2025年 1月21日 火曜日

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【202話】特級冒険者からのお手紙

NOVEL亡国の女王セラフィーナ【202話】特級冒険者からのお手紙

  ウィルヘルミナはベルゼフリートに手紙を渡した。

「なにこれ? 僕宛の恋文?」

 幼帝は肩を竦めておどける。帝国宰相は微笑で返す。

「そうとも言えますね。帝都の冒険者組合が送ってきた陛下宛の請願書です。宰相府で内容を確認しています。ご覧になってください」

「えぇっ~。 冒険者組合⋯⋯? 恨み言が書かれてそう。あ! まさか! 言っておくけど、ララノア達は返さないからね! 黄葉離宮の大切な側女なんだ。セラフィーナだって困るじゃん」

「黄葉離宮の女仙はお気に入りですか?」

「もちろん。だって、黄葉離宮の女仙は変わり種だからね。面白いもん」

 ベルゼフリートは黄葉離宮で働き始めた五人の女冒険者を気に入っていた。美女五人が揃った凄腕冒険者パーティーの処女膜は一夜で散った。そのうえ、ベルゼフリートは全員を一発で妊娠させた。

 セラフィーナの黄葉離宮に足しげく通っていたのは、帝都で名を馳せた彼女達の冒険譚を聞くのが楽しかったからだ。

(冒険者の引き抜きがルール違反なのは知ってるよ。でも、ララノア達の合意は取り付けたし、僕の出生を知ってる時点で自由にはできない。僕なりに責任を取ったつもりなのに⋯⋯!)

 冒険者の自由に名残惜しさを覚えていたララノアですら近頃は淫欲の虜だった。腹に子を宿したのが大きいだろう。長命種のエルフは生殖能力が低く、滅多に妊娠しない。エルフ達は懐妊を特別な出来事と解釈する。

「冒険者の引き抜きに関して、ギルドマスターからの苦情は耳にしています。しかし、ララノア達が後宮入りを合意している以上、抗議まではできないでしょう」

「ふぇ? じゃあ、この手紙は何なの? 抗議じゃないなら、何の嫌がらせ?」

「陛下への直願じきがんです。ギルドマスターは頭を下げて頼んできています」

「頼み? 僕に? それはそれで⋯⋯嫌な予感がする。地下都市ラビュリントスの観光だったらいいな。えーと、なになに⋯⋯」

 ベルゼフリートは帝都アヴァタールの冒険者組合が送ってきた手紙に目を通す。送り主は組合長のギルドマスター。即位式や式典などで会ったような気もするが、まったく覚えていない。

「帝都のギルドマスターってどんな人だっけ? ありゃりゃ? この手紙、よく見たら特級冒険者の連名じゃん。ネクロフェッサーとノエル・ウェイジャー! へえ、気合い入ってるね。ちょっと興味が湧いた」

 ギルドマスターなんかよりも気になったのは連名で記された二人の大物。〈ネクロフェッサー〉と〈ノエル・ウェイジャー〉が連名で記されていた。

 メガラニカ帝国に二人しかいないの称号持ち。この二人とはベルゼフリートも面識があった。

「えーと⋯⋯。ん⋯⋯んぅ? ん? なにこれ? 要するに⋯⋯お金くださいってこと? うわー。数字がいっぱいだ。すごい桁数っ⋯⋯! とんでもない金額だよ!」

「帝国金貨で換算すると一千億枚以上となります」

「手紙の内容だけどさ。つまり、僕は冒険者ギルドからお金をせびられてる?」

「はい。大規模な財政支援を求められています」

「うん。こりゃ無理だね。この金額は僕じゃ無理! 国か大貴族に縋ることだね。僕はどっちも動かせない。よし! お仕事終了!」

 手紙の内容は経済的支援を求める懇願だった。冒険者組合の組織改革に必要な金額、それによって得られる経済効果や恩恵が長々と綴られていた。狸皮算用だったので後半は読み飛ばしている。

「こういう政治案件は宰相府の仕事じゃないの? 旧帝都の魔物退治で協力してもらったから、そりゃあね? 支援はしてあげたいよ。でも、無理なものは無理! 金額が大きすぎるよ。僕じゃなくて議会に陳情してよ。評議会と国民議会! 皇帝は財政を動かせないんだからさ」

 ベルゼフリートの言い分は正しかった。メガラニカ帝国は厳格な法治国家だ。国家予算を付けてもらう場合、両議会での承認が不可欠となる。

「あれれ? おかしいや。ちょっと待った! 帝都のギルドマスターなら議会制度は分かりきってるはずでしょ。どういうつもりなんだろ? 権限のないお飾り皇帝に頼み込まれても不可能だ。分かりきってる。僕になんで無理難題を⋯⋯? 手の込んだ嫌がらせ?」

