【120話】元夫婦の決裂(♥︎)
変貌したセラフィーナを前にして、ガイゼフが抱いたのは憐憫れんびんの情だった。怒りや憎しみ、不義に対する負の感情は不思議と湧いてこなかった。 「セラフィーナ⋯⋯」 記憶の中にだけ存在する清廉な愛妻セ […]
変貌したセラフィーナを前にして、ガイゼフが抱いたのは憐憫れんびんの情だった。怒りや憎しみ、不義に対する負の感情は不思議と湧いてこなかった。 「セラフィーナ⋯⋯」 記憶の中にだけ存在する清廉な愛妻セ […]
大仕事を終えたベルゼフリートは、自分が誇らしかった。 会場の片隅で三皇后が言葉を交わしている。 妖艶なサキュバス、凜々しいアマゾネス、可憐なハイエルフ。異なる種族の美女三人が直参の側女を引き連れ […]
ルテオン聖教国の仲介で、メガラニカ帝国とバルカサロ王国の和議は結ばれた。 アルテナ王国の東西分割統治。東西を分断する境界線であるグウィストン川は非武装中立地帯に設定された。 メガラニカ帝国はアル […]
冬の厳しさが深まった十三月十四日。 王都ムーンホワイトの上空に天空城アースガルズが浮かんでいる。 アルテナ王国の人々は半開きの口で、冬晴れの大空を見上げた。空を占有する巨大な建造物。メガラニカ帝 […]
グラシエル大宮殿の北塔は、帝国軍支部の営舎と隣接している。 地下には武器庫があり、火薬類を除く帝国軍の武装一式が保管されていた。見張り塔の異名を持ち、北塔の中層階は窓に鉄格子が填められた牢屋となっ […]
三皇后列席の下、帝城ペンタグラムの議事堂で御前会議が緊急開催された。 臨席するベルゼフリートは、王妃達の討論を上座のソファーベッドから見守っていた。実権のない皇帝は議論に加わらず、御前会議の結論を […]
窮地に立たされたセラフィーナは、ベルゼフリートと出会った最初の夜を思い出していた。寝室に押し入った初対面の少年に強姦レイプされた記憶。猥らに喘ぎ、淫辱の生々しい味を知った。 国讐の胤で孕まされ運命 […]
天空城アースガルズに入内したララノア、テレーズ、アリスティーネ、ルイナ、エルフィンの五人。さしあたりの地位は愛妾ユイファン付きの側女となった。 さらにロレンシアの功労を認め、側女から愛妾への引き上 […]
ベルゼフリートが最初に呼んだのは、狐娘のエルフィンだった。実家の負債を返済できるのならと、潔く血酒の仙薬を飲んだ。 低身長だが、身の丈に合わないロリ巨乳。愛らしい童女の見た目だが、今年で三十一歳と […]
――セラフィーナが公安総局に拘束される約二週間前。 ロレンシアは帝都アヴァタールに帰還した。時を同じくして、ベルゼフリートもグラシエル大宮殿に降り立った。 ロレンシアとベルゼフリートの密会は、ユ […]