魔物の正式名称は「魔素汚染生物」である。
生命および文明を攻撃する絶対悪の存在――魔物。全ての魔物は魔素を宿す。魔素で汚染された魔物は、いくつかの共通特性を持つ。
殺戮衝動と破壊衝動は魔物の本能そのものだ。高度な知性体と文明を排撃する。それが魔物に与えられた役割であった。
攻撃対象は全ての生命体。植物や昆虫といった下等生物よりも高等な知性体を優先して狙う。この世界でもっとも高度な知性を持つ生命体は人類だ。ゆえに魔物は人類の天敵であり続ける。
人類は魔物を駆逐するために日夜研究を重ねている。だが、魔物の根絶は不可能だ。魔物は創造主によって生み出された世界の要素であった。
——世界の均衡を維持するために魔物は必要とされていた。
創造主は魔物が絶滅しないように祝福を授けた。魔物に毒は効かない。毒に対する絶対的な耐性を持っているからだ。そして、呪いの対象にもならない。創造主から殺戮と破壊を命じられている魔物は呪力を無効化する。
魔物は毒殺できず、呪い殺せない。
魔物を確実に殺す方法は、肉体そのものを滅ぼすことである。
人類は魔物を殺し続けてきたが、魔物がこの世から消えない。こうしている瞬間も増え続けているからだ。
——腹を大きく膨らませたシルヴィアの子宮内では、冥王の血を引く魔物の赤子が胎動していた。
「シルヴィアの子宮に宿った胎児は十三匹だ。孕み腹のほうはもうもっと大きく膨れそうだな。眷族は魔物の脚力を得る。身籠もったボテ腹でも歩き回れるだろうが、走り回ったり飛び跳ねたりするなよ」
ルキディスは我が子を宿してくれたシルヴィアの腹を撫でる。二人の血を引く愛しの魔物。出産日が近付くにつれて、シルヴィアは我が子への愛情が強まっていくのを感じていた。
「人間と比べれば魔物は丈夫だ。しかし、胎児のうちは弱い生き物だ」
妊婦のシルヴィアは、地下の異空間にある白い部屋の分娩台で診察を受けていた。囚われたとき、自白剤をアナルに注射された嫌な思い出のある部屋だった。
(ああっ♥︎ ご主人様にオマンコの奥を見られちゃってる♥︎ 愛液が漏れてくる……っ♥︎)
シルヴィアは両脚を左右に広げ、陰裂を晒している。秘部を見せる淫行に、以前ほどの恥じらいは感じず、むしろ淫悦にひたっていた。
かつては民を魔物から守る王都の警備兵だった。しかし、今のシルヴィアは冥王に従う魔物となった。
身籠もったシルヴィアを診察するのは、医学の知識も持ち合わせているルキディスだ。オマンコの穴を押し開ける膣鏡と呼ばれる医療具を使って、シルヴィアの膣内と子宮口を覗き込む。
(あんっ♥︎ 子宮が興奮してる……! ご主人様のオチンポを欲しがってるのが分かるっ……♥︎)
普通の人間が妊娠したときと変わらない診断方法だ。ルキディスは触診で念入りに外子宮口を調べる。子宮口の硬度や開大の具合で、おおよその出産日を予測できる。
「んぁ……♥︎ ご主人様様との赤ちゃん。十三匹もお腹にいるのね」
「胎児の数は心音で分かる。胎児があまりにも多すぎたり、卵で生まれるときは、心音で分からないケースもあるけどな」
「卵で生まれることもあるの? ニワトリみたいに?」
シルヴィアは卵を産む自分を想像する。卵なら産みやすそうではあるが、味気ない気がした。
「卵生もできるというだけだ。初産は母体への負担を考えて、普通の魔物を産ませている。変わり種で孕ませるのは、十分に産み慣らしが終わってからだ。シルヴィアはまだ魔物の姿を得ていない。眷族の肉体が完成するのは初産を終えてからだ」
ルキディスは冥王の血を継ぐ魔物を血族と呼んでいる。
血族の能力値は、母体と仕込んだ種のポテンシャルに左右される。優秀な母体に強い種を仕込み、数カ月の間、腹の中で育てれば強い血族が誕生する。
