前書きと注意事項
ノクターンノベルズやpixivなどで公開した短編小説『――まだ産める。』の作品設定&キャラ解説などです。
ネタバレの塊であるため、本編未読の方はぜひとも作品をご覧になってから、見て頂ければと思います。因習村系の作品は一つが更新できずに終わってしまい、あれのリベンジ的な作品でもあります。いつか更新しよう、いつかやろう、時間ができたら…なんて思ってたら早数年です。
気力があるうちに、何とかせねば……ね(´・ω・`)
龍ノ宮家の真相(プロットの箇条書き)

家系図が物語の根幹です。
そもそも聡次と鬼羅人は、宗衛門の子供じゃない。聡次は宗衛門が愛していた芸者(妾)の実子ですが、龍ノ宮家の血は引いてません。宗衛門はそれを承知で、聡次を自分の息子として育てていました。その後に直斗が産まれて妾と和気あいあい。ただ、その事実に薄々勘付いていた正妻・芙美からすると「おぃ! ふざけんな!(;´Д`)」でした。
塩対応の宗衛門は芙美との子作りに消極的で、このままでは家督が妾腹の子供に渡ってしまう。憎み抜いた末、芙美は夫以外の男と子作りすることを考えます。その相手が――直斗でした。
ほぼ性虐待に近い逆レイプで、無理やり直斗との子供を作ります。そして生まれてきたのが鬼羅人。宗衛門は芙美に負い目があったので、認知してあげますが、明らかに自分との血縁がありそうな鬼羅人にビビり始めます。そして、直斗が屋敷を飛び出して軍に入隊するなど、色々あって「あっ、察し……(´・ω・`)」の状態になっていたのが本編開始前。
芙美の暗躍は歯止めを失っており、聡次と直斗の実母は殺害されています。井戸に落ちての事故死となっていますが、芙美による謀殺です。しかも、その手伝いを無理やり直斗にもやらせました。おぉ、怖い…怖い…。母殺しを手伝わされた挙句、鬼羅人の出産後に二人目を求めてきた芙美を恐れて、直斗は屋敷を飛び出して軍に入隊。龍ノ宮家から逃げ去りました。
直斗の戦死、聡次の死を偽装
聡次の死を偽造したのは芙美です。直斗の戦死はぶっちゃけ自殺です…。母殺しや芙美との子作りがトラウマだった直斗は、死に場所を探し続けて日露戦争で仲間を助ける自己犠牲(贖罪的な自殺)で戦死。ただ、この状況を芙美が利用しないはずがなく…直斗だけでなく、聡次の戦死も偽装します。
ついでに宗衛門の遺言も書き換えて、全ての遺産を鬼羅人に継がせる状態としました。宗衛門は遺産を均等に分けるつもりでしたが、それを望まない利害関係者も多く、芙美の遺書偽造は黙認されました。
――ただし、芙美の策謀に気付いている者もいました。
それが病死した辰彦です。長期入院の虚弱者ですが、頭の切れる少年でした。ある意味、もう一人の黒幕があっけなく病死した辰彦くん。直斗とも交流があった辰彦は、過去に起きた妾の謀殺、鬼羅人の父親が直斗であると勘付きました。それを明らかにすれば、芙美に殺されるので誰にも口外しなかった。ですが、彼は自身の治療費、そして母親の生活保障を得るため、この秘密を利用します。
まず、辰彦は性格最悪の鬼羅人と友誼を結びます。これは完全なる打算。鬼羅人の親友になることが目的です。なぜなら歪んだ性癖の|鬼羅人《きらと》だったら「親友の母親(モノ)」を欲しがるから。鬼羅人が巳夜子を寝取るのは計算内でした。もちろん、父親の聡次が排除された場合の保険ではありましたが、日露戦争でそれが現実となります。
聡次と直斗が排除され、自分の余命は残り僅か。母親を守るための手段は鬼羅人だったわけです。ある意味で寝取らせ。
辰彦の死、宗魔の誕生
