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【第3話】竜郷ドラカ=ヴェルグの惨劇

 魔軍に蹂躙された竜郷ドラカ=ヴェルグは、目を覆いたくなる惨状だった。

 魔獣の姿は既になく、死体の山が無造作に積み重ねられていた。炎に蝕まれ、骨すら残らず、灰になっている遺骸が数多くあった。老若男女、一切の例外なく、民族浄化の大虐殺は完遂された。

 ゼフィラの生まれ故郷であった竜郷ドラカ=ヴェルグには、千人の竜人族が暮らしていたという。しかし、原形を留めていた遺体は多めに見積もっても十数人程度。ほとんどの遺体は灰燼かいじんに帰してしまった。

「広場の井戸を見てきた。子供の服が浮いてたよ……。隠れたみたいだ。でも、死体がなかった。衣服だけが水面に浮かんでいる。……井戸の水は真っ赤に染まってた」

「そこに転がってる大蛙の死体があるだろう。人体を溶かす魔獣だ。強酸を吐き出す。……私が逃げ出した時にぶっ殺した」

 ゼフィラは墓穴を掘っていた。鉄製の円匙ショベルで大穴を長方形に広げ、同胞の遺体や遺品を丁寧に並べている。

「最後まで戦ったんだ。恥じる必要はないと思うけどな。……ゼフィラ以外、誰も生き残ってなかったんだ。ここで戦い続けるより、隠れるとこの多い山林に逃げ込むべきだよ。実際、それで俺と巡り合えたんだ。正しい判断だった」

「私を慰めてくれるのか……」

「故郷を襲われた人に容赦ない言葉を浴びせかける冷徹漢と思われたなら心外だ。人並みの配慮はできるぜ」

「私は死を恐れた。それを取り繕う気はない。私の弱さだ」

 ゼフィラは自嘲する。契約の直前、絶命の間際に「死にたくない」と泣いた情けない姿をキサラギは目撃している。

「死を恐れるのは弱さじゃない。正常な反応だ。それよりも、この服、本当にもらっていいのか?」

「構わん。冥府に旅立った同胞は文句を言うまい。似合っているぞ」

「尻尾用の穴は後で塞ぎたいな。俺、尻尾は生えてない」

 キサラギは竜人族の子供服を着ていた。

 契約の第四条において「死は捧げられた供物を所有する」と権利規定が定められている。キサラギが異世界の物を所有する条件は、誰かに捧げてもらうこと。ゼフィラが捧げた物は、キサラギの供物となる。

 住居の焼け跡から見つけた竜人族の衣服。脚部だけが残っていた少年の亡骸から拝借した革靴。体格に合うサイズの衣服をかき集めた。

(服が襤褸布だけじゃ不便だ。ゼフィラが俺に渡してくれた物なら自由に動かせる。食べ物も味わえそうだ。グロテスクな現場を見過ぎて、今はまったく食欲が湧かないけど)

 漆黒の襤褸布は相変わらず、キサラギの身体に纏わりついてくるが、これで人前に出られる姿となった。

 上半身の皮鎧が焼け落ちて、半裸状態だったゼフィラも新しい服を着ている。魔軍が戻ってきた時、迎え撃てるように装備を整えていた。

(予想してたとはいえ、生き残りはゼフィラだけか。井戸は使えなくなってたし、食糧倉庫も駄目になっていた。ここに長居はできない……。とはいえ、竜人族の遺体を放置はできないしな)

 沈痛な面持ちでゼフィラは、真っ二つに折れた大槍を見詰めている。知り合いの遺品を墓穴に埋める。その両目は復讐心の焔が揺らめいていた。

「魔軍の目的は何なんだ? 竜人族を皆殺しにすることだったのか? 俺達が竜郷ドラカ=ヴェルグに到着した時、魔獣は一匹も残っていなかった。ここを侵略拠点にする気はないらしいな。あの化け物達に水や食料を必要とするのかは知らないけど、井戸と食糧倉庫は潰されてた」

「狙いは竜人族の宝玉だったのだろう。魔軍は竜郷ドラカ=ヴェルグで祀られていた竜玉卵を持ち去った」

「それって、どんな宝玉? 特別な力があるのか?」

「竜玉卵の由来を知っているのは巫女だけだ。特別な力が宿っているとは聞く。だが、そもそも私は実物を見たことがない。巫女であった母様だけが隠し場所を知っていた。おそらく聖廟の祠に安置されていたのだろうがな……」