特に十カ月以上の妊娠期間を経て産まれた血族は、妊娠中に母体の記憶を追体験している。産まれた時から一定の知識を持った状態となっているため、教育をする必要がない。
シルヴィアは普通の子胤で孕まされたので、今回の出産で生誕する血族はごく普通の魔物だ。
「シルヴィアが産む子供は狼の姿をしている。言葉を喋ったりはしないが、言語は理解してくれるぞ。我慢弱く、すぐ人間を殺そうとする傾向はあるのが難点だ」
ルキディスはシルヴィアの膣を押し広げていた膣鏡を抜き取った。
「はぅ……っ♥︎」
淫事をしているわけでもないのに、生々しい喘ぎ声と雌の吐息が漏れてしまう。膣鏡にはねっちょりと愛液が付着して、糸を引いていた。
「初産が終わるまで、家で大人しくしてほしいな。だが、ふさぎ込んでマタニティブルーになられても困る。気分転換だ。今日は一緒に外出するとしよう」
ルキディスはシルヴィアを外に連れて行くつもりだ。約束をした以上は可能な限り守る。このためにわざわざ本国から黒馬車を届けてもらっていた。
外に出かけられると分かり、シルヴィアは満面の笑みを浮かべる。
診察を終えたシルヴィアは妊婦用の婦人服に着替え、お腹を冷やさないように妊婦帯を履く。大きくなった腹は、もう衣服では隠せない大きさだった。
これだけ膨らんでいると、三つ子や四つ子がお腹にいると説明しないと不自然なサイズとなっていた。警備兵時代の知り合いと出くわしてもバレないように、ルキディスから顔を隠すベール付きの婦人帽子を渡された。
「行こうか。シルヴィア」
「はい。ご主人様……!」
シルヴィアはルキディスの腕に抱き付く。こうして触れ合うだけで幸せだった。眷族化した影響も大きいが、何度もルキディスと交わり、妊娠したことで心境が変化した。
孕み腹のシルヴィアは愛情表現を憚らない。付き合い始めたばかりの若い恋人のように甘えてくる。ルキディスもシルヴィアの想いに応えて、尻を優しく撫でてやった。
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晴天の昼下がり、冥王と眷族の三人は王都から少し離れた湖へ向かう。
黒馬車を牽引するのは青銅の馬だ。青銅馬は、馬の形をした青銅製のゴーレムである。疲れを知らず、非生物であるため魔物を怖がらない魔石を燃料にして動く、魔術文明の利器だ。
車内にはルキディス、シルヴィア、ユファの三人が座っている。メイドのシェリオンは御者席で青銅馬の手綱を握っていた。
本来の青銅馬は御者が制御せずとも障害物を避けて走る。だが、一度壊れてしまったせいで、その機能は失われていた。修繕によって走行能力は元に戻ったが、御者が操らないと直進し続けるポンコツになってしまった。
「これから行く湖畔は人工湖らしいな」
「ええ。王都ペイタナの暮らしを支える水源として、大昔に造られた水瓶よ。ラドフィリア王国の都で暮らしているのなら、誰でも知っているわ」
「湖に猛毒を入れたら面白い惨事になりそうニャ。平和呆けしてる人間どもを殺したいニャ~」
「とっても面白い考えね。でも、大きな人工湖だから、毒を混ぜても薄まってしまうわ。上水道は浄水場を通るから無害化されるはずよ」
地下からの取水を制限しているため、王都ペイタナでは掘り井戸を見かけない。地下の水道管で運んだ清潔な飲用水を浅井戸に溜め込み、公共の水汲み場として利用している。
「そうにゃると、毒をいれるなら水道のほうが良さそうニャ」
「警備が厳しいけれど浄水場に侵入できれば、飲み水を汚染できるはずよ。水道の水を飲んで誰かが死んだら、王都は大騒ぎになるでしょうね。誰も水を飲めなくなる。毒で死ななくても渇きで沢山の人間を殺せるかも?」
