ケーデンバウアー侯爵家はアレキサンダー公爵家と並び称される軍閥の名家。
死恐帝時代に民を守った先代ケーデンバウアー侯爵は、護国の英雄と呼ばれ、現代にいたっても勇名を轟かせ、滅私奉公の献身は語り継がれている。
メガラニカ帝国が旧帝都ヴィシュテルの放棄を決断してからの約五〇〇年間、ケーデンバウアー侯爵家の騎士団は屍都から溢れ出る亡者を封じ込めた。
死恐帝の災禍が鎮まった今もなお、ケーデンバウアー侯爵家の騎士団が廃都ヴィシュテルの警戒任務にあたっている。
「先輩、あいつらは何です? 冒険者っすかね?」
ケーデンバウアー侯爵家に仕える若輩の騎士は、奇妙な集団を怪しげに眺めた。騎士団の駐屯地でふてぶてしく居座り、何やら団長と揉めている。
廃都ヴィシュテルの警戒任務は通常の軍務と異なり、魔狩人や冒険者と協力する機会が多かった。
宰相府から許可を取り付けた研究者、大神殿の巫女が慰霊で訪ねてくることもある。しかし、その一団は今までに見たどんな集団よりも奇異に映った。
「若造のお前が知らんのも無理はないな。奴は天文監察補助隊。特級冒険者ネクロフェッサーのクランに所属する配下だよ」
騎士団の中隊を指揮する老輩の騎士は、支給品の煙草に火を付ける。その口ぶりに冒険者の最上位への敬意は一欠片も感じられなかった。
「特級冒険者⋯⋯! 初めて見ました。へえ、一級冒険者とは別格って感じっすねぇ」
「⋯⋯別格というよりは別次元だ」
周囲の騎士達も同様だった。魔物や犯罪者には臆せず、果敢に戦う精鋭の騎士達が気味悪がっている。
直立不動で突っ立っている天文監察補助隊は呼吸をしてるのかさえ怪しい。
「ネクロフェッサーの名を聞いたことはありますけど、冒険者って風体には見えませんね」
「普通じゃねえのさ。アレは」
「全員が同じ装備だ。しかも、あんな大所帯で行動してるんですか⋯⋯? 冒険者のチームって六人以内が推奨だったはずじゃ?」
「天文監察補助隊は群だ」
「へ⋯⋯? ぐん? 私設の軍隊なんですか?」
「そっちの軍じゃねえ。集団ってことになってるが中身は一人。騎士団を引退した爺さん達が言ってたよ。その通りなんだろうな。味方なのは分かるが⋯⋯不気味だ。星詠の大聖ネクロフェッサー。お近づきになりたいとは思わん」
「中身は一人? えぇ? しかも、爺さん達から聞いたって⋯⋯ネクロフェッサーはいつから特級冒険者をやってるんです?」
「一〇〇年以上前からだ。廃都ヴィシュテル解放戦で生還した一人。なんせ特級だからな。一級までは常識の範疇だが、特級認定されるような輩はバケモノさ。帝国の冒険者組合ですら、特級認定者はたったの二人。特級は大陸に十人といないって噂だ」
「⋯⋯そんな凄い特級冒険者様が旧都ヴィシュテルで何をしてきたんです?」
「宰相府が冒険者組合に旧都ヴィシュテルの調査を秘密裏に依頼したって話だったのさ。当初はな」
「当初は⋯⋯?」
「うちらの団長は通してやった。ところがだ、持ってきた許可証をよくよく見てみると奇妙な点があった。気になった団長は帝都のケーデンバウアー様に問い合わせた」
「侯爵様は何と言ってきたんですか?」
「宮中でも話はまったく通っておらず、軍務省は困惑した。宰相府にすぐさま確認を取ったさ。そしたら、調査依頼を冒険者組合に出してないって返ってきた」
「はァ!? それってまさか⋯⋯!?」