「メガラニカ帝国のであればその通りです。しかし、冒険者は知恵を働かせました。悪知恵ともいうでしょう。陛下、手紙の宛名をよく見てください」

「宛名? ベルゼフリート・メガラニカ。悪筆だけど綴りは間違ってないね」

「肩書きです。ほらここですよ。メガラニカ帝国の皇帝宛ではなく――」

「西アルテナ王国の国王? それにセラフィーナの名前もある。アルテナ王国の国王夫妻に宛てた手紙⋯⋯? 皇帝宛てじゃない」

「その通りです。帝都の冒険者組合はに助力を求めています」

「常識的に考えておかしくない? メガラニカ帝国の冒険者ギルドがアルテナ王国に助力を求めるって⋯⋯。外国だよ? いや、僕が君主で、女王のセラフィーナは帝国の愛妾だけど⋯⋯ん? 統治的にどうなの? それ?」

「帝国憲法の条文上、ベルゼフリート陛下はメガラニカ帝国の資産は動かせません。しかし、アルテナ王国の資産であれば可能です」

「うわぁ。きな臭い話になってきた」

「ベルゼフリートはアルテナ王国の王位を得ております。セラフィーナ女王と娶られたのですから」

「お目当てはセラフィーナのお金なんだ。さすがは冒険者ギルド。目の付け所が違うや。そういえば白月王城の宝物庫は、金目の物がいっぱいあった。アルテナ王国って小国のわりに富裕国だったのを忘れてたよ」

 ベルゼフリートは昨年末、白月王城で開かれた調印式を思い出す。ガイゼフからセラフィーナを寝取り、アルテナ王国の王位を奪い取った。女王セラフィーナは皇帝ベルゼフリートを夫と認め、正式な夫婦になったばかりだ。

「この莫大な金額⋯⋯。セラフィーナのお財布⋯⋯。つまりアルテナ王国に捻出させる気なんだ。実質的な戦後賠償じゃん」

 アルテナ王国の王位はセラフィーナが産んだ三つ子の長女セラフリートに継承させる予定だった。しかし、セラフリートは産まれたばかりの乳児。現状はセラフィーナとベルゼフリートが国王夫妻であった。

「アルテナ王国に議会制度はありません。国王夫妻の許しさえあれば巨額の予算を組めるでしょう」

 ウィルヘルミナは口角を吊り上げて笑う。アルテナ王国は君主の権限が大きい。セラフィーナとベルゼフリートの二人が命じれば、家臣達の意思など関係なかった。

「法の抜け穴じゃない? 戦後賠償を一切取らないと約束した講和条約だってあるのに⋯⋯」

「アルテナ王国の西部はメガラニカ帝国の保護国です。総督府の許可が必要ですが、そちらの手続きは完了しています。快諾してくださるでしょう」

「根回しが早いこと。全貌がやっと分かってきた」

 西アルテナ王国は併呑こそ免れたが、メガラニカ帝国の傀儡政権に統治されている。しかし、実権は占領政策を展開する総督府が握っていた。

「こんな裏技で帝国議会の承認を素っ飛ばす気? 保護国にはなってるけど、西アルテナ王国はメガラニカ帝国の領土みたいなもんだよ。女王のセラフィーナが僕に付き従っている限りはさ」

 メガラニカ帝国には二つの議会がある。帝国全土から選ばれた議員で構成された国民議会。もう一つが女仙の妃達からなる評議会。重大な決定は議会を通さなければならない。

 目の前にいるサキュバスの美女は、国民議会および評議会の議長を兼任する帝国宰相であった。軍事と司法を除く、強大な権力を握っている。

「アルテナ王国の主権を尊重します。それが三皇后の決定です」

「なんて見え透いた屁理屈だ⋯⋯」

「人聞きが悪い。合法です。適法です。順法精神に溢れた政治判断です」

 理屈の上では他国の金。メガラニカ帝国の議会は口出しできる立場にない。しかし、それは法律上の方便である。

(ウィルヘルミナは冒険者組合の提案を受けるつもりみたいだ。三皇后が決定したなら、レオンハルトやカティアも賛成か。それじゃあ、僕も従うしかない。金貨が一千億枚以上の援助? ちょっとどうかと思う)