「……ピクニックだというのに、貴様らは何て物騒な話をしているんだ? 窓の向こうの自然を楽しめ。そんな殺伐とした話題で盛り上がるなら、家にいるときと何も変わらないじゃないか」
「あら? ご主人様って変わってるわ。魔物なのだから殺伐としているのは当然じゃない。私を人殺しの魔物に歪めたのは、ご主人様のはずなんだけど?」
「そうニャ! 僕達の心優しい乙女心を穢したのは、ルキディスなのニャ!! 僕らが人間だったころは健全で清らかだったのニャ! 虫一匹殺せない聖女だったニャ!」
「シルヴィアについては責任を認める。だが、ユファは違うだろ……。まあ、俺が魔物の例外であるのは事実だ。冥王なんかよりも眷族のほうが純粋な魔物に近い考え方をするのかもな……。俺は殺戮衝動や破壊衝動が弱い。とても人間に近い存在なのだろう」
「魔物の王様なのに……?」
「冥王は人間の女を従属させる。その権能をシルヴィアは身をもって体験しただろう? 俺は人類に仇なす魔物だが、人間の女を愛する魔物でもある。矛盾の存在だ。本来、魔物が人間に向ける感情は殺意だけ。人間を愛する魔物は、この広い世界で俺だけだろうな……」
「愛の力で人類を滅ぼす。とってもロマンチックで素敵だと思うわ」
「ロマンチックか。物は言い様だな。ありがとう。褒め言葉と受け取っておく」
「そのつもりで言ったわ。ご主人様♥︎」
「ふっ……。シルヴィア、貴様が産む赤子には期待しているぞ」
ルキディスはシルヴィアの膨らんだ腹を撫でてやる。冥王の瘴気を感じ取り、胎児達が腹の中で蠢いた。子宮内に広がる羊水の海を幼い魔物が元気に泳いでいる。
「んにゃ? シルヴィアのお腹を赤ちゃんが蹴ったニャ。皮膚がぼよぼよ動いてるニャ~」
「このところ暴れているな。早く外に出せというわけか? 間違いなく母親似だ。俺は内向的な性格だからな」
「ねえ。ご主人様。私が産んだ子はどうするの? 私と同じで堪え性がないのなら、家で大人しく育つとは思えないわ」
「そうだな。ラドフィリア王国の都では育てられない。産まれた子供はサピナ小王国に送る。母親のシルヴィアには悪いが、我が子との交流はしばらく出来ない」
「サピナ小王国に送ってしまうの……」
「心配するな。サピナ小王国で血族を管理しているのはエリカだ。他の眷族が産んだ子供でも大切に育ててくれる。エリカは心優しい魔物だ」
ほかの眷族が産んだ子供であろうと冥王の子だ。主人の子を蔑ろにする臣下などいない。そもそも眷族は母娘愛がない。
あくまで冥王への忠愛の一部として、子供を大切に育てているだけだ。
生まれ落ちた子供は冥王の兵であり、時には使い潰す捨て駒だ。子供も自分達が使い捨ての尖兵だと理解していた。
「そう、そう。この前、サピナ小王国に送った苗床は活きがいいから実験台にするらしいニャ。サロメが手紙を送ってきたのニャ」
「カトリーナのことか? 苗床が産む下級血族は立派な戦力だ。苗床が長持ちする研究は悪くない」
「今の苗床って一年くらいで死んじゃうから、長生きさせる研究をしてみるそうニャ」
「しかし、最重要の課題は眷族作りだ。その点、シルヴィアを眷族化できたのは大きな戦力強化だ。王都ペイタナでの活動がやりやすくなった。シルヴィアの持つ、警備兵時代の知識は役に立つだろう」
「誠心誠意、ご主人様のためにお仕えしますわ」
「良い心掛けだ。しかし、人数不足は否めない。眷族化の条件さえ分かればな……。五人の眷族は処女で巨乳という共通項がある。しかし、それが眷族化の条件とは考えたくない」
「考えてほしいニャ! でっかいオッパイと純潔! 大切な要素ニャ!」
「そもそもサピナ小王国の革命時、貴族の妻や娘で実験をした。犯した貴族のうち、若い娘は処女が多かったし、巨乳も少なからずいた。だが、眷族化した者は一人もいなかった」