「そのまさかだった。ネクロフェッサーの野郎は依頼状をでっち上げて、旧都ヴィシュテルの調査をしてきたらしい。ダシに使われた冒険者組合も怒髪天だ。公文書偽造の犯罪行為をド派手にやらかして、威風堂々と帰還しなさった。とんでもねえ奴だろ?」
「いくら特級冒険者だからって許されるんですか⋯⋯? そんなの⋯⋯」
「普通は許されねえよ。だが、特級冒険者ってのは始末が悪い。よっぽど貴重な情報を持ち帰ってきたらしい。宰相閣下は今回の件を不問にすると言い出してる。⋯⋯もしかすると最初から仕組まれてたのかもな。何にせよ、このままだと奴はお咎め無し。我らの団長は『やってらんねー』とブチ切れさ」
「特級冒険者ネクロフェッサーが持ち帰った貴重な情報⋯⋯。先輩は聞いたんですか?」
「さてね。だが、宰相府の名前を無断利用した挙げ句、ありとあらゆる文書を偽装しながら、免罪される。それだけの価値があるらしい」
「上が決めたことですしね。釈然としませんが、どうにもなりませんよ。⋯⋯じゃあ、あれは何を話し合っているんですか?」
「あそこで揉めてるのは魔狩人の連中だ。自分達にも情報を共有しろと噛み付いてる。ネクロフェッサーは帝嶺宮城の内部に辿り着けなかったらしいが、相当深くまで踏み込んだようだ」
「廃都ヴィシュテルから平然と帰ってこれるのはさすが特級冒険者ですね。数年前に魔狩人が調査隊を送ったときは半分も帰ってこれなかったのに」
「問題は奴が何を見てきたのかだ⋯⋯。ここ最近の廃都ヴィシュテルは不穏だった。やり方に問題はあるが、誰かしらは調査に行くべきと思っていた」
老輩の騎士は携帯灰皿に煙草を押し入れた。
不穏な気配は誰もが感じ取っていた。再三にわたる魔狩人の警告を受け、帝国軍は魔狩人と共同で調査隊の派遣を検討していた。
魔狩人は国家とは関わり合いを持たない。そうした制約を誤魔化すため、調整を重ねている最中の出来事だった。
特級冒険者ネクロフェッサーは法律を踏み躙り、あらゆる規則を木っ端微塵に砕き潰して、魔物が支配する廃都ヴィシュテルに潜入した。
独断専行に走った切っ掛けは、キャルル・アレキサンダーによる聖者殺しのマルファム討伐を耳にしたからだった。
大陸中央部でしか被害例がなかった上位種の魔物が、前触れもなくメガラニカ帝国の内地に出没した。
特級冒険者の嗅覚は最悪の事態を予想し、強硬手段を使うと決めた。
著しく順法精神に欠けているが、特級冒険者ネクロフェッサーは人類の利益を最優先とする。彼が持ち帰った情報は魔物を統率するレヴェチェリナの存在を暗示していた。
◆ ◆ ◆
一方その頃、ベルゼフリートは姦計の渦中にいるとはつゆほど知らず、セラフィーナの熟れた肉壺で猛る性欲を発散させていた。
グラシエル大宮殿の大回廊に呼び出されたセラフィーナは、白肌が薄らと透けて見えるシースルーのパーティードレスを着ている。
漆黒の布地は真っ白な美肌を引き立て、蠱惑的な肉体の色気を鮮烈に醸し出す。
一歩一歩、焦らすように足を進める度、ゆっさゆっさと揺れる大きな乳房。スカートの裾を上下に割る切れ目から見え隠れする長い美脚。腰の括れはくっきりとした曲線を描き、豊穣に実った艶尻が深い渓谷を生み出している。
セラフィーナが待ち合わせ場所に辿り着いたとき、ベルゼフリートの股間は盛り上がり、今にも脚絆が破れそうな臨戦状態だった。
「くすくすっ! その破廉恥な格好は男を誘ってるよね?」