「ゼフィラのお母さんが巫女? でも、守ってた宝石が持ち去られたってことは……」

「竜郷ドラカ=ヴェルグは竜人族しか入れぬ結界が張られていた。古の大結界を維持する役目を担うのが巫女だ。どのような外法げほうを使ったかは知らないが、魔軍は竜人結界を突破した。……母様は殺され、竜玉卵が奪われてしまった」

「…………」

 キサラギは魔軍襲来時の状況を整理してみる。

 ゼフィラの母親であった巫女は、聖廟で竜人結界を維持していた。竜人結界が機能している限り、魔軍は竜郷ドラカ=ヴェルグに侵入できない。侵入できなければ、魔軍は巫女を殺せない。

「本当に巫女は殺されたのか?」

 疑念が強まる。竜人結界が説明通りの効力を発揮しているのなら、魔軍が巫女を殺す方法は存在しない。

「巫女が健在なら竜人結界は破られない……。聖廟の警護は竜人族最強の戦士アシェラ様が担っていた。……カザルドの仕業だ。聖廟は紅蓮の業火で焼き払われている」

「ん? じゃあ、聖廟は竜人結界の範囲外にあったのか?」

「聖廟が結界の中心。何らかの手段で……巫女を……母様を殺害した。そして、竜人結界を崩壊させたのだ」

 それは無理のある説明であった。理屈に合わない。口にしたゼフィラ自身が一番よく分かっている。

「なぁ、ゼフィラ? 言いにくいことを指摘していいか? 竜人結界は魔物の侵入を拒む。それは魔天使のカザルドだって例外じゃないんだろ。なのに、結界の中心地である聖廟で巫女が殺されてしまった。おかしいよな?」

「…………」

「竜人族以外の侵入を拒む。だったら、結界内で巫女を殺せるのは竜人族だけじゃん。状況を考えると誰かが裏切っているぞ。……ゼフィラだって分かってるんだろ」

「…………」

 ゼフィラの無言だった。理解はしている。だが、受け入れたくないのだ。

 巫女は竜人結界の外には出られない。巫女を殺せるのは竜人族の誰かだ。竜人族の裏切者が巫女を殺害した。それしか説明がつかない。

 裏切者の有力な候補が一人いた。その者の名をキサラギは挙げる。

「巫女を護衛してた戦士は、竜人族最強で間違いないか?」

「……そうだ」

「ゼフィラよりも強い?」

「アシェラ様は私の師匠だ。戦士を束ねる長だった」

「……これも言いにくいけど、アシェラの死体は残ってないよな?」

「いいや」

「じゃあ、殺されたところを見たか? 魔物と戦っているところでもいい」

「アシェラ様の姿は見ていない……」

「聖廟に籠ってた巫女を殺せる奴はアシェラだけなんじゃないのか? 他に裏切者がいたとしても、竜人族最強の戦士が護衛してたなら、巫女を守りきれたはずだ」

「ありえない!! あのアシェラ様が……! 裏切者であるはずがない……!! 母様とは血の繋がった実妹じつまいだ」

 絞り出すようにゼフィラは言う。裏切者の存在は疑わねばならない。けれど、ゼフィラにとっては血縁の叔母であり、敬愛する師匠だった。

 キサラギは冷静に質問を続けた。

「血縁者だからって仲が良好とは限らんだろ。姉妹ねぇ……。二人の歳は近かったのか?」

「双子だ。巫女のミレイユ、戦士長のアシェラ……。姉妹がお互いを支え合って生きてきた。……絶対にありえない。魔軍は竜人結界を出し抜く方法を見つけた……。その可能性もあるだろう」

 縋りつくような弱々しい口調だった。屈強な竜人族の女戦士にはふさわしくない。乙女の弱さが顕れている。

「希望的観測だな。まあ、俺だって断定はしないさ。竜人結界を通り抜ける方法があって、魔軍はそれを知っていた。……ただし、そういう都合の良い話じゃなかった場合、誰かしらが魔軍を手引きしている。虐殺から撤収までが計画的。用意周到で手際が良い」