辰彦の病死は芙美による毒殺です。死にかけとはいえ、なかなか死なないのでヒ素を盛りました。ただ、辰彦は食事に盛られた毒を知っており、分かった上で毒を摂取してました。病死ではなく、芙美に毒殺されたという事実が欲しかったからです。
辰彦の死、宗魔の誕生は同日に起きました。陣痛に苦しむ巳夜子は辰彦を看取れなかったのですが、代わりに鬼羅人が最期の言葉を聞いています。それは取引であり、脅しでした。ありとあらゆる秘密の暴露です。極めつけは「君の母親(芙美)に毒を盛られて殺された物証がある。世間に公表されたくなければ、僕の死後に母親(巳夜子)をよろしく」と託されます。
巳夜子は鬼羅人との関係を隠していましたが、辰彦にはバレていました。結婚したことも、妊娠したことも、今日が出産日であることも。辰彦は芙美に盛られた毒で余命を操作し、異父弟の誕生日に合わせる計画を前々から立てていました。子供が産まれてしまえば鬼羅人も雁字搦めにできるため、死ぬならこのタイミングと決めていたわけです。
再びの妊娠、連続殺人へ
宗魔の誕生から間もなくして、子育てに追われる巳夜子は再び妊娠します。この時期、妾になっていた女中の幾人かが鬼羅人の子を授かり、龍ノ宮家は子沢山になっていきます。日露戦争も日本の勝利で集結し、万事がめでたい最中に、事情を何も知らない聡次が還ってきました。そう、帰ってきちゃいました。
芙美は聡次が故郷に戻ってくる前に、雇った暴漢に襲わせて亡き者にしようと画策。ところが、殺害は未遂に終わり、聡次は襲撃を警告する手紙のおかげで難を逃れます。何かが起きていると感じた聡次は明治38年(1905年)の年末、龍ノ宮家の屋敷に向かいます。しかし、村の入り口で止められ、龍ノ宮家の使用人から「手切れ金」を押し付けられると「二度と戻ってこないように」と言い含められます。そこで息子・辰彦の死を知りますが、巳夜子については何も教えてもらえません。
納得がいかず、巳夜子を探して龍ノ宮家の屋敷に忍び込む聡次。寝室で目撃したのは赤子に授乳しながら犯されている巳夜子。しかも、巳夜子の胎は膨れており、妊娠していた。逆上した聡次は鬼のような怒鳴り声をあげて殴り込む。強盗だと思った|巳夜子《みよこ》は宗魔を抱きかかえて逃げていき、鬼羅人は猟銃で応戦する。
手傷を負った聡次は土蔵に逃げ込む。鬼羅人と巳夜子のセックスを見せつけられ絶望する。土蔵に隠れた聡次は地下に作られた折檻部屋を見つける。そこは、十数年前に芙美が直斗を連れ込み、逆レイプをしていた子作り部屋だった。
折檻部屋に隠れていた聡次は芙美に見つかり、鬼羅人と巳夜子が結婚し、子供が産まれたことを突き付ける。紅鶴家も了解済みで、巳夜子も現状を受け入れている。龍ノ宮家に聡次の居場所はないと嘲笑い、どこかへ消えろと命ずる。
――ここから先は殺人ミステリー。ただし、巳夜子の視点なら。
逆上した聡次は日本刀で芙美を惨殺。自分が死人であることを利用して、次々に自分を貶めた者達を殺めていく。最初の被害者は芙美、二人目は戦死公報の偽造に協力した郵便局員、そして、芙美の計画に加担した巳夜子の両親などを殺害。全ての犯罪を鬼羅人になすり付けようとするが、警察は巳夜子が犯人ではないかと疑う。
巳夜子の嫌疑を晴らすため、仕方なく警察関係者がいるところで巳夜子と宗魔を襲う。宗魔を殺すつもりだったが、身を挺して我が子を守る巳夜子に躊躇し、警官隊からの発砲を受けて逃げ去る。重傷を負った聡次は倒れる。
結実の春、明治39年(1906年)4月
龍ノ宮家を襲った犯人は捕まらず、未解決事件となる。警察の不甲斐なさに憤り、巳夜子は可愛がっている女中の協力を得て、真犯人を捕まえようと動く。その結果、龍ノ宮家が抱えていた様々な陰謀を知ってしまう。聡次の生存を確信し、連続殺人を起こしたきっかけは、自分と鬼羅人の濡れ場を目撃されたことだと知る。