ベルゼフリートは挨拶を省き、パーティードレスのスカートに手を差し込んだ。指先は愛液でずぶ濡れの秘部へと伸びる。勃ちっぱなしのクリトリスを優しく撫でられ、吐息が熱っぽくなる。
「あぁっ♥︎ そんな⋯⋯こんなところでいきなり⋯⋯♥︎」
「準備万全な淫乱オマンコのくせによく言うよ。くすくすっ! 態度に出すぎじゃない? 僕のオチンポ目当てで喜び勇んで来たんでしょ?」
「んぃっ♥︎ そんなわけじゃぁ⋯⋯あんっ♥︎」
「素直に本音を言わないとオチンポあげないよ?」
「あぁっ♥︎ はぁいっ♥︎ そうですわァ♥︎ 欲しいっ♥︎ 陛下のオチンポが欲しくて堪りませんのぉっ♥︎」
「まるでオナニーした後みたいに下着がグジュグジュのグヂュグヂュ♪ セラフィーナは僕とラブラブのセックスするためなら、生まれ育った祖国も捨てられる売国妃だもんね?」
「んぁっ♥︎ 意地悪ですわ♥︎ はぁんっ♥︎ 私をこんな淫らに変えてしまったのは陛下ですのにィ⋯⋯♥︎」
セラフィーナは耐えきれずに、ベルゼフリートの革ベルトに指先を伸ばした。バックルを緩めて、脚絆のファスナーを下ろした。
爪先で素肌を傷つけないようにゆっくりと掴む。
(大きい⋯⋯♥︎ 陛下はこんなに小さくて可愛いのに、逸物だけは巨大ですわぁ♥︎ 私を卑しい女に変貌させた男根⋯⋯♥︎)
小さな背丈に不釣り合いな子馬並の極太巨根。清らかな心根の国母をセックス中毒にさせた淫棒は、雄々しく勃起している。
「本当は温室御苑で抱くつもりだったんだ。でもさ、念のために誰かが潜んでないか調べてるんだって」
「ヴィクトリカがいるかもしれませんものね。ふふっ♥︎」
「そうだったら面白いね。くすくすっ! まあ、実際はさ、貴重な植物があるから、専門の使用人じゃないと維持ができないんだ。例外的に出入りを認めてるらしい。開園までちょっと時間がかかりそう。だけどさ、僕らはもう我慢できないよね?」
ベルゼフリートはセラフィーナの下着を逸らし、膣穴に指先を突っ込む。肉襞が指に絡みつき、悦びで全身を震えさせている。
「皇帝陛下が望まれるがままにっ♥︎ 私はベルゼフリート様の端女、性奴隷なのですから⋯⋯♥︎ 犯し尽くしてくださいませ♥︎」
淫乱な肉体が次に求めるのは剥き出しの男根。抑制ができなかったセラフィーナは、ベルゼフリートを強引に抱きしめてしまった。
「はぁはぁ♥︎ はゅぅ♥︎ 陛下♥︎ 陛下ぁ♥︎ はやくぅっ♥︎」
周囲にいる護衛の面々がほんのわずかに動いた気がした。
「危ないなぁ。そんなに激しく迫られたら、護衛が驚いちゃうよ。もしかしてさ、大勢に見られて昂ぶってるの?」
「ふふっ♥︎ 陛下はお忘れなのですか? 私は大勢の家臣団に出産を見せつけたアルテナ王国の女王ですわ」
パーティードレスの切れ目からベルゼフリートの下半身を迎え入れる。
金色の陰毛が茂った女陰は亀頭に近づいていった。丸出しにさせた男根を咥えようと、さながら捕食者のように姿勢を沈める。
「そういえばそうだった。次の赤ちゃんも楽しみにしてるよ。男の子、王子が欲しいんでしょ?」
「あぁっ♥︎ んんぁ♥︎ 絶対に産みますわ♥︎ 四人目の御子♥︎ 国同士の都合ではなく、私と陛下が愛し合った末に生まれる愛しの赤児⋯⋯♥︎ んぅっ♥︎ はぁはぁっ♥︎ 陛下と私は家族♥︎ 誰にも不義の子とは言わせませんっ♥︎」
つま先立ちになってベルゼフリートはポジションを上げる。身長差を埋めるため、セラフィーナは両脚を屈曲させて、股に挟み込んだ男根との合体を果たした。