「…………」

「千人以上の住人を皆殺しにするのって、すごく難しいと思うぜ」

「深夜の襲撃だった。聖廟から火の手が上がったとき、魔軍の包囲は完成していた」

「里の地理を熟知してなきゃ、そんな殲滅戦は無理なんじゃないか?」

「アシェラ様が同胞を裏切り、母様を殺めたというのか……」

「残酷だけど、復讐を志すなら、裏切者は想定しとくべきだ」

 巫女のミレイユと戦士長のアシェラは、美しい双子姉妹だった。聡明な姉には巫女の才能。勇猛な妹には戦士の才能。竜郷ドラカ=ヴェルグの中枢を担う二人であった。

 魔軍襲来の深夜、巫女が祈りを捧げていた聖廟はカザルドの業炎で焼き尽くされた。竜人結界が散逸し、魔天使デーモンが率いる魔獣の軍勢が竜郷ドラカ=ヴェルグを侵略した。竜人族の戦士達は果敢に戦ったが、夜明けまで生き残った者はゼフィラだけだった。

(アシェラ様が裏切者……。本当にそうなのか? だとしたら、私は……!)

 ゼフィラには思い当たる節があった。襲撃が起こる数十日前、ミレイユとアシェラが幽世の森で口論している現場を目撃した。実母と叔母の言い争い。姉妹喧嘩などという生易しいものではなかった。

 言い争いの原因は分からない。会話の内容を盗み聞きするつもりはなく、すぐさまゼフィラは立ち去ってしまった。その判断を今は後悔している。

(母様とアシェラ様の間には、深い確執があったのかもしれない)

 竜人族最強の戦士と謳われるアシェラは、幼少期に竜郷ドラカ=ヴェルグを出奔し、帝都で冒険者になっていた時期があった。その理由をゼフィラは察している。巫女の地位をミレイユが継承し、族長のラウルと結婚した。結婚式の日と重なっている。

 ゼフィラの父親であるラウルは、元々アシェラと恋仲だった過去がある。しかし、竜人族の掟により、族長は巫女と夫婦めおとにならねばならなかった。

 姉に恋人を盗られた。妹はそう感じていたかもしれない。

 アシェラが竜郷ドラカ=ヴェルグに帰ってきたのは、娘のゼフィラが産まれた年だった。巫女の祭祀で多忙だったミレイユは子育てをする余裕がなかった。帰ってきたアシェラは実母に代わって、乳飲み子のゼフィラを育てた。

 因縁は解消されたものだと誰もが思っていた。しかし、過去は消えない。竜郷ドラカ=ヴェルグを滅亡へ導いた運命は、双子姉妹の歪んだ関係に起因する。

 ◆ ◆ ◆

 人類と敵対する深淵の勢力は魔軍と呼ばれている。

 世界の呪怨から生じた魔獣モンスター。深淵の眷属者である魔天使デーモン。そして深淵と契約した元人間の魔族フィーンド。魔軍は主を復活させるため、世界の各地で蠢動していた。

 竜郷ドラカ=ヴェルグの巫女が守っていた竜玉卵は、封じられた主を復活させる鍵の一つだった。

「契約を守ってもらわないと困りますわ。半端な仕事をしておきながら、代価は先に支払えというのかしら?」

 裏切者の美女は嘲り笑う。

 深淵と結んだ契約は「竜郷ドラカ=ヴェルグの完全なる滅亡。アシェラ以外の住民を皆殺しにする」ことである。しかし、契約は完全には履行されていない。戦士ゼフィラが生き残り、竜郷ドラカ=ヴェルグの復興を目論んでいる。

「一匹、生き延びているわ。包囲を破られて、殺し損ねたのでしょう? 放った追手も全滅。あの憎たらしい小娘がこの世で生を謳歌している限り、私の望みは叶っていないわ。早く殺してきなさい」

 竜人族の美女は聖廟で祀られていた竜玉卵を見せびらかし、魔天使デーモンを挑発する。引き渡しを求める魔軍は、眼前の竜玉卵を奪えない。深淵と結んだ契約は、魔軍を絶対的に支配する。

「契約は遵守する。しかし、そのためにも竜玉卵が必要なのだ。その竜玉卵は封印を解除する鍵の一つなのだ。深淵の主を封じる力が弱まれば、魔天使デーモン魔獣モンスターの力は底上げされる」

「あら? あらあら? それはおかしいわ。順序が逆でしょう? まずはゼフィラの死体を持ってきなさい。まさか竜玉卵がなければ、竜人族の小娘すら殺せないというの……? 魔軍大参謀の名が聞いて呆れますわ」