「その件については、有力な仮説が優秀な宰相閣下から提唱されたニャ」
「おいおい。それはサロメからの手紙か? 今朝、届いたのか? 何で今朝のうちに渡してくれなかったんだ」
「ルキディスがシルヴィアのオマンコを弄るのに夢中だったから、僕が預かってたニャ。あとイチャついてたから渡すタイミングを逸してたのニャ」
「ああ、分かったよ。それで、サロメの見解は?」
「僕の提唱した巨乳処女説は否定されたニャ」
「だろうな。それは言われずとも分かる」
「一部の要素としては機能している可能性があるそうニャ。手紙の重要なところを音読するニャ。ごほんっ!」
咳払いをしたユファはサロメの声色を真似て、大人びた口調で手紙の要点を音読する。
今までの結果を分析するに、私達が適性や器と呼ぶ眷族化の条件は、複数の要素からなると考えられます。
具体的には〈好感度〉〈遺伝子〉〈才能〉の三要素です。三要素の総合値が高い場合には眷族化し、低い場合は苗床化するものと推測されます。
――〈好感度〉は冥王からの評価。容貌が優れているなど、冥王の好みに合致しているかです。
――〈遺伝子〉は母体としての優秀度。眷族は冥王の御子を産む存在です。母体としての優秀さが求められます。
――〈才能〉は眷族となる人間個人の能力。眷族となったとき、冥王の役に立つ眷族でなければなりません。よって、才能がある雌は眷族になりやすいと考えられます。
ユファは内容を読み終えた。サロメの見解を聞いたルキディスは頷いていた。もっともらしい理論で組み立てられ、納得のいく仮説だった。
「これがユファの提唱している三要素説ニャ。冥王からの好感度、母体としての遺伝子、そして個人の才能! 三要素で眷族化が決まるとサロメは考えてるニャ!」
「巨乳処女説よりは信じられる。というか信じたい」
「信じたいものを信じていると、足下をすくわれるニャ! 僕の提唱してた巨乳処女説だって、そこそこいい線いってたニャ〜」
「どの辺が……? ユファは巨乳で処女なら眷族になれると思っているの? それは……さすがにないような気がするわ。私は面識がないけれど、サロメという眷族の説を支持するわ。説得力があるもの」
「……俺の口から言いたくなかったが、巨乳だったら好感度は高いな」
シルヴィアは自分の胸部に実った大きなオッパイを注視するルキディスに気付いた。次にユファに目を向ける。スイカのような爆乳が実っている。さらに思い返せばシェリオンは超乳ランクのデカパイだ。
「ご主人様、オッパイ好きなんだ……」
シルヴィアは乳房を持ち上げる。動きにくくて肩が凝るので、警備兵だったころは邪魔に思っていた。だが、男性が巨乳を好む。ルキディスも例外ではなく、セックスのときに胸を揉まれることが多かった。
「その通り! ルキディスは大きなオッパイが大好きなのニャ〜。パイズリするとドバドバ精液がでるニャ。シルヴィアはシェリオンのパイズリを見て勉強するといいニャ。あれは壮観な光景なのニャ!」
「パイズリ……。オッパイの谷間で挟むのよね?」
「そうニャン♥︎ オッパイを両手で寄せて、乳間の圧を高めるのニャ。飛び出た亀頭を舐めながら、男根を扱くっ! シェリオンの超デカパイでやるとすごいニャン♥︎ 一度は絶対に見るべきニャ!」
ルキディスの巨乳好きは、始祖の眷族であるシェリオンの影響が大きい。美乳かつ超乳のシェリオンを最初の眷族とした。そのせいか、胸の大きい女体に強い魅力を感じる。
(最初に会った女だったしな。シェリオンくらい胸が大きいものだと最初は勘違いしていた。貧乳が嫌いというわけじゃないが……)
シェリオンは最強の眷族だ。いざという時、守ってもらう相手に特別な感情を抱くのは、当然の心理である。
「好感度に巨乳や処女が影響しているのかしら? それなら私の処女を捧げることができてよかったわ」