――そして、重傷を負った聡次を助け、警官から逃がした人物が鬼羅人であると気付く。
この事件の元凶は、さまざまな策謀を巡らせた芙美であった。しかし、その悪意を利用した人物がおり、その人物こそ病死した辰彦だった。「宗衛門が残した本物の遺書」「芙美がヒ素で邪魔な人物を殺してきた物証」を辰彦は握っており、死後に鬼羅人は巳夜子を守り、聡次をも助ける取引を強要されていた。鬼羅人に課された誓約は五つ。
①巳夜子の幸せを第一に優先すること。
②巳夜子を正妻とし、望むモノを与えること。
③聡次や直斗が生きて帰ってきた場合、必ず手を差し伸べること。
④妾になりたいと求めてきた女中を避妊せずに抱くこと。
⑤見届け人の女中を探し出したり、排除しようとしないこと。
辰彦の死後であろうとも約束を破れば、見届け人の女中が警察と宮内省に密告する。鬼羅人は約束を守るほかなく、本土に帰ってきたばかりの聡次に警告を送ったり、警官隊の銃撃で死にかけていたところを助命するなど、裏で動いていた。
真犯人がかつての夫・聡次であり、その犯行を鬼羅人が隠蔽していると気付き、巳夜子は事件を忘れることにした。
エピローグ
帝都の社交界に出かけた巳夜子は、ある女中から陸軍士官学校の訓練を見学するように勧められる。陸軍士官学校で候補生の指導にあたる軍曹を見かけた。日露戦争で片手・片足を失った傷痍軍人だと聞くが、その正体に勘付いてしまう。だが、声をかけることなく、その場を去ることにした。
龍ノ宮 巳夜子(りゅうのみや・みよこ)
登場時は42歳。夫の聡次が日露戦争で死んだと信じきり、義弟の鬼羅人と再婚。聡次との間に儲けた息子・辰彦が死んだ日、鬼羅人の子供・宗魔を出産する。出産後にも再び懐妊し、魁彦を翌年に産む。日本人離れした巨乳爆尻の美熟女で、鬼羅人とセックスを始めてから色気が増している。セックス中毒者であり、変態的な本性を秘めている。おそらく三人目の子供も孕んでしまう。旧姓は紅鶴、公家に連なる名家の令嬢であり、爵位持ちの華族出身者だが財政的には困窮していた。
龍ノ宮 鬼羅人(りゅうのみや・きらと)
龍ノ宮家の三男(実際は宗衛門の子ではなく、直斗の息子)。他人のモノが欲しくなる超問題児。性癖も倒錯しているが、奪い取ったモノは大切に愛でる。その性質ゆえに、かなりの商才がある。若くして龍ノ宮家の当主となり、資産運用で財閥のさらに飛躍させていく。親友の母親であり、兄嫁でもある巳夜子を寝取り、息子(宗魔と魁彦)を産ませる。妾との間にも子供を作っており、そこそこ性豪。ただ、巳夜子や女中のほうが夜は積極的で激しい。
龍ノ宮家 聡次(りゅうのみや・そうじ)
龍ノ宮家の長男(実際は血縁なし)で、巳夜子の夫だった男。今作の被害者枠。日露戦争を生き延びたものの、巳夜子を寝取られる。復讐を企んで連続殺人を犯すが、鬼羅人に庇われ、最後は帝都の陸軍士官学校で教官になる。辰彦からの遺書で真相を知り、敗北を受け入れる。戦争では五体満足だったが、警官隊の銃撃や凍傷で右腕・左足を失う。
龍ノ宮 直斗(りゅうのみや・なおと)
龍ノ宮家の次男(本当は長男)。宗衛門が最愛の妾に産ませた息子だったが、正妻の芙美によって性的虐待を受ける。折檻部屋で子種を搾り盗られ、芙美は鬼羅人を身籠る。妊娠した芙美は、目障りだった妾を事故に見せかけて殺害しており、その犯行に直斗も関わっている。鬼羅人の誕生後は、龍ノ宮家で暮らすのが苦痛となる。家を出るため、陸軍に入隊する。その後、死の場所を探し続け、日露戦争で念願を叶える。生前は辰彦と文通をしていた。