「あのカザルド殿が滅ぼされた。聞いていた話と違う……。ゼフィラは魔法が使えぬ戦士ではなかったのか?」

「そのはずよ。けれど、忌まわしいことに、私と血が繋がっているわ。不思議な力を覚醒させているかも……。でも、今は言い訳を聞きたくないわ。幽世の森に逃げた死にかけの戦士を始末できなかった。それは貴方達の不手際でしょう?」

「……魔軍はカザルド殿を失った。この大損失は無視できない」

「私は言われた通り、竜郷ドラカ=ヴェルグの地図を渡し、魔軍の侵入を阻んでいた竜人結界も壊してあげたじゃない。ここまで御膳立てをしたのよ。まだ足りないのかしら?」

 美女は竜玉卵を指先で回転させる。

「…………。深淵の主から天命を授かった。今すぐに竜玉卵を渡してくれるのならば、貴殿の希望を叶える。深淵の主は譲歩なされている」

「へぇ。譲歩……ねぇ……?」

「何卒、お願い申し上げる」

 大参謀は真摯に頼み込んだ。

「分かったわ。そこまで言うのなら……。ふふふっ……! 要求はたった一つ。魔獣モンスターの支配権を私に授けなさい。魔天使デーモンと同格の権能が欲しいわ。深淵の主なら容易く叶えられる願いでしょう?」

「貴殿は既に契約を交わした魔族。魔軍の一員となっている。他の者達から強い反発もあるだろうが……前例はある。……深淵の主も受諾した。貴殿に我ら魔天使デーモンと同等の支配権を付与する。これ以後、この世に産まれ墜ちた呪怨の魔獣達は、貴殿の意思に服従するであろう。――契約は成された」

「ふふっ! あら。あら。こうもすんなり言うことを聞いてもらえるのね。魔軍は相当焦っているのかしら? 私にとっては好都合♥︎ 話が早くて助かるわ。いいでしょう。竜玉卵を渡してあげるわ。ただし、これは契約代価の先渡し。努々ゆめゆめ、忘れないように。竜郷ドラカ=ヴェルグの生き残りを必ず殺しなさい」

「無論だ。契約は絶対。醜悪な人間達とは違う。深淵は裏切らない」

「あら? なにそれ? 私に対する皮肉? 私は竜人族を同胞だなんて思っていないわ。掟に縛られて生きている愚物。あぁ……。本当に薄気味悪い民族だったわ。時代に取り残された化石。竜人族の滅びは必然だったわ」

「……深淵と契約を結んだ貴殿は魔族だ。もはや人間社会では暮らしていけないぞ。魔軍の契約に助力いただければ、それなりの地位を約束する」

「お断り。私と魔軍は利害が一致しているだけ。深淵に迎合する気はないわ」

「…………」

「これからの私は自由に生きる。信仰心は解き放たれたの。忠告しておくわ。誰の指図も受ける気はない。契約に明記したはずでしょう?」

「分かっている。重ねて宣言しよう。深淵の契約は必ず遵守されであろう。我ら魔軍は竜郷ドラカ=ヴェルグの生き残りを殺す。そして、貴殿の行動に一切干渉しない」

「ああ、それとね、私のことは今後、と呼びなさい。闇巫女のエクリピア。――末永くよろしく♥︎」

 先祖代々の竜人族が死守してきた竜玉卵を売り渡し、裏切者の美女は魔獣モンスターの支配権を手にした。魔天使デーモンと同格の権能を得た闇巫女は、暴虐凶悪の覇道を進み始めていた。

 深淵の主が封じられた螺旋迷宮〈不浄の祭殿〉。魔物の巣窟となった最深部に招かれたエクリピアは、竜人族から穢れた魔族に変貌していた。竜郷ドラカ=ヴェルグを滅ぼし、竜玉卵を差し出した見返りで、深淵と優位な契約を交わした。

 過去に未練はなく、同族の大虐殺に加担した罪悪感は微塵もない。彼女は竜人族の掟を誰よりも恨んでいた。積年の恨みを晴らし、気分は爽快だった。酷く不愉快なのはゼフィラが生き延びたことだ。

 魔軍大参謀との話を終えて、蠢く肉壁の回廊を歩む。天上から毒汁が垂れてくる。常人ならば皮膚が溶けてしまう。魔族に成り果てた人外は深淵の瘴毒が効かない。

「ご主人様。ご安心ください。魔軍は私との契約に逆らえませんわ。深淵の主は契約を遵守する。そういう存在ですわ」

 エクリピアの周囲には誰もいない。けれど、明らかに独り言ではない。誰かに語り掛けている。

「魔獣の支配権を手に入れましたわ。魔天使デーモンは深淵と深く繋がり、契約の仲介人となる能力を持っております。……ええ。そうですわ。おかげで、ご主人様の憑代を作りやすくなりました。これからもっと愉しくなりますわ」