 そもそも三皇后の許しがなければ、冒険者組合の請願はベルゼフリートの耳に届かず、握りつぶされていたはずだ。

「了解。グレーな気がするけど、僕はお利口な皇帝だ。三皇后の助言に従うよ」

 併合を狙っていたにも関わらず、都合がいいときだけはアルテナ王国を他国と扱う。政治家らしい発言だとベルゼフリートは苦笑いするしかなかった。

 お飾りの皇帝は三皇后の助言という名の命令に従う。冒険者組合の手紙を渡してきたのだ。これはメガラニカ帝国としての決定事項だった。

「今回の財政支援はあまりに巨額です」

「うん。とんでもない金額だ。これなら大きな城塞都市を一つ作れそうだ。西アルテナ王国の人達がなんて言うだろうね」

「ベルゼフリート陛下だけでなく、アルテナ王国の女王にも賛同いただかねばなりません。共同統治者ですから、その辺りはしっかり手順を踏みましょう」

「それが僕のお仕事ってわけ?」

「はい。セラフィーナの同意を取り付けてください。ただし、無理強いは禁止です」

「紳士的に? 自信はあるけど、セラフィーナに断られたらどうする? アルテナ王国のお金だから、さすがに警戒されそう。なにせ金額が⋯⋯国家予算だもん⋯⋯」

「陛下の手練手管で説得してください。お得意でしょう?」

 遠回しであったが、要するにウィルヘルミナは「言いくるめてほしい」とベルゼフリートに頼んでいた。

「王妃や公妃を差し置いて、セラフィーナを今日の伽役で準備させてたのはこのため?」

「おや? 陛下のご希望に沿っていたはずです」

(セラフィーナには言わないけど、ウィルヘルミナに誘導されたんだよね。水着のプレゼントも⋯⋯。あの時にはもうこの流れが既定事項だっただろうねぇ。恐いな。政治ってのは⋯⋯)

「妃達からの不満や苦情は処理しておきます。本日の午後と夜は存分に黄葉離宮の女仙とお愉しみください」

「セラフィーナの承諾をもらう期限はどれくらい?」

「可能な限り早めにお願いいたします。今日中にとは申しません。一ヵ月以内であれば冒険者組合は大喜びするでしょう。私も喜ばしいです」

「一つ質問。アルテナ王国の財産は押さえてるはず。どうしてこんな回りくどいことを? 強制的に接収しちゃえばいいじゃん」

「冒険者組合側の都合です。彼らは薄汚れた金を受け取りたくないと言っています。メガラニカ帝国と違って、冒険者ギルドは他国との交流があるのです。体裁がお大事なのでしょう」

「国家権力に擦り寄ってる時点で体裁はもう底でしょ。敗戦国からむしり取るのは世間体が悪いよ。僕だってそこまでするのは気が引ける」

「おやおや? 人妻だった女王を簒奪するときは、あれほどやる気を見せていらしたのに。心優しくなれましたね」

「そりゃあ、僕はアルテナ王国の王様だよ。主君の責任感かな。妻であるセラフィーナと共にアルテナ王国の生命と財産を守る義務がある」

「本職はメガラニカ帝国の皇帝であることをお忘れなきようお願いいたします」

「話は分かったよ。セラフィーナに頼んでみる。でも、一つだけ確認。これって詐欺の片棒じゃないよね?」

 メガラニカ帝国はアルテナ王国との戦争に勝利したが、賠償金は得られなかった。投資や融資を名目に、敗戦国から多額の資金を奪うつもりなのではないか。そう考えるのは当然の考察だった。

「投資にリスクは付き物です。リターンを得るのなら、セラフィーナには決断をしてもらわねばなりません」

「投資ね⋯⋯。それと無理強いはしない。それでいいんだよね」

「はい。よくご相談されてから、セラフィーナには決断をしてもらいましょう。祖国の命運は再び女王の手に委ねらました」

 妖艶な帝国宰相は疑ってくる幼帝の耳元に甘い吐息を吹きかける。サキュバスの色香は猛烈な催淫効果を発揮する。萎んでいた巨根が復活し、膨れ上がった海パンは今にも股間部分が張り裂けそうだった。

「ネルティは陛下をご満足させなかったようですね」

「これから昼食だよ?」

「私は大好物を最初に食べるタイプです。最後まで取って置いたら誰かに盗み食いされてしまいます♥︎」

 ウィルヘルミナの綺麗な指先が海パンを捲り上げてくる。股間に侵入し、ベルゼフリートの男性器をねちっこく撫でる。 口紅が塗られた朱唇は唾液で濡れていた。

「ふふっ♥︎ 可愛い陛下のオチンポ⋯⋯♥︎ いただいきま~すぅ♥︎」

 ウィルヘルミナは男根に吸いつき、股間に顔を埋めた。リスのように頬を膨らませて咥え込む。舌先が亀頭を刺激してくる。

「んぢゅっ♥︎ ぢゅぶぅ♥︎ ぢゅっぼぉぅっ♥︎」

 射精を飲み干す度、ウィルヘルミナの長い尻尾が悦びで舞を踊った。余暇は仕事を忘れられる貴重な一刻ひととき。飢えた淫魔は愛する少年の精液を堪能した。

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