「んぁっ♥︎ んうぅっ~~♥︎」
普段は美術品の観覧者で賑わう大回廊に嬌声が反響する。対面立位で年下の少年を犯す。十四歳の小さな男の子。しかし、実際の年齢はもっと幼い。母親に甘えるのが当たり前の年頃だ。
セラフィーナはベルゼフリートを離さない。頭上に自慢の爆乳を乗せて、両手で下半身を掴んだ。飢えた捕食者のごとき貪欲さで幼年の皇帝に求愛する。
「んぁっ♥︎ すごいっ♥︎ 陛下っ♥︎ いつもよりも敏感に反応してしまいますわぁっ♥︎」
「セラフィーナの膣内、すごいや。火傷しそうなくらい熱々だ。とろけちゃいそう」
「陛下のぶっといオチンポぉ♥︎ 子宮の奥まで届くぅ♥︎」
体格で勝るセラフィーナは軽々と矮躯のベルゼフリートを抱きかかえられる。つい数ヶ月前まで三つ子を胎に抱えていたと思えば、倒れまいと乳房にしがみ付く幼帝の体重は軽かった。
(んぁっ♥︎ もっとぉ♥︎ もっと気持ち良くなりたいですわぁっ♥︎ この子の肉体に封じられた荒ぶる魂を癒やしてさしあげたいっ♥︎ 私の胎内に吐きだしてぇっ♥︎)
膣道に囚われた陰茎がビクッビクッンと痙攣を始める。射精の前兆だった。
「まだ始まったばかりなのにっ⋯⋯やばっ⋯⋯限界かもっ⋯⋯! あっ、ぅっ⋯⋯セラフィーナの動きがはげしすぎて⋯⋯!!」
「偉大な皇帝陛下♥︎ 愛しのご主人様♥︎ 最愛の旦那様♥︎ 私に身を委ねてください♥︎ 我慢なんてなさらずっ♥︎」
セラフィーナの乳房を掴んだベルゼフリートの両手に力が込められる。
「もっと強く、乱暴にしがみついて構いませんわ。私の乳房は陛下の所有物♥︎ 陛下をお静めするための身体ですわ♥︎」
「はぁっ⋯⋯くっ⋯⋯セラフィーナぁっ⋯⋯! ぼくっ⋯⋯!! 出したいっ! 出すっ! セラフィーナのオマンコの一番奥に! はぅうぅっ⋯⋯!」
「んふ♥︎ んぁっ♥︎ さあ、いっぱいお出しくださいませ♥︎ 私のオマンコにっ♥︎ んぁっぁんううぅぅぅうぅっ♥︎ んんんぅううう~~♥︎ 子壺が満たされるゅうっ♥︎」
今までに愛した誰よりも強く抱きしめ、グイッと踏み込ませ、隙間を無くしてしまう。周囲を固める護衛の面々が妬ましげな視線を向けてくるのが心地好かった。
(⋯⋯あぁ♥︎ 陛下が絶頂しているわ♥︎ いいえ、今だけは私のベルゼ♥︎ 可愛らしく、気持ちよさそうに身震いしていますわぁ♥︎)
巨大な乳房の陰にいるせいで、セラフィーナからベルゼフリートの表情は見えない。だが、子壺を満たす精液の勢いで、どれだけ気持ち良くなってくれているかは想像が浮かぶ。
(ふふっ♥︎ 出会ってからほんの一分足らずで射精させてしまったわ♥︎ 視線を感じて敏感になっているのは、この子もかしら? 本当に可愛いですわ♥︎)
遙か彼方の廃都ヴィシュテルにいる悪しき魔女が、情愛の逢瀬を盗み見しているとは、誰も気付いていなかった。通常の魔術や神術であれば女仙達が即座に見破っている。
レヴェチェリナの水晶玉が映すのは、破壊者ルティヤの荒魂が知覚した存在だけである。特定条件下でのみ、ベルゼフリートの周囲を映し出す。
超常の存在である破壊者ルティヤを介在させているため、優れた神術師である神官ですら勘付けなかった。ここまではレヴェチェリナの思惑通りだったが、予想外の現象が起きてしまう。
絶頂の余韻に浸るセラフィーナは奇妙な光景を幻視する。
(⋯⋯え? これは⋯⋯? 何なの⋯⋯? 誰かの記憶⋯⋯?)
