンヌの抵抗など意味をなさなかった。
ウォルフに組み敷かれたマリンジェンヌは再び男根を挿入される。強引に膣穴を押し開き、ズブズブと沈んでいった。極太の竿を咥え込み、陰唇がめくれ返った。
「おぉっ♥︎ んぁ⋯⋯♥︎ んぅっ♥︎ やめっ⋯⋯! らめえェ⋯⋯♥︎」
ぢゅっぷ♥︎ じゅぶっ♥︎ ぢゅぶぶぷっ♥︎
母后の陰裂を攻め立てる蛮族の男根。愛液で濡れた肉厚の膣襞を荒々しい腰使いで屈服させる。強引に開いた股に腰を打ち付ける。
パンッ! パァンッ!! パァアン⋯⋯ッ!!
木と泥で造られた手作りの粗末な小屋は、交尾の盛り場に変貌する。身体をぶつけ合う肉音。男女の荒い息遣い。
「んァ♥︎ んお゛おぉっ⋯⋯♥︎ おほぉっ♥︎ さわらなっ⋯⋯! あぅんぅううぅ~~♥︎ んぅぉおぉおぉおっ⋯⋯♥︎ おぉっ♥︎ お゛♥︎ お゛っ♥︎ あぅうっ♥︎ んぉぉおっ~~♥︎」
マリンジェンヌは濁音混じりの淫叫びをむせび啼く。正常位での激しい情交は、女体の性感を刺激する。
ジタバタと抵抗していた股を押っ広げに開かせ、少年は打ち込みをの速度を上げた。抽挿運動で生じる快楽に二人は酔い痴れる。
(んぁぁあっ! はっ、はげしい⋯⋯っ! 子宮を貪られるぅっ♥︎ 高貴な王族の妾がァ⋯⋯! こんなっ! 蛮族のガキンチョに⋯⋯!! 王族の子宮が負けっ⋯⋯負け⋯⋯ぢゃうぅっ⋯⋯♥︎ イッきゅうぅぅぅぅくぅうぅっ♥︎)
マリンジェンヌの背が弓なりに仰け反る。肢体を小刻みに震えさせながら、肺に溜め込んだ火照りを吐きだした。
「キツく締め上げてくる⋯⋯! すげえ。くっ! はぁはぁ⋯⋯! 昨日の儀式で僕の味を覚えたせいか⋯⋯?」
蛮族の穢らわしい胤が子壺に注がれる。マリンジェンヌの陰裂に挿入された男根が脈打っていた。子宮に遺伝子が刷り込まれる。
勃起した乳首から盛大に母乳が噴出する。身体を揺さぶられる度、弾んだ乳房から乳汁が溢れた。
(⋯⋯あぁ♥︎ 産まされてしまうわ⋯⋯♥︎ 身体が負けてしまった⋯⋯♥︎ 妾は蛮族の子を産み落としてしまう⋯⋯♥︎ こんな下劣な身分の少年に犯されて⋯⋯♥︎)
◇ ◇ ◇
――母后マリンジェンヌを乗せた船団が行方知れずとなってから四年後、アバドーン島の浜辺を子連れの妊婦が歩いていた。
太陽光に焦がされた生肌は浅黒く染まっている。皮膚には焼き印だけでなく、いくつもの刺青が彫り込まれた。出産の度に刻まれた生母の証である。
すっかり変わり果ててしまったが、キングハイラル王家の特徴である黄金髪は輝きを失っていなかった。
「ねえ。お母様。どうして私の髪は金ピカなの?」
無邪気な娘は母親に質問する。今年で三歳になる娘は、物知りな母親に疑問を投げかけるのが好きだった。
「⋯⋯海の向こうでは金髪の人間がたくさんいるわ。妾は島の外から流されてきた異人。だから、妾達は髪の色が他の人とは違うのよ」
マリンジェンヌはウォルフとの間に産まれてしまった娘を撫でる。辱めで出来た子供なのに、とても愛くるしい素直な娘だった。
「私はお母様の子供から髪が金色なんだ!」
「ええ。親は子に似るわ」
マリンジェンヌの腕に抱かれた二人目の子供。去年の終わりに産まれた乳飲み子は母乳を頬張る。ウォルフとの間に産まれた第二子は男児だった。この子供も金髪だ。
「じゃあ、お母様のお腹にいる赤ちゃんも髪が金色?」
三人目の子供はまだ産まれていない。マリンジェンヌの胎内ですくすくと育っている。腹は大きく膨らんでいるが、まだ出産までは数ヶ月かかりそうだった。
「そうね。母親似なら金色の髪だと思うわ。でも、父親似なら黒髪で、肌の色も妾達より色濃くなるでしょうね」
マリンジェンヌは大海原の水平線を眺める。絶海の孤島アバドーン島からは、生まれ故郷の大陸は見えない。青々とした海だけが広がる。
外洋に潜む怪物がいる限り、何者もアバドーン島には侵入できず、逆にアバドーン島から逃げ出すことも叶わない。
「お母様! 見て! あっち!! 人が倒れてる!」
数年に一度、幸運な遭難者がアバドーン島に流れ着く。怪物に船を壊され、木片にしがみ付き、運良く見逃された者。けれど、この島で生き残れるかはさらなる試練がある。
「あら。この娘は遭難者だわ。白い肌の女。外からの異人ですわね。⋯⋯長老に知らせないといけないわ。祓胎祭か生贄祭か⋯⋯どちらを開くのかしら⋯⋯?」
「お祭り? お祭りを開くの!? ねえ、お母様! 私ね! お祭りを見てみたい! お父様が祭主をするところを見たい!」
「ダメよ。まだ早いわ。子供に見せるようなものではないの。もう少し成長したら、連れていってあげるわ」
マリンジェンヌは遭難者の額に爪で傷を作る。穢れた異人の印。四年に自分がそうされたように、キルアヌイ族の呪いを行う。
「――ようこそ、アバドーン島に♥︎」
部族の文化に帰化させられてしまった母后マリンジェンヌは一生涯をアバドーン島で過ごした。
狼憑きウォルフとの間に産まれた子供の一人が絶海アポルオンを渡り、戦乱の渦中にあったキングハイラル王国の救世主になるは、また別のお話である。