龍ノ宮 芙美(りゅうのみや・ふみ)
元凶。宗衛門の遺書を偽造したり、気に食わない人間をヒ素で殺害したり、権力欲は留まるところをしらない。宗衛門の愛人だった妾を憎み、龍ノ宮家の血を引いていない聡次も憎んでいる。直斗に向ける感情は複雑。折檻部屋で虐め抜き、鬼羅人を孕む。二人目の子供を作ろうとしていたが逃げられる。
龍ノ宮 辰彦(りゅうのみや・たつひこ)
ある意味では黒幕。芙美の暗躍に勘付き、自分と両親を守るための最善策を実行する。まともに見えて、まともじゃなかった人。自分が余命僅かな病人であることさえも活用する。最善手を躊躇なく講じる利己的なタイプ。
鬼羅人と自分の母親を意図的に結びつかせた。その布石は父親の存命中から築いており、優先順位は「自分>母親>父親」と決めていた。自分の病死が不可避となってからは、母親の巳夜子を最優先と位置づけ、父親の聡次に関しては「生きて帰ってきたら自暴自棄になってとんでもないことをやらかすので、鬼羅人に尻拭いをさせる。どうにもならないときは切り捨てる」と考えていた。辰彦の考える最善とは「生き延びること」。病弱だったからこそ「生きてさえいれば幸せ」という価値観で生きていた。
――その考えから導き出された答えが母親の寝取らせ。
龍ノ宮 宗衛門(りゅうのみや・そうえもん)
先代当主。芙美を娶ったが、愛していたのは妾の芸者。自分と血の繋がらない聡次にも愛情を注ぐほどである。芙美に対する負い目は感じており、明らかに自分の息子ではない鬼羅人も認知した。しかし、自分と似通っている鬼羅人の性格、直斗の不審な態度、妾の事故死などから真相に勘付いてはいた様子。――実は辰彦と文通していた。屋敷で唯一信頼できる辰彦に本物の遺書を託した。
もし芙美が遺書を偽造したら、本物の遺書を弁護士に送るように頼んでいた。しかし、辰彦の立場では芙美が捏造した遺書のほうが望ましかったので、本物の遺書を弁護士に送付しなかった。
女中のリチェ
本編では語られなかった鬼羅人の女中(17歳)。誕生日に宗衛門から買ってもらった初物の芸者。髪を黒く染めているが。東欧人の血を引く赤髪の白人美女。顔立ちや肉付きで異人だとすぐ分かる。乳房の大きさは巳夜子をも凌駕する。母親は北海道に流れてきた難民。孤児となったところで娼館に引き取られ、その後に龍ノ宮家が買い取った。鬼羅人の世話役であり、忠誠心と恋心を併せ持つ。性格は陰気。巳夜子のことは好いていない。
女中のカエデ
本編では未登場の名有り女中。巳夜子とリチェが不仲過ぎたので追加で雇われた。活発な性格で巳夜子のお気に入りとなる。探偵の真似事をしたり、さまざまな情報を巳夜子に提供する。……実は辰彦に雇われた見張り役。鬼羅人が約束を破ったとき、「宗衛門の遺書」や「芙美の殺人証拠」で龍ノ宮家を滅茶苦茶にしろと命じられている。肉親を龍ノ宮家の薬(副作用)で失っている過去がある。ただし、自身はその薬のおかげで生き延びており、憎しみと恩義が半々。リチェ同様に鬼羅人とは愛人関係だが、巳夜子が公認している仲。そこそこ生まれが良い。
女中のモミジ
生まれたばかりの宗魔の世話役となっている貧農生まれの少女。経験豊富な乳母を雇うはずだったが、さまざまな偶然が重なって、龍ノ宮家が買い請けた。年齢は逆鯖を読んでいるため、鬼羅人よりも三つ下の11歳。貧農出身であるため、教育を受けておらず、読み書きが苦手。貧乏仲間のリチェからは親近感を抱かれ仲が良い。巳夜子からは宗魔に訛り口調が移っては困ると疎まれている。村の少年と良さげな雰囲気だったが、それが鬼羅人の性癖を刺激し、処女を散らされ、女中で最初に妊娠してしまう。