「はっきりと言っておくぞ、シルヴィア。巨乳が好きなのは事実だが、処女膜を破る行為に特別の意味は見出してないぞ」
「それについては、僕に心当たりがあるニャ。ルキディスは妙なところで真面目ニャン。たぶん、膜破りで責任を感じるんだと思うニャ。意識してるかは分からにゃいけども『処女を捧げてもらったからには、責任をとらないと~』とか考えてそうニャ!」
「処女じゃなくても責任は取っているぞ? 一度でも交わればいずれは魔物化するのだからな。サロメの提唱する三要素説だが、革命後にサピナ小王国の貴族で眷族を作れなかった理由の説明がつかない。巨乳や処女だって犯したし、そこそこ見込みのある雌が含まれていた。だが、全員が苗床堕ちした」
「理由は明白ニャ! 好感度が足りなかったのニャ!」
「好感度?」
「ルキディスは僕やシェリオンの事があったから、サピナ小王国の王族や貴族が大嫌いだったニャ。巨乳や処女でもサピナ小王国の貴族ってだけで、好感度が低かったと思うニャ」
ルキディスは納得してしまった。サピナ小王国を滅ぼすとき、王族と貴族は根絶やしにすると誓っていた。国を乗っ取り、旧支配者層を大粛清していた際にはすっかり初心を忘れていたが、心の奥底では憎悪が残っていたはずである。
「なるほど。確かに好感度はありえるな……。サピナ小王国の貴族が眷族化しなかったのは、無意識で俺が奴らを殺そうとしていたからか」
今まで種付けした女達には全て愛を注いだつもりであった。けれど、憎しみと愛は両立する感情だ。サピナ小王国の貴族を犯しているときに、憎しみが皆無だったかと言われると嘘になる。
「苗床化した人妻だけど、あれは遺伝子と才能が欠けてたと思うニャ。容貌はそこそこ美しかったけど、優秀な血筋ってわけじゃなかったし、特別な才能があった訳でもないニャ」
「歯に衣着せぬ物言いだな……」
「事実は事実ニャ。人妻ってことでルキディスは、寝取りセックスを愉しんでたみたいだけど、最後に人妻を辞めちゃったから魅力が減ってしまったニャ。家族を裏切っている女だから魅力的なのに、家族を捨てたら娼婦街の売女と同じニャ」
ルキディスは、カトリーナが苗床化した日の夜を思い出す。カトリーナは愛息子を「どうでもいい」と吐き捨てて、ルキディスの子を孕もうと尻を押しつけてきた。
ああなったカトリーナを人妻とは呼べない。わずか数日で堕落し、淫欲に溺れ、淫婦と成り果てた。
「分析は正しいかもしれない。シルヴィアが眷族化したのは、三要素を満たしていたからか……」
「巨乳であることは確かだけど、母体としての優秀さとか、才能があったのかしら……? でも、私はそこまで凄い人間ってわけじゃなかったわよ」
「眷族となった今だから言うが、シルヴィアは俺達を追い詰めていた」
「ぇ……?」
「シルヴィアは娼婦の連続失踪事件を調べて、俺の家に辿り着いた。念入りに情報工作をしていたから、ペタロ地区までたどり着けても、俺の家を見つけ出すのは難しい。普通の手段では到達できないはずだった。だが、シルヴィアは俺の家にやってきた。同居人が二人いることや、サピナ小王国に荷物を送っていることまで突き止めていた」
「聞き込みで調べれば分かる。誰だってこれくらい出来るわ」
「俺は姿形を自由に変えられる。消えた娼婦の格好をして、街を出歩いて失踪した日にちをずらしたりもしていた」
「気になったのは、失踪事件の始まりが一ヶ月前で、ご主人様が引っ越してきたのも一ヶ月前だったから。それだけ」
「それが俺のアリバイだった。俺達は三週間前に引っ越してきたように装っていた。失踪事件が起こった後に引っ越してきていれば容疑者から外れる。だが、シルヴィアは俺の偽装に惑わされず、一ヶ月前に住み始めたと知っていた」