レヴェチェリナは己の子宮をセラフィーナに寄せている。対偶構造の女性器は共時性同期で繋がる。
ベルゼフリートと性交中のセラフィーナは、破壊者ルティヤを介して魔女の記憶を盗み見た。
遠隔視にはリスクが存在する。深淵を覗く者は深淵に覗かれているのだ。セラフィーナの脳内に記憶の映像が流れる。
――最初に見えたのは祭壇で浮遊する骨片だった。
おぞましい力で変色した恐ろしい骨。どの部位なのかは分からないが、人体を構成する骨の一部に思えた。なぜか懐かしい感情が沸き起こる。望郷の匂いがした。ほのかに湧いた母性愛で胸が熱くなる。
――漆黒の影と牛頭の怪物が何やら話している。
人外の魔物だと本能で分かった。かつて追体験したベルゼフリートの過去で見た蝿の怪物を連想した。熟達の魔狩人を惨殺した破壊者ルティヤの顕現体。それよりは数段劣るが、恐ろしい怪物だと一目で理解できた。
――奇妙な格好の剣士が番犬の死骸を切り刻んでいた。
凄惨な光景だったが、不思議と嫌悪感は抱かなかった。番犬の死骸は獰猛を通り越して、凶悪な気配を放っている。「ここまでだな。城内に入りたかったが残機を使いすぎた。地脈と気脈の異常滞留。原因は帝嶺宮城で間違いない。見張りの合成魔獣。まさか人造か? きな臭い。統率者がいるのは間違いな⋯⋯。貴様、屍の眼で覗いているな」見られていると勘付いた剣士は番犬の目玉を踏み潰した。
幻視が暗転する。映像は途切れてしまった。
前触れ無くセラフィーナに流れ込んだ記憶の断片。脳裏に浮かぶ映像の源流は子宮だった。レヴェチェリナが意図せず漏洩させてしまった情景をセラフィーナは垣間見てしまった。
(単なる白昼夢? それとも私は以前と同じ体験をしたの⋯⋯?)
理解できるはずがなかった。似たような経験はあったが、さきほど見た光景がベルゼフリートの過去とは思えなかった。
精神世界の刹那に生じた一瞬の幻。すぐさまセラフィーナは現実世界に引き戻されてしまう。流入した記憶は薄らぎ、ベルゼフリートの鼻息荒い声が聞こえる。
「セラフィーナ⋯⋯! まだ欲しいのっ? 前哨戦で本番じゃないのにさっ! どんだけ飢えてるわけ? 淫乱オマンコの締まりがすごいよ⋯⋯! はぁはぁ⋯⋯やばっ! ぼくっ、まだ射精してる途中なのに、また出しちゃう! んっ! んくっ!」
「んんあぁっ♥︎ 陛下ぁっ♥︎ ベルゼフリート陛下っ♥︎ はぅっ♥︎ んぁぁあぁっ♥︎ んぎっ♥︎ んふぅんぁっ♥︎ あぁっ♥︎ んぁっ♥︎ んぁあんぅううぅっ♥︎ んぅぉおぉっ♥︎ おおっ♥︎ んお゛ぉぉっ♥︎」
膣内射精と同時に、ベルゼフリートの肉体から溢れた強大なエネルギーがセラフィーナを蝕む。女仙が発する瘴気の元凶。転生体の器に溜まった穢れを女仙は祓う。
ベルゼフリートがセラフィーナを喘がせている真っ只中、呼んでいた宮廷画家の庶務女官が到着した。
種族は小人族で身長はベルゼフリートと同じくらいだった。後ろ姿は少女だが、正面から見ると大人の女性だと分かる顔立ちをしている。
「⋯⋯⋯⋯うわ」
小柄な宮廷画家は昆虫の交尾を眺めるような冷めた表情を浮かべる。ニヤニヤと笑いながらセックスを見物している警務女官長ハスキーに訊ねる。