 闇巫女エクリピアは虚空に話しかけ続けた。

「はい。そうですわ。ゼフィラが生き延びたのは誤算でした。まさか業炎の魔天使が屠られるとは……。大参謀も驚いていましたわ。いいえ、戦慄していたかしら?」

 先ほど行われた魔軍大参謀との会話で、エクリピアは本心を表に出さなかった。竜郷ドラカ=ヴェルグ殲滅戦の陣頭指揮官だったカザルドは、魔軍で五指に入る実力者だった。

「あの娘が包囲を突破して幽世の森に逃げ込んだ時、とても深い傷を負っていましたわ。あの手傷でカザルドを返り討ちにするのは不可能でしょう。ええ、はい……。私も嫌な予感がいたします」

 両目を細め、エクリピアは静寂に耳を傾ける。

「魔軍に任せきりでは頼りない気がします。もちろん、直接は出向きませんわ。……ええ。まさしく、その通り。ご主人様と私で刺客を差し向けましょう。ゼフィラは巫女と族長の血を受け継いだ竜姫。あの小娘が生きていたら、竜郷ドラカ=ヴェルグを復興させるかもしれない。そんなことは絶対に許しませんわ……!!」

 剥き出しの憎悪をたぎらせる。溢れ出した強烈な殺気は空間を淀ませた。

「魔軍から与えられた異空間は自由に扱えますわ。伏魔殿パンデモニウムと名付けました。私の欲望が具現化した心象領域です。ここでなら邪魔されることなく孕魔降誕の儀式を探究できますわ♥︎ ふふふっ……♥︎ ご主人様もお好きでしょう?」

 エクリピアはドレスの胸元を緩める。漆黒の花嫁衣裳を想起させる淫靡な装束。膨れ上がった爆乳を包み込む布地の内側は、粘液塗れの肉襞にくひだひしめいていた。

 魔獣の屍を融合させて作った触手衣裳。生肌にびっちりと張り付き、エクリピアの母乳を吸い上げている。乳房のみならず、女陰を覆った股布部分クロッチでは二本の肉棒突起が形成され、オマンコとアナルを貫いている。

 大参謀との真面目な会話中、エクリピアは身に纏った触手衣裳と性行為に耽っていた。こうしている今も愛するご主人様に性奉仕をしている真っ最中だ。

 肉欲を宿した漆黒のウエディングドレスが毛羽立ち、膣穴に挿入されたオチンポが子種を発射する。魔族に堕ちた妖艶な竜人は、身を震わせて性悦に浸った。子宮に大量の精子が注がれ、下腹部に熱が滞留する。

「んぅっ……♥︎ ふぅっ……♥︎ くふっ♥︎ ご主人様のオチンポだけが私のオマンコを満たしてくれる……♥︎ この上なき幸せですわ♥︎ あぁ、♥︎ 可愛い忌仔が産まれてくる日が待ち遠しい……♥︎ 世界を滅ぼす終焉竜……♥︎ 必ずや私の胎から産み堕としましょう♥︎ あぁ♥︎ 愉しみですわ♥︎」

 闇巫女エクリピアは世界滅亡を願う。深淵の主を復活させようと企む魔軍勢力とは、似て非なる目的で動いていた。魔軍は人類文明を憎んでいるが、世界そのものを滅ぼすつもりはない。

 他の魔族フィーンド魔天使デーモンに真意を知られてしまったら、闇巫女エクリピアは窮地に立たされる。それゆえに深淵と契約を交わした。深淵は契約に縛られつつある。

 闇巫女エクリピアの行動に一切干渉してはならない。深淵は契約者の正体を見誤った。世界滅亡を企む破滅主義者とは考えが及んでいなかった。

 契約代価の竜玉卵は支払った。そして、竜郷ドラカ=ヴェルグの殲滅戦を生き延びたゼフィラが死んだ時、深淵を縛る契約は完成する。

 お互いに課せられた義務が成された瞬間、結ばれた契約は何者にも解けないことわりとなる。

(ふふふっ……♥︎ 深淵と人類……♥︎ 好きなだけ争いなさい。どちらが勝っても、最後には全てを滅ぼし、ご主人様と私だけの世界となるのだから……♥︎)

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