ルキディスはさらに続けて言う。
「シルヴィアの過ちは、単独で動いたことだ。もし二人組だったなら、あるいは上司や同僚に逐次報告していれば、俺はサピナ小王国へ逃げ帰っていたぞ。運も味方したんだろうが、危機的な状況だった」
「嬉しいわ……。失敗をしたことが一番嬉しい。だって、一人でご主人様の家に行かなかったら、私は人間のままだったんでしょう? ご主人様の愛を授かれなかった。ご主人様の子供を孕めもしない。そんなのは絶対に嫌。こうなった今の運命に感謝するわ」
「俺も嬉しいよ。シルヴィア。五人目の眷族を迎えられた。これからは俺の伴侶として、才能を活かしてくれ。人類を滅ぼすために」
「あぁ♥︎ んゅぅっ♥︎」
ルキディスとシルヴィアは車内で熱い接吻を交わす。我慢できなくなったルキディスは陰茎を露出させ、シルヴィアのスカートを捲り上げた。ショーツをずらし、揺れる馬車の中で挿入を試みる。
「ご主人様ぁ……♥︎ どうぞ、シルヴィアの妊娠オマンコに入ってきて♥︎ あんっ♥︎ いいっ♥︎ そこっ♥︎ ぶっとい亀頭でオマンコの襞をゴリゴリされるの好きぃ……っ♥︎」
「淫乱なオマンコだ。妊娠しているくせに子宮が種を欲しがって痙攣しているぞ。ずっと家で退屈してたんだろう? しっかり味わえよ」
「はいっ♥︎ ご主人様のオチンポに性奉仕いたしますぅ♥︎ シルヴィアの妊娠オマンコに魔素が濃い子胤を……っ♥︎ ご主人様の極上の精子をくださいぃっ♥︎ ご主人様ぁあっ♥︎ ご主人様っ♥︎ ご主人様っ♥︎ ご主人様っ♥︎ ご主人様っ♥︎ ご主人様っ♥︎ ご主人様っ♥︎ シルヴィアはご主人様をこの世の誰よりも愛していますぅっ♥︎」
「俺もシルヴィアを愛しているぞ。貴様は俺のモノだ」
「あぁぁ♥︎ ありがとうございます♥︎ ご主人様の赤ちゃんを孕めて最高に幸せ……♥︎ たくさん魔物を産んで、愛するご主人様のために尽くすのぉおっ♥︎」
「最高の抱き心地だ。乳房も吸わせろ。シルヴィアの胸はほどよい弾力で心地好い」
「はい♥︎ オッパイもご主人様に捧げます♥︎ 好きなだけ味わってくださいぃっ♥︎」
「ついこの前まで処女だったのが嘘のようだ。シルヴィアには好きなだけ俺の子を産ませてやろう」
「素敵っ! ずっとセックスしていたいわっ♥︎ あんっ♥︎ すごいぃっ♥︎ オマンコが震えてるぅうう♥︎ お腹の赤ちゃんも悦んでるわぁ♥︎ イっ、イくぅうぅっ♥︎ ご主人様ぁぁあっ♥︎ 私しぃっ♥︎ もうイっちゃうぅうっ♥︎ イっちゃうのぉーーっ♥︎」
対面座位でセックスする二人は互いを抱きしめ合う。
ルキディスはシルヴィアに挿入しながら、乳房の谷間に顔を沈め、息を荒げている。シルヴィアの淫気でルキディスは酔わされていた。腰をさらに押し出し、陰茎を最奥まで捻じ込んだ。
「んぉ……ぉおっ♥︎ ご主人様……♥︎ しゅ、しゅごぃのぉ♥︎」
スカートをめくり上げられ、尻を鷲掴みにされる。膣口の最奥まで極太オチンポを挿入されたシルヴィアは、恍惚の表情を浮かべて絶頂する。中出しセックスの快楽を骨の髄まで味わい尽くしている。
「可愛いぞ。シルヴィア。本当にな。くっくくく! 甘やかしたくなる愛らしい女だ」
「はうゅぅ……♥︎ ご主人様のオチンポ気持ちいいぃ……♥︎ もうご主人様とのセックスがないと生きていけない……♥︎ 愛してるぅうう……♥︎ 離したくないっ♥︎ ごしゅじんさまぁああ……♥︎ もっと深くまでシルヴィアを連れて行って……! あんっ♥︎ んぅううぬぅっ♥︎ あんぁぁああぁぁーーっ♥︎」
ルキディスとシルヴィアの激熱な情交を近くで見物するユファは、肩をすくめてつぶやいた。
「やれやれニャ。お熱い新婚夫婦。座席を愛液や精液で汚さないように気をつけてほしいニャ」