「あの~。皇帝陛下のヌード絵を描けるって聞いたのですが、これはどういう状況ですか? 陛下とパツキンのエロ美女がお愉しみ中なのは分かりますけど⋯⋯」
「よく来てくれました。描いてほしいのはセラフィーナさんがセックスで乱れてる姿です。記念にエロい絵画を残しておきたいのでしょう」
「えぇ。まさかアレを⋯⋯? 自分より美人な女性を描くのって苦痛です。胸デカ、手足も長過ぎ。あんなの見せつけられたら創作意欲が失せてしまいますよぉ」
「⋯⋯それでよく宮廷画家の任用試験で受かりましたね」
「本職は陛下の衣装を作ってる裁縫師です。私ってショタ好きだから、小さな男の子を可愛くしたいんです。女官総長のご要望で女装した陛下を描いたときは最高でした。今回もそういう感じはダメですか?」
「陛下のご希望には沿っていません。宮廷画家なのですから手を抜かずにお願いします」
「ふぁい。了解で~す。ぱぱっと仕上げちゃいますねえ⋯⋯」
「気の抜けた返事ですね。⋯⋯作品の出来映えが良ければ、明後日以降、陛下のご指名が入れてくださりますよ? 創作意欲が湧かないのでしたら難しそうです。残念でしたね」
「ちょ、ちょっと! お待ちを! 全身全霊で描かせていただきます! そういう大切なことは最初に言ってください。警務女官長! 何枚でも描いちゃいます!」
宮廷画家の女官はさっそく準備に取りかかった。
「温室御苑が開園するまで待ってください。まだ前哨戦です。本番は始まっていません」
以前にも増して旺盛になったベルゼフリートの周囲を帝気が渦巻いている。血酒を飲んだ女仙にしか感じられぬ高貴な瘴気。射精をする度、セラフィーナの子壺に穢れが吸い込まれていった。
容赦なく浴びせかけられる子胤。しかし、妊娠にはいたらない。子宮上端の左右にある卵巣で蓄えられた卵子は放たれず、排卵は抑制されていた。
――妖術による不妊呪。
遙か彼方、棄てられた廃都ヴィシュテルに棲み着く悪業の魔女レヴェチェリナは、セラフィーナの得ている肉体の感覚、情交の愉悦を共有していた。
膣内に放たれた精液は、気付かれぬように掠め取る。表裏一体の子宮で繋がっているから成しえる芸当だ。祭壇に捧げられたリュートの屍骨に染み込ませる。
妖力で汚染された屍骨は器の核となる。死者は蘇らない。だが、生者の複製は可能だ。精子には肉体形成の遺伝子情報が含まれている。
リュート・アルテナの仙骨から血肉が湧き出した。血の繋がった実母セラフィーナ・アルテナが犯され、胎内に子胤が注がれるにつれて、肉体が形成されていった。
おぞましく、忌まわしい受肉の妖儀。出来上がろうとしているのは、ベルゼフリート・メガラニカと寸分違わぬ複製体は魂魄が脱け殻。このままでは死体と変わらなかった。
――だが、中身さえ宿ってしまえば本物となる。
破壊者ルティヤ転生体は移し替えが可能。ベルゼフリートの父親が証明していた。家族を殺された少年は狂気に陥り、最愛の母親を死姦し、相姦児を産ませた。
女仙に護られているベルゼフリートに同じ現象を起こさせるのは現実的と言えない。しかし、再現は可能だ。
レヴェチェリナは辛抱強く新たな器を育て続ける。セラフィーナの不妊呪を解く絶好のタイミング。その時こそ、反魂妖胎の祭礼を執り行う降魔の瞬間。人類を掃討する魔物の支配者が君